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2007.09.10
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筒井康隆『夢の木坂分岐点』
~新潮文庫、1990年初版(1992年第6刷)~

 谷崎潤一郎賞を受賞した、長編です。私の読解力と文章力では、大した内容紹介はできないので、印象をつらつらと。

 ずっと読むのを楽しみにしていた作品です。タイトルがとても綺麗ですし、ある人物がいろんな生き方をしていく物語、と漠然とした印象があったからなのですが、実際読んでみて、なんとも不思議な作品でした。

 ある人物(小畑重則だったり、大畑重則だったり、大村重昭だったり…)が、夢と虚構を行き来する物語でした。裏表紙の紹介では、「夢と虚構と現実を自在に流転」とありますが、私自身は、この人物(作中、中盤では「彼」と呼ばれ、先にあげたような様々な名前をそのときどきでもつことになります)が、「現実」の中に戻っているようには感じませんでした。戻っているというか、そもそも、最初から最後まで夢と虚構を行き来しているように思いました。といって、そもそもが小説という虚構の世界のことですので、現実だのどうこうというのは奇妙なのですが、作中の現実というものを一般には了解して読み進めていることと思います。その中で、作中で登場人物が夢を見たり、ということはあるわけですが、本作には、そういう雰囲気が希薄なように感じました(…と、こうしたことは、井口時男さんによる解説も踏まえて書いているのですが)。

 サラリーマン。仕事のかたわら執筆した作品で文学賞を受賞したサラリーマン。専業作家。…などなど、主人公はどんどんその属性を変化させますが、その中で重要な役目を果たすのが、夢の木坂駅です。「彼」が夢の木を見つけられるのか、というのが、わくわくしながら読んだ要素の一つです。

 主人公の名前がどんどん変わるのと同様、その妻、娘、会社の同僚などの名前もどんどん変わっていきます。そうした不思議な雰囲気もあり、会話文が少なく、地の文はそうした混沌とした情景を割とたんたんと描くこともあり、最近の読書ペースで読むことができませんでした。逆に、ゆっくり味わいながら読めたともいえますが、そういