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カテゴリ:債権回収
少し前にこんなニュースがありました。
私が相談を受ける債権回収の事案でも、割と心当たりのある話なので印象に残りました。
「頂き女子の参考書」恋愛詐欺マニュアルを販売 容疑で25歳女逮捕 「相手の恋愛感情を利用した詐欺の手口を記載したマニュアルを販売したなどとして、愛知県警は23日、詐欺幇助(ほうじょ)容疑で住所不定、自称店員の渡辺真衣容疑者(25)を逮捕した。」
その他のインターネットの記事(主に文春オンライン)によると、このマニュアルで男性にお金を出させる手口は ・まず男性を惚れさせる ・かわいそうな女子を演じる ・借金の支払が迫っている等と病んでいるふりをして、男性に「助ける(お金を出す)」と言わせるように誘導する ということです。 「信頼関係構築」「お金を頂くための会話」「アフターケア」の3ステップに分かれており、それぞれのステップごとに詳細な説明があるようです。
ちなみに、金銭を要求しやすい相手の特徴は (1)寂しがりや、孤独を感じている (2)特に趣味もなく生きる意味を見いだせていない (3)人に頼られたことがない (4)女がらみが少なく恋愛をあまりしたことがない (5)借金経験があり金銭管理が得意ではない ということでした。
逆に、 ・体目当て ・金を払うといって払わない ・生活が充実している ・自己中 という人は、金銭の支払を期待のできない「くそおぢ」らしいです。
ネット上の記事によるとオープンチャットには2020年時点で300人ほどの女性がこのマニュアルに関するオープンチャットに参加していたということですが、これほどの人数が他人から金をだまし取るために必死に勉強しているというのは何とも言えないですね。
このマニュアルについて、記事を読んでみると「よく考えられているな」と思う部分もありました。 例えば、 相手に金を求める際も、直接的にはお金を貸してほしいと求めず、困っていたり病んでいたりするふりをして、相手の方から「助ける(お金を出す)」と言わせる とか、 アフターケアを重要視し、ここを疎かにしないように強く求めている という点です。
被害者側が自分からお金を出すよう申し出たという事情があると、お金を騙し取られたとしても刑事上の詐欺に該当するとは言いづらい(立証上の問題もある)ですし、民事でお金の返還請求をするにしても貸付の事実の立証が難しいです。 また、アフターケアをちゃんとすることで、相手が詐欺に遭ったと気づかないようにしたり、さらなるお金の要求ができるようになります。 これらの点でもできる限り詐欺と言われないように注意していると思われます。
ただし、詐欺罪での立件を防ぐために万全といえるかというとそうでもない部分はあります。 まず、これはマニュアルを売って稼ぐというビジネス上の観点から仕方ないのかもしれませんが、そもそもこんなマニュアルをデータで残している時点で詐欺幇助の証拠を残しているといわざるを得ません。
また、私は記事を読んだ限りですが、このマニュアル上では「おぢ」との会話は基本的にLINEで行うことを前提とした記載になっているようです。
逆の観点から考えると、もし女性からお金を要求されている「おぢ」の立場であれば、ちゃんとお金が必要な事情を(LINE等の記録に残る形で)聞いて、お金が欲しいということを相手に明らかにさせ、さらにお金を出すのであれば借用書を作成させた方がよいということになります。 後の立証(民事でも刑事でも)のことを考えると、何事も記録に残る形にしておいた方がよいですね。 そもそもお金を出さないというのが一番ですが。
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最終更新日
2023.09.02 10:03:07
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