天使の降りた家

ほのかが産まれる前、我が家では『きょうだいげんか』たるものがなかった。
弦ちゃんははるとの事が誰よりも大好きで、
自分の分身かの様にいつもワクワクした目で見つめていたし、
はるとにとっても、弦ちゃんは全くの無害で
自分の嫌な事は何にもして来ないし、物の取り合いもないし、反発もしない。
二人はただただ大好き同士の楽しい存在でいた。

この状況に、私はもう一人きょうだいが居たらなぁと思った。
きょうだいげんかが出来る存在が。
きょうだいでけんか出来るという事は、人間関係の勉強にもなる。
家庭という小さな社会の中で、子供同士であーだこーだと言い合える存在がいたら
けんかの方法も、仲直りの方法も、相手への思いやりも
色んな事がぎゅっと経験出来る。

親だとどうしても、子供に譲歩してしまうから
本気で言い合いや殴り合いをする事が出来ない。
友達でも、相当仲の良い子でなければ、そこまで本気でぶつかれない。

やっぱり子供同士がいいんだよなぁ・・・と。


そしてついに、願っていた妹が誕生し
赤ちゃんだった妹も２歳を過ぎると、いっちょ前に口で言い返す様になった。
次男のはるととは６歳も離れているから、
けんかも大してないのかと思っていたら・・・


ところが、どっこい！！

もーーー、毎日喧嘩してます！（笑）

けんかのきっかけは、大体がちょっとした事なんだけど
ほのかがはーくんの持っているおもちゃを欲しがるとか
はるとの食べているお菓子をくれないとか
テレビのチャンネルを変えられたとか

そんな時、初めは口で言い合っているけど
やがてはるとは有無を言わさず、バシッと叩き
それにほのかが果敢にも応戦し、力では到底敵わずギャーギャー大泣きとなる。

初めは私もお互いの意見を聞いて、どうしてそうなったのか
お互いの気持ちを代弁したりと、間に入って取り繕ったりするけど
数分おきに毎日の様にけんかを繰り返すので
５回目位になると私も堪忍袋の緒が切れて
「いい加減にしなさーーい！！」と雷が落ちています。


ここに弦ちゃんが入ると、面白い状況になる。

はるととほのかがいつもの様に物の取り合いになる。
「はーくん、ちょーだい！」「ダメ！」「ちょーだい！」「ダメ！」
二人は一歩も譲らず・・・じりじりとにらみ合いの
一発触発の空気。

すると、そのピリピリとした空気に耐え切れず・・・
弦ちゃんが「ウワーーーー！！」と泣き出す。
「もうやめてーー！」と言わんばかりに、弦ちゃんの泣き声が響く。

すると不思議な事に
イライラMAXだったはるとが、すーーーっと怒りが静まり
ほのかが「ゲンチャン、ダイジョーブ？」と顔を覗き込んでくる。

張りつめていた空気が、弦ちゃんの先泣きによって
空気がガラッと変わる。
しばらくすると、はるとが
「ほのか、あげる」と頑として渡さなかったものを渡したりする。
そして、そのままけんかがなかった様に、普段の生活に戻ったりする。
弦ちゃん、やるなぁ！

弦ちゃんの空気を読む力は、すごい。
弦ちゃんのおかげで、いつの間にか仲直り出来てしまう。

はるとはイライラMAXの時は、腹が立っている状態だけど
弦ちゃんが泣いてアクションを起こす事で、
数秒間のクールダウンの時間が産まれる。
その事で、頭が冷やされて怒りが少し収まるんだろうな。



「はーくん、あーんちて～」
ほのかのお世話しぃに敢えて合わせてあげている、優しいはーくん。

2歳のくせに、ほのががいっちょ前すぎるのか
６歳上のはるとと、充分対等に喧嘩している時がある。

はるとは段々と、ほのかへの言い聞かせ方も上手になって来て
２歳のイヤイヤ反発する妹に、あれこれと機嫌を取りつつ
ちゃんと教えようとする所もあり、

自分の思い通りにいかない、妹と言う存在が
彼にとってはいい勉強相手になっているのかな、と思う。



雨の日のバス停で。
「あたちがかさをさしてあげる！」
小さな傘でお兄ちゃんにも
さしてあげようとしてるの。
なかなか兄思いの妹なのだ。



公園で、ありを見つけたよ。
二人でくっついて、アリの巣を観察中。
ほのかがキラキラした目でありを追いかけて、弦人もそれを一緒になって見つめています。
可愛い～💓



毎朝、車いすの手すり台にちょこんと乗って、くっついて登校。
たまに寄りかかりすぎて、弦ちゃん迷惑そう～にしつつも耐えています！
「お・・・重いよ・・・」
優しいお兄ちゃんですねー(*^^*)