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テーマ:本日の1冊(3690)
カテゴリ:本・読書
【2010年に群像新人文学賞を受賞してデビューした淺川継太氏の最新作「ある日の結婚」は、群像2013年7月号に掲載され、各紙文芸時評でも高く評価された傑作です。ありふれた男女の恋愛がたどる奇想天外な展開と衝撃のラスト。「恋愛の究極」を淡々とユーモラスに描いて恐ろしくも美しい、一度読んだら忘れられない表題作ほか、デビュー作「朝が止まる」、フジテレビ「世にも奇妙な物語 2013年秋の特別編」で映像化され話題を呼んだ短編「水を預かる」を収録する、著者の第一作品集。 【「ある日の結婚」のストーリー】 毎朝、ぼくは同じ駅の同じ場所で、必ず彼女とすれ違う。いつもより早く出た日も、電車が遅れた日も、一日も欠かすことなくすれ違うのだ。偶然を超えた「奇跡」を確信した二人は急速に惹かれあうが、やがて互いの身体に対する、性愛を超えた欲望を止められなくなって……。】 【~~】は講談社HPからの引用です。 「ある日の結婚」はとてもエロティックで哀しくって可笑しい奇妙な物語です。ボクが最もエロティックだと感じた箇所は、映画を見た初めのデートの次のデート、雨でずぶ濡れになった二人は女の部屋に行く。そこで・・・、 【―――わたしこんなふうに一緒にお風呂に入るのって、初めて……いままでは、嫌だったの……/(中略)/彼女が身じろぎして股のところをぼくに押しつけると、信じれれない滑らかさで、彼女のなかにぼくの性器が埋まっていく。いつもはこんなふうではないのだと、彼女は思いつめた、額と鼻に汗をまとわせた顔で言う。彼女の毛のなかの部分は、潰れたゼリーみたいに柔らかくなっている。湯のなかで触れても、くっきり分かるほど高密度に濡れているのだ。】【~~】はp24.25の引用。今までに出会ったことのない描写力である。この一点において淺川継太は数あるポルノ小説や官能小説を超えたのではないか。 安部公房を彷彿とさせる云々らしいが、ボクには星新一を思い出させる文体であった。 『ある日の結婚(淺川継太)』 講談社 2014年4月28日第一刷発行 「ある日の結婚」・・・2013年7月号 「水を預かる」・・・2011年4月号 「朝が止まる」・・・2010年6月号 すべて「群像」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.08.22 21:33:40
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