予後日記

[がんセンターからこんにちは（記録）] カテゴリの記事

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• 5年クリア、リーチ

  CEA　0.6CA15-3 7.5I CTPは例によって結果出てませんでした（見たかった）今日も野戦病院です。採血は20人待ちでした（担当看護師に「何度も刺したからか、血管固くなってますね」と指摘されました。肘や手首は血管が出なくて、いつも痛いのを我慢して手の甲から採ってたんですがここもそろそろヤバげかしらん）。診察は1時間ちょいズレこみました。でまぁ、CT、超音波、マンモグラフィ、骨シンチ、いずれからも異常は出なかったそうで、やれやれです。もうちょい生きてていいみたいですね。んで、帰宅途中自宅に電話したら、学童用にお弁当を作っておいた娘達はまだぐずぐず家にいました！.......orzそりゃまあ家を出る時に声をかけなかったママも悪いけどさあ、そりゃあんまりだ。明日は下水の掃除と消防センサーの検査が来ます。これから片付けだ。

  2009年08月21日

• どっちでも変わらんかったので

  あ、ええっと、アロマターゼ阻害剤のハナシね。ぜんっぜん変わらなかったですよという話をしにがんセンターに行きました。ううーん、どうしましょう、と言いながらカルテを見る担当医。「もう4年飲んでるんですよね」「そうですね、ノルバデックス5年っていうことで飲み始めました」「...ここでストップって考え方もありますよ？」「や、それはちょっと....。副作用のことを考えてもノルバデックスの血栓症とかよりはマシですし、このまま続ける方がいいですっ」「じゃあ2種類のどっちかっていうことで？」「そうですねー。値段もほとんど変わらないですよね？じゃエビデンス出てる方で」「じゃアリミデックスということにしましょう」...と言いつつ、せんせー何故か全然違う薬のデータとにらめっこ。「ええとね：国内で症例報告がでてるんですが、ビタミンE摂取で関節痛を抑えられたというデータがあるんですよ。これで試しに1か月いってみますか？ただ、ビタミンEは摂取しすぎると身体に溜まるんで、そこらへんも考えて処方箋は1か月で書いておきますが」おおお、打つ手があるんだ！やったあ！「効くといいですね」という次第で、アリミデックス＋当分1日3回ビタミンEという方向になりました。ところで先月のマーカー値なんだけど。CEA　0.5CA15-3 7.5I CTP 5.2I CTPが高いめなのは骨方面副作用の影響でしょう。じりじり上がってるCA15-3が心配なので訊いてみたところ「全然問題ない」とのこと。............。帰宅後調べてみたら、加齢でやや上がっていく傾向のあるマーカーだという記事を発見。CEAが落ちてるから大丈夫と判断されたんだと思います。

  2009年06月12日

• 結局、

  えーと、診察日でした。足がいたーいという話から片付けて行きました。薬を替える（ノルバデックスかアリミデックス）今まで通り＋つらい時に痛み止め（週1,2回程度）.............ええーと、痛いのは毎日なんですが。結局アリミデックスに替えてきました。薬の効能や副作用をネットで見た限りでは「ちょっと目先を変えてみた」程度のような気もしますが。まあ配合が違えば何か違うかもしれないし。1か月これでいってみて様子を見ることに。腋の下は：「ココはリンパ節とかのあるところじゃないですよ、大丈夫」（ホントかなー） で、右二の腕ですが、心配ならと言うことでリンパ浮腫外来の予約を入れて貰いました。やったあ.....と言いたいところですが、実はリンパ浮腫外来は月1回。来月あたままで待たねばなりません。むむう。で、7月～8月上旬に、CTだ骨シンチだ超音波だの予約を入れてきました。 今日の帰りはすんごい二の腕調子悪かったっす（リンパ浮腫外来の予約を入れられてよかったよ、つくづく）。 そんで待合室では割とさっくり呼ばれた（30分くらいしか待ってないと思う）ので、今日のマーカー値はわからずじまいでした。不安だー。追記：まだ二の腕は絶不調。.......んで、二の腕の下側を押すとうっすら凹みます（上は大丈夫。どうやら下側だけむくんでるらしい）。やばし。

  2009年05月15日

• へとへと外来

  診察日でした。が。 うっかり採血に先に行ってしまったら延々待たされ、外来受付に行ったら人がぎっちり。前の主治医時代の野戦病院状態が復活してましたよ。まああれだ、1年も経つと新患も一巡りするから、予後観察やホルモン療法組を一旦減らした分が戻っちゃったんですな。そんなこんなで10時半時点で「あと9人（受付の声のよく通るおばちゃん・談）」.....。仕方がないので仕事場に電話を入れ、今日はお休みと言うことにしました。ううう、すみません、4連休で（火曜日は学校の行事で休み＋水・木は通常の休み）。 でも結局診察が終わったら12時のニュースがやってました。とほほん。 ま、待たされた分、マーカーは3つうち2つは出てましたけどね。CEA＞0.7 CA15-3＞6.8I CTPは出てませんでした。骨密度に関係して来るマーカーなんで見たかったんですが、致し方なし。それより、帰宅して確かめてみたら微増してるんですけど。  むむむう。 施設によってマーカー値も変わって来るよという話も聞くけど、月いちで見てもらった方がいいという話もあるし、どうしよー。来週担当医に電話して聞いてみるというのもありかもしれない。 なにしろ半年1回というのはやっぱり怖いもん。

  2009年02月06日

• 荒っぽい解決法

  今朝。がんセンターに電話、薬が足りないという話を担当医にしたところ：「それじゃ診察日を1週間早めましょう。予約の時間も同じということで特に問題はないですよね？」ということになってしまいました。まあそれなら確かに薬が残ってるうちに診察日が来るけど。なんか荒っぽいなあ（笑）...ま、いいか。

  2008年11月20日

• 定期診察

  触診して、具合を聞かれて、薬の処方箋を貰いました。結局アロマシンになります。...高いのよ、この薬。ウチにまだ3週間分ノルバデックスが残っているので少なめに出してもらったんだけど、ほとんど同じくらいの金額を払いました。昨晩検索したら薬価はノルバデックスの1.5倍。比較的新しい薬なのでジェネリックもないです。で、もらったらあまりの小ささにまたびっくり。ここで写真を貼るとスパムメールが来るので、写真は新館の方に貼りました。興味がある人は覗いてみてくださいな。追記：忘れてた。紙をなくしそうなのでここにマーカー書いておこう。3か月前のものです。CEA＞0.6CA15-3＞5.7I CTP＞2.5

  2008年11月07日

• 通院日でした

  先日の結果が出てました。異常なし。でも7年経過くらいまでは気を抜けないと個人的には思ってます。診察前に採血をしたのですが、そっちのマーカーの結果は悪かったら連絡がくることになってますけど、....まぁ、ないでしょうねえというかあっては困る。で、腕の異変の話をしたんですが、所詮若手の外科医、リンパの流れなんか知ったこっちゃないんでした。仕事量の調整をしてもらって、必要があれば診断書は書く...どまり。そう言えばいつのまにかここの病院、リンパ浮腫外来の張り紙がなくなってるっ。おおおーい、術後のQOLは？？.......実のところ、この調子ではがんセンターは頼りにならない可能性もあるので、腕のトラブルでいちばん親身になって叱ってくれた（その時は虫さされ）皮膚科のかかりつけ医に相談するのが、今後リンパ絡みで何かあったときの切り札かもしれないなと考えはじめてます。開業医だけど人気も実力もあるとこだし、院長先生（女医）は以前＊病院（近所のオーシャンビューな大病院＜伏せ字の意味ないかも）にいたと聞いているので、何かあったときの道もつくかなと。最低でも次に薬を貰いに行く時（なにかあったら即飛び込もうかと）に、腕の相談をするつもりでいます。病院から仕事場に直行、今日も700枚近く伝票入力してきました。二の腕が少しひりひりします。ちょっとふらふらしてたら「眠い？」てつっこまれ、「7時起きで子供の弁当を作って、病院に寄ってから来た」と話したら「7時じゃ普通じゃん」あのー、寝たのは2時半過ぎなんですけど...（と言えなかった気弱な私）

  2008年08月01日

• 放射線科はゴール

  ええと、月曜、放射線科の診察に行ってきました。待っていると事務の人から紙を1枚渡されました。えー、なになに。担当だったS先生が別の病院に移動したそうです。という次第で、呼ばれて診察室に入ると若くて美人な女医さんが（や、ほんとに美人でしたが何か）で、よろしくお願いしますと挨拶し、術創を見せ、異変はないかと訊かれたので気圧が低い時に痛いくらいという話をしたのですけれども。「もう3年半経ってますし、次の診察を入れるとしたら1年後ということになりますが、特に異常がないようでしたら放射線科の診察はここまでということにして、何かあったらご連絡をいただくという形でも構いませんが」ということは、放射線科はあがりか～。あがりということに致しました。次にここに来るのは骨シンチと超音波の検査の日。延べで1か月以上お泊まりした場所なんでなんか馴染んじゃってるんですが、だんだんと間隔が空いてますね。てか、お世話になった先生は既に多分全員いなくなってます。呼吸器内科はちょっとわからないけど、乳腺の主治医はあたまの上に輪っかついたし、血液内科のs先生も去年異動してましたから。このままフェードアウトになればいいな。追記：よそのブログで、かなりでかい手術をした患者さんが、その後かなり好き勝手に人生を送り（笑）結局28年間再発せずじまい～死因は酒で肝硬変～というコメントを読みました。まわりの人を振り回してるのは私も一緒（褒められたことではありませんが）。大丈夫あんたも多分長生きよと、もうこの世にはいないよそのおばちゃんにぽんと肩を叩かれたような気がしました。

  2008年05月28日

• いやなんだけど（タメイキ）

  通院自体がここのところ3か月に1度なのだけれども、その中で2回に1回の頻度で血液検査をしてます（つまり最近は半年に1回。ゾラばっちん期間は確か3か月に1回でした）。結果は「なんともないですよ」で終わり。このままではよくないだろうなとは薄々は思っていたのよ。まぁ進行がゆるゆるの乳癌だからこそ、こんな呑気なインターバルで診てるんだろうけど。でもU先生（こないだ書いたブログ主の先生）によれば、月いちまでは健康保険の範囲でやれるから、検査はしておくに越したことはない、と。正常範囲でもじりじり上がっていたら再発を疑った方がいいかもしれない、と。上がってるとは言っても正常範囲内だったら医師の方で黙っててあげよう状態にしている場合もある、と。全ての癌に関しての発言だから、進行が遅い種族を抱えた私がぴりぴり反応しすぎるのもどうかとは思いつつもしかし。えー、実を言うと、腫瘍マーカーの数値を聞いたことは数回あるけど、何しろ初代主治医はリニアモーターカーみたいに迅速に動き回る人だったので、聞いた数値を書き取る暇もなくって。手元にはデータ、残ってません。ヤバいです。すっごーくイヤなんだけど、来週の診察時に「前回・前々回・そのまた前の回」までの数値を聞いてメモってくるつもりです。今の担当医は若い目な分ガードも弱いっぽいし、なんとか聞き出せるんではとは思ってるの。がんばれ私。

  2008年04月18日

• 治験？

  古い書類の整理をしていたら、「CEF＋ウィークリータキソール術前化学療法の研究への参加のお願い（だったかな）」て内容のリーフレットが出てきました。最初に主治医にほいっと渡された紙です。これって、治験...だったのかなあ。だとしたらお金かからなかったのかな。実際には私の腫瘍はこの治療法をやるまでもない程度の大きさだったので、結局は手術を先にしてあとで化学療法（CAF）てことになったんですが。タキソールがみしみし痛い＋睫毛まで抜けるということは当時は全然知らなかったっけ。......。結局私の体には一滴もタキソールは入ってません。武器を一つ残してもらったことになります。いいクスリであることは知っているので、まぁ結果オーライ。金銭の問題じゃないですなぁ、と思いながらもう要らなくなったその紙をゴミ箱に捨てました。やれやれ。

  2008年04月09日

• 1周忌

  去年の今日、主治医のあたまの上に輪っかがついてしまいました。大腸がんの再発でした。律儀な人だったから、多分体力の続く限り仕事をして、抗癌剤も勤務先のがんセンターで規定量みっちり打って、それでひとたまりもなかったとかそういうのをあとで何となーく想像してしまったりしましたが、詳しいことは一介の患者でしかない私は聞いていません。......夏のゾラ最終回までは元気でいてほしかったなあ。「S（本名）さーん、13番の診察室にお入りくださーい」という主治医の声が聞こえるような気が、待合室でしてました。実際には別の先生に呼ばれてましたが。もうその記憶もだんだん薄くなって来てます。主治医が元気だった頃には野戦病院みたいに混みまくっていた待合室も、今はだいぶ落ち着いてます。

  2008年02月23日

• 本日診察（新担当医登場）

  朝イチで行って参りました。気のせいか、なんか空いている待合室。割とすぐ呼ばれて、診察室へ。30代くらいの先生。で、触診（先代のA先生は混み混みなせいかやってませんでした）＋問診。前回やった血液検査も特に異常はなかったようで、今日の予約に採血の予定がついてたんですがキャンセルに。次回来た時に回されました。「診察の前に採血して来た方がいいんですよね？」「そうですね。全部ではないですが結果も回ってきますし。全部の結果が出るのは翌日くらいなんですが、それで異常があった場合は電話するようにしてます。だから診察後数日たっても連絡がなければ大丈夫だったと思っていただいていいですよ」会計が終わった時点でもぜんっぜん朝だし～。天気がいいので駅まで歩いて帰りましたが、途中にあるから寄れるかなと思ったユ＊クロはまだ開いてないわ、横浜についたらまだ高島屋すら開店前だわで。拍子抜けしながら帰宅しました。帰りがけ、入り口近くの担当医師の表を見たら、乳腺外科のナンバ－2の先生が異動してました。肺炎の時にお世話になった血液内科のS先生もいなかった。かなりの数の医師が転勤になった模様です。むむむー。

  2007年10月12日

• さいごに

  　先にも書きましたが、私の立ち直り（少なくとも表面上）が比較的早かったのは、同じ病気を持つ親族と何とか続いていた仕事の存在、数カ月前から飲んでいた抗不安薬のおかげだと思います。主治医の思うところが今一つ判らないでいた時期は特に、仕事と当時のかかりつけ心療内科医の存在は大きな救いでした。泣くだけ泣いて落ち着いた時、最初に考えたのは「このまま終わってなるものか、絶対にいつか元は取ってやる」。ですから家族は勿論、子供の預け先、担当の編集、連載コラムで僅かながらですがついていた読者、全員にさっさと喋ってしまいました。唯一術前に言葉を濁していたのは当時のパート先（って、ヤマト運輸だったり）ですが、ニブかった若手正社員の人が居たおかげで結局広まってしまいましたとさ。そんなこんなである程度治療にキリがついたところで（精神面ではまだぐずついてますが）尻切れトンボ状態に終わってしまいます。続きはまたある程度時間が経ったところでまとめて書きますのでそこは御勘弁ということで。その頃には現在よりももっと医療技術が進んでいるハズですし、バーチャル癌友経由で色々な情報も入ってくるかもしれませんから、もっとこんなことをしてるんだよというおハナシもできるかもしれませんね（つーか地団駄踏んでるかも）。　あと、これはおたくちゃんの癌体験記でもあるので必要最低限しか書きませんでしたが、ウチの親・ダンナの両親にはホントにお世話になりました。もう年金貰ってるような方々をさんざんふり回して…普通はこちらが逆にナニかする立場のハズなのに、まったくもう親不孝な娘（ヨメ）ですみません＆ありがとうございました。実はまだお世話になってたり。きゅーっ。　おしまいに、心のスペシャルサンクスをタカラの野口登喜雄氏とチュンソフトの中村光一社長、アドワークの逸崎万智子さんに。「依存症」とか言われそうですが、野口さんの「娘」ジェニーとその一族、中村さんの「風来のシレンＧＢ」、ちょうど治療でゴタついていた頃に誕生した逸崎さんの「娘」杏にはツラいところを随分救われました。術後のリハビリにもなりました（笑）し、人形関係の連載やイベントの存在がどれだけ心の支えになったか判りません。ホントーにありがとうございました。＊多分、ジェニー・杏・シレンのディスクは棺桶に入れてって指示出すと思います。って、あの世でもゲーム三昧かよ＞自分

  2006年07月13日

• 予後の人

  　とまあそんなこんなで今は服薬しつつですが「予後（術後、安全とされる年数が経つまでの間、再発・転移が起きてないか定期的に検査するグレーゾーン状態。大抵は5年だけど乳癌は10年）の人」です。なってみて判りましたが、これは実は途方もない闇なんでした。あれー（見当はずれ）。今は何とか逃げ延びてますけどいつ倒れるか判らないってことなの？…で、再発したら多分完治は無理らしいし。割と薬や放射線が効きやすいと言われている乳癌由来の転移癌でも「だましだまし」レベルみたいです、どうやら。　知らないうちならいざしらず、一度あれやこれやと経験しているだけに＆自分より大変な思いをしている人・再発してしまった人をさんざん見ているだけに、スイッチがいつ入るか判らない時限爆弾持ちという状況（そして、ちょっと見は「もう完全に直ってまーす」状態）は思いのほかキツい。…本調子に戻る前にそのことに気づいてしまった私は一時期鬱がこじれ、逃避＆薬の副作用の耳鳴りで一日中こんこんと寝ている情けない人になりました。今は耳鳴りがない分ちょびっと復活してますが、まだへなへなかも。　まあね、せっかく死なないで済んだんだし、それなりに何か自分の守備範囲の中できちんと残しておきたいとは思う。…でもそれに費やさねばならないであろう作業の数々は、おうちでよろよろと予後な主婦やってる現実の私にはかなり重荷で。原稿を書きたくても先に洗濯しなければならない。取材や打ち合わせに行きたくても子供を学校や保育園に迎えに行かないとならない。へとへとになって昼寝すると時間がなくなる。病気になる前はそういったことをごく当たり前に受け止めてちゃんと切り抜けていたのに、どうしてこんなにしんどくなってしまったんだろう。そもそも私に才能なんてあったっけ？…そんな具合なんでつい窓から落っこちてみたくなるんですねえ（喧嘩して逆ギレし、マンションの窓から下りようとして止められたことがあります）。情けない。あとね、ホビー系ライターである私の本来の居場所＝着せ替え人形界ってば：昨今は「コンプリート・ジェニー・ファイル（何人ものコレクターの手を借りつつですが、私と担当編集さんでほぼ全ての文章を書いた、幻の「2001年までの完璧な」ジェニーデータブック）」すら手に取ったことのない連中が、リカちゃんでもジェニーでもバービーでもない人形に湯水の如くどさどさお金使ってる。人形の歴史に関する基礎知識がなくてもやっていける。実はリカ・ジェニー方面に年期入った身の上には昨今かなり居心地悪いんです。この状況は一時的なものだと思いたいんですけど。お産が重くて亡くなった本多久美子さん（「リカちゃんの秘密」著者。ホントなら私とニッチが重なるからライバルになってたはずだった）が最近のドールイベント見たら目を回すよ、多分。知らない人形ばっかりだもん。　生きる事に運のすべてを注ぎ込むのはほんとうは嫌です。そもそも嫌だったからこそ兼業物書きなもう１人の私が存在しているのだし。　でも現実には私がフツーに生きててくれないと困る人達がいる。　そういう存在よりも、ジェニーが私を今後必要としているのかどうかの方が実は私は知りたいの。倒れるまでの13年間は彼女のガーディアンとして生きて来たから。薄情なのは判っていても、私から人形を取り上げたらもうそれは私じゃないもの。　とか言ってるくせに、鬱々とした気分に負けて東京おもちゃショーに行くのを諦めてしまった私です。ダメダメじゃんよ。もー。新製品見られる絶好のチャンスなのに。

