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りらっくママの日々

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2009年12月12日
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今日の日記(東京ディズニーシーのクリスマス )




「ある女の話:カリナ40(彼の現実2)」


ミツルの事故のために車が使えなくなってしまったので、
ますますミツルとは、家で過ごすことが増えた。

私は二人で家にばかり閉じこもっているのが嫌で、
お父さんが使わない時に車を借りて、
時々どこかへ行くようにした。

ミツルはその時に悪びれずに車の運転を代われと言って、
私を助手席に乗せた。

ミツルの運転の方が上手くて安心だし、
私は男の人が運転する方が嬉しいけど、
頼んでも無いのに当然のように乗られると、
何だか複雑な気持ちになった。

自分で車を買う気は無いのかな…って思った。

そのことを言うと、

「まあ…そのうちに…な。」

と、言葉を濁された。
私はミツルのそんなところが気になるけど、
それはミツルのお財布の問題だから仕方が無いと思った。

「オマエは苦労知らずのお嬢さんだからな。」

ボソリとそう言われると、
お嬢さんってほどじゃないのに、
何だか軽蔑がこめられてるような気がして、
嫌な気分になった。

根源がミツルがお金を持っていないことのような気がして、
自分で稼いでもいないのにそう思う自分が、あさましい人間のような気がして、
深く考えないようにした。

バイトでの飲み会に行くにも嫌な顔をされるようになった。

「他の男を知りたくなるんじゃないかと思って…」

そんなこと無いよ、って言ったけど、
何ていうか…
精神的に締め付けられてる気がして、ちょっと困った。
反面、自分のことを好きなんだな…ってホッとするけど。

そうして、二人でいるばかりになって、
ミツルの家にいることが多くなって。

仕事で疲れてるから、家で過ごしてる。
そう考えるようにした。

外に出かけてくれないから

バツイチだから

どれも決定的な理由にならなくて、
私は彼を責めたりケンカしたりするのが嫌で、
そのままいろいろ気になったことを放置していた。

そうして、夏がどんどん近付いていた。


「ねえ、夏休みどうするの?仕事あるの?」

私はカレンダーについた祝日の印を見て聞いた。

「俺…
ちょっと長期休みは実家に帰ろうかと思うんだけど…」

言いにくそうにミツルが言った。
私は少しガッカリしたけど、カレンダーを見て気を持ち直した。

「そっか…。
あ!ねえ、それってこの矢印の期間?」

「え?何で…?」

「うん、友達といっしょに旅行に行きたいねって話が出てて、
ちょうどこの辺がいいねって。
それならミツルと会えない時期に合うから、良かったと思って。」

それを聞くとミツルは暗い顔をした。

「いいね…学生は旅行ができて。
俺なんてもう旅行も行けないしさ…」

「そんなことないでしょ?
そのうち、お金貯めていっしょに行こうよ。」

私は、いつかミツルと行くこともあると思っていたので、
元気を出させたくて何気無く行った。

「無理だよ…。
だって、俺、養育費払わなきゃいけないし…。
金無いもん。」

私は今聞いたことが一瞬わからなくて固まった。

「子供…?」

「うん…。
子供いるから…。
俺だけの金じゃないんだよね。」

「あ…
そうなんだ…?」

私は何て言っていいかわからなくなった。
頭の中は、子供がいるってことでグルグル回っていた。
そして、あることが蘇った。

「もしかして…
子供の絵本、甥っ子のって言ってたのって…」

思い出したように、
言いにくそうに間を置いて、ミツルが口を開いた。

「ごめん…
あの時は、言えなかった。」

気持ちが真っ暗になったような気がした。

お互い無言になって、
テレビの音だけが無意味に聞こえていた。

「ごめん、帰る…」

「ごめん!ごめん、カリナ!
だって、言えねーよ、そんな…」

「そうかもしれないけどっ」

私はミツルの手を振り払おうとするけど、
ミツルは私の手を掴んで離そうとしない。

「言って欲しかった。
あんな嘘つくなんて!」

私の中で初めてミツルとした日が蘇っていた。
初めてなのに、初めてじゃないんだろ?ってなじられたことも、
痛みも全部。

聞いたら…
聞いてたらやめてたかもしれない。
すぐにそう思った。

「じゃあ、言ったら大丈夫だったのかよ?
本当に嫌いにならないって言い切れるかよ?
俺はバツイチで子供がいて、
金がねーし…
だから、ダメなんだろ?
どうせ…
どうせそうなんだろ?!」

ミツルの目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだった。
私も泣きたかった。

そんなこと無いよって、
言えなかった。

お金のこともバツイチのことも、
心のどこかにひっかかってたから。

でも…

違う!
そうじゃなくて…

咄嗟に心を表す言葉が出て来ない。
どうしていいのかわからなかった。
結局ミツルの言う通りなのかもしれないって思うと、
自分がすごく嫌な人間に思えた。

気付くと私の方が泣いていて、
頭を横に振っていた。
嗚咽が止まらない。

ミツルが私を抱き寄せて、
キスをしてそのままお互い抱き合った。

寝た後は、何もかもがどうでも良くなって、
結局、この男を捨てることなんかできないって思った。

でも…

自分への嫌悪感とミツルへの気持ちが何なのか、
だんだんわからなくなってきてたのは確かだと思う。

私の頭を撫でながらミツルがボソリと言った。

「旅行…
行ってきていいよ…。」

「うん…。」

窓の外から雨の音が聞こえてきた。

また降りだしたんだな…

窓についた水滴を見て、そう思った。

もうすぐ私は20歳になる。




前の話を読む

続きはまた明日

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最終更新日  2009年12月13日 15時54分41秒
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