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テーマ:本日の1冊(3690)
カテゴリ:本・読書
マルケス、リョサ、コルタサルについで四人目のラテンアメリカ文学。濃厚な蜂蜜、それも様々な香草やら酒やらが入り混じったような味であり、それも初めて経験する味が殆どであった。それ故に、戸惑うことしばしばで、読み返し読み返し、それでも活字の上を眼は滑るばかりであった。しかし、改めて思い返せば人が人であることと花が花であること、雲が雲であること、それらすべての地球上に存在するものは生きており意志を持ち行動しているという当然と言えば当然のことが物語られている。そういうものである。それが伝説(≒神話や説話)であるのだと・・・。
中でも戯曲形式の「ククルカン――羽毛に覆われた蛇」は物語を追うことのみでは決して分からない世界が繰り広げられる。勿論、他の作品にも同じことが言える。 ポール・ヴァレリーがその手紙に書いている【「夢の化生が魂のなかに目覚める」のを覚えました。】の、【夢の化生】こそが『グアテマラ伝説集』を的確にとらえたものだと思う。夢こそ濃密・濃厚な世界なのだと言うことを・・・。【】は引用。 己の理解を超えたものであったのは確かだ。だが、面白いと言うことを何ら妨げるものではなかった。過日見た映画『アントニオ・ダスモルテス(監督グラウベル・ローシャ/1969ブラジル)』にも同じものを感じた。 これは1930年に出版された。当時(1930年=昭和5年)の日本は三年前27年に芥川龍之介が自殺、29年に『夜明け前(島崎藤村)』『蟹工船(小林多喜二)』の時代である。世界は広いと思う。 グアテマラ伝説集 M.A.アストゥリアス/牛島信明訳 2009年12月16日 第1刷発行 岩波文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.08.31 21:27:39
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