  2006年07月13日

• 「死ンダラドウシマスカ？」

  　癌に関係なく、人形が3ケタの大台に乗った10年近く前からずっと考えていたことです。「死ンダラドウシマスカ？」というのは、鈴コレクターだった祖父が知り合いの牧師（確か米国人）に聞かれた質問で、祖父はその時は笑ってごまかしていたらしいのですが、それからそんなに経たない内に笑ってられない事態に陥ってしまいました。只の痔の手術の積もりで単身赴任先の病院に入院したところ、組織検査で大腸癌が判明、しかも胃に転移していることも判り、そのあとはそれこそ坂道を転げ落ちて行くようにしてあの世行きになってしまったのです。山のように残された鈴の素性を真っ当に知っているのはアタマに輪っかのついた当人だけ。幾つかは博物館に貸せる位のものもあったらしいのですが…。その後、鈴の数々は長い時間を押し入れや物置きで過ごした挙句、結局は祖母の死後にどこかの民俗博物館に寄贈されたと聞いています。　実はかなり早い頃から「未開封の人形は散逸してもいいから。でもディーラーに売るなら見積もりを取るとか、自力でネットオークションに出すとか、とにかく引き取り手が価値を認めた上で受け取るような処分の仕方をしてね」とダンナに言いおいてありますが、ついでに親族と指定した人以外への人形＆関連品の形見分け禁止令を出しておかないと。あんまり知り合いを疑いたくないですが（笑）友達だったとか言ってほんのちょっとしか面識がないのにやって来る手合いが万一居たら嫌だなあというのがその理由。価値の有る物はそういう人は当然知ってますものねえ。特にモッズ系バービーと桃子・杏関連が危ない。ま、そういう事態が起きたら、私、しっかり化けて出ますんで（断言。煩悩はコワいよ～）。　私個人の葬儀・埋葬の問題もあります。　実はお棺まで連れて行く人形をとりあえず1体決めてあるんですが、そいつ（って「スターライトヨシキ」なんで）連れて「ダンナの家の墓」に入るワケにはいかん。いくらなんでも間男～人形とは言え～連れ込むみたいで非常識だわよ。ねぇ？…なので、人形供養をやっている寺を探して連絡を取り、遺灰をちょびっとでも持ってってお焚き上げがある時に混ぜてもらう案を考え中だったり。つまり：私を燃したら多分出てくるであろう針金数本（＝よっちゃんの骨）、灰と一緒にそこへ持ち込んでもらおうかなあと。それとも混ぜてしまえば判らない（野郎1匹では寂しいとも言う）から、他に数人女の子連れ込もうかしらん。なんかご先祖さんご一同に白い目で見られそうな予感が今からしてますが。それとこのまま放っておくと死んだ時ダンナの檀家の寺で仏教の葬式ヤられてしまうので、こっそり「音楽葬」の曲目リストでも作っておいた方がいいかもしれない。やっぱ最初は葬式なんだから平沢進の「石の庭で」かなあ…なんかP-MODELメドレーになりそうな予感が（苦笑）。以前見かけた話では、某ブログの主のお母さまは玉置浩二が大好きで＞玉置浩二メドレーの音楽葬曲目リストをがっちり娘に託して亡くなられたそうで、出棺が「悲しみにさよなら」…いい味出してるよお母さん。まぁそれはさておき。　いずれにせよ、経過観察の10年をクリアしてもまだ死ねない事情があったりして。　それは：リカちゃん誕生50周年記念パーティー。25周年の時に、50周年パーティー招待状つきのポーセレンのリカちゃんを買っているので、私には行く権利があるのよ～。這ってでも転がってでも行きたいのよ。って、あっ、あの人形買った後引っ越したんだった。まずリカキャッスルに引っ越し通知出すところから始めないといけないのか？やばいじゃん。

  2006年07月12日

• 見知らぬ友の為に祈る日

  自分のブログに乳癌の話をするようになってから、少しずつですがネット上の癌キャリアなバーチャル知り合いが増えてきました（でもそれよりも多かったのが：「乳」で検索してなのか、エロいトラックバック。実にしつこくついて、ココログ時代はかなり閉口しました。アタマにきたので楽天に引っ越した後はトラバ拒否設定にしました）。大抵はいいとこ30代～40代（推定）。が、ある日、しょっちゅう行っているブログに「え？」な書き込みを見つけてしまった。…それは末期で闘病中の癌友に、皆で応援の「気」を送ろう！というもの。びっくりして当人のサイトに行ったら、スキルス胃癌の末期で七転八倒してました…それもまだ28歳で。余命1年って言われたのを23か月頑張ってて、2月までは何とか仕事もしてたのにまた倒れちゃったんです。で、本人の「かなり苦しいです」という書き込みの後、かなり長期に渡り「コメントで応援＆気を送る」長蛇の列が…たとえ「大佐（彼のハンドルネーム）」は何とか生きてても、ブログの更新する元気は残ってない可能性大なので、せめて文章で応援だ～というワケです。という次第でコメントでぱんぱんになったブログはプチ電車男状態。結局3週間弱で70近く？までいったところで「もしもの時、これが残ってる事を身近な人が誰も知らなかったら...」と思い、そういう書き込みをしてみたところ、ガールフレンドがブログの存在を知ってるらしい事となんとかその時点では当人頑張り中なのが判ってちょっとだけほっとしました。そんな中で、情報元のブログによくコメントを寄せていた人もやはり胃癌だということを知ったり、「一緒に頑張りましょう。明日から俺はホスピスに行きます」という書き込みを見ちゃったりして、若年～中年層の癌の深刻さを垣間見てしまい、ちょっとくらくらしました。え、私？覚えている時は程度ですがちゃんと気を送りましたよ。毎日真面目に。私の高校はキリスト教系でしたから、よくお祈りのなかにああだこうだとその手合いの文言が入ってた記憶があります。しかしまぁ卒業後に会った事も直に話した事もない人の為に祈る日が来るとは思わなかった。癌になるまでは。あんまり仲良くなると何かあった時辛くて耐えられないような気がして、私は退院後も連絡を取り合うようなリアル癌友（がんセンター由来の友人）は作っていませんでした。従姉なんかは月イチで入院時のリアル癌友一同に会ってるらしいですが（電話でその話をしてくれた彼女は：あたしが一番重いのよ～、と笑ってました。てことは、みんな早期発見組…運がいいなあ）。でもやっぱり住所やメルアドを交換しておけばよかったなあという人は何人か居ます。ほぼ同年輩の人が殆どですが、みんな無事かしらん。本来なら待ち合いエリアに行かなくていい、CTや骨シンチグラフィーの検査日にそーっと乳腺外来方面覗いてるのはそんな経緯からです。＊後日（骨シンチの検査の時）、入院中同室だった「待たされてるうちに悪化して冷や汗をかいた」Iさんと再会しました。以来たまにメールをやりとりしてます。入院中に連絡先きいておけばよかった事に足掛け3年も掛けて、全くナニやってるんだか。＊一方、「大佐」のブログのコメントは1ヶ月で3ケタ突入。ご本人はそのままフェードアウトされているので真相は未だに闇の中ですが、結局次を書くまでには元気にはなれなかったのかもしれません。＊この頃から、ちょっとずつ他の癌キャリアな方々のブログ巡りをするようになりました。リンパ取ったらいわゆるエステサロンのリンパドレナージュは不可とか（でも知らないでやっちゃった人のブログも知り合った人のリンク辿ってて後日目撃。ヤバいじゃん！）、ストーマ（人工肛門）造設した若年層患者会の存在とか、いろいろと勉強になりましたが、「タキソール（抗癌剤）はアルコールが入っているので眠くなる。たまによっぱらって歌を歌う人もいる（歌った本人談。記憶は飛んでたそうです）」というコメントには参りましたね。病気話は暗くなってもしょうがないので、皆さん自分の体がツラくても笑えるネタをあっちこっちで仕入れて来るのですよ。＊この一文をアップしないうちに、こちらに遊びにこられ、時々コメントも寄せて下さっていたyue少納言さんが亡くなられました。...ブログにリンクさせていただきたいなと思いながら、病状の重さにどこかでビビってたんでしょうね、私。ついにその一言を彼女に言えずじまいでした。意気地なしです。先方に遊びに行ってコメントも書くようになった時点で、彼女の生死も含めて受け止める覚悟をした気ではいたんですけれども。それにしても最後の最後までご自宅で療養されていて、「行ってきまーす」て入院したばっかりだったんです。毎日ご自分のブログを更新され、知り合いのブログに遊びに行き、…でも、それは本当は息苦しくて身動きが取れないので、じっとしててもあちこちに遊びに行けるインターネット上を彷徨っていたんですよね。明るい文章の下では辛い思いをしておられたと思います。心からご冥福をお祈りします。

  2006年07月11日

• 癌じゃないから診てもらえない

  多分近い将来起きそうな事態です。とりあえずはカリニ肺炎の再発が一番怖いですが、よほど抵抗力が落ちないと増殖始めないらしいです、あれは。だからこれでいちばん緊張するのは私が再発した時の受け持ちチームの皆さんでしょう（苦笑）。とにかくがんセンターは基本的に癌の人を診る為にあるんで：鬱の話をして一度院内の精神科に行ったことがあるんですが、かかりつけ医がいるのが判ると（しかも偶然がんセンターの精神科担当医はかかりつけだった心療内科医の後輩だった）「じゃ基本的にそっちにおまかせということで」になってしまいましたね。鬱だけじゃなくてADHDの心配もちょっとしてたので、セカンドオピニオン的な診察を期待してたんですけど全然あきませんでしたわ。これが総合病院だと例えば「そっち方面は詳しくないから紹介状を」にもってくのはもっとラクな気がしますがどうなんでしょう。まぁがんセンターで精神科だと脳と緩和ケア方面が予後の不定愁訴よりタイヘンでしょうから、本人がちゃんと歩いててちょっとした鬱・とりあえずかかりつけ有なら自力でなんとかしてちょうだいってことなんでしょう。でーもねー、かかりつけ医だった心療内科の先生、私の鬱が収まって「多動」が出てきたら腰引けてましたぜ。別に私はリタリンちょうだいとか、そういう事言ってるんじゃなかった積もりなんだけど、詳しくないジャンルの人はあまり診たくないっていうのは何とかして欲しい。カウンセリングだけではらちがあかない可能性だってあるし、そっちが得意な精神科医を紹介するって手段もあるでしょうに。ま、それはとにかく、癌以外で何か起きたらとりあえず普段のかかりつけ医のところに行って、緊急の場合はそこからどっか知らないところに搬送されるのだろうかと不安な今日この頃。うちの近所だとがんセンター以外の大病院には私のカルテないんですよ（出産は実家近くの病院だったし）。今度熱でも出た時にでもかかりつけ内科医に相談してみようかなあ。うう、でも、横浜近辺で呼吸器科と血液内科の充実してるとこってどこ～（＜と、まだカリニ肺炎の心配をしている）。でも大抵の人は告知・即いちにのさんでがんセンターに来たワケじゃなく、そこらへん織り込み済みで選択の上、最終的な選択としてがんセンターに来院しているようなので、よその病院にカルテがなくって不安がってる私みたいな患者はどちらかというと少数派でしょう。がんセンターを選んだ理由に「知り合いに会う確率が低いから」と言っておいでだった方もいらっしゃいました。癌になったことを周囲に隠しておきたい人も多いですからね。近所の総合病院とかだったらバレバレですもん。

  2006年07月11日

• ホルモン療法副作用の巻

  　私が05年7月22日から受けているホルモン治療の薬は2種類。ホチキスみたいな「ばっちん！」て音を立ててお腹に注射する（薬はシャーペンの芯みたいなもんらしい。これが少しずつ溶けて作用するんですね）「ゾラデックス」これが2年、毎朝飲む薬「ノルバデックスD」が5年。ああ、書いてて気が遠くなって来た。超・長い時間！この2つの薬は生理を止めて女性ホルモンの働きを鈍くするもの。これを使うと、女性ホルモンの影響を受けやすいタイプの私の癌～散った細胞が残ってたと仮定して～は育たないので再発を防げるという算段なワケです。あ、ホルモン療法が効かないタイプの癌持ちは先に申し上げた通りここで一応お役御免となりますが、それは「凶暴度が低い」ことでもあるものの「打つ手がここまでしかない」ので、それもそれでどこか安心できないんですよねー。いずれにせよ時々検査＆診察は受けなきゃなんないし。　で、話を戻しまして「ホルモン療法」副作用ですが：平たく言えば、女性ホルモンの分泌を抑制するんで、うそっこ更年期障害になります。大抵の場合生理は止まります（って、私は化学療法の時から止まりっぱなしだったので「ああそう」としか思いませんでした）。で、服薬期間終了後、データにもよりますが約半数がその後生理戻ってこないというデータを見かけました。副作用はどっちかというとゾラの方が強いかも（これはインターネットで調べて得た感触なので実態は謎ですが。ゾラデックスには、それまで飲み続けていた別の薬の副作用をキツくする働きもある模様）「うそっこ更年期障害」として、私がまずヤられたのは感染症＝膀胱炎で、盆の真っ最中におかしくなったのでかなり本気でめそめそしました。で、やっと見つけた、開いていた泌尿器科医院（ということにはなってるが）の先生は実はそっち専門医ではなく（ホントーは皮膚科医らしい。泌尿器科はダーリンかお父っつぁんの領分なのを代役で診てたの！）かなりいいかげんな診察されまして…結局、その後「ナカもかゆいような気がする」と行ったいつもの婦人科でちゃんと薬を貰い検査もしたという。　並行して来たのが関節痛と足のむくみ。これはずーっとそのまんまですがそのうち慣れます（泣）。私の場合は手首・足首から先がびんびん痛いんですよう。特に起き抜けに。尤も、この副作用の出方はホントーに人それぞれで、割れるような頭痛がして寝込む人（私も時々頭痛は来ました）、関節痛が顎に来てモノが食べられなくなり10kg痩せた人（webで見かけた話。この方は薬替えてもらったそうです…消化器系の病気でもないのに食べられないのは流石にツラい）、膀胱炎を延々繰り返す人と様々なんですよ。あと、夏場スタートなんでホットフラッシュ（火照り）もちょっと辛かった。ただし、私の場合は顔までかーッと来たのは最初の内だけで、あとは主に手足。冬は手袋要らずでらくちんですがほぼ全シーズン裸足生活になってしまいました。　それから：先にも書いた、膀胱炎の時にも助けてもらったかかりつけ婦人科医のところに子宮癌検診に行ったら、更年期によくみられる症状「白色上皮」というのができてまして、これは出産で膣方面にめくれあがっちゃった子宮口を元に戻そうとする（更年期頃に戻ってくるんです）段階で出る一種のバグなんですが…バグである以上当然癌化する危険性があるということで、そこの部分の組織検査受ける羽目になりました。結果はグレー（5段階の2だけどやや異形性があるので時期を置いて再検査したほうがいいということ）。4か月後にIUD入れに行った時も組織検査しましたが、結果は同じ。また行くんか…ま、2回目の時は「白色上皮」の面積少なくなってて、次は半年後で大丈夫って言われましたけど。　そうそう、前書いた通り、太っちゃいけないってクギ刺されてるんですけど、弱ったこともあって出歩くのがしんどくなり、結果、1年弱で妊婦の頃の体重レベルに。元々の体重にプラス3～4kgが上限って言われてるんですが、そんなもんとっくに超えてます。ホルモン療法が一段付くまでに臨月の体重を突破してしまったらどうしようというのが目下の悩みです。…既に（ここだけの話）ダンナより重いんです。…　私の場合一番問題になったのは精神面ダメージ（鬱／衝動買い）の劇症化。鬱の病状自体はそんなにハゲしく進んでないはずなんですが、体力が落ちた為に「精神的にはもはやここまで」ラインががくっと下がってしまい、月1回号泣してたのが4回以上に増えたと思って下さればいいかと。子供達は週末は力いっぱい甘えてきますから数時間でへとへとになるんです。　で、一度メインで飲む薬をそれまでの「ルボックス」から「パキシル」というのに変えてもらったら、最低限の量なのに頭は痛い吐き気はする午前中やたら眠くて夜中寝られない中耳炎なんじゃないかと思うくらい耳鳴りがするという有様で10日でギブアップ。結局、この「パキシル副作用」耳鳴りだけが残り、ツラくなると有無を言わさず眠くなるというおまけまでついてくるようになりましたが、昼間寝ると何も出来ないので、午前中寝るヘンな人に…。そんな時期に卒園＆ご入学するなよ＞長女。前の年にやられるよりはマシだけどさあ。うをー、もう限界。誰か助けてー！そうそう：ホルモン療法の薬の副作用が収まってくる（だいたい副作用でドタバタするのは半年くらいまで）頃にはしっかり効き目が全身に染み渡り、「女人としての業（ごう）・返上状態」になってました。さんっざん何十年も振り回されたのに一体これは何？て感じです。何しろしっかりヤクが回っちゃって、ホルモン療法開始半年後に超音波検査で見た私の子宮は生理の時みたいにちぢこまってたのよー。これがヘタするとノルバデックスを飲み終わる2010年まで続くんですからどうしましょう。せめてゾラデックスの投与が終わったら少しは改善されて欲しいです。はぁぁぁぁ。＊えっと、1年後の今は微妙に復活。でもやっぱり生理は来ません（来ちゃ困るってばさ）。

  2006年07月10日

• わー（副作用 has come!）：抗癌剤編2＋α

  私は全クール突破できなかったのであんまりいばれないんですが、投与終了後も暫くはあれやこれやがつきまとってうんざりしました。一番悩ましいのが髪の毛で、抗癌剤の後で生えてくる新しい髪、若い人程きっつーい天然パーマかかってます。「クルミ頭」「ドリフのカミナリさん」その他、いろいろ表現は違うものの、ほぼ全員このアイロンパーマがどうにかなったような髪の洗礼を受けます。再び髪が生え出した時はうきうきしてた私にとってこれはとてもショックで、帽子が脱げなくなり、外に出るのが憂鬱になり、…結局1年経った今もまだ引きずってます。子供はおもしろがってぐるぐる撫でてますけどね。そうそう、何故か「パーマかけなくていいわねー」という理由で年寄りウケはした。でも老け込んだみたいで逆に当人は落ち込みました。何にせよ髪の毛に関しては1も2もなく憂鬱の種で、そっとしといて欲しかったなあ。その他困ったちゃんな副作用その後ですが：＊爪は割とすぐ元に戻りました。しばらくはでこぼこしてましたが。＊生理は止まりっぱなし。結局そのままホルモン療法に移行したので、ずーっと無生理のままです。人によってはたまーにある、という人も居るようですが。でも私の場合女性ホルモンが活発だと困るタイプなので結果オーライということで。ところで。後日参加したリカちゃんキャッスル彩色体験パックツアー（というのがジェニーのファンクラブであるのですよ）で、私はスタッフの人捕まえて「今日彩色する人形、髪型指定をしないでスキンヘッドのまま持ち帰る事ってできますか？」と聞いて玉砕しました。何しろ自分が1回ハゲたんで、スキンヘッドに違和感なかったからこその提案だったんですが、一般人にはまだこんなもんなんですねえ。まぁ人形のパブリックイメージを傷つけることになりかねないことではあるし。だったらさぁ：これ、乳癌啓蒙のタイアップ企画として使えませんかね。ウィッグと帽子2つ（片っぽは髪の毛のエクステンションが付いてる）付きスキンヘッドの子（ジェニーで問題があるようなら友達で）を作って売る。カッコーはフツーなカジュアルウェアで、かつスキンヘッドでも十分見られるものを。やっぱそこんとこはファッションドールだからきっちりキメないと。で、どちらかの胸に軽く肉色の三日月を描いておく（手術跡ね）…え、そんな程度でいいのって？あのね、昨今は癌のタイプが凶暴じゃなければ術創はそんなにひどいものにはならない場合もあるですよ。同時再建する人もいますし。私はII-b期（腫瘍2.5cm＋リンパ節転移有）だったので、リンパ節全摘出の為に腋の下を長々と切る羽目になりましたが、実は胸本体の方は大したこたぁないです。どのくらいかというと肺炎のときにICUで看護師（ちなみに男の人。あのなー…）に「ホントに術後半年ですか？」て驚かれたくらい。「抗癌剤治療する羽目にはなったけど、メインの腫瘍自体は小さかった」設定にしておけばいいのよ。もたもたしてるとセキグチの桃子に持ってかれるぞ、急げタカラトミー！＊蛇足ですが、打ち続く抗癌剤点滴で遂に腕の血管がつぶれた（ので針を刺せなくなった）従姉は、足ならどっちでも大丈夫だからという理由で足に点滴してもらったそうです。そこの病院では外来患者で足に抗癌剤の点滴をした人は彼女が初めてだったそうで＆時間も腕よりもかかるからということで、開始前にトイレに行ったかしつこーく聞かれてたとのこと。はっはっは。

  2006年07月10日

• なしくずしでギブアップ

  とりあえず退院後のブログから引用しましょうか。7月4日です。退院後、初めての診察に行ってきました。退院前あんなに確認して「ない」て言われていたのに結局当日になって待った後で「採血してきて」て言われてちょっとむっとしましたが（検査の結果が出るまでもっと待たされるということですからね）、それはさておき。「肺炎になったことで抵抗力が落ちているのと、あなたの癌はホルモンレセプターが陽性、HER2蛋白が陰性でホルモン剤が効きやすいタイプと言う事を兼ね合わせて考えまして：ホルモン療法にここで切り替えることにしましょう」ということになりました。えー、要するに2クール残してギブアップということですね、抗癌剤投与に関しては。わーい、毛が生えるぞー...って喜んでいいのか、ホントに？これでよかったのかどうかは人生終わり近くにならないと判りませんが（別の全然違う死に方するかもしれないし....と、今朝方銀行で滑って転んで頭強打したことを思い出したりもして＜私の大学の恩師はホントに滑って転んで頭打って亡くなりましたから）。22日から、注射＋生理を止める薬を飲む生活が始まります。5年間。ふー。とか言って、抗癌剤始めたところでぴたっと生理止まってるんですけど。実はそれまでは心療内科の薬の副作用で、なかよくすると（ものは言いよう）しばらく出血が止まらない、いったいいつがホンモノの生理なんだ～という生活だったんですが（気になって婦人科で聞いたら、そりゃ薬の影響と即答されました。ついでに子宮癌検診もやってきたっけなあ）、そんなこんなで2005年2月からこっち、ナプキンのお世話になってません。まだ残ってるのに～。あと5年、あれ、ウチのトイレの戸棚の肥やしになってるワケ？（その頃には上の娘に初潮来たりして）そして髪の毛。入院中は抗癌剤がまだ少し身体に残ってましたから若干抜け毛がありましたが、退院する頃にはぴたっと止まっており、あとは伸びる一方。あれよあれよという間に「劇団の公演がこないだあって～」てな怪しげな言い訳くらいはできる長さに。そしてあんまり暑いので、7月にはもうカツラヤメちゃいました。高かったのに、正味4か月強しかお世話にならなかったわ～（再発したら必要になるかもだから取っておくけどさ）。でも髪の毛が復活するということは当然つむじと分け目も出現するワケで、夏の私の頭には妙な畦道が出来ておりました。そんで、元々がくせっ毛だったせいか段々波打ち始め、かぶり始めとは別な意味で帽子を脱げなくなりました（あとでわかったことですが：抗癌剤で脱毛した後の最初の髪はちりちりな場合が非常に多いそうです。私は知らなかったので「外にも出られない（鬱モード）」とまで落ち込みましたが、1～2年くらいの辛抱だそうなので、なんとかごまかしましょう、抜けちゃった皆さん）。さて、この頃にはさんざんやりまくったせいで（一時的にですが）私「シレン」飽きてました。しかし本読んで順番待ちも…という次第で、結局ナニやってたかというと、待合室で人形の服作ってました！最初は大人しく編み物してましたが、段々物足りなくなって来て、手縫いでちまちまと人形の服を…。もー、キルティングお持ち込みのおばさんと同類です。おほほほほ。

