庚申塚の老舗店にまた振られる
とある夜,大塚駅にて下車しました。北口を探索してみることにしました。北口と言ってもガード沿いのいかがわしいエリアや大塚北口商栄会なる風俗&呑み屋通りでもなく,都電荒川線と白山通りに沿うように伸びる細い通りを歩いてみることにしました。この通り,閑散としており,しかも店舗もまばらにしかありませんが,「こなから」を振り出しに「串駒 本店」や「串駒房」といったお高めの銘酒居酒屋が連なる一方で,渋くて居心地のいい「伊勢元」や新興店ながら確実に常連を獲得しているらしい「呑み家 とごとご」,その古さが格段の味わいを醸す「天平食堂」などが連なるあまり知られざるエリアなのでした。こんな通りなのできっとまだまだ見逃しているよい酒場があることを期待してか細く明かりが灯るばかりの暗い夜道をひたすらに歩くのでした。 さしたる収穫もなく歩くうちに巣鴨新田電停の入口となる交差点を通過,さらに歩いたところに「台湾屋台小料理 秀美」というお店がありました。あまりにも空腹だったため,居酒屋ではありませんが入ってみることにしました。特段どうってこともないどこの町外れにでもありそうな店舗で,台湾料理店なのに違和感ありのなぜそう名付けたのか「秀美」という店名がなければ今となってはまったく記憶に残っていなくても仕方がなかったかもしれません。やさぐれた雰囲気の漢民族らしき男性2名にはやはりそれぞれ女性が寄り添っています。店の若いお兄ちゃんが注文を取りに来ます。慌ててメニューをめくってみたら,これがびっくりするようなけっこうなお値段。町場の中華料理店としてはいささか庶民的とは言えない価格なのです。これはおつまみはほどほどに2,3杯だけ引っ掛けてさっと立ち去るのが得策と考えました。値段控えめで,時折無性に食べたくなるチャンツァイ(香菜)がばりばり食べれそうな肉みそかけがあったので,注文してみることにしたのでした。これが想像通りにおいしくてちょっとだけうれしくなります。でも財布の心配をしてしまい,これだけでビールとウーロンハイを空けざるを得なかったのでした。 ここまで来てしまっては庚申塚電停のそばにある名酒場を無視するわけにはいきません。そう「庚申酒場」です。でもやはりこの日も人の気配はあれど,店は閉まったままなのでした。無念。―昨夜,とある酒場で居酒屋マニアのカップルに遭遇,お二人の話ではばあさん,11月に骨折して店を閉めていたそうですが,今ではすっかり具合がよくなってピンピンしているそうです。近日の再開に向けて意気込みまんまんとのことでした。― 板橋駅方面で呑むときはいつも節約のために駒込駅,巣鴨駅,大塚駅を起点にひたすら歩くということをしていたのですが,いずれの駅を起点にしても必ず通る道があって,明治通りにほど近い場所に「とり福」があることも知っていました。なかなかよい佇まいで何度も立ち寄ることを考えたものですが,結局立ち寄ることのないまま今に至ってしまいました。この機を逃すとずっと入れないままになってしまうのだろうと思い切って入ることにしました。外見で感じた通りのよい雰囲気。先客は2名でいずれもかなり年配のオヤジでした。早い時間から呑んでいるようで,持て余したらしい肴にも手を付けずだらだらと呑んでいて,タイミングを計っては女将さんに下ネタ中心のちょっかいを出しています。こういうところが板橋らしさと言っては失礼でしょうか。品書きをみると板橋の相場としてはけっこういいお値段で,ちょっとひるみます。安い生揚げを注文すると,これでもかとばかりに大量のねぎをまぶしてくれて,お通しのしらすおろしをまぶしたりして食べるとこれが予想以上においしかった。酒も塩梅よく燗されています。お勘定すると不思議なことに案外にお手頃な値段でした。お通しはサービスなのかもしれません。って,ここまで板橋と連呼していましたが,実は豊島区西巣鴨だったんですね。板橋区民の皆様には重ね重ね失礼しました。品書:生中:550,ウーロンハイ:430,とりもも:190,ねぎま:170,つくね:140,イカ丸焼:600,うずら:200