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りらっくママの日々

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2009年12月11日
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今日の日記(子供同士の付き合いでいろいろ思い悩んだ?一日と「不毛地帯」感想☆ )



「ある女の話:カリナ39(嫌な予感)」


長いコール音の後、
ようやく電話が繋がった音がした。

「もしもし?」

でも声は聞こえない。
後ろから何かザワザワと音はするけど…

「もしもし?」

電波の調子なのか、オノダさんの声は聞こえない。

「もしもし?カリナだけど、聞こえる?」

やっぱり返事は無かった。
イジワルをされてるのかと思ってイライラする。

「もしもし?」

私は何も言わない電話に不気味さを感じて、
電話を一度切った。

もう一度かけてみる。
ちゃんと番号を確認して。

今度はすぐに繋がった。
でもまたさっきのザワザワする音が聞こえるだけだ。

「もしもし?
…オノちゃん?」

私がそう言った途端に電話が切れた。

オノダさんの名前はミツルって言った。
でも、私は何となく照れ臭くて、
「ねえ…」とかって呼ぶことが多くて、
時々オノちゃんとかって呼んでいた。

オノダさんは名前で呼べばいいじゃん、とか言って、
時々イジワルして、返事をワザとしないことがある。
もしかしてそれかと思った。
それにしても電話を切ること無いと思うんだけど…

もう一度かけてみると、今度は電波が届かないってメッセージがかかった。

何だろう?
嫌な感じがした。

それからずっと電話が繋がらない。

胸騒ぎがして、
その日のバイトの帰りにミツルの店舗に行ってみた。
でも、店の中にミツルの姿はない。

家に行ってみたけど、
家も明かりが点いて無い。
私は合鍵をもらってなかった。
誰もいないようだった。

何だか怖い気持ちになって、
家に帰ってからもソワソワしていた。

でももう心配しても仕方無い。
ミツルから連絡が来なければこれで会えないのかもしれない。
私は怖くなってくる。

何かあったんじゃないか?って心配でしょうがない。
いきなりいなくなるようなことは無いだろう?って思うけど…。

そんな心配をしていた翌日の昼間
携帯にショートメールが入ってることに気付いた。
講義中に入ったらしい。
  
  ジコシタ。イマイエ。


ジコ…
事故?!

私は慌てて返事を送る。

  ガッコウオワッタノデスグイキマス!


ミツルの家に慌てて駆けつけると、
顔に怪我をしたミツルがが出てきた。
数箇所、切り傷のようになっていた。

「居眠り運転しちゃってさ…。」

カーブを切り損ねてポールにぶつかったらしい。
シートベルトをつけてなかったらしくて、
頭からフロントガラスに突っ込んだとかって。
人を轢かなかったことが救いだったけど…って言ってたけど、
表情は、かなりへこんでいた。

「大丈夫…?」

顔の傷を眺めながら言うと、

「ガラスがまだ入ってるんだってさ。
そのうち出てくるとか言われたけど…
体がガラス拒否して…。
ホントかよ…」

独り言みたいに呟くミツルとその傷を見てたら涙が出てきた。
私のせいで、
私を送ったせいでそんなことになったかと思うと…。

「何だよ?何で泣くんだよ?」

「だって…
私を送ったからそんな…
ごめんね。
ごめんなさい。」

「オマエのせいじゃないよ…」

それでも私は泣き続けた。
怖かった。
死んじゃうとこだったのかもしれないし、
死んでたら、もう連絡が来なかったのかもしれないと思うと…。

ミツルは私の髪を優しく撫でていた。

「だって…
ミツルがいなくなっちゃったら、私どうしたら…」

腕の中で泣き続ける私の頭を、
ミツルが怪我をしてない側に軽く抱きしめた。

それから思い出したように、
鍵の束の中から一本を私に差し出した。

「これ…
心配かけちゃってごめんな。
俺の部屋の鍵。
何かあった時には、いつでもここにいていいから。」

そう言って渡してきたので、
私は少しホッとして、うんうん頷く。

「あのさ…」

ミツルは何か言いにくそうに間を置いた。

「何?」

「俺…
実はバツイチなんだけど…
それでもいいか?」

いきなりのことだったので、
頭がうまく受け入れられなかった。

「え…
何?
どうして…?」

それだけ言うのが精一杯だった。

「入ってた会社が倒産しちゃって、
転職したり夜の仕事してるうちに、
カミサン愛想尽かして出て行っちゃった。」

簡潔にオノダさんが言う。

頭が混乱してた。

「大丈夫?」

無言でいる私に軽く笑いを浮かべてミツルが聞く。

「やっぱ…無理かな…」

ため息をついたミツルはがっかりしてるようだった。

「ううん…
ううん、そんなこと無いよ。
それでもミツルのこと好きだし。」

私はミツルをとにかく安心させたくて、
慌てて言った。

「夜の仕事って…?」

「まあ…
いろいろ…。」

ミツルの言い方から言いたく無い仕事もしてた気がした。

「今はそんなことしてないんだよね…?」

「うん…。」

「前の人とは…まだ繋がりあるの…?」

「…いや、そんなに…。
時々事務的なことは、まだあるけど…」

ミツルは歯切れ悪そうに言った。
でも、その様子から話したく無いことなんだろうな…って思った。

どこまで聞いていいのかわからない…
ううんそうじゃなくて、
何となく、そのことにイマイチ現実感が沸かない。
それが私達の付き合いにどう関わってくるかがピンと来ない。
それだけじゃなくて、
自分がそういったことを根掘り葉掘り聞くことにも抵抗があった。

でも、もう離婚してるなら、
そんなにたいしたことじゃない気がした。
それでも大きなことだと言うことはわかっていたけど、
実感を伴っていなくて、
考えたくなかったのかもしれない。

「それって…
まだ好きだったりするの?
戻りたいとか?
会ってるうちにそんなこと無いの…?」

「いや、そんなつもりは全く無いから…」

ミツルは私を抱きしめてキスした。

「ゴメンな、カリナ…」

その時のミツルの言葉が意味してることは、よくわからなくて、
目の前にいるミツルが生きている事実に安堵していて、
彼と別れることになるなんて、
この時は考えもしなかった。




前の話を読む

続きはまた明日

目次





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最終更新日  2009年12月11日 20時11分01秒
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