  2006年07月10日

• 他の癌のみなさん

  2度目の入院生活を送った2階Ｂ棟は、基本的に急患と血液系と他の階で入りきらない（主に）短期入院組。私は前者だったのですが、大部屋では他の癌の方々と一緒になりました。泊まっている間に一緒だったＥさん（86歳！進行の遅い、比較的たちのいいゆっくり進行タイプの胃癌で、内視鏡飲んでヤバいところの皮をむく、という治療をやっておいででした）＆50代のお母さん（21歳の娘さんに大腸癌が見つかり「絶対家族も危ないから」と家族全員検査させられたらひっかかったとか。幸い早期だったのでこちらも内視鏡使いつつ患部を取って終わり）は軽めなので雰囲気も明るかったんですが、外泊中に入って来られた方々は転移してたり再発（肺癌。これから抗癌剤投与だとのことで、まだ気合いの入っているうちにとかつらのカタログ見ておいででした）だったりで、少しだけお話したんですけどちょっとツラそうでした。この階は大半の部屋が個室なので（大部屋は2～3つくらい）あんまり他の部屋の人と話す機会はありませんでした。私自身が前半へたってたせいもありますが。あ、そうそう、多分国際結婚と思われるアラブ系の女性患者さんもいて、初めて見かけた時はちょっと驚きました。私より先に退院していかれましたが、彼女が会話に困っている様子を見た事はなかったので多分在日期間長いんでしょうねえ（産院でも同室に外国人居ましたが、若いおかあちゃんなんであまり日本語が達者じゃなくて苦労してましたね、看護師さんも仲良くなった他の新米ママ達も）。で、「急患対応棟」故に、たまに多分癌じゃないであろう妙な急患もあったりして。夕食後、何か外がわさわさしているなと思ったらウチの部屋に急患が運び込まれてきた、ということが1回だけありました。家族が一緒だったこのお母さん（推定50前後）翌日には退院か転院して行きました。多分紹介状を持ってどこかの病院に移って行かれたのではと思います。猛烈な胃痛に襲われて担ぎ込まれてきたらしい彼女、親御さんを亡くして日が浅い（というやりとりだけ聞こえた）とかで、点滴されつつ鬱チェックまでされてました。しかしいきなり救急車で搬送された先ががんセンター…一緒だったダンナさんと娘さん（20歳前後くらい？）かなりびびってましたよー。しかも夜遅くだから売店も閉まっててハミガキすら買えなかったらしく、消灯前に電話をかけに出たら売店（2階にある）前で途方に暮れてました。5分も歩けばコンビニもあるにはあるんですが、近場の地理に詳しくないと夜歩きはやっぱりちょっとねぇ。あ、ミーハー話ですみませんが、ここの談話スペースに俳優の渡辺謙のサインがありました。なんでも、白血病2回目の時はこちらに入院したそうで（確か彼はかなり若い「これから」の時に一度倒れて、その後1回再発してます）。まぁ俳優さんですから周囲にわさわさされず治療に専念するとしたらやっぱり個室…て思ったら、本来血液系病棟だったのよね、ここ。忘れてたわぁ、ほほほほほ…というくらいそっちの人には会わなかったです。ICU出てからの私は血液内科の管轄下でしたが、かなり特殊な例。白血病の隔離病棟は別の階ですもん。

  2006年07月10日

• 真菌飼っちゃったの巻・2

  人工呼吸器をつけるにあたりＡ先生から説明を受けましたが「目が覚めたら多分2日くらい経っていると思いますよ」と言われました（ついでに「ご家族の方、ちょっと」て私の両親とダンナは別室に呼び出されました。かなりマズい状況だというのはご想像つくかと…「そのまま目が覚めない方もいらっしゃいます」て言われたそうで）。が、えー、ＩＣＵで意識を取り戻したら実際にはもっと時間が経過していて、確か金曜日の昼。Ａ先生は学会で留守（またかい！）。人工呼吸器をずっとつけていた為に声がしばらく出ず、目が覚めた後、部屋の看護師さんとは半日くらい筆談してました。人工呼吸器をつける前に、尿道にカテーテルを通し（痛かった）、左腕の動脈に（ナニ用だかは忘れましたが）針を刺しました。いやぁ、腕の動脈って、すっごい深いところにあります。縦に深ーく針を刺さないと届きません。横一文字にリストカットする人たちがなかなか死ねないハズだと妙な所で感心してしまいました（とＡ先生にも感想を述べたので、ヘンな患者と思われたに違いない）。大体の処置をした後、麻酔で気絶させられてから人工呼吸器がつけられた模様です。今回は手術ではないのであんまり周囲もわさわさしていなかったし、何だかあっけらかんとしてるなぁと思いましたが事態は手術よりもっと切迫してました。そのへんの事情が判ったのは大部屋に移る頃だったかな。戦争で怪我した人に「しっかりしろ、傷は浅いぞ」て言うのと一緒ですね、こういうところは。それはさておき、ＩＣＵで意識が戻ったところで何が辛いって、ゴハンが食べられないこと！鼻から胃までチューブが通してあり、点滴と同じような要領で栄養を採るんですが、これが冷たい（温かいと菌が繁殖しちゃいますからねぇと言われました）。冷蔵庫から出した缶をぱかっと開けてナカミをチューブにつながったパックに入れ、少しずつお腹に送り込んでいくんですが、この鼻を通り抜けて行く冷たさと胃から微妙に上がって来る人工栄養の香り（…フルーツ臭）がもう実に味気なかったです。人間、死ぬのは簡単だけど死なないようにしておくのは難儀なもんだとしみじみ思いました。こんな風にしてじわじわ死んで行くのはちょっと嫌かも（でも大抵の大病人はそうなんですよねえ）。とは言っても普通死に方は選べない。せめて一病息災状態で準備だけはきちんとしておくぐらいしか個人に出来る事ってないし。ううーん。安楽死談義ってきっとこういう経験から出てくるんだわ。辛いと言えば尿道カテーテルも案外キツかった。何しろ数種類に及ぶ点滴を常時打ちっぱなし（左腕と首右側に管がついてました。これプラス食事代わりの謎の液体ですから）なのであっという間に尿がたまる！看護師さんがちょっと気を抜くと、出て行くはずのものが出て行けず、管が通っているのにトイレに行きたいという妙な状態に…これでナースコールした覚えがあります。さて、本題です。翌週火曜日、やっとＩＣＵから確か個室に戻って来た私のところにＡ先生がふらっとやって来て、「あなたの肺炎ですが、喀痰検査の結果、抗癌剤治療中に出現する例としては非常に稀なカビの1種なのが判りまして。この類については呼吸器内科より血液内科の方がノウハウがあるのでそちらの先生に今回はバトンタッチすることになったんだけど、一応まずそれを僕の方からも伝えてほしいと、向こうの先生から依頼があったんで来ました」とちょろっと話して去っていった後、暫く後に今度は血液内科の担当：Ｓ先生がやってきました。これまたてきぱきした女医さんです。で、件の検査の表を見せてもらったところ、何とエイズ患者なんかがよくかかる「カリニ肺炎で～す」という実にとほほほほほな結果が出ていました。アレも確か抗生物質には比較的強いので、がんがん投与しても肺が白くなっちゃうワケです。いわゆる常在菌ですからよほど体が弱っていない限りそんなもん体内で増える筈はないんですが、何しろ入院時の白血球の数が400でしたから（2000切ると抗癌剤投与を延期するくらい少ないということは：400というのが途方もない数というのはお察しがつくかと）体内に迷いこんだカビをいい気にさせちゃったんですねえ。梅雨時だし。あーあ。で、後日、病名と処方された錠剤（「バクタ」＝ＳＴ合剤と呼ばれている種類の薬です）をインターネットで検索したら、薬に血液障害の副作用がある模様。ということは：もしかして当分抗癌剤投与延期？まだ2/3しか終わってないよぉぉぉ！…でも、先生達もそこらへん悩んでいたのか、私の投与量はフツーの半分でした。ネットでは確か1日4錠を2回に分けて1日置き、とか書いてあったんですが、私は1日置きとは言え2錠しか飲まなかったんで…でも凄いですそれでも。飲みはじめた途端咳が止まらなくなって、がんがん痰が切れる切れる。退院前の外泊（一時帰宅）と一緒に飲みはじめたんですが、最初のうちは洗面所と居間を一日中往復してました。なお、バクタは点滴で投与しようとすると（「バクトラミン」という名前になるんですが）えっらい溶けにくくて水を沢山使う。右首に穴を開けられ、落とすのにまる1日かかるばかでっかい点滴を外泊許可が出るギリギリまでしていた理由がググってはじめて判りましたとさ。＊あとでブログに「カリニ肺炎でした～」と書いたら、元白血病患者（この人は心筋梗塞、アメーバ赤痢、ツツガムシ病、痔で敗血症…といろいろやらかしている「難病のデパート」みたいな方です）の知人から「カリニ肺炎は再発の可能性も結構あるから気をつけて」とコメントを貰いました。そんなあ。今後呼吸器系方面も悩ましい人生が待っているワケ？確かに以前罹ったカンジダ膣炎はことあるごとに再発してたけど（母に至っては「膀胱炎＞抗生物質投与＞膣炎再発」というサイクルを一時期繰り返してました）、これを肺でやるのはキツ過ぎ～。勘弁して～。

  2006年07月09日

• 真菌飼っちゃったの巻・1

  正確には真菌と原虫の中間の「なにものか」なんですがね。いわゆる常在菌。かもされてしまいました、肺を。4クール2回目の後の週末、妙な熱を出したのがそもそもの発端。前にも子供から風邪を貰って38度近くの熱を出してハラハラしたことがあったんで「またか」と思ってた…んですが、木曜日にはシャレにならない事態が発生してました。つまり：起き抜けにあれなんかおかしいなと思って熱を測ったら39度以上…やばいっ、肺ヤられた！仕方がないので、子供を保育園に送って貰った後にダンナと一緒にタクシーでがんセンターに向かい、事情を説明したら呼吸器科の方に回されました。知らない待合エリア、知らない先生…に診察され、採血とレントゲンの撮影の結果を待って再び診察室に入ったところ「今のところ肺はきれいだけど、即入院をお薦めします。白血球400しかないですし」とあっさり言われました。えー！またやっちゃったよう（＞オークション。入札してるのが6つくらい残ってました）というのが最初の感想でしたがとにかく何も持ってきてないからということで一時帰宅、出品者用にメールを書いておき、寝間着や洗面道具を引っ張り出し、ついでに前の入院でも連れていったシャイニーブリリアントジェニー＆開封して間もない「午後は休講」桃子をひっつかんで、迎えに来てくれた母と病院へ。「準クリーンルーム」（でかい空気清浄器が設置されてました）という個室に通され、一日中点滴＋鼻から酸素を送られる生活が始まってしまいました。とりあえずは1週間の予定で。まずは風邪かインフルエンザ系を疑われたので、点滴も抗生物質中心。ゴハンは「加熱食（つまりナマものなし。サラダや生フルーツとは御縁がなくなります）」に。それでもだんだん息苦しくなって来て、最初は鼻の穴にチューブの端つっこむだけだった酸素はマスクになり、水分を補給した酸素になり…。そして月曜日に再びレントゲンを撮ったら肺は真っ白だったそうで（ぎゃー）「これはもう人工呼吸器つけないと」状態になってました。確かこの日の午後か夕方頃に処置の説明をＡ先生から受けたように記憶してますが（熱出しているので記憶が怪しい）、その前に「喀痰検査」というのをされました。鼻の奥に綿棒突っ込んで体内の細菌を採り、培養して種類を特定するためのもので…結果的には3日くらい時間のかかるこの検査に救われたのですが、なんでもまだ一般的なものではないとのことで、保険効きませんでした！あとで全額検査費払いました。厚生労働省のバカヤロー！高かったよう（って言っても1万5千円くらい。でも3割なら5千円しなかった筈のものが…ねぇ？）。ところで人工呼吸器をつける2日くらい前。ここから先はちょっと「魂入っちゃった」モードの眉唾話になりますが書いておきたいので。えー、夜半にそこはかとなく怪しい雰囲気を感じました。正確には「誰かと誰かが縄張り争いをするような妙な緊張感」。あれ、と思って部屋の中を改めて見回すと「午後は休講」桃子が済まなそうな顔をしてうなだれており、シャイニーブリリアントジェニーが「あなた個人が悪いんじゃないんだし」的な様子で半分困ったように中空を見上げている。どうやら持ち主の守護権をめぐってキャラ同士のケンカに発展した模様。ジェニーと桃子が空中泥レス状態というのはあんまり考えたくない事態ですがありえなくもないと思ったので、翌朝ダンナに電話して「ちゃんと靴はいたジェニーを2匹連れて来て桃子を連れ帰ってくれ」と頼みました。やってきたのはフェアリーフィールド緑目ソバージュ（86年に出た本物）とジルスチュワート黒髪版（とっさに思い出せた「まっとうに外出できそうなジェニー」がこの2体だったので）。よく考えてみればプレ値で言うと総額3万近くのトリオになったワケで、かなり強力な布陣を敷いたことになりますが当時はそれどころじゃなく「キャラを統一しとかないと「漁夫の利」で死神が来そうだ」と思ってたので必死でしたね。どこに飾ってあるかきちんと把握できてたのもこの人選につながってたんですけど、「人形連れてくるの忘れた」が原因で呼吸困難になった人（既に故人ですが）の話を知っている身の上としてはやはり古女房を立てて乗り切るしかない、と。で、「午後は休講」桃子には「こんなことで手放したりはしないから安心して帰ってなさい」と言いおき、ダンナに持って帰ってもらいましたとさ。やれやれ。＊あとでよく思い出してみると、放射線照射のきっちり半年後でした。「肺炎になる危険性が」と聞かされてはいたけど、ホントになるとは。とほほほほほ。

  2006年07月09日

• 息抜きいろいろ（ある意味最悪の副作用）

  　入院中・通院中は「シレン」と共に切り抜けて来た私ですが、彼を始めとしたゲーム関係～ピクミンとポケモンコロシアムのお世話にもなりました～だけでは私の欲求不満は解消されない。行きましたよ、11/14（手術退院後わりとすぐ）の「ドールショウ13（着せ替え人形展示即売会）」。この日はほとんど人形は買わず、入場するや否や「アゾンインターナショナル」ブースのバーゲン会場に直行してＴシャツ漁ってました（笑）…。あとは、よくお邪魔しているディーラーさんからシャンデリアのミニチュアを買ったり、手作りドレスや小物類をちょこちょこと入手。人の作品見られるのもいい刺激になって愉しいし、イベント大好き。でも片リンパないと今後仕事でこういうところを飛び回るのはキツいかなあ（前回は取材で行ったので、めぼしいディーラーを捕まえては雑誌用に撮影、アンケートを書いて貰ったりちょっとしたインタピューのようなこともしたり…で目が回る程忙しかった）とか思ったり。その後肺もヤっちゃったので、ますます動きづらい身の上になってしまいました。うう、今後、色んな意味で寂しいかも。　その後も、体調が許せば程度ですが、抗癌剤投与中もマスクしてドールイベントに顔を出してました。投与開始寸前には念願のMOMOKO堂（今は別の名前になっている、月1回程度だけ開ける桃子専門店）も行けました…ロボクリス限定桃子にオオイケ・エリーナの振り袖着せて。他のお客さん達の桃子さん、みんな気合いの入ったハンドメイド着物だったので、ビンテージ着せて正解でした。でも、抗癌剤投与のすぐ後に出かけるのはやっぱりムリだったし、取材というか視察しておきたかったので原宿の「天使のすみか（ボークスというフィギュアメーカーの人形方面アンテナショップ）」に行こうとしたら熱を出したりと、涙を呑んだことも数回…。ああ、ブライスのアニバーサリーイベントも行きそびれたんだった…。マルイワンのゴスロリ＆ドールイベントもはずした…。無念。ぐすぐす。　あとはネットオークションとお裁縫ですかね。　気がつくと自分の収入の殆どをオークションに注ぎ込んでいる月もあったり（で、カードの使用限度額を超えてやっと気がつく。大馬鹿です）。限定ドールなんかうっかり落札すると次の月の返済が（大汗）。でも、ほぼ上代（送料込みでも）で、「フェアリー・オブ・ダークネス」のカティと「アネモネ」、03年秋の桃子、ほぼ新品のヴィクトリアンメイデンジェニー等のいい収穫も。一方で、さんざん入札合戦して負けまくったＬＪ桃子なんて代物もありましたな（何回負けたかもう覚えてません）。…あとはちまちまと手作り服や家具類を。中にはビンテージ物とかもあったりして、届いた荷物をほどいては薄紫色の古い箱（MARX社の家具は紫色のハコに入ってるんです）に鼻すりつけてくんくんしてました（微妙にカビくさいのがたまらない。何故？）。ベッドだけで5つ、ドレッサーとワードローブは各2つ（もちろんメーカーはそれぞれ違います）、…どこに飾るのよ？（かなり馬鹿）ずーっと気になっていた古いジェニーのハウスをほぼ素体状態で入手して、嬉々として改造に励んだりもしてました。壁が紙かプラだったら、カスタムは可能ですからね。レッツリサイクル！お裁縫はゴスロリ＆パンク路線炸裂状態。何の気なしに黒服を1着縫ったらもう止まらなくなりまして。ふと気付くと私は既にゴスロリ服向けな材料に囲まれていた（以前からの衝動買いの為せる業でした）事が判明。ということは：子供と病状以外、止めるものなし！資料も材料も揃ってるのよ！で、我に返った頃には周りはちっちゃい服と人形とその家具の山。どうするの、これ。幾ら使ったかは考えたくないですな。

  2006年07月09日

• すぽーん！（外来治療室あれこれ）

  大抵の病院には外来治療室内にトイレがあるみたいですね。多分吐き気がキツい人と長時間たくさん投与する人向け（通院で点滴組でも、ものすごく大きい点滴パック付けてる人はいっぱいいます。時間もかかるしトイレにも行きたくなるでしょう。スタンドがらがら下げてトイレに通ってる人はたくさんいました。ついでに散歩までしてたりして）なんでしょうが、ここはありません。どこかの老夫婦が「普通、ない？」て憤慨しているのをちらりと聞きましたが、結局そっち方面のお世話には幸いにしてならなかったので、私の場合はなくても結果オーライということで。でも、同じ時期に投与を始めた別の女の人（私より多分もう少しキツめの処方）は初手から気持ち悪くなったようで、看護師さんと相談して吐き気止めの薬を処方してもらう手配してました。その後もずーっとこの人は見かける度に具合悪そうにしていて、ちょっとカワイソーでした。ちゃんとギブアップしないで投与終わったかなあ、彼女。時々外来治療室の前を通るとぐったり口にハンカチ当ててたその女性（やや内田春菊似の小柄な可愛い人。同年輩と思われ）を思い出します。治療室の前は大抵混んでます。何しろ入ったら最後、点滴の人は少なくとも1時間は出てこられない。薬によっては1日仕事です（「朝一番で来て、採血・診察・それから点滴6時間でしょ？暗くなってから帰るのよ～」とげらげら笑いつつぼやいていた乳癌再発組のおばさまがいました）。で、合わせて20くらいの椅子やベッド（長時間の人向け）がありましたが、これがなかなか空かない日もあってねえ。私は1時間組ですから本来すぐ終わるハズなんですが、中に入るまで30分以上待たされ、入ったら今度は「薬の準備がまだだから」ともう20分くらい放置されたりしました。点滴の薬を数種類ぶらさげた人はカラになったら替えなきゃいけないし（ってそれは私。吐き気止め含めて5種類だったから）、それぞれの患者さんで用意する薬が色々ちがってややこしいし、看護師さん達が猛烈に忙しいからしょうがないんですけど。そんな中、担当患者が点滴を予定している先生達が時折ふらっと入ってきて、薬の用意が出来ていたら順次点滴の針を刺していく、と。座って点滴している当人はタイクツですから（片手使えないので本も満足に読めない。根性で推理小説読んでいる人は数回見かけましたが）、結局女性陣を中心にお喋り。いわゆる世間話と治療話が殆どですが、気が付いたら「クラスの男子がガンプラにハマって云々」に始まり「たまごっちの発売日はトイザらスでも店長クラスしか知らされないから出勤すると長蛇の列って話を聞いた」「ポケモンの発売日には家族全員で並んでタイヘンだった」…相手の年代が近いとやっぱりおもちゃ絡みの話題になってる私って、一体…。あ、タイトルの話しとかんと。2クール目初回。髪が抜けまくって頭の皮がびりびり痛い最中だった（のでウィッグは着けなかった）んですが、病院の中ではそれまで被っていたニットキャップが暑かったので、ウィッグサロンで買った帽子に変えてたんです。例によって治療室前は混んでいる。待っているうちに私はすっかり眠くなり…大きな声で名前を呼ばれて船漕ぎ状態から「はっ！」と起き上がった瞬間、イキオイで帽子が文字通り「すぽーん！」て脱げました。もちろんまだら髪丸見えです！…周りの人は凍ったでしょうねー。やー、抗癌剤投与期間中一番恥ずかしい瞬間でした。でもがんセンターでよかったとも言えるかも？程度の差はあれ、大抵の抗癌剤は髪に来るからそれなりにみんなダメージこうむってますからね。ハゲる人あり、白髪になる人あり（手術前のことですが、後ろの生え際「だけ」を残してキレーにハゲてた若い男の子見た事も有）…。総合病院だったら恥ずかしさで気絶したかも。ははははは（ヤケ笑い）　とか色々やらかしつつスーダラに通っていた抗癌剤投与でしたが、結局本来の予定・６クールをこなすことができませんでした。そんな折、例の「乳癌再発組」で一日中点滴のおばさまが、娘か嫁同伴で車椅子で来院する姿を目撃してしまい、ちょっと暗い気分になりました。おばちゃま、ムリに頑張らなくていいから気合い負けしないで長生きしてね（でも聞いた話では転移先は確か脳…）。

