リーダー
「ソロモンよ、私は帰って来た!」……とは、ある偉人(アナベル・ガトー)の名言だが、我が球団にも帰って来た人が1人。背番号33と2つのチャンピオンリング。田口が、遂に田口が帰って来た。ローズの退団が決定的な今、その存在は本当に貴重だと思う。状況に応じた打撃。確実な犠打。堅実な守備。アメリカでの経験。世界一2度の勝ち運。どれもオリックスには欠けているものだ。しかし、何よりもリーダーシップ。これに尽きる。野球において、必要なリーダーは監督だけではない。選手の中にもリーダーはいるべきなのだ。監督には出来ない役割を果たす存在が。……特に、若いチームには。漫画『ストッパー毒島』には加瀬英二がいた。映画『メジャーリーグ』にはジェイク・テーラーがいた。去年のWBC、日本はイチロー&松坂という投打のリーダーがグラウンド内外で選手をまとめた。WBCでいうと、オランダ代表もそうだ。実績ある選手はほとんどおらず、下馬評の低いチームだったが、なんと、優勝候補だったドミニカに連勝。“世紀の番狂わせ”と騒がれた。実はそのチームでリーダーを務めたのは、オリックスファンには馴染み深い選手。ランドール・サイモン、当時33歳。合併元年の2005年に来日したが、僅か16試合に出ただけで戦力外となった助っ人だ。……そう、一部ファンの間で“ダサイモン”とか呼ばれていた左打者である。タイガース時代の2002年には130試合に出場。打率3割、19本塁打という見事なシーズンを過ごしたが、そのパフォーマンスを再現することはできなかった。さて、そのサイモンがWBCで何をしたのか。その一例は、代表の初練習前に開いた決起集会。実はオランダは特殊な土地柄で、欧州とカリブ海、出身によって2つのグループに分かれるのだが、サイモンはチームが分裂しないよう、こう呼びかけたらしい。「オランダ本土で育った奴も、 アルバで育った奴も、キュラソーで育った奴も、 みんな、このオランダの旗の下で戦うんだ!」この発言で一致団結したというオランダ。大会中は実に気持ち良さそうにプレーしていた。……まさに、スーパースターばかりで“個の集団”だったドミニカとは対照的に。そのサイモン、リーダーとしての原点は2003年。シーズン途中、パイレーツからカブスに移籍した際、モイゼス・アルーというベテランと出会い、団結することの重要さを学んだのがキッカケだとか。さァ、田口である。アマチュア時代からのキャプテン人生。オリックス入団時から「将来は指導者」と目されていた。そんな生まれついてのリーダーが、今季、チームにどんなケミストリーを生み出すのか。……楽しみである。☆☆☆因みに、田口の名前から1字もらった息子。目を離した隙に自ら前髪をバッサリ。仕方ないので、頭を丸めた。実は、意外と好評。Please crick here !!