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テーマ:本日の1冊(3690)
カテゴリ:本・読書
七冊目と八冊目の三浦哲郎。
『真夜中のサーカス』は連作短篇集。舞台は東北にある海辺の町「菜穂里(なほり)」。架空の町。 「木戸が開く前に」「綱渡り」「パレード」「魔術」「寸劇」「パントマイム」「スポットライト」「檻」「空中ブランコ」「ジンタの嘆き」「鞭の音」「赤い衣装」「小人の曲芸」「火の輪くぐり」の全14篇。 「木戸が開く前に」の野良犬、再び現れる野良犬は「火の輪くぐり」。一瞬読者は同じ野良犬?と思う。確か「木戸が開く前に」の野良犬は車に轢かれて死んだのでは?読者の思うとおり、最後の一篇の野良犬は、初めの野良犬とは違う。奇妙な仕掛け。 「スポットライト」の長閑なユーモアと「赤い衣装」の凄惨な人生。それらが一つの連作(14篇)に置かれている。人間の営みの様々な面を、架空の町で起きる出来事になぞらえて語る、三浦哲郎の小説の醍醐味。 さて、『曠野の妻』である。何でこういうものを書くのか?口を糊するため? 安易なメロドラマだ。行間で語られるべきが、すべて書かれている。その分、長くなっている。三浦哲郎はこういう仕事もした。 真夜中のサーカス 三浦哲郎 昭和55年3月15日 印刷 昭和55年3月25日 発行 新潮文庫 草135=04 (昭和48年6月 単行本) 曠野の妻 三浦哲郎 装幀:司修 1992年11月30日 第1刷発行 講談社 (1990年1月号~1992年4月号 「婦人之友」連載) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.07 16:56:55
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