  2006年07月09日

• わー（副作用 has come!）：抗癌剤編1

  「たかだか1つの転移のせいでエラい目に遭った」というのが正確な感想です。それでも私の経験した副作用はこれでも多分軽い方の筈。結局ギリギリで吐いてませんし、先生にも「あなたの場合はどちらかというと予防的な措置」て言われてました。　1月のお終いに診察の予約を入れる際、Ａ先生が「多分精密検査の結果が出るから」と言っていたので、こりゃ抗癌剤の説明があるなというところまでは覚悟を決めた私はダンナ同伴で診察に臨んだんですが、案の定薬の種類と期間等についての説明があった後「じゃ、今日、やって行きますか」てすっくと立ち上がったのには心底ビビりました。そこまで心の準備も回りの体制も出来てませんと言ってその日の分は延期して貰いましたが、新年早々ビビらせないで欲しいですよぅ。先生は毎日山のように患者診てるから慣れてるでしょうが、こっちは癌やったの初めてなんだってば！　投与の日は、まず採血をして投薬しても大丈夫かを検査されます。私はしょっちゅう白血球の数のところに「Ｌ」（少ない）のフラグが立ってましたが、まぁ平気な範囲内ということにされてしまい、結果と体温～中待ち合いで計らされます～を見た先生はほぼ毎回点滴に回してました。数値が2000切ってると流石に先送りになりましたけど（2500でも投与しました！）。で！このＡ先生がリニアモーターカー並みの速攻診察野郎なのは既に書きましたが、言いたい不調は山のようにあるので（笑）体温を書く紙を利用させてもらうことにし、ぎっっっっっっっっしり、前の投与から今日までにあった副作用その他マイナートラブルの数々を体温の欄の下に書いておきました。そりゃもう役に立ちましたとも。聞けば丁寧に答えてくれる人なのは判ってましたから。　で、私が投与された抗癌剤の組み合わせ＝「CAF（シクロフォスファミド＋アドリアマイシン＋5FU）＝（2週連続＋2週休み）×６クール予定」で経験した副作用はと言うと：＊投与後、3日～5日はゴハンと肉が食べられない。匂いもダメ。当然の結果として食が細くなるので1回目の後はひどい便秘になりました。その後は便秘薬飲んだりして腸を動かす努力はしましたが、油断してたら切れ痔に！＊当然のように脱毛（地肌丸見えレベル）＆抜けてる間は頭皮がびりびり痛い！フケが～！だいたい最初の投与から10日後くらいが目安らしく、唐突にごそっと来ました。で、抜ける髪がなくなるまで数週間延々と抜け続けです。…＊1クール2回目から、投与翌日以降の日中、泥のように眠い（投与時に一緒に点滴する吐き気止めの薬＝ステロイド系の方の副作用だと、後で説明を受けました）。月曜投与＞金曜日まで一日中こんこんと寝まくるので、ホントーに何も出来ないの！＊とにかく吐くのはヤだったので投与後48時間（24～48時間後が一番副作用がキツいと聞いていました）は必死で水分取ってましたが、しまいには吐き気に効くと言われていたスポーツドリンクを見るのもイヤに。見舞いに来た母がいれてくれた玄米茶も、今でもお茶請けがないと気持ち悪くなります。＊爪がやや紫色に変色。両手親指が一番派手でしたが、笑えるのは休薬期間中に伸びたらしい部分はフツーの色だったこと。しましま…＊肩から腰まで背中一面に壮絶な肌荒れ来襲（2クール2回目の投与後、突然ぶわーっと）＊これも2クール2回目の投与の後、何かを飲み込む時にムリをして喉を切ったらしく、しかもその直りが悪くて1週間近く食事の度にのたうちまわってました。抗癌剤を使っている間は粘膜が弱くなるのだそうで、切れ痔もやむをえずというワケです。＊元々抗不安薬を飲んでいたこともあって不安定だった生理が、ぴたっと止まりました。4クール目頃からはホットフラッシュ等の更年期系症状も…熱い～（＞手足が）／寒い～（＞体が）＊なお、初回の点滴中（吐き気止め等の副作用を抑える薬2腫＞アドリアマイシン＞5FU＞シクロフォスファミドの順で点滴してたように記憶してます）、最後の薬に入ったところで、針を刺していた腕からうす気味の悪い寒気が。悪寒はぶわーっと全身に広がり、あかんこれは吐くかもと思ったので慌ててナースコール。点滴のスピードを下げてもらいました。で、吐き気止めは要るかどうかという話を看護師さんとしているうちに胸のムカつきが収まったのですが、以降、シクロフォスファミド怖くなっちゃって、以後、最後だけはゆっくり入れて貰うようにしてました。　助かったのは、心療内科で薬を貰っていたこと。効きが早くて5時間くらい持つ「ホリゾン」とを頓服で貰ってたんですが、投与で呼ばれてから先生が針を刺しにくる間に2錠（私の場合はこれが上限）飲み、帰宅後、点滴のほぼ6時間後をみはからってまた飲む。翌日、翌々日も気になるようなら時間を空けつつ飲む。これとがんがん水分を摂取するので何とか乗り切りました。よく話に聞く「デパス」は頼りなく感じて使いませんでした。頓服はホリゾン一筋（今もたまに飲みます）。水分は最初はスポーツドリンクの類を飲んでたんですが段々味がイヤになり（舌が痺れる。これも副作用の内）、お茶、氷を入れたジュース類（大抵はりんご）、あと「ウィダー・イン・ゼリー」（へろへろの間の朝食代わり。起きるとまず「ちゅー（＜飲む音）」）、そして時々アイスクリーム。冷たい物は吐き気を催しにくいのはつわりで知ってましたから…お気に入りは「爽」と「クーリッシュ」、東急ストアのアイスモナカも結構まぎれました。ただ、小腸を冷やし過ぎると便秘になるので、母から貰った便秘薬も併用。病院内スラングで「カマ」と呼ばれる塩化マグネシウム系便秘薬…結構ソフトリーに効くので、フツーの便秘薬がキツい人にはおすすめかも。　投与した週の昼食でいちばんよく食べたのは、野菜だけ（たまねぎ、にんじん、キャベツ・たまにセロリ・トマト）のスープにマカロニ、レッドペッパーを足してミネストローネ風にしたもの。これを大鍋いっぱい作っておいて、それを少しずつ＋皮つきで茹でたじゃがいもを一緒に食べる。煮込みうどんも作りました（卵を入れて月見にして）。こんなんで水分を少しでも摂れるようにしてましたが、従姉はペンネアラビアータとトマトジュース命だったそうですから、ま、身体が水とトマト呼んでたことは間違いないみたいですねえ。

  2006年07月08日

• マイクロトロンは御機嫌ななめ

  　ヤられちゃいましたよ。　年末最後の日＝12月29日。この日はもう診察はなく、やってくる患者は抗癌剤投与と放射線照射の人だけ、入院患者もへたすると家に帰ってそうな日に。しかも大雪（この雪で照射中私の目を楽しませてくれた大好きなヒメツルソバが枯れてしまいました。降ってる当初はケーキみたいで可愛かったですけど）。　やっとの思いで病院に到着したら、技師の皆さんが異様にわさわさしていて、患者さんが10人近く暗い顔で待っている（孫付き1名＝小学生の彼女はゲームボーイアドバンス持って来てました。よかったねえヒマつぶせて）。何と！私もお世話になっているメインマシン・マイクロトロンがぶっ壊れてしまったという。しかもこんな超年末なので、メーカーのメンテ担当がどーしても捕まらないと言うおまけ付き。まさか、帰省しちゃってたりとか？とほほほ…　思えばそれまでもマイクロトロンはちょくちょく調子が悪かった。毎日フルに使われてましたから無理もない。実は土日にメンテに来てもらったりして騙し騙し使っていたと技師の一人が苦笑混じりに説明してくれましたが（確かに調子が悪いということで待たされた日は何日かあった）、とうとういかれてしまったんですなあ。毎日かなりの数（ボードに書いてあるだけで20人以上います。尤も、別の機械のお世話になる人もいるので正確な数は判りませんが…）の患者さん照射してるから、まぁムリもない。ありゃりゃあ。　で、結局：他の機械で代用のきく人はそっちに回ってもらい、マイクロトロンでないとダメな人はまた来年、というあいたたたたな結論が出て、私も帰される羽目に（孫つきおばあちゃんもでした）。しかも、実はこの日は部分照射5日間の初日だったんで、「4日にして、1日あたりの照射量増やしましょう」ということに。あーあ。　そんな次第でまた来年な一同はぞろぞろと雪のそぼ降る中を傘さして、近くのバス停へ。向かいの運転免許試験場の建物も当然冬休みなので、お客は少ない。住民と我々だけ。…病院自体も診察がないから閑古鳥モードで、あんな寂しい日はなかったなあ、後にも先にも。

  2006年07月08日

• 外来あれこれ（放射線科・予後診察編）

  　放射線照射の窓口近くには入院患者もやって来る。点滴用電源コードを差す場所を探してうろうろしているパジャマ姿のおじさんおばさんを何人か助けました（笑）。看護師に車椅子押してもらって来る人も居ます。で、当然皆さん身体のどこかに照射のアタリ線を書かれているので、甲状腺の人なんかだと線が丸見え状態の人もいたりして（あ、余談ですが、あたま回りの癌の照射は余計なところにＸ線が当たらないようにマスク被るそうですよ）。こっちはあまり待たされることもなく粛々と照射が進むので、あまり沢山の人には会わなかったです。4人待ってて「あら、今日は多いな」というくらいでしたが、こういう時はキカイのご機嫌があまりよろしくない場合が多かったかも。　そうこうするうち微妙に顔見知りが増えて来ました。何しろ毎日照射に行くので、午前中の顔ぶれなんて知れたもの。同じ日に手術した人や、私とほぼすれ違いで入院して来た人（どちらも乳癌）、3年前に癌で胃を切り、今度は顎（癌の詳しい場所は聞いてません）に1日4秒照射するお爺さん…。彼は胃癌の時は転移が見つからなかったからか「病巣を切ってお終い」で、今度のは難儀だ、もう年ですしなあと笑ってました。　このお爺さんはしっかりしておいででしたが、中には呆けてらっしゃる方も治療に…タイヘンでしたよー、この時は。この車椅子でやって来たお婆ちゃん、自由に動きたくてたまらない。一生懸命看護師が「もうじき順番ですから待ってましょうね」と説得するんですが、10秒後には言われた事をけろっと忘れて「さて。ちょっと歩いてみましょうかね」…これを「あんよする～」と幼児語に翻訳するとどういう状況なのかお察しがつくでしょう。当然、お婆ちゃん、照射時もじっとしていられず、技師の皆さんは4回くらいキカイ止めて照射室にダッシュしてました（中をモニターで見てるので動くとすぐ判る）。…あ、そうそう、放射線科の診察の時にクギを刺されたことでもあるんですが：乳癌患者の場合は太り過ぎはアウト。身が細るタイプの癌が多いので回りの人は皆「食べろ食べろ」言いますが、逆にダイエットしなきゃいけないくらいのようです。確かに言われてみれば授乳中は甘いものやこってりしたものを控えろと言われたし、同じ乳腺の病気である乳腺炎もうっかり食べ過ぎるとなるものですから、理には適ってます。転移してない限り細い乳癌患者というのはほぼ見かけませんでしたし、まだなってない皆さんは食生活に気をつけましょう。ちなみに授乳中食べるなって言われたのは（今はあまり気にしないで食べている物もありますが）乳製品、ケーキ類、ステーキ、うなぎ、柿、栗、ハンバーガー類、背中の青い魚、揚げ物、インスタントラーメン、カレーライス、餅米関係（私個人は授乳中は牛肉料理全般がダメでした。食べると即・乳詰まりになった）。特に甘い洋菓子系はヤバいらしいので、皆様食べ過ぎるとどうこうというほどではありませんが、ほどほどにどうぞ。日本人って、血統的に元来乳製品を分解する酵素をあまり持ってませんからね。　私は一通りの治療が終わった後ホルモン療法に突入してしまったので否応無しに毎月通う羽目になりましたけど、ホルモン療法が効かないタイプの乳癌の人は手術・放射線照射・抗癌剤治療が終わった後は半年ごとに予後の様子見検査で来るだけになります。ずっと通ううち、そういう人にも何人かお会いしました。何しろ主治医が同じなので話が弾む（笑）。　で、そこで判ったのはＡ先生（主治医）も数年前に大腸癌になって暫く休診・治療に専念していた時期があったということ。異様にスピーディーな割に優しい理由は体験者だったからという理由がここで判明。しかも手術の日、麻酔かける前に自分の受け持ち患者からの電話取次いで貰ってたというオマケ付きでした！電話した当の患者さんから話聞いたんですが、気になることがあってがんセンターに電話をかけたら取り次いでもらえてしまい（っておい！）癌になったという話は当然患者間にも広まっていたものの、まさか本人の手術当日とは知らなかったので病状について色々聞き…ひとしきり答えてもらった後、先生から「…あのー、僕、これから手術なんだけど」。慌てて這々の体で電話を切ったそうです。ひええー。

  2006年07月08日

• わー（副作用 has come!）：放射線編

  …サムい。　2回目の照射の後帰宅、洗濯機を回してナカミを干し、その後で昼寝をしたので十分休息も取れたハズなのに。上の娘を迎えに行って夕食を取った後、何か只の疲れ以上のものを感じました。ちょうど洗濯乾燥を風呂場でしていたのでとりあえずは風呂場で丸くなって暖を取ったんですが、入浴後もまだサムい。熱を計ると37.1度（私にしては大熱の部類）…まだ上がりそうな気がする…。　夜半に喉がカラカラになって目がさめると37.5度まで上がってましたが、結局その晩はそこまで止まり。翌朝がんセンターに電話したら「疲れが出たんでしょう、風邪だったら市販の薬を飲んでもいいですよ。あ、照射はちゃんと来て下さいね」とＳ先生に軽くあしらわれてしまいました。照射2回程度だと医者も呑気なもんです。ぷんぷん。　結局この原因不明の微熱は昼食後鎮痛剤を飲んで寝たら一応落ち着きました。でも今度は（多分抵抗力が落ちた所為で）左目が「ものもらい」になり、抗生剤飲むハメに。あああああ…。　照射（私は「マイクロトロン」というキカイを使いました）する部屋はかなり広く、低めのボリュームでＪ-ＷＡＶＥがかかってて、患者がリラックスできるように配慮されていました。暖房も強めでしたが、これは私を含め、上半身脱ぐ人が多いからでしょうね。だるさや痛みは照射のすぐ後には来ないので、どうも～って感じで入ってって照射したら服を着てとっとと退場、というのがパターンに。あ、そうそう、大抵1日1～2人、新規の患者が案内されてました。一人終わると次がすぐ入るというペースがきっちり組まれているんだと思います。でまあ、気になるお値段は：私は場所柄2箇所から当てるので1回4千円近くしましたが、癌の種類によってはもう少し安いかもしれません…大抵3千～4千円程度（会計の人・談）。ということは一週間で2万円よ、2万円。25回だから合計10万円（ちなみに私の手術代は15万円くらい。いかに放射線治療がタイヘンかといういい参考ですね。でもって、これは3割の金額だから…うわーっ＞治療費）。　さて、私は親子3代続いた由緒正しいアトピー娘（祖母・父・私で同じ皮膚科にかかってました）。ほぼ見かけは直った今でも筋金入りの乾燥肌です。冬場に塗り薬が切れると文字通り死にそーになります。娘達にも乾燥肌だけは遺伝し、彼女達は秋から春まで「ワセリン娘」…。そんな私が秋の終わりの乾燥した時期に薬を塗れない状態で1ヶ月以上放射線当ててたらどうなるかは火を見るより明らかですなあ。さーあ、2週目ともなるとだんだんカユくなって…来る前にまず赤みが来ました。それも本人の判らないレベルで。　2回目の診察（水曜日）時に「あ、赤くなって来ましたね」と処方されたのがステロイド入りの軟膏。「お風呂上がりに見るともっと赤いと思いますよ、四角く」と言われましたがぴんときません（お風呂上がりは塗り薬を手に娘2匹を追っかけてるので自分の胸なんぞ見る余裕はございませんってば）。言われてみれば確かにかさかさしてますがまだかゆくもないし。軟膏は1ヶ月程度塗る分には身体にほぼ影響しませんからと言われましたが、えー、あー、多分10代の私はアトピーの所為でステロイド漬けだったのでこのくらい最早どうってこたあないと思います。で、どうもどうもと退室、帰宅してから気が付いた。しまった！ここのところだるくてごろごろ休んでばかりいたから超のつく便秘状態だったっけ！先生～、緩下剤処方してください～！＊週末までには真っ当にカユくなりました。縫った跡の皮膚が薄いところが私の場合いちばんムズムズしました。痛痒いって感じ？…という間にも粛々と照射は進む。何時の間にか私の右胸の肌には濃淡のついた四角が（中の方がキレイに濃い色です。お見事！という感じ）。たまに痒かったり、ちりちりしたり、リンパの縫い目のうしろの方が時折痛かったり（重いものを持つとテキメンにきました）、触ると堅くなってたり、風呂上がりに見ると何か形が違う（右胸外側にえくぼのようなうっすらとしたへこみが…Ａ先生を掴まえて聞いたら「術後まだ日が浅いので、引きつれたりして形が変わるのの範囲内でしょう」と言われました）といった現象以外、あまり放射線治療そのものの副作用は出ませんでした。やれやれ。まぁ妥協の範囲内というヤツですね。あ、でも、もういちど、今度は風邪で熱出しました。まともに機能する左半身の関節からがんがん痛みが襲ってくるのでびっくりしましたよ。　そんな事より、新年明けてからの化学治療がどうなるかを教えてもらえなかったので、そっちの方で気分が不安定になり、何かと荒れるようになった方が問題だったかな。Ａ先生も「放射線治療の後に傷のところを見て、それから血液検査の結果で白血球や血小板の数が判らないと決められないから年内は何とも言えない」…あのう、聞いた話では乳癌は病理検査に基づいた細か～いチャートがあってある程度までは方針決められてるんじゃないんですか？え、結局は本人の体調次第？そんなー。うををををををー、不安の行き場が…何とかしてくれぇ！＊放射線の「お肌の荒れ」は私はまたマトモな方だったようで、後日某乳癌患者さんのブログを見たら「私はこうだった」というコメント等から「人によりけりで皮剥けかける人までいる」という痛々しい事実を知りました（技師の腕前とキカイの問題もあるのかも）。

