カテゴリ:本の感想(か行の作家)
北村薫『覆面作家の夢の家』 ~角川文庫、1999年~ 覆面作家シリーズ全三作の最終巻です。三つの短編が収録されています。簡単に内容紹介と感想を。 「覆面作家と謎の写真」良介の兄・優介と結婚した静の友人が持っている、一枚の写真にまつわる物語。晴れた日に友人とディズニーランドを訪れた静。友人が持っているそのときの写真を見ていると、ニューヨークに行っているはずの同僚がそこに訪れていたのだった。 「覆面作家、目白を呼ぶ」マルハナバチを題材に小説を書いた金山真奈美のもとを訪れた良介。彼女の作品が、受賞作となったのだった。彼女の職場の同僚が、良介と帰る方向が一緒というので、その同僚について行った帰り道。彼女は山道をどんどん進んでいき―崖から転落してしまった。 「覆面作家の夢の家」良介が担当している作家・由井先生が、ドールハウスの趣味で知り合った藤山氏から、ダイイングメッセージのシーンを示したドールハウスを送られた。ミニチュアの藤山氏は、<恨>の文字を残している。二人の関係から考えると、恋愛感情を示しているとも思われるが、それにしても<恨>では…。由井先生は、良介と覆面作家に、一緒に謎解きをしようともちかける。 久々の再読です。最初に読んだときも、第二話の「覆面作家、目白を呼ぶ」にぞっとしたのを覚えています。今回は、そのときの記憶が多少あったので、それほどの驚きはありませんでしたが、それでもぞくっとしました。 たしかに、どの話もミステリとして面白いのですが、今回は、良介さんと千秋さんの仲の進展にわくわくですね。最初に読んだとき、本書のラストがとても印象に残っていたのですが、今回も感動しました。いやはや、セリフも覚えていたのに、なんかもう照れくさくて、テンションによっては笑い飛ばしたくなるようなシーンかもしれないのですが、それでも素直に良かったと思いました。特に、第三話は、意味不明のダイイングメッセージ(というか、暗号ですね)がするすると説き明かされる過程もわくわくして読みました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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