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カテゴリ:債権回収
裁判所の手続で法人が当事者となる場合、いちいち資格証明書が必要になります。
手続において会社の代表者の資格は書面で証明する必要があるためです。
民事訴訟規則
裁判所のHPや案内でも以下のように資格証明書が必要とされています。
「訴状を提出される方へ」
債務名義に基づく差押え 4.資格証明書 債権者,債務者,第三債務者が会社や銀行などの法人の場合,差押命令を申し立てた日から1か月以内(債権者の場合は,2か月以内)に発行されたその法人の商業登記事項証明書(代表者事項証明書で可)が必要です。法務局で発行しますのでお近くの法務局にお問い合わせください。
ここでいう「資格証明書」とは上記案内のとおり法人の代表者事項証明書や履歴事項全部証明書を指します。 これらの書類は法務局に行けば基本的に誰でも取得することができるので、基本的にはこれらの書類が取得できないという問題は生じません。
しかし、稀に代表者事項証明書や履歴事項全部証明書が取得できないという事態が生じることがあります。 それは、法人の登記手続中である場合です。 登記実務上、法人の登記申請がなされたら、登記手続が完了するまでの間、代表者事項証明書や履歴事項全部証明書を取得することができません。 さらに、申請された登記事項が多いときは登記手続にかかる時間も長くなる傾向があります。
私が扱った債権回収事件で、 また、管轄法務局に問い合わせたところ、多数の登記事項があるため登記手続が完了するまで10日以上かかるとの回答でした。 しかし、10日以上も待っていたら、相手方が保険を解約し、差し押さえるべき解約返戻金が支払われてしまう可能性があります。
そこで、次の書面を提出し、代表者事項証明書や履歴事項全部証明書に代えて、債権差押命令申立ての資格証明としたことがありました。 ①当該保険会社のホームページ(代表者の記載があるもの) ②当該保険会社の過去の登記情報 ③以下の事項を記載した上申書 ・現在、第三債務者が登記手続中であるため代表者事項証明書の取得が不可能 ・登記手続の完了は●●日の予定 ・過去の登記情報によれば▲▲氏が代表者となっているが、当該保険会社のホームページによれば●●月●●日に●●氏が代表者に就任したと記載されているため、現在の代表者は●●氏である ・仮に第三債務者の代表者事項証明書の取得を待って債権差押命令が発令された場合、第三債務者への債権差押命令の送達までに債務者により差押債権が換価され、費消される虞があるため、早期の債権差押命令の発令を求める ・代表者事項証明書を取得でき次第直ちに追完する
最終的には担当裁判官の判断になるため、このような処理が全国の裁判所で認められるかは分かりませんが、私が扱った事案ではこれで代表者事項証明書取得前に債権差押命令が発令されました。
資格証明書が取れないということになった時はどうなるものかと思いましたが、やってみたらどうにかなるものですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.07.23 09:41:41
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