  2006年07月08日

• さー、本番の治療だ

  　まず、私の場合は手術の傷の直りを待って放射線治療を受ける事になりました。ここで念のため申し上げますと：私は検査＞手術＞放射線治療＞抗癌剤治療という手順でやっていくことになりましたが（検査の結果この手順を踏む事に決まったんですけど）、どういう順番でどんな治療が行われて行くかは各々でぜんっぜん違います。手術より先に薬や放射線から始める人も沢山居ます。今回私はあくまでも「自分の場合」の話をしてますので、そういう詳しいハナシをお読みになりたい方は専門書・医療方面のサイト等を御覧になってください。「当人」が語れることには限界があるんですよ。　でまあ話を戻すと「多分術後の放射線は25回、状況によってはもう5回」とＡ先生に言われていた私は放射線科の外来の扉を叩いた次第ですが、検査結果が出ても「状況によってはもう5回（これは患部のみ局所的に放射線をかける「ブースト」と呼ばれるもの）」は相変わらず様子見で…というのは、病理結果の方でも照射を追加するべきかどうかという欄には「微妙」て書いてあったんです～。何すか、その「微妙」て。　さて、放射線科の担当のＳ先生からは（カルテの癌の写真頁を開いたまま…Ａ先生の配慮は水の泡ですなあ）下記のような説明を受けました。＊かけるのはＸ線。まっすぐかけると臓器まで傷めるので、斜め2方向から照射する＊全身での転移・再発を防ぐ為ではなく、癌の出た方の乳房に残っているであろう目に見えない癌細胞を叩く、つまり「局所再発」防止の為に放射線治療をやる。これで局所再発率は部分切除しただけの場合とくらべると大体1/2～1/4くらいまで抑えられるが、これは乳房を全摘した場合とほぼ変わらない確率に相当する＊起きる副作用は：最初のうちはだるい（段々慣れる）皮膚＝日を追うに従って日焼けしたように赤くなってかゆみが出る。人によってその程度はまちまちだが、患部部分の汗腺と毛穴は放射線でヤられてしまう場合多し。キツい場合は相談してくれれば薬を処方する乳房＝乳腺炎になる場合有（勝手に湿布しないように。皮膚のトラブルと同様、ある程度対処は可能）／機能もなくなる（今後出産する気のある人は残り片方で授乳しないとならない）どうしても放射線がかかってしまう他の場所＝腋（汗止め剤関係厳禁。特に最近は銀が入っているもの等もあり、光線が乱反射するので）／肋骨（ごくまれに傷むこと有）／肺（片肺の1/5～1/6くらいかかってしまう。たまに肺炎を起こす場合有）。これらの場所から、5～10年後に癌が発生する可能性が僅かだがある　そして翌日夕方（他の人の照射が終わった後）照射の位置決めをするので来るように言われ、その日の診察はおしまい。放射線科の担当看護師に放射線を照射する部屋を案内してもらい、大体の予定を聞きました。「位置決め」は大作業です。たかが片胸で3人（Ｓ先生／技師／助手）もついて、1時間かかりました。　何しろそれから1ヶ月以上同じ場所に放射線をかけるので、照射の位置がズレないように患部近辺をああだこうだしておかないといけない。それだけの為に1室用意されているくらいで（あるんです、「位置決め室」て名前のでっかい部屋が）、そこに案内された私は上半身脱いで超せまい＆硬いベッドに横になり、妙なトレスコープのようなものに患部近辺を照らされ…印刷用語で言うとセンタートンボと外トンボ、実際に照射する部分を示すアタリ線（これは赤線だった）をぐいぐい書き込まれ（消えると困るので大事なところには書いた上からテープを貼ってそのテープにも線を書く用意周到さでした。テープは剥がれても気にしなくていいよと言われましたが、ここまでされたらコワくて触れませんったら）。で、2方向から照射するので、謎の金属製のワクを胸に当てられて、照射の角度を決める為に胸回りも測られました。　で、大体の作業が一段付いたら（アタリの赤線は結局隅っこだけで終わらず、ぐるりと赤い四角で囲われました）、次は「レントゲン撮ります」と言われ、トレスコープ？がぐるっと下に回ったと思ったら今度は横に板のようなものがせりあがって来た。コレにレントゲンフィルムを入れて写真撮影（何と天井からレーザー光線が真下の患部に向けて直角にぴーっと走ってまして、写真に一緒に写り込む算段になってました）。　で、その次には（多分赤線に沿って）針金らしきものをぺたぺた胸に貼ったなと思ったら、ＣＴスキャンにかけられました。位置決め用だけに1台買ってあるんかぃ＞ＣＴスキャン！確か術前検査で単純ＣＴ撮った時4800円したのよね。うっわー、治療代が怖いよう。…と思ってたら会計がその日はもう閉まってて、次週に持ち越しになりました。ええと、この日だけで1万円くらいかかってました。保険が利いてもこの値段。すっげー。　以上の作業を木曜日にやり、実際の照射は月曜から。やっばり細心の注意を払ってても線は消えかけてて、上からぐりぐり書き直しされましたが：あー、えー、微妙に1ミリくらいズレてるのが気になるんですけど、いいんですかぃ？（って、トンボ線も太いから、これでいいのか？）　照射そのものはそんなに時間はかかりません。私の場合は2方向ですが、いいとこ各1分程度ではなかったかと。初回はまぁつつがなく終わって服を直し…数十分経ったあたりからかな、腋の直りきってない傷を中心にちりちりちりちりと日焼けのひどい時のようなうっすらとした痛みを数時間感じました。翌日は祝日だったのでお休み。痛みのことはすっかり忘れた状態で2日目に臨み、ついでにＳ先生の診察を受けて来ました。＊で。数カ月後ホントに肋骨にうすーくヒビが入り（拡大してみないとわからないくらい＆肋骨と肋軟骨の挟間をヤられた。1週間くらい唸ってました）、ついでにカリニ肺炎にまでなっちゃった私はしっかり放射線治療の副産物にひっかかったということになりますかね。癌だけは勘弁ですが。

  2006年07月07日

• 切ってみないとわからない

  …そして本人はナマで見られないもの。それは摘出物（つまり癌本体）～。何故ならソレは取り出したら速攻で病理検査に出てしまうから。そしてさんざん切り刻まれた挙げ句、とりあえずの結果が出るまでですら数週間かかります。ですから検査の結果に基づいた治療計画が本人に提示される頃には原形なんぞ残っちゃないという。付き添いの家族は切りたてほやほやのを見せてもらえるのに、さんざん苦しめられた持ち主はどんなだったか知らないまんまって、なんか不公平って気はしませんか？…え、悪趣味？？　まぁ、少なくとも私と、私の翌日に切った隣のベッドのＳさんはそう思いましてですね、彼女は病室で自分の主治医のＭ先生に自分の癌を見られないんですかと詰め寄ってました（笑）。「デジカメで撮ってはあるから画面で見せる事はできるけど、そんなに見たいんですか？」という半分驚いたような返事がカーテンの向こうから（丸聞こえだったのよ）聞こえてきましたが、後日彼女が見せてもらえたかどうかは確認してませんです。ただまぁ私と同じ道を辿っていたら否応無しに見ているのではと。　え、私？一応は「まわりの肉も一緒に取ってたから赤かったよ（義母談）／んー、本体は黒っぽくてー、やっぱり乳腺だなあって形はしてた（ダンナ談）」というハナシをどうにか聞きだしましたけど、「子供の頃に神戸の空襲で一生分スプラッタ物を見たからもうたくさん」なウチの母は近付こうともせず、自分の母親の場合は片乳房全摘だったことを思い出しちゃったらしい父も見るのを断念した模様。仕方ないから退院後自分で食い下がりましたよ、Ａ先生に。ああしんど。　さて。おおまかな検査結果が出たのは退院後2回目の診察前だったようです。診察室に入ると「病理の結果が出まして」と、ちらっとだけ画像入り頁を見せつつカルテをめくって話を始めようとするＡ先生にすかさず「その画像が何枚か写ってるのが癌ですか？」と聞いたところ、やや渋々モードで見せてくれました（苦笑）。　頁の中には白っぽくて中の方が薄く青黒い、鳥皮のウラ側のような（鯨ベーコンにも似てるかも）ナニかの画像が6枚程ありました。「あ、この赤い線で囲んだ部分が病巣ね」という説明付きです。ほぉぉぉぉぉ。白っぽいのは回りの肉を削いで病巣に近い部分を撮影したからかしらん。数枚にスライスして検査した為に画像が複数枚になっている模様。で：病巣の回り（「断端」という言い方をします）からは癌細胞は検出されなかった／リンパ節の方は1つだけ転移発見…だそうで「それって、腫れてたというリンパ節に転移していたということでしょうか？」「え、そうでしたっけ」（先生、あれだけ私がごねたんだから覚えてて欲しいなあ。いくら患者が多いつったってさ）えー、腫れてた奴だったかどうかまでは検査時に見なかったらしいです、病理担当の方では。見ておいて欲しかったぞぷんぷん。まぁ転移はあったんだから結果オーライってこと？でもその1つの為に残り10数個のリンパ節と私の身体の自由が貴い犠牲に…（涙）。　しかしまー、Ａ先生はどっちかと言うと見ないで済むならブツは見せない方針みたいでしたが、後日顔合わせで会った放射線科のＳ先生は常時画像の頁をどっかと広げっぱなしのまま平気な顔で治療方針の話を進めてたので、否応無しに全体を観察できました（苦笑）。なんかね、「かたまりにさわろー！（（Ｃ）中川いさみ）」て感じでした＞癌…＊今では癌はさくさくスライスして検査してますが、その昔病理研究所の家族寮に友達が居たお義父さんによれば：戦後すぐくらいの頃は取ったブツを検査する為に天気のいい時に日干しにしていたらしいですよ（真偽の程は若干怪しい…）。研究所の屋上で謎の黒い肉のような薄い物体が干してあるのを学生時代に目撃したとかで。ナニなんだかは当然知りませんから「食ったらマズそうだなー、なんだコレ」とか呑気に言ってたそうです。

  2006年07月07日

• なんだできるじゃん（リハビリ）

  　先に書いた通り、リンパ節全摘という事がどのくらいの後遺症を伴うかということを、実のところ私はいまいち判ってませんでした。「荷物が持てない」と聞いたところでなんかずたずた神経切られるようなイメージを持っちゃったんですね。実際に切られたリンパ管が通っているのはは肌の一枚下に該当するところですから、若干動きづらくはなるものの、手荷物系以外は案外「日常やってたことでできなくなること」は少なかったです。手術の翌日はそれでも手先からむくんでいる感じがあったので「ああもうおしまいかも。さようなら私の右手～」とか思ったんですけど、2日目の夕方、そーっとゲームボーイをいじってみたら、フツーにプレイできました。拍子抜けしました。なんだ大丈夫じゃんというワケで、以降、持ち込んでた編み物の続きはやるわ、月影村出口は2回もクリアするわ。こんなことなら手術前の編み物三昧はバカみたいだった。手加減すればよかったなあと反省。…そして編み物とゲームボーイはちょうどいい手先のリハビリにもなりました。目が疲れない程度に遊んでました。ちょっと疲れるとテレビか昼寝か誰かに電話。やー、極楽極楽（馬鹿患者）。　それでも：＊切り傷、擦り傷、掻き傷（虫刺されとか）、火傷、日焼け等、右腕から脇腹あたりにかけての皮膚とそのすぐ下にダメージを与えるようなことは以後厳禁＊先に書いた通りで重い物を持ってはダメ＊急に手を伸ばすようなスポーツもよろしくない（テニス、ゴルフが該当。水泳も先生によって見解が分かれるらしい）＊今後、注射・点滴・採血等、針を刺す医療行為はリンパ節を取ってない方の腕でやること＊寝る時はリンパ節を取った方の腕はクッション等で高くして休むように（むくみ防止です）…といった細かい注意をくどくどと聞かされ、リンパ浮腫のコワさを説いた辛気くさいビデオを見せられ、むくみ防止用マッサージのやりかたを延々と解説した長ったらしいビデオも見せられ、心底ぐったりしました。そして当の「リンパ節があったところ」からは細い管が出ていて、たまった血やリンパ液を排出するように…なってたんですが、この管と、管の先の入れ物をずっと連れ歩いてないといけないのがメンドーくさかった。お風呂も一緒、トイレも一緒。1週間この「ドレーン」飼ってました。最初は真っ赤な血が出ているのが段々と澄んだリンパ液になり、それも少なくなった頃に取るんですけど、その途中で排出された血がヘンな風に固まって（チョリソーソーセージを連想してみて下さい）、コレ何とかなりませんかと看護師さんを呼んだところ、これがまた管の中でDNAよろしく妙な風にねじれており、管から落とすのに30分近く彼女を格闘させるハメになりました。ごめんなさい～。　さて、ドレーンが取れたら本格的な腕のリハビリです。動かさないと筋肉固まっちゃいますからね。それまでも「手を振って歩いて下さい」とか言われてましたけど、指導されつつ初めて腕を上げた瞬間（ドレーンを取った日の夕食後、指導係の看護師が来ました）はさすがにちょっとコワかったかも。　が。あら、上がるわ、腕。最初は健康な方の手で支えながら前から上に伸ばす…のも、片腕だけ前から上に上げるのも、ナースが驚く程動くこと動くこと。壁を向いて立ち、大丈夫な方の腕をまず上の方に伸ばしてからじりじりそこめがけて腕を上げて行くのも初日としては珍しい動きっぷりだったみたいで誉められました。運動方面で誉められるのは数十年ぶりだと思います。春から入院1週間前まで半年間やってた宅急便での肉体派パート時代の筋肉の為せる業かも。んまー、今後ヤマト運輸方面に足向けて寝られませんね。で、真上にちゃんと手がのばせると洗濯物が干せますよと言われました。そう言われると主婦としては切実ですなあ。　＊皮膚とそのすぐ下にダメージを与えるようなことは厳禁、というのは、極端な話（でもホントーに）ワキ毛1本、自分の意志では抜けないということも意味します（情けないなあと思いつつＡ先生に確認しました。剃刀もヤメといた方がいいって言われました。ってことは腕のムダ毛処理もアウトかぁ…）。＊そして現在、ホントに荷物系以外はフツーに出来てます。ただし、風邪をひくと左半身から悪寒と関節痛が襲って来ます。いやもう、光線療法中に風邪になった時は耳の下ががんがん腫れて中耳炎になったかと思いました。あ、あと、後日、水中ウォーキング講座をやってみたらクロールが出来なくなってた。洗濯物は干せても水かきする筋力はないみたいです。

  2006年07月07日

• パンクスみたいでかっこいい～ん

  　世の中にはかさぶたを剥くのが愉しくてしょうがない人ってのが時々居ます。私もそうです（長女もそのケ有）。おかげで私のメインの傷跡は退院後最初の診察（経過観察の意味があります）を前に、キレーに目立たなくなってしまいました。だって～、面白かったんだもん、糸つきのかさぶたつつくの。昨今の糸は段々と溶けてなくなっていくもの（ということは出産の時に知りました）なので糸で縫ったところは見られないだろうなぁと思ってたんですが、糸が切り口の血を吸ってしまったせいで細～い針金みたいになって傷口の端からつんつん出てるんです。妙なヒゲのようなそれをそ～っと爪切りで切るのの愉しいこと。ドキドキしてあんまり面白いのでダンナにその旨を告白したら「変」て言われました。　手術の傷跡（「創」という言い方をします）そのものをマトモに見たのは手術の3～4日後だったような記憶があります。お風呂に入る時に看護師に手伝って貰ったんですが、その時に「濡れるから一度ガーゼ取りましょうか」と、ぺろっと剥がされましてですね、私の目の中にまず入って来たのは私の胸にぷちっと付いた想像も付かなかった物体でした。…安全ピン！　どうやらこれは縫合した糸止めであるらしく（後日Ａ先生に聞いたら、他にもナニかが身体の中に入らないように止めているといったことをもごもご説明してくれましたがよく判りませんでしたです）、創の端っこにちんまり付いてました。大抵の人は手術痕にショックを受けるようで、看護師も目を丸くしている私に「ショックだったかしら、ごめんなさいね」的な事を言ってくれましたが私は逆に「安全ピン」のせいでハイになってしまい「え、ヘーキです。面白いです。安全ピンがパンクスみたいでかっこいいしぃ」と答えて彼女をのけぞらせました。…そんなラブリーな安全ピンも、退院2日前にはＡ先生による抜糸と共にどこかに捨てられてしまいました。あー、記念に貰っておけば良かった（＜かなり大馬鹿モード）。ああ～、今頃あの安全ピンはどこかで医療性廃棄物になっているのね～。くすんくすん。　その創ですが、胸の癌を取ったところよりも、脇のリンパ全摘した痕の方が痛みも傷の大きさも後遺症もエラいことになっており、身体に「脇道」が出来て来て落ち着くまでの数週間はかなり苦労しました。リンパ節を取った端の管があると思われるエリアの肌が超痛いの（火傷並み）！これがもう当初は脇を切った痕と同じくらい痛くて難儀しました。それをまたついかばってしまう為か背中の筋が痛くなって息が上がってしまい、退院当初は外出から帰ると目を回してのびてました。脇の下から胸に向かって、誰かのでかい手に猛烈な力を込めて息が出来ないくらいぎゅーっと押さえられている感じ、と言えば判ってもらえますかね。　そして寝る時はむくみ防止で手術した方の腕をクッション等で少し高くしておかないといけない…けど、寝ている間に動いてしまうので結局早朝には脇と二の腕の激痛で目が醒めて必死にマッサージしたり。重い荷物を手術した側の腕で持ってはいけないのも慣れるまで辛かった。私は元々左利きなので、それまでの40年近くずっと「鞄は右」で通していたのです。うっかり右肩から手荷物を下げて息が上がってしまい、何度ためいきをつきながら持ち替えたことやら。まぁ、痛みそのものは大体数週間で落ち着いてきましたが、途中の段階で直りかけの二の腕が痛痒かったのも参った。ぐるぐる腕回したりして気をそらしてましたが…。　やー、ナメてました、リンパ節。昨今は浮腫が出る人なんてそんなに居ないよと言われてゼンブ切る決意をした私でしたが、やっぱちょっとでも残して欲しかった。まぁＡ先生もそこまでいちいちしんどい＆危ない手術したくはなかったからこそ「全摘」という結論を出したのであろうことも頭では判るんだけど。しかし自分の仕事の為に敢えて担当医を口説き落として決行したとは言え、リスキー＆お金と時間のかかる選択を無理矢理実行した従姉は正しかったのかなあ。そういう話はあんまり聞かないけど。うーむ。

  2006年07月07日

• そう言えばナースマン（男性看護師）

  両肘が猛烈に痛くて目が醒めたのは真夜中。麻酔で気絶＞睡眠とは違うので寝返りを打てない＞身体の節々が痛くなって気が付いたという次第です。例の「エコノミークラス症候群」防止用で手術前にきつ～いサポーターを履かされた上に何かが巻かれ、それが左右交互にぶ～んと空気で圧をかけてくるので足はまぁマッサージされてて快適なんですが、肘！　この瞬間、手術前にさんざん編み物とゲームをやってたのを猛反省致しました。だって～、左肘の点滴のクダが痛いっ！気絶していた分超痛いっ！ぐわーっ！！（切った傷は二の次ってのが情けない。まぁそっちは点滴の痛み止めで何とかなっているワケだし）…というところに、私の意識が回復したのを見て取った当直の看護師が吸い飲み持参でやってきました。あ、男の人だ。そう言えば手術室に行く時も男性の看護師を見かけたような気がする。ちょきちょき・縫い縫いされた後の気絶した患者をそーっとベッドに移すという体力勝負で重大な任務があるから、こういうところは男の人率高いのかもしれない。吸い飲みはうがい用で、手術の翌朝に点滴が抜けるまでは飲み食い禁止なのですが、手術中に喉に管を通す処置（気絶した後で入れます）をしているとどうしてもその後に痰がからんでしまうので、その痰を切るのと喉を湿らせる為に寝たままうがいする、と。確か唐沢俊一さんはこの痰切りをする為に看護師が喉にナニかを突っ込んで掃除機みたいに吸い取ってたと書いていたので私も当初覚悟していたんですが、わざわざ水持って来てうがいさせてくれるとは。尤も、この「寝たきりうがい」は手術前に練習させられましたが…うっわー、水が冷たい。氷水だ！てっきりまず～いぬるま湯がくるものだと思っていた。飲ますんじゃないとこうなのかしらん。実情は判らないけどちょっと感動。　そのまま目を覚ましていると数十分置きくらい？に彼はやってきてうがいさせてくれました。部屋が乾燥しているので助かります。そうこうしているうちにだんだん肘の痛みの我慢が限界になってきたので、ナースコールして「点滴の位置変えられませんか？」と聞いたところ、当直の医師が一緒にやって来ました。そして腕に針を刺そうとして…既に当日朝失敗した跡があるのに気付き「あれまあ。これだとここには刺せないから、手の甲に点滴をすることになるけど、いい？」「いいですこの際」「でも何でまた肘なんかが痛くなっちゃったの」「いやー、手術でどのくらい手にダメージが来るかよくわからなかったから、つい前日まで編み物とかゲームボーイとかやってて。腱鞘炎ぽいかもしれません～（恥）」ぷす。うーむ、確かに手の甲に針刺すのは痛いわ。でもさっきよりは遥かにマシだ！「すいません～。ありがとうございますぅ～」　翌朝、点滴がついたままの私は病棟からお迎えの看護師が運んで来たベッドに移され、がらがらとＩＣＵのフロアを突っ切ってすぐ上の病室へ。乳癌のベッドは横から看護師がハンドルをぐるぐる回して起こす式の、旧式ベッド。電動式のいい奴～前に入院した病院の産婦人科はゼンブそれだった～はウチのフロアだと整形外科（つまり骨肉腫の皆さん）優先で持って行かれてしまう…ので、自分で高さの調節が出来ない為にずるずるふとんに埋もれてしまい、後で様子を見に来た看護師に笑われたような幽かな記憶が（苦笑）。でまあ、消化器に関係しない癌なので、昼はさすがにお粥が出ましたが、夜にはもう普通食もりもり食べてました。痛み止めの薬も飲んでいるのでそんなに傷も辛くないし、右腕使えないのが不自由なくらい（元々は左利きなので、左手での食事は案外苦にならない）？…あ、でも、ちょっとこの日は右の手先がむくんでて先を思うとちょっぴり暗くなりました。＊その後も私はゲームボーイを手放す事なく入院・通院を続け、しまいにはうっかりどっかに置き忘れると看護師が「ああ、Ｓさん（＝私）忘れてったわ。Ｓさーん」と追いかけてくるようになりました。ＩＣＵで腱鞘炎てのも伝説になってるかも。ああ、情けない。

  2006年07月07日

• 手術＝治療開始

  　さて、月曜日9時に戻ったら朝の回診が終わってました。うう、つまり、Ａ先生は今日は来ない（というのは後で判った）。何の為の一日だったのだろうと思う羽目になりましたが、ヒマな間どうしていたかというと、もうこんな細かい作業はできないだろうと思い、必死で持ち込んだ毛糸で人形のセーター編んでました。いやね、リンパ全摘ってどういうイメージかはっきり判ってなかったので、もう細かい作業はムリかもと思って…飽きるとゲームボーイやってたので終いには肘が痛くなりました。そりゃ、二日連続ほぼ放ったらかしじゃあねえ。誰も止めないんだもん。　当然ですが当日の朝食は抜きです。　髪の長い人は二つに分けてそれぞれ三つ編みするように言い渡されており（うしろ頭がぽっこりするのでポニーテール不可）せっせと準備を始め…たんですが、これが上手く行かず、隣のベッドのＳさんに結局編んでもらう羽目に（彼女も「こんなのは娘にやって以来だから何年振りだろう」と言いながら奮闘してくれました）…。その後、看護師がやってきて、きっつ～いサポーターをうんうん言いながら足に履かせてくれました。これは膝丈で爪先に穴が開いた筒状のもので、爪先の穴は：サポーターを履かせる前に化繊で作ってある足カバーをすべりやすいように履かせるんですがそれの引っぱり出し口／足先にセンサーをつけてちゃんと血流が来ているか手術中に確認する為の穴…だそうです。やー、上手く出来てますね。　で、だいたい8時半すぎからぼつぼつと家族が集まり始め（上の子は早めの時間に保育園に預けて、その後ダンナはウチの父の車で下の子と共にすっ飛んで来た模様）、9時過ぎには手術着に着替えて足首にタグをつけた（足タグは患者を間違えないようにという用心です。子供産んだ時はピンクでしたが、今度は癌だからかグレーだった）私は皆に手術室の手前で御挨拶＆お見送りしてもらう…んですが、さっき来たハズのダンナの両親が9時に戻ってこない！車を駐車場に置きに行っちゃったらしいのです。ヨメとしては戻ってこないうちに入るワケにもいかないので全館呼び出しかけてもらいましたよ…とほほほ。時々かかる「御家族の方」呼び出しコールはコレ関係だったのねと気が付いた次第です。　ちなみに家族はこの後は1つ下のフロアにある「家族待ち合い室」で手術後まで延々数時間待たされ、ナニか摘出した場合はブツを見せられ、半分麻酔が醒めた状態（に調整してある）で手術室から出てくる本人とちょっと顔合わせをしてその日はおしまい。私の場合は下の娘を見てにっこりしたらしいのですが、さっぱり記憶に残っておりません。娘の方も判ってなかったらしいです。どっちもどっちやのう。　ここの手術室は3つ、終わった後の患者が入るＩＣＵも取り敢えずは3つ。私の他にその日手術するのはどっちもおじいちゃんで、さっさと入って行きましたねえ、確か歩いて（麻酔科との打ち合わせの際にドキドキしちゃうという人は病室で鎮静剤を貰っておいてベッドに乗って行く手配がされるのですが、その日の人は全員「ヘーキです」と答えたようです）。私も「それじゃ行って来ます」と、すたすた入って行きました。　中では皆あくせくと準備してます。緑色のシートとか置いてあったり、よく判らないキカイ類があったり、手術室入り口近くには水っぽいナニかが入ったタッパーウェアらしき物も置いてあったり（コレは前日手術した人のリンパ腺＝センチネルの部分。朦朧とした意識の中でＡ先生が病理の人に指示してるのが聞こえました）…そうか、私はこの後気絶するけどこの人達はここからがシゴトだからなあ。ほー、いいモノ色々見せてもらったわ。ホンモノだし！　で「Ｃ」の手術室に案内されて超せまくて堅いベッド（手術台）に寝させられた私の足にはナニかがぐるっと巻かれました。これは作動し出すと交互に空気が送られ、足をマッサージするようになってました。コレが例のヤツかと感心している内に心電図用のパッチ？やら、いろいろと身体につけられ、左の肘に点滴が刺され（手首で上手く静脈が取れずに肘になった）、最後に全身麻酔のマスクが鼻と口にかぶせられました。匂いなし。ちょっと湿気っぽかったかな？ふわーっとします。面白い…というか滅多にできる体験じゃないハズなのでここはできるだけ起きてみようと思い（馬鹿？）、半分浮遊した意識の中で自分の右側の壁に付けられている時計を見ると9時15分。…あ、Ａ先生が手術衣来てやってきた。なんかあっちの方で指示してるし。これからここの皆はひとふんばりなんだな～。…と思ったところで時計の文字が2重になり、意識が遠くなりました。

  2006年07月06日

• ぷ～ん

  　待って待って待って、やっと午後6時。本来は夕食の時間です。なんか廊下でいい匂いがするなぁな中を、私の両親とダンナ、いきがかり上参加するハメになった娘二人（5才と2才）が、ナースセンターのウラの小部屋に呼び出されました。暫くしてからＡ先生登場（が、私のカルテが午後に話を聞きに行った麻酔科に行ったきりだったので、更に待たされました）。で、そこで改めて癌の状況と手術・治療の方法について説明がありました。後で書きますが別件が気になってしまい当人である私は実はあんまり頭に入らなかったんですけど、おおむねこんな話。＊場所（割と上の方）と大きさ（直径2.5cm）から言って、多分温存は大丈夫だと思うが、多めに切って端4カ所をその場で病理検査する予定。癌がその半数以上で見受けられる場合は乳房全摘もあり得る＊右腋のリンパ節は当初「センチネルリンパ生検」という手法で一部だけを取って検査（これは手術前日に癌の所に特殊な色素を注入、当日にその色素に染まったリンパ節だけをまず取って手術しているすぐ横で検査するというもの。色素に染まった部分は言うなれば「門番」で、ここへの転移の有無をまず調べるというものです。セーフならそのままおしまい、アウトならリンパ節は全摘です）する予定だったが、ＣＴの検査で奥の方に腫れたリンパ節が見つかったので、リンパ節は全摘とする。これは、その腫れた部分が癌だった場合、たとえ「門番」であっても色素に染まらない＝外れてしまって取り忘れてしまう危険性がある為＊手術の直前から翌朝にかけて、足にきついサポーターを履かせ、その上から空気圧でマッサージする処置をする。これは、術中・術後、全身麻酔で全く動かない状態でいると脚の血流が悪くなってむくみやすくなり、最悪の場合所謂「エコノミークラス症候群」を引き起こす危険性があるのでその予防として＊術後、ある程度の回復を待ってから放射線治療を予定している。病理検査の内容によって、普通の回数（25回）にするか、もう少し増やす（30回）かは未定。乳癌治療では人によっては放射線を当てた部分の肌が一時的に変色する程度で、あまり激しい副作用はない。ちなみに1回につき放射線を当てる時間は短時間だが、月曜から金曜まで毎日通って貰うことになるのでその積もりでいるように＊放射線治療が終わった後、抗癌剤治療に入る。この内容についても病理検査の結果次第　以上の話を聞かされているオトナ4人は超真剣ですが、ちびこ2匹は当然事の深刻さなんかは分かっちゃいません。最初の内こそおとなしく私とダンナの膝の上に座ってましたけど、そのうち退屈してちょろちょろし始めました。さて、話が佳境にさしかからんとしたあたりで、ダンナの膝から抜け出してうろうろしている下の子を捕まえた私は、そこはかとなくいや～んな雰囲気を感じました。…Ｙちゃん（下の子）、力んでるような気がする…　という間も話は進む。そんで確か脚のサポーターのくだりあたりからでしたっけねえ、だんだんと周囲一面、困った方向に香ばしい臭いが立ち篭め始め…ええ、やっちゃったんです。うんち。盛大に。まだおむつ取れてないので仕方ないんですけど、今ここでママは生きるか死ぬかの重大な話（ちと大袈裟か）聞いてるんだけど！おい！　しかしまぁＡ先生ときたらニオい方面完全無視で最後まで通しましたね。ハラの中ではくすくす笑ってたのかもしれませんが実際の所どうだったんでしょう。ナースの皆さんも「あー、Ａ先生またやってるよ」くらいは思ってたかもしれない。ひーん（と、思い出して頭を抱える私…）　で、手術だの治療だのの話をみっちり聞かされた私はそれだけで頭が満杯になった上にうんちだったので、もうへろへろになってしまい、ちびが粗相しましてすみませんでしたという一言をＡ先生に遂に言いそびれてしまいました。えー、今頃言ってもどうにもなりませんが、その節は大変失礼致しました。ナースステーションの隣でしたから被害も甚大だったかと思います。すみませ～ん。平謝りです～。　話が終わった後、文字通りほうほうのていで引き上げた（外泊許可が出たのでそのまま帰宅しました）私達はナースステーションの傍の身障者用トイレでおむつを替え、ついでに上の子も用達しさせた…ような気がしますがよく覚えてないです。はぁぁ。　そして帰宅後、ウチのダンナはＡ先生を評して「あの人は典型的な研究馬鹿（＜いい意味で）だから多分大丈夫」という妙な太鼓判を押しましたとさ。ちゃんちゃん。

  2006年07月06日

• 麻酔科余談（入院初日）

  入院初日午後。麻酔科に出向き、手術時の手順のおおまかな説明を受けました。ここでは自分で歩ける人は徒歩で手術室に行ってもいいし、予め病室で注射して貰ってから手術室に移動式ベッドで向かう形でも可（私は歩いて行くことにしました）。病室に戻った私のところに麻酔科の看護師さんがやってきて、手術準備について細かい打ち合わせ。髪を二つに分けて三つ編みにしておくとか、足にサポーターはくとかいう話はここで聞いたんじゃなかったかな（記憶が怪しい）。そして、一緒に聞かれたのが「何か手術室で聴きたい音楽はありますか？」へ？「手術の前にリラックスしていただく目的で、ご希望があればお好きな音楽をかけています」ええええー。ちょっと考えておきますが、他の人はどんなのかけてるんですか？「SMAP渡されたことがありますよ（笑）あと、病室もみっちり氷川きよし一色だった患者さんからきよしくんのCD預かったりとか。入室してから麻酔が効くまでの短い間なんですけどね」あ、じゃ、手術中はそれずーっとかけてるワケじゃないんですね？「手術の邪魔にならない程度の低音量で有線なんかのリラックスできるような音楽をかけることはありますよ」だいたいそんなやりとりだった記憶がありますが、話のおしまい近くで「あ、そうそう。Ａ先生（主治医）は軍歌でしたよー」ええー！まさか手術中軍歌流しながら乳腺ちょきちょきしてるんですか？「いやそうではないです（笑）」じゃ何で軍歌好きが看護師さんにバレてるんだ？？謎だー。＊それは要するにＡ先生も癌キャリアで、自分の手術のときに軍歌をリクエストしてたんでした。手術室方面では他にもＡ先生ってば伝説作ってましたが、それはまぁ後ほど。　で、私は確かダンナに「旬（平沢進が昔ちょっとやってた実験ユニット）」のCDを持って来てもらうよう頼んだと思うのですが、当日朝はちび2匹を追い回していた彼、急いで出て来たので家に忘れて来てしまい、結局音楽はナシで手術に臨みました。なくてもヘーキでした。だって面白いんだもん、手術室。ホンモノだよ？ドラマとかじゃないんだよ？滅多に見られるもんじゃないんだから、見とかなきゃー。ねぇ？音楽どころじゃないってば。

  2006年07月06日

• 明るい外科病棟…が、はたしてその実体は

  　通された病室は4人部屋で、私の他は：肉腫で抗癌剤治療中のNさん（彼女は「副作用がキツいのでベッドをキープ組」）／乳癌のやや年輩の人（すぐ退院したこの方とは殆ど話さなかった）／甲状腺をヤられた32才の若いお母さん（娘さん3才…これからタイヘンだなあ）。Nさん以外は入れ代わり立ち代わり状態で、甲状腺のママの次に入院して来た乳癌のSさんは癌そのものが小さかった為、私の翌日手術して私より先に退院して行きました。この部屋は上のフロアの人達用非常時避難場所になっているルーフバルコニーに出られるんですが、普段は「出ちゃダメ」状態。でもこっそり外に出ると、晴れた日は富士山も見えたりして（超内緒）。割と広くて、いい場所。差額ベッド代取られなくて良かった～ってくらいでしたが、一応ココに入れられる人にはそれなりの制限があって＝えー「あまりナースコールが起きないであろう人」。出入りの激しい乳腺組が多いのはそういう理由ですね。ナースセンターからは一番離れた、良くも悪くも静かな部屋でした。　この外科病棟＝Ａ棟5階は外来に比べるとあまりお年寄りが多くないように感じました。集められているのは主に下半身の骨関係（骨肉腫とか）と甲状腺、乳腺。どうしても時間がかかる骨系と、術後の回復が比較的早い連中を組み合わせたものと思われます。大体が手術の為の入院で、中にぽちぽちと「副作用がキツいから」という理由から化学療法時用にベッドをキープしている人が混じってましたが、そういう方々は骨系の人が殆ど。年輩者は全く居ないワケではないのですが、術前術後の動いていい連中がエネルギーを持て余して常時最低1～3名廊下近辺をうろうろしている為、居るんだか居ないんだか状態。私の病室は殆どがその「出入り激しい方面」で、私が居た時期の最高齢は、術前化学治療を経てやっと手術にこぎつけたＫさん（聞いてないけど推定還暦過ぎくらい？）、一番若かったのが甲状腺の人（32才・1児の母）。そうそう、以前バスの中で見かけた「がんセンターに向かってＦ駅から上り坂を爆走する車椅子青年」もこのフロアの住人でした（入院中に父親も目撃。ああこの人の息子ならやりかねないなという感じがするスポーツ中年でした）。ちょいと髪がプリン状態になっている（＝しばらく入院生活が続いてるっぽい茶髪）20代と思しき車椅子の女の子に声をかけてみたら、けろっとした表情で「私はねー、股関節とか恥骨とかを取ったり人工のに替えたりで手術に12時間かかった」という目眩がしそうな返事を返してきました。ああ、そんなんだから骨組病室にはキレーなぬいぐるみや写真立てや千羽鶴がばしばし飾ってあるのね（多少の差はあっても骨系の人達は皆タイヘンな修羅場を潜り抜けて来たようです）。そして甲状腺と乳腺は先に書いた通りで人の出入りが超激しい！乳癌の手術入院の場合は大抵2週間前後と短い上、誰か退院した2日後には次の人が来るようになってるので、同じ病気かなと思って気にしていても話しかける機会がないうちに居なくなっているということが何回もありました。そうですよねー、皆待ってるんですもんねえ（でもそんな狭間にも医師一同は今日はこの先生で明日はあの先生がという状態で学会を飛び回ってました。Ａ先生に至っては、午前中にウチの部屋のＫさんの手術をした後に速攻で京都に飛び、翌朝には講演をこなしていた模様…秋って学会シーズンなんですか？）。　そんな所にもごく稀に急患は来る。入院中、一人だけ見ました。　救急隊員！に担がれて家族同伴で入院して来た、多分30前後の男の人。勿論話してないから実際のところは知りませんが、例えば唐突に脚に激痛が走り、取り敢えず駆け込んだかかりつけ医でレントゲンを取ったら一刻の猶予もない状態と判って救急車でかつぎこまれて来た…とか（通っていたのが急激に悪化して緊急入院、の可能性もありますね）？さんざん待たされた私からすれば「すぐ入れて良かったじゃん！」ですが、唐突にがんセンターの住人になったとしたらそりゃあキツいでしょう。以後毎日「あれ、今って面会時間だっけ」という時刻から寝たきり状態の彼のベッド脇には誰かが居て、本人は「一体自分にナニが起きたんだろう」という当惑した表情のまま天井を見上げていました。納得ずくで入院してくるほかの患者さんはまず見せない顔。ベッド下に揃えられたままの革靴共々、痛々しい光景でした。＊後日、私が居た部屋にまだ入院しているＮさん（抗癌剤投与中）を見舞いに行った折、ついでにちらっと彼の部屋をのぞいてみたところ、点滴中で「え？」というくらい痩せてました。彼も抗癌剤の治療中だったんでしょうか。副作用が猛烈にキツい薬もあるからなあ。…　それからもうひとつ、ナースステーションのウラの方にこれまた妖しい部屋がひっそり存在してたり。…ここは多分、かなり病状が進んだかボケちゃったかで、24時間監視の必要な人の為の部屋。一応二人部屋らしいのですが、私が居た時は多分おじいさん？が一人居ました。たま～にそっちの方からゴハンを介護する声や「身体をおこしてみましょうか」等の話し掛けが聞こえるので気がつきました。ナースステーションでは常時この部屋をモニターで映していて、何時何が起きても即対応できるようにしていました。一応末期患者の入るところは最上階の緩和ケア病棟だろうなと思いつつ入院して来たんですが、そうとは限らないのかもしれません。　ま、外科フロアの看護師の皆さんはみんな私が付き合いやすいタイプのナース（元気なお姐さん系）で、私自身は実に快適な入院ライフを満喫させてもらいました。が、患者の方はと言うとさすがに全員バリバリ明るいワケでもないようで（一日中丸まってるおばあちゃんとかも居たような記憶が…）、家族に至ってはもっと「判ってらっしゃらない」方も稀に居られてですね、私はある晩「さっき、こちらの方（＝見舞客）を玄関までご案内していただけない？って頼まれた。…私、何者？」とぼやくナースをしっかり目撃しました。看護師さんは看護のプロであってメイドやボランティアではないので、パシリにしちゃダメっす。看護してほしい他の患者さんのメーワクです。お見送りの最中に誰か急変したらどうするの？ねぇ？

  2006年07月06日

• 「あさってですかぁ？」

  　入院日を知らせる電話が来る日は予め聞いていたので、その日は極力誰かが家に居るようにしていましたが、実際にかかってきたのは午後いち。「Sさん（私の本名）の入院日が決まりましたのでお知らせいたします」という実に事務的な電話だったんですが、次の台詞に私は目眩を起こしかけたっす。「15日の金曜日に入院ですので、午前9時半から10時の間に入院受付までおいでください。手術は20日の水曜になります」へ？「15日？？？...えっと、今日、13日ですよね。明後日ですか？」「はい。土日が挟まるので早まってますが、月・火手術の方も今週前半にはもう連絡が行ってますよ」いったいその5日もの間にナニするのであろう。ま、日曜日は多分何もないんだろうけど。　しかし冷静に考えてみれば、かつぎこまれていちにのさんで大変な作業の大半が終わってしまう出産とはワケが違うのだから当然と言えば当然か。胆石の手術で入院した前の会社の課長も、確か1週間以上前に病院に入らされてたしなあ。　くらくらしっぱなしのまま、取りあえずダンナの携帯と実家に連絡。…　さて。最もとほほほなノリでですがここでいちばん困ったのは何とヤフオク。ま・さ・か、今週中に病院に放り込まれるとは夢にも思っていなかったので、あっちこっち入札してたんです。慌てて入札リストを見ると、まだ5つくらい、私が最高入札者なのが残っている…うち入院後に終了なのは3つ（残る1つも前日真夜中の終了）。入院前ギリギリ終了の物は「Yahooかんたん決済」が使える上に送料を明記してあったので、もし落札できたら有無を言わせず即入金手続き、こっちの連絡先を教えるメールをささッと出す事にして、残りはダンナに頼む事に…（運のいいことに他のも「かんたん決済」オッケーな奴だったので、パスワード関係を教えて＆出品者向けメールのフォーマットテキストを作っておいてなんとか事無きを得ました。ああ、でも「LW桃子」もう少しお金積んでおきたかったなぁ…くーッ）。ついでに、とっちらかったデスクトップや、ネットスケープのブックマークを整理しまくっておきましたが、どうも私ってば知らないうちにあちこちヘンな風にいじっていたみたいで、後で仕様が微妙に変わってました。前もあったのよねえ、「よくコレで動いているもんだと感心した」くらいおかしくしていた事が…。＊結局オークションは2勝1敗。前日終了のヤツも持ってかれてしまいましたよ（ちなみにこの時競り負けたのは3代目時期のリカちゃんハウスの1種。こっちは後日ゲットできたのでよしとしますが、「LW桃子」は遂に縁がないままです。しくしく）。　ところがどっこいしょ。　当日到着したらやることがない。　入院受付を済ませた後で病室に案内され、連れて来てくれた看護師さんから色々と病棟内のルールについての説明を聞き、彼女とその他持病（…鬱）について等の面談を済ませたら「じゃ、午後いちで麻酔科の先生から手術の流れについての説明の予定が入ってます。主治医のＡ先生からの病状及び手術に付いてのご説明は午後6時頃からということで、それまでは何もありませんので」…え？「それから、土日は何もありませんから、多分外泊許可が出ると思います」　何じゃそりゃぁぁぁぁぁぁ！　仕方がないので、ヒマな午後の間は持って来た「風来のシレンＧＢ」（またかい）をちょっとやって、飽きちゃった後はお昼寝。私のベッドは西日ががっちりあたって夏なら地獄だろうなぁな場所なんですが、何しろ10月ですから（笑）日没まで服を着たまま日光浴を堪能させていただきました。そう言えば入院中もほぼそんな感じでしたっけねえ。極楽極楽。

  2006年07月05日

• セカンド・オピニオン（という程でもないかも）

  　という次第で、ぷんぷんしたまんまＭクリニックの門を再び叩いた私です。　電話して事の次第を話したところ「入院まだなんでしょ？だったら検査書類とかはいいからスグいらっしゃい」と言われ、ダンナと下の子、そしてウチの母まで一緒にぞろぞろと…。ま、タイミングとしてはベストだったみたいですね。「実際の治療が始まる前に行く」は基本だそうです。…丸めこまれてしまいましたよぅ。うううー。どういう風にかというと：その1.リンパ浮腫を心配しているようだけど、僕が切った200人くらいの患者さんからはリンパ浮腫発症者はゼンゼン出てない。切って即なるものでもないから大丈夫（ホントに？）その2.疑わしきは取るべし。全く超音波等の検査で引っかからなかった人でも、念の為に腋開けたらばんばん転移していた例は沢山見てきたその3.当たり前だけどやるんだったら一気に退治するに越したことはない　で、結果として振り返ってどうだったかと言うと私の場合は聞いても聞かなくてもある意味同じだったかも。勿論これである程度の踏ん切りはついたし、当時のＡ先生の言葉が足りない分をおぎなってはくれましたが、どっちの先生も結局ちゃんとは教えてくれなかったもん、リンパ全摘した後、浮腫以外に沢山の後遺症ややっちゃいけないことがあるなんて！あ～、どんより（闇モード）。　今後、癌の研究もどんどん進んでいくと思うんですが、もし実現した場合私が一番怒り狂いそうなのは「怪し気な全てのリンパ節を超速で調べて癌細胞の有無を即時に判別し、取らないで済むものは全て残しておける技術」です。＊リンパ節についてはひとつだけ転移していたと聞くと、医療関係者は全員「取って良かったじゃない」て言いますが、でも1つの為に抗癌剤投与は仕方ないとしてもマトモな13個（私の場合）犠牲ってのはやっぱりキツい。どうして「そのひとつだけ」を取ることができんのか、未だに腑に落ちないでいます。実際、胸より腋の傷の方が深いし大きいし直りも遅いしちょっとナニかあると「代役」のリンパ管の手に余ってしまうのか、二の腕に激痛走って腋の下が生暖かくなるし、ダメージあり過ぎ。風邪ひとつひいても右腋の為にのたうちまわる（左の耳の下が超痛くて中耳炎かと真剣に悩んだりとか…）のが一生続くと思うとぐったりです。＊もうひとつ。このMクリニックの先生はかなり腕のいい「いい先生」だったようですけど、彼が退職した後の元職場＝T大学病院の評判はがんセンターでお話した乳癌キャリアの皆さんの間ではあまり芳しくありませんでした。もしかしたら彼がある意味病院のストッパー的存在だったのかもしれませんが、だとしたら勤め先の体質にやんなっちゃって開業を決意したのかなあ。真実は謎ですが、とにかくフツーの内科医院でさくっと即マンモグラフィ＆細胞診ができるところはホントーにありがたかったです。胃や直腸の内視鏡検査をやってるところは割とよく見かけますけど、乳腺方面ってどうなんでしょうねえ。私の知ってる限りではあと虎ノ門に1軒…ココは大学病院を定年退職した乳腺外科の医師が「余生は乳癌早期発見に捧げる」て作ったところだそうです…。

  2006年07月05日

• 検査、検査、検査…いいからさっさと切りやがれ

  　思えば随分血を採られました。入院前だけでも覚えている限り4回くらいは採血室に行った覚え有（しかも同じ日の朝と午後に別々の検査で行かされ、朝会った採血室の看護師に「え、また？」て言われた…）。　その他、手術の準備として：耳の端をちょっと切って血が止まるまでの時間を計る検査、心電図、患部の超音波検査、レントゲン（普通に胸を撮影＋乳癌だからマンモグラフィ）、尿検査、「蓄尿（まる1日分の尿を溜めて検査に持って行く。入院患者がやる場合があるのは知ってましたが、これを外来でもやらされるとは。採尿用のコップの山とでかい茶色の瓶を渡され「この瓶に入れて持って来て下さい」て言われた時は絶句しました）」。…ここまでで2週間くらい経過。何しろ診察がある日に一緒に検査をするように予定を組むので、なかなか日取りの折り合いが付かなくて。…そして最後がＣＴ（造影剤を入れない単純ＣＴで胸まわりだけ）。何とここで肺や肝臓に転移はないものの右腋が腫れているらしいのが発覚してしまい、検査の9日後の診察に行ったら、渋い顔をしたＡ先生にもう一度超音波室に回されてしまいました。おおおーい、腋は大丈夫なんじゃなかったの？しかもその日はもうキカイ止まっちゃってて（夕方4時半に検査に行ったってねえ）、日を改めて超音波検査の為だけにまた来る羽目になってしまいました。ちっ。…でですね、ＣＴで怪しいとされた場所が腋のリンパ節でもかなり奥の方だった為、検査担当の人は肝心の場所を探し当てるのに四苦八苦し、しまいには二人がかりで私の右腋の下をキカイでぐるぐる見てましたよ。「腫れてるから癌とは限らないしねぇ…」と検査技師のお姉さん方は言ってましたが、結局ナニかつかまったみたいで、結局右腋リンパ節全摘ががっちり決まってしまいました。えええええ～？　納得できな～い！…まさか、待たされてる間に転移したんじゃないでしょうねぇ？？だってここまでで初診からもう1ヶ月経ってるのよ？ウチの従姉は2週間待ちで切ったって言ってたよ？転移してたおばあちゃんなんか即日入院だったよ？？え？こら、先生、聞いてる？んあ、ナニ、「みんな待ってる」だぁ？70過ぎのばあちゃんと40の私を並列で考えるな～！若い方が進行が早いんじゃないのか？＊荒れたのにはもう1つ理由があります。学会があるからという理由で入院・手術を10日ほど先延ばしにされました。A先生曰く「僕が居なくても他の先生にお願い出来るかと思ったんだけど、麻酔科の先生まで学会で留守になるから、次の週ね」…えええええー！＊私は結果的にまぁそれでも何とかなったと思いたいですが、後日、私の隣のベッドに「待たされてる間に悪化」を絵に描いたような人が入院して来ました。Ｉさん（偶然私の旧姓と同姓）という彼女は私よりほんの少し年上で、かなり大きくなった子供が数人いるお母さん。胸のやや外側に癌ができた彼女は早い内からリンパ節全摘は決まっていたのですが、問題は癌本体の方で、入院待ち8週間の間に何と外から見ても判るくらい進行してしまった。手術前日夕方彼女の担当医が様子を見に来たんですが：医師「いよいよ明日だねえ」彼女「何がですか？（笑）」医師「ははは、まぁちょっと見せてみて…ううーん、何でこんなんなっちゃったの？」彼女「いやー、私の方が聞きたいくらいなんですけど」…そして、この状態だと事と次第によっては乳房全摘もありうると言われた彼女は、いいです、お任せします、と気丈に答えていました（私だったら怒り狂ってると思う）。…手術の結果は彼女のＩＣＵからの戻りとほぼ同時に私が退院してしまった為、聞きそびれてしまいました。ああ、気になる。＊リンバ全摘が決まってしまったのは、Ａ先生曰く「腫れていると、そこが癌であってもセンチネル生検だと色素が入らなくて取り残してしまう危険性が高いから」ですが。…その「リンパ節は1つしか転移してなかったのにゼンブ取られた」話を後日かかりつけの皮膚科医にしたところ「1つも20も同じ。見つかって良かったじゃない」と言われました。で、彼女曰く「私に言ってくれればＫ病院（比較的近くの総合病院で後日大叔母が肺癌の治療で入院しました。オーシャンビューで建物が超キレイなところ）紹介したのに～。切るのすっごい上手な先生がいるし、手術は癌患者優先にするからそんなに待たなくて済んだハズよ」うーむ、ものは考えよう。それにしてもＫ病院か～。そこはまさに行くかどうか迷った病院だわ。でも術後の設備に問題があるかもしれないし、総合病院で癌を見て貰うのは当たり外れがありそうだからと思ってヤメてたんです。何にせよ「乳癌」はかなり病院によって落差があるようなので、総合病院にお世話になるのならば事前にネットや本でちゃんとした乳腺外来があるか＆しっかりした先生がいるかどうかをチェックすることをお勧めします。＊この「検査しながら待たされ期間」結局2ヶ月近くに及んだのですが、おしまい数週間（10月の声を聞く前後）から、患部がちりちり痛み始めました。コワいっ。早く切って～は心の叫びだった次第です。

  2006年07月05日

• 外来あれこれ（乳腺外来編）

  　大体、該当する外来窓口の近くに患者は座って待ってますから、近場の人は似たような病気持ち。つまり私の場合、回りの人の大半が乳癌…（少し奥に甲状腺の窓口もあるので少し混じってます）。でまあ、乳腺エリア、おばさん多し！40～50代の病気ってホントです。なので、そんな中に子連れで行くと猛烈に浮く＆周囲から「お若いのに可哀想に」オーラがそこはかとなく…ええーと、私、これでも40才ですが。が、上には上がいるもので、彼氏？同伴で来た30前後らしき女性とか、生後半年前後と思われるちび連れの母親（おばあちゃん同伴）という、私の倍以上注目浴びまくってる方々もいました。…あ。中でも一番凄かったのは：手術後初めての外来診察の日に居た人ですけど、えー、知的障害者の女性。母親同伴です。身体は40代でも心は5才かもしれない彼女は大病院の雰囲気に超ビビりまくっており、終始「恐いよぅぅぅ」と訴えていました。何しろ採血だの細胞診だの、小さい子が大ッ嫌いな注射針を使う検査は病院では山盛りですから彼女が怯えるのもムリはない。ああー、老若男女ほぼ等しく降り注ぐ災難だからなあ、癌は。こういうこともあるのねとしんみりしてしまいました。　そんな中で、大抵の人は静かに座っているか、本でも読んでいるか。入院中に仲良くなったらしい仲間同士お喋りしている人たちもいるし（退院後の日が浅い人達はノリが異様に明るいのですぐ判るかも…と自分がそうなってみて思いました。骨肉腫組の女の子達も外来会計できゃあきゃあ再会を喜んでたし）、たまには編み物とか…作りかけのパッチワーク（！）を待ち針付きで持ち込んで縫い縫いしてる猛者（ストーマ外来待合エリアで目撃）もいましたが、ゲームで遊んでいる患者は私くらいだったかな（や、折り畳み式のゲームボーイアドバンス持ち込んでる人は一度見かけたっけ）。帽子やスカーフ被っている人がそこはかとなく多い（抗癌剤治療中は髪が抜けますから。病院なんだからいいわよねなノリでカツラ外して車で来る人って夏場なんかは多いかも）のと、各受付の横に貼ってあるお知らせ類がかなり深刻な内容だったりカツラや補助ブラジャー試着会の告知だったりというあたりがちょっと違うかな。それ以外はフツーの大病院の待ち合い室と変わりませんでした。乳癌の場合消化器に直接関係ないから、抗癌剤治療で副作用がキツかったりしない限りゴハンもフツーに食べられるし、乳腺外来エリアでは身を細らせた人って少なかったかも。そんで、ポピュラー＆カーストの低い癌（さる筋によると「乳癌は入門編」だそうです）の為か、患者はやたらと多い。新患は午前中、それも11時迄で受付を閉めるんですが、にもかかわらず延々と長引き、午後に診察予約が入っていた時に2時間近く待たされたことがありました。可哀想に、先生＆看護師一同ゴハンぬきで頑張っても患者の山。やってもやっても終わらない！…で、その日小ちび連れだった私はあちこちから同情され、子供には寝ぐずられ＆こんこんと昼寝され、目が醒めた頃に診察されました。とほほほ。＊午前中診察でも最近は1時間待ち当たり前です（泣）。外来で抗癌剤投与をする患者さんが年々歳々増えていて＞採血の結果が出ないと投与するかどうか決められない＞検査結果が出るのに時間がかかる＞他の患者にもとばっちりが、という図式ができあがってます。とうとう、試験的にですが、化学治療を受ける患者の為に朝8時に採血室が開くという異常事態が起きました（とりあえず今年6月中の予定で。今も続いてるのかなあ）。んきゅーっ。

  2006年07月05日

• 案外呑気ながんセンター

  　私が行ってるがんセンターは運転免許試験場の隣にあります（と言うと、判る人は判るか）。ので、がんセンターに行くバスは免許試験を受ける若い人や書き換えの人、近隣の住民なんかもどさどさ乗って来ます。だから誰ががんセンターに行くのかはバス停を降りないと判らない。これには少しほっとしました。丘の上にあるこの病院は昔は「成人病センター」（つまり循環器系等、がん以外の病気も扱っていた）だったそうで、どちらかというと古い建物ですが、トイレは全個室ウォシュレットフル装備、全フロアに車椅子用トイレ有。手洗いも自動で水が出ますし、床に段差はありません。どうやら患者の為に改築・追加装備しまくっている模様。　初診の時、後から子連れで追い掛けて来たダンナは「ここに来るのはおばあちゃんのお見舞い以来だ～」と言いながらあたりを見回してました。その日はいい天気だったので、お散歩がてら歩いて駅へ。…ま、駅に向かう道が下り坂だからできたことですが、その後、午後いちのバスで受診に向かう私が見たものは＝Ｆ駅（最寄り駅）からがんセンターに向けて車椅子で猛ダッシュしてゆくスキンヘッドの若者二人！病院までずーっと上り坂です！…多分まあ午後に検査か何かがある為に急いで帰る積もりだったんでしょう（うっかりしてて約束の時間に遅刻しかけたと見た）が、いくら若くて筋肉ついてても癌患者、それも抗癌剤で髪も既に抜けてるというのに上り坂を車椅子で爆走…。元気だなあと半分呆れましたけど、けろっとしているのは彼等だけじゃなくて大半の人がそんな調子でした。何しろココにいるほぼ全ての患者がどこかに癌を抱えてやってきたので、「がんセンター」という名称から最初にイメージした同病相哀れむどんよりした雰囲気とはちょっと違う「ま、なっちゃったものはしょうがないから、お互い肩の力抜いて気楽にやっていきましょ」的な、のほほんとした空気が病院全体に流れていました。あ～、癌だからと特別扱いされないっていうのは案外ラクですねえ。それに外来で来る人は来れるだけの元気があるということでもありますし。　それでもすっかり細くなっちゃった人がパジャマ姿でがらがら点滴引いて歩く姿を見るとやっぱり少し憂鬱になります。玄関近くにおばちゃんがやりそうな手芸の数々（編んだ服を着たキューピーとか、何かの紙を沢山使って作った白鳥とか）がさりげなく飾られていたりするのも「いかにも病院～」ぽくて私なんかはちょっと滅入りました。あとね、ここの病院の案内板、霊安室書いてありませんでした。配慮？忘れただけ？それとも今工事してる病棟（一部工事中でした）の中にあったから仮の霊安室を書いてないの？…そりゃ死なないと必要ない場所だから書かなくてもいいのかもしれないけど、みんなの真上に死体があるとは考えたくないし（ホントにひどい状態の患者さんが居る「緩和ケア病棟」は最上階）、どこかに秘密のエレベーターとかあるのかしらん。むむー。　で、何回か通う内に気が付いたのですが（最初は回りを見る魂の余裕なぞなかった）、入り口近くには小さな庭があってベンチも置いてある（前は喫煙スペースになっていたそうです）。天気がいいと看護師や家族に車椅子を押して貰いながら、あるいは点滴のスタンドをがらがらひきずりながらその辺を散策している人もいたりして。点滴しながらだったかな、3人の子供におやつ食べさせているお母さんを見かけたこともあります。お母ちゃん、ちびちびそんなに抱えてこれからタイヘンだねえと2人子供がいる自分の事は棚に上げて同情してしまいました。この母子に限らず中庭は老若問わず親子連れがよく来ました。もちろん私も利用しました（笑）。　そしてこの中庭だけでなく、前庭や入り口のすぐ外などの建物の中から見えやすいあちこちに色々な植物がみっちり植栽してありました。大抵は花の咲くもの。はなみずき、桜、コブシ、ツルキキョウ、ヒメツルソバ（これはインターネットで調べて知った名前。ぽんぽんした丸くて可愛い小さい花が年がら年中咲いている草。大好き）…あ、ウチの近所の植木の下によく植わっている草もある。あれって初夏に小さい白い花がすっごく沢山咲くんだけど、何しろ下草だから写真撮るのが難しい…って、あれ？これもだけど、大概の植物がある程度高いところやちょいと坂っぽいところに植えてある。そうか！車椅子から花を見ようとすると、普通に地面だとあんまり見えないから、わざわざ高めに花壇作って植えてるな。ということは…人形の写真撮るのには絶好のスポットってこと？確かにこの植え方は撮れと言わんばかりだわ。やった～！ビバがんセンター！　うっわー、タイヘンだ。こんなにたーくさんヒメツルソバ咲いてるんだし、入院中に是非写真撮らなきゃ。デジカメは？スティックメモリは？＊結局天気に阻まれて（人形を撮るには曇りの日が撮影日和なんですが、かんかんに晴れてるか超大嵐かのどっちかだった）入院中は殆ど撮れませんでした。退院の時小雨の降る中で1枚撮っただけ。無念。

  2006年07月04日

• 外科医は気が短い？

  　金曜日にがんセンターの門をくぐった私の担当医はＡ先生になりました。あとで判ったんですが、ココの乳腺外科では一番偉い先生で、多分もうお一人の結構有名なＩ先生（彼の担当曜日は金曜ではなかった）と並び、ウチの県でいちばん多く乳腺をちょきちょき縫い縫いしている方である模様。この「いちばん縫っていると思われる人」の日常がどのくらい忙しいかというと：（以下、入院時に判ったＡ先生の推定週間スケジュール）＊月＝午前診察、午後はあれば手術（最近は診察時間が午後までズレ込むので手術予定は入れてないかもしれません）＊火＝手術がなければ分析・書類整理・カンファレンスなどデスクワーク＊水＝午前手術、午後は手術がなければデスクワーク＊木＝終日デスクワーク？（学会の講演で留守だった日もありました）＊金＝終日診察（すんげータイヘン）＊土＝終日デスクワーク（これまたタイヘン＜本人談）…と言う次第で、立て込むと週に2～3人くらいは切っている（ひー）。そして一日の予定が終わると、今度は近々手術を控えている人とその家族に手術の概要を説明するという難儀な仕事、もしくは翌日診察がある場合予約患者のデータの読み込みが待っている。ちなみに私は後日、私と同じ日の午後に手術を受けた人に会いました（ホントーはＡ先生の担当患者ではなかった彼女曰く：手術翌朝「おかげさまでぐっすり眠れました」とＡ先生に言ったら「僕は午前も午後も手術だったからあんまり眠れなかったよ」と言われたそうです。確かに気になっちゃって寝られなさそう）。　最初にＡ先生の診察を受けた時は「これの総てがあなたにあてはまるとは限らないので、一応知識として読んでおいて下さい」と、「術前化学治療」のパンフ（抗癌剤で腫瘍を小さくしてから手術するやり方。当然副作用を始めとして結構コワいことがいっぱい書いてあった…）をほいっと渡して「あと、これとこれとこれの検査を受けてってください。それでは」状態でした。あっと言う間です。で、次の診察時に、最初に考えていたほどひどい状態ではないことが諸々の検査の結果で判ると、大体の入院時期を聞かされつつまた別のパンフ（今度は手術中に一部のリンパ腺を病理検査して転移の有無を調べる方法：「センチネルリンパ生検」についてでした）がささっと手渡され…なんか診察されているのかジェットコースターに乗っているのか判らんぞ、これでは。こちらから聞けばきちんと細かく教えてくれるので悪意がないのはすぐ判りましたが…要するに沢山同じ病気の患者さん診ないといけないので（これは本当。ものすごい人数が外来待ち合い室に陣取ってます）省略できる事は可能な限り省略させてもらいますよってこと？しょうがないな～。でもこっちも対策を考えなきゃだわね。＊後で知りましたが30分に15人ワクで診察の予定を詰めてありました！病院の方針自体がコレではジェットコースターもやむを得ないというワケです。そんな中で数十年働いていたら気も短くなるというものだわ。　そんな具合なので、入院中は朝（8～9時が回診の時間）の回診以外では、Ａ先生の姿を病棟で見かけることはほぼ皆無でした。疾風のように現われて疾風のように去ってゆく。子供を産んだ病院の産婦人科でもこの手合いのえっらいターボかかった先生を何人か見かけましたが、Ａ先生の早さはトップクラス。リニアモーターカーとでも呼んであげたい（笑）…のはいいんだけど、診察の時も、回診の時も、聞きたい事がある時は困る！うっかりタイミングを逃すと虚空の彼方に消えてるんですから。で、記憶をひも解くに：産婦人科の先生達（特に何故か女医）は早い分荒っぽかったんですが、Ａ先生は丁寧。ただし！なんかマーキングして去って行く（笑）。消毒薬が手に付いちゃったら必ずと言っていいほど患者のベッドのシーツでぬぐっていくのは何故であろう。先生が行ったあとで指の跡に気が付いたベテラン看護師が「Ａ先生ったら手術はあんなに上手いのにどうしてこういうところだけこんななのかしらねえ」とぼやきながらシーツ交換してくれましたっけ。このいい加減さと几帳面さは誰かに似ている…と思ったらウチの父でした。なーんだ。操縦法何となく判って来たぞ。　ってんで、しまいには私は聞きたい事を予め手のひらや紙に書いておいてちらちら見ながら会話をし、入院中の回診の時なんかは去って行く後ろ姿にむかって「先生～、×××の薬が退院前に切れるんですけど、どうするんですか～？」とか聞いてました。とほほほほ。

  2006年07月04日

• 呪われた血脈だったっけ

  …という事実は、大抵の方々、倒れてみないと判らないみたいです。というのは、皆（特に若年層～中年層）、周囲を心配させまいとして比較的軽症だった場合は親兄弟にも黙っている事が多い。癌になったと聞いたところで、実は誰某も以前…という話があっちこっちからぞろぞろ出てくるわ出てくるわ。ハナシ聞いてみた患者さん達の大半がそうでした。私も伯父・従姉・大叔母の癌の話をちゃんと覚えていたら生命保険ヤメなかったかもしれません。というワケで、まだなってない皆さん、癌になったらできるだけ早く、軽くても正直に…あ、親には内緒でも若い親族には特に知らせておきましょうね。家系で癌になりやすいってのは確率としては高くないそうなんですが（乳癌で5％前後らしいです。ただしその「5％」は親戚一同全滅状態＆発病年令も比較的若い場合を言うようなので、ウチ程度だと「やや多め」くらいみたい）、一応、お互いの為です。　さて、その「やや多い」私の場合。父方の祖母＝乳癌～再発～死亡（発病が80超えてからだったので進行はとても遅かったす）その弟1＝舌癌で死亡（70過ぎくらい？）その弟2＝老衰で死亡その妹1＝急性白血病（当時は紫班病と言っていた）16才くらいで死亡その妹2＝乳癌（片方の乳房＆リンパ全摘、24年もたって今度は肺に癌が。目下化学治療中）その妹3＝確か老衰で死亡祖母の息子1（つまり伯父）＝大腸癌（摘出・治療後、経過観察中）＋皮膚癌（手術終了）その娘（従姉）＝乳癌（温存手術・化学治療後、ホルモン療法を行いながら経過観察中）　祖母の弟妹は3番目の妹と末弟を除き、年取った途端にやられっぱなしモードです。子供の代では薄まってるみたいで父の従兄弟関係ではあまり発病のハナシは聞きませんでしたが、伯父と従姉と私がやったということは…祖母直系の残りの親族は危険度かなり高いかも～。私の父は自分の父親～私の祖父～と同じように痔で手術（祖父の場合はそこで大腸癌が判明＆胃に転移→死亡）をする羽目になったところで大ビビリモードが入り、以来毎年の人間ドックを欠かしてませんが、その兄と弟は各々ナニか起きるまでは超呑気モードでした。こんなことでいいのか？…といったことを思い出したのはがんセンター初診時。つまり当然病院側もそのあたりのことは気にしているので、新患受付で医師からの紹介状と一緒に提出する問診票裏面に書かされたのが家系図でした。死んだ人は死因も書く、現在闘病中の親族がいたら病名も書くという奴。本で読んだ話では漫画家のソルボンヌＫ子さんちは血管がヨワくて脳内出血方面に呪われてましたけど、ウチの父系は見事に癌です（ちなみに母方は肝臓方面が怪しい。母も叔母も胆石持ち、偏食じじい（苦笑）だった祖父は肝硬変で死にました。実は私もあまり肝臓は丈夫じゃないみたいで会社の健診で2.3回ひっかかった経験有）。ま、大抵の人はナニかに弱いように出来てますから、そんなことをちゃんと知っていたとしても普段はいつか起きるであろう病気に対して覚悟が出来ているかそうでもないかという程度にしか役に立たないんですけどね。でも実際に2代くらい前まで遡って家系図を書いてみると「あいたたた」な状況がよ～く判ります。まだ身体がどうもなってなくても、健康診断や人間ドックを受ける前、生命保険をどうするか考える時とかに一度書き出してみるといいかもしれない。自分のどこが一番怪しいんだか判って便利ですよん。＊私より1年ちょっと前に乳癌を罹患した従姉（独身）はピアニストです。随分長い間オーストリアで勉強していて、帰国後の昨今は生徒教えたり師事している教授の助手をしたりしていますが、そんな彼女にとって腕は命同然。左腋リンパ節全摘を言い渡され、そんなことになったら左手とは言え手先の自由が利かなくなる可能性を危惧した彼女は数カ所の病院を回って相談しまくり、結局最初に行った総合病院で治療したのですが…「可能な限りリンパ節は残して下さい」と超のつく無理を言って手術に臨み、普通の倍以上医師に手間をかけさせてました。で、化学治療の前に髪を切ったのでカツラもほぼバレず、元々眉が濃いめだったので全部は抜けず（それでも睫毛全滅）、「点滴した後の数日間具合が悪いだけだから」と、仕事関係では覆面患者で通すという荒技をやってのけました。とは言えそれなりに心細いことも多かったようで、私の発病の話を聞いて速攻で電話をかけてきてくれた彼女は、この最初の電話で延々1時間以上喋ってました。もちろんこれから色々と試練が待ち構えている私の身を思ってのことなんですけど、本人的にも洗いざらいゼンブ話してすっきりしたかったのかも。やった人・やっている人しか判らないことってありますからね。従姉とはその後、手術後や退院後、治療中にも何度か電話で連絡を取り、経過報告をしたり体験を聞いたりしました。時間的に（何しろ時差1年強ですから）罹患時期が近いので色々と参考になりました。＊後日、妊娠・出産・授乳の一連のプロセスはできちゃった癌を刺激して大きくする事もあるらしいと聞いたので、当時授乳中だったニューヨーク在住の従妹に「子供が卒乳して一段付いたら即検診を受けるべし」と伝言しておいたらホントにしこりが出来てて（！）…結局、癌ではなかったんですけどちょっとびっくりしました。

  2006年07月04日

• 保険ヤメてたぁぁぁ！（悲鳴）

  帰宅後、我に返ったところで気がつきました。しまった。去年、自分個人名義の生命保険解約してたぁぁぁ！だってだってー、2人目出産後で自分の収入が超目減りしてるのに月々1万円以上も払えなかったんだもーん。うえーん。不幸中の幸いはダンナの保険も同時に見直して「ファミリー特約」をつけていたこと。結局、医療費は高額医療支給制度で戻って来るお金＋ダンナの「ファミリー特約」のお金で何とかかつかつですがまかないました。そう言えば元同僚のお母さんは職場のノリで何となく低額のがん保険に入ってたら白血病になってしまい、それでずいぶんお金が助かったという話も聞いてたのになあ。しかし、フツーに治療してるから何とかなってるんで、これがもっと高額になってきたら首が回らなくなる可能性は充分あります。はっきり言って恐怖。差額ベッドだけでもきゅうきゅう言ってました。ホスピスなんていくらかかるんだか（祖母が1ヶ月ちょっとホスピス暮らししましたから今度父にでも聞いてみようと思ってます）考えただけでくらくらします。っていうか、生命保険でよくある「リビング特約（余命半年以内の場合は先に保険金を支払って貰えるアレね）」は緩和ケア／ホスピスの入院費の為にあるのねと妙なところで納得してしまいました。あ、後日お世話になった「高額医療支給制度」も実は善し悪しで、月単位で足切りされちゃうので、月をまたがって（例えば10月から11月までまたいで2週間とか）入院なんかしますと、同じ月内で入退院の人とは支給額がぜんっぜん違ってしまう可能性が。私は2回の入院が両方とも月内入退院だったのでギリギリセーフでしたが、もしまたがってたら足出たと思います。実際、これで悲鳴上げてる人のブログも後日目撃しました。倒れておいて言うのも何ですが、そういう意味では運良かったです。しーかーしー、年単位ではヤられてしまいましたよ私。というのは：最初の給付金が支給されたのが手術の翌年1月。これを前の年内に貰ってたら出せるはずの医療費の申告、1年分フイにしました。ええ、取っておいた領収書を夜中に計算しまくって出た結果が「今年は申告できない（つまり数字の上では黒字になっている）」。がっくりです。ホントにもう。何にせよ：領収書のコピーを取ってから確定申告出せばよかったと反省してますけど、医療費相当かかりました。現在もホルモン療法が続いているので月2万ちょい出てます。通算で7ケタいってるのは間違いないです。世の中には一瞬で死んじゃう人もいるのに、じわじわ忍び寄る死を意識しながら生きていくのって実にお金かかりますよねえ。

  2006年07月04日

• 急転直下week…

  さて、盆明けの火曜日。断乳後なので順番待ちの間、微妙に残ってる乳を搾り（今思い出すと色んな意味で目眩がするなあ）予約時間よりやや遅れてマッサージを受けた私ですが、ちょうど来てた研修生はもちろん、先生も首をひねる感触が右胸にしっかりとあり、これはちゃんと調べた方がいいわねと紹介してくれたのがT大学病院で乳腺外科に居た先生が開業したクリニックでした。フツーに開業医で内科とかの患者さんが大半ですが、地域医療の現場で乳癌の早期発見をめざすべく、きっちりマンモグラフィ（以後さんざんお世話になった、乳癌検診用に特化したレントゲンの一種）も設置、患部の細胞診にも対応できるところでした。で、水曜日の午後は診療がないとのことで、朝早めに上の子供を保育園に送ったその足で市営地下鉄に飛び乗り、それまで行ったことのない駅からまたバスに乗って行きましたよ。昼までなら大丈夫だからと言っていたダンナに下の子を見ててもらうことにして。Ｍクリニックは、奥に検診のキカイのある部屋があることを除けばフツーのこぎれいな医院でした。待ち合い室で気づいた他のクリニックと違う点と言えば1つだけ：大学病院を辞めるということを聞き知った患者さん一同からの寄せ書き（もちろん乳腺外科の）。いい先生だったみたいで、そういう意味ではちょっとだけ安心。でも癌だったとしてもこの先生が手術するワケじゃないですからねー。ココはあくまでもスタートラインですもんねー。で、母乳相談室からの紹介状を診察室で読んだ後、両胸と腋の下の触診＆超音波診断を受けました。で「腋には飛んでないようですが、右胸はかなり怪しい。とにかくマンモグラフィと細胞診しましょう。写真で多分すぐ判るとは思うけど、細胞診の結果が出るのは1週間後だからまた連絡して下さい」…ええと、細胞診とマンモグラフィ、どっちを先にやったか忘却の彼方なんですが（理由：告知話をするのはホントーに腰が引けて。書いている現在で2年近く経ってるので細かいことを覚えていないという）、マンモグラフィ撮影の為にキカイに挟んだ胸がすっごく痛かったのと、細胞診の針がえらく太く感じてビビリが入ったことだけはよく覚えてます。それでここからが問題なんですが：細胞診で患部を吸い上げてみたところ、乳詰まりの石灰化（つまり癌にはなってない）の場合はたまった乳が出て来るんですけど、細胞組織が上がってきたからこれは癌の可能性が高い、と。で、マンモグラフィの結果が出るまで30分くらい待たされたかな。で：細胞診の結果を見るまでもなく、ほぼ間違いなく癌ですと言われました。そして「僕から紹介するんだったら、前に居た大学病院にってのが筋なんだけど、F市（県内だけどウチからはえっらく遠い）だから通いきれないでしょう。県立がんセンターだったら貴女のところからなら電車で1本でしょう？そちらに紹介状書きますね。あ、水曜日と金曜日が乳腺外来の日ですからこれから行かれては？」ちょっとちょっと、癌だって言われたとこで私の頭オーバーフローですー。それにここだけ行く積もりで来たから自宅でダンナに子供見ててもらってるんですが。「…（私の様子を見てがんセンターに電話をかけるのを止めつつ）じゃあそれは金曜日以降ということで。で、御主人がお子さんと家でお待ちなんだったら、来てもらったらどうですか？こちらは昼までで普通の診察は終わりですし、もう一度改めてお話しましょう」頭がぐるんぐるんになりながら診察室を出て来ると、受付のお姉さんが「こちらから電話をおかけになりますか？」待合室に筒抜けじゃんよー。「いいです、外から電話します」えー、隣のコンビニ前にあった公衆電話で連絡しましたが、彼にどう説明したかはよく覚えてません。とにかく小一時間で来れるからということで、彼と下の子が来るまで待合室で待ってたんですが、キツかったす。本読んだって右から左、持ってきてたゲームボーイやっても上の空です。時々どうしても涙が出てきた時はそっとクリニックの外に出て、隣の建物との間に隠れてしくしく泣いてました。あ、そう言えば、その日の午前中は雨降ってました。段々気持ちが落ち着いて、ゲームボーイの「風来のシレン」で20階くらいまで行けるようになり、ゲイズとミノタウロスに囲まれたところでダンナが来ました（最初のうちはボロボロでいいとこ4.5階あたりで倒されてました）。ほぼお昼です。で、ダンナ同伴で聞いた話はさっきの診察時とほぼ同じ。そして金曜日にがんセンターに行くのがほぼ本決まりに。帰り道は駅まで徒歩で行った覚えがあります。雨が上がってて、途中の公園で子供を少し遊ばせたりしました。

  2006年07月03日

• 寝ていて気付いた

  えー、乳癌に悪そうな事をかなりやってきたと思います（苦笑）。甘い洋菓子大好きとか、そういうつまらないことまで含めるとですが。　そもそも：初産が35才（本当はもう1～2年早く産む積もりだったんだけどこればかりはねぇ）。2人産んだ娘は母乳で育てましたが、「男の子だったら良かったのに」「双子でもイケるかも」と言われる程よく出る割に詰まりやすい乳だったので、近所の某母乳育児相談室に毎週のように通ってマッサージしてもらってました（今にして思うとコワい…でも乳詰まりにはホントーによく効いたのよ）。で、記憶をひも解くに右はよく詰まった。上の子の場合は「いきなり栓が出来た」的な詰まり方で、しょっちゅう白点（詰まった栓が乳首から透けて見えてると思って下さい）ができましたが、下の子は「常時そこはかとなく調子が悪い」でした。そんで、上の子がよく詰まらせた腺は外側でしたけど、下の子で難儀したのはまさに癌化した場所。一度だけ血の混じったいわゆる「血乳」が出たりして、今にして思えばそこで検査に行けば良かったのかもしれませんが、どうやら私自身も先生も軽く見てましたね。子供も小さかったし。乳飲んでる当人も「あんまり美味しくない…」と思うことがあったようで、歯が生えてからはよく乳首を噛まれました。両乳（そうでなくても左はまずかった模様。上の子もノリが悪かった）しっかり噛まれて傷が出来、授乳の度にひーひー言っていた時期もありました。調子が悪いと「里芋粉」という、自然食品店や病院売店で売られている粉を水で溶いて湿布を作り、胸にぺたり。乳腺にこもった熱がかなりこれで取れますがずいぶんお世話になりました。　母乳育児相談室では、断乳（今は卒乳と言うのね）の後、まず翌々日にまる一日相談室にお籠りしてたまった乳を絞るというのをやります。子供は気分転換も兼ねてパパやおじいちゃんおばあちゃんに見ててもらいます。かんっかんに堅くなって熱を持った乳を絞った（尤も、この時はできるだけ乳輪の外には触らないように指示されるので病巣押したワケではないんだけど）ことを思い出しただけで卒倒しそうだわ、癌になっちゃった今では。その後も何回かケアしてもらい（その間隔を少しずつあけていきます）だいたい半年後くらいでお終い、というのがおおむねのスケジュール。上の子の卒乳時は年明けに最後の1回の予約を入れていたら次の子が出来たので胸を触れなくなっちゃって「最終回」は結局経験しなかったなあ。　私が通っていたところの先生は某式相談室の先生達の中でもかなり古株の一人（壁に貼ってあった認定証の番号が1ケタ）でしたが、診ていた中で卒乳後に癌が見つかった人は私が初めてだったようで、通わなくなった後も何回か連絡を貰いました。　さて。04年5月下旬に下の子が母乳を卒業し、「次の生理が終わったら連絡をちょうだい」レベルまで胸が落ち着いてきたお盆寸前。子供達を寝かし付けた後、上を向いて寝転びながら何の気なしに胸を触ってみたら右胸にしこりを見つけてしまいました。お盆ですから母乳相談室も当然お休み。一晩悩んだ末、翌晩ダンナに「実はかくかくしかじか」と話して触ってみてもらったところ「…結構大きいんじゃないの？」ううーん。一応盆明けに母乳相談室の予約は入れてあったので、その時に相談してみるということにして、暫く様子を見る事にしました。　あ、この時点では痛みもなし。触って「なんかヘン」というだけ。…実はここでもうひとつ白状しますと、7月頃「飲んだら痩せて胸も大きくなる」という謡い文句のダイエットサプリをインターネットで買って飲んでました。1箱＝ほぼ1ヶ月分ですね。これで癌細胞をすっかりいい気にさせたような感じもしますが、痩せたかどうかという方は：一時は4キロ程落ちたものの下の子の誕生日にとんかつ屋に行ってあれやこれやと揚げ物食べたら戻ってしまいましたとさ、程度。何だかねえ。すっごい損した気分です。そのサプリ買ったネットショップからはその後時々ＤＭメールが来ましたが、お店が悪いワケではないものの、その度に思い出してはむっとしておりますです。

  2006年07月03日

• はじめに。

  　まだ癌につかまらないうちにここに来られた方：当たり前のこと聞きますけど、癌ってコワいですか？あと、他人事と思ってませんか？…　私はそうでした。今でもそりゃもうコワいですが、ただビビってても何も変わらないことだけはかろうじて学習しました、とりあえず。まずそこがスタートラインでしょうかねえ。　癌との闘病という言い方は私はあまり好きじゃないです。だいたい、よく言われる「頑張ってね」も、一体ナニに対して頑張るのか、さっぱり判らないと思いません？もし気合いで癌を乗り切れるんだったらみんな直ってますよねえ（タメイキ）。　どちらかというと、癌をどうこうするというのは闘いの種類で言うと離婚訴訟に一番似ているのではというのが、色々な患者さんの姿を見ていて私が感じた結論。よくワケの判らんヤツに気が付いたら籍を勝手に入れられており、そいつと必死で別れようとしてあの手この手を講じまくる、という雰囲気が癌の治療風景に一番近いと思う。うまいこと逃げ切れた人、うっかり復縁されてしまった人、本意でないながら添い遂げてしまった人…。　で、私がひっかかってしまったのは乳癌です。皮膚に割と近いこともあり、大抵の場合は発見がしやすく、手術の効果も治療の利き目も結構あって、しかも進行が癌の中では比較的遅い。が、最大の問題は場所で、メンタルなショックもさることながら発見が遅れた場合や癌の性質・できちゃった場所によっては片胸まるまる取らねばならなくなる（昔は否応無しに取られたことを思えば今は極楽。片胸ゼンブ取った大叔母は後年主治医に謝られたそうです）。そして進行が遅い代わり執念深くて、安全宣言が出せるのは10年が目安です（他の癌の倍）。　乳癌は最近若い世代に多く発見されるようになりました。食生活の変化や晩婚化の影響とかも言われてますし、啓蒙イベントがあちこちであったり関連本もばんばん出てますが、何か見てるとどこか辛気くさいんですよね。そりゃまあ放っとけば間違いなく死にますから深刻なのは確かですけど、人は誰だっていつかは死にます。それを「闘う」ノリだけで熱く語られてもなあ。そもそも、ゆっくりと自分の「死」について考えながらその日への準備が出来る分、癌はラッキーな病気じゃないでしょうか。だって考えてみて下さいよ、ある日唐突に…例えば心筋梗塞で死んだとして、その後で他人には絶対見られたくないあんなものやこんなものが遺品の中からぞろぞろ出て来たらイヤでしょ～？そう思うのは私だけっすか？　勿論、私も癌の告知された時はショックだった。呆然としている姿を見兼ねた医師が「御主人がお子さんと家でお待ちなんだったら、来てもらったらどうですか？もう一度改めてお話しましょう」と提案してくれました。が、私ときたら彼が着くまでの小一時間、待ち合い室で泣きながら…ゲームボーイしてました（笑）。「風来のシレン」＝産婦人科の待ち合い室でも手放せなかった魂の友ですが、こんな時まで一緒とは思わなかった。はなっからそんな具合だから、醒めているんだかナメているんだかという妙な患者になってしまったんですかね。…待てよ。もしかしたら治療のほぼ初手からハラの座った人たちばかりを見てしまったのでそういう考え方をするようになったのかもしれない。何しろ「がんセンター」に来る人達の大半は来る前に告知されているか、さもなければ健診でひっかかって来ているので、普通の総合病院のように「もしかしたら…」と疑心暗鬼状態でやって来る人はあまり多くありません。他の病気の人も居ません。入院でもしようものなら隠し事ゼロ状態です。動揺したり慟哭したりというのは来る前に大抵済ませてます。病院としてはかなり特殊なハズです。　さて：私、04年に乳癌に取り付かれてたのが発覚しましたが、まんまと別れる（予定）までのいきさつをまずは軽いノリで読んでみて欲しいなあと思ったのが書く気になったそもそものきっかけです。みんなごんごん泣きながら、あるいは歯を食いしばりながら必死で生きようとしているようなイメージが癌患者にはありますけど、案外実体はこんなもんです。へろへろ～んってね（笑）。だってぇ、気合い入れてばっかじゃ文字通り身が持ちませんから（笑い飛ばさなきゃやってられないとも言う）。いやホント。　そんなこんなで、おつき合いの程、よろしく。＊「唐突に死んじゃうとどうなるか」、後日それに関連するブログを発見しました。こういう仕事で頑張っている皆さんにはただもう頭が下がります。でも、ここの内容、ホントにもーう凄過ぎですけど、本にはなっても映像にはできないでしょうね。とにかく人間って色んな意味でナマモノだから生きるのをヤメた後の片付けがタイヘンなんですよう。ちゃんと病院で死んでも、お葬式の後、遺品の山を前にして途方に暮れる遺族は物凄く多いそうです。昨今は生前に遺品処分業者に予約入れる（そして遺言状に予約を入れた会社名を書いている）お年寄りも居られるそうです。私ここ読んで、自殺する気が雲散霧消しました。実は気持ちがぐらついた時に読みに行ってます。こちらね。http://blog.goo.ne.jp/keepers_real/

  2006年07月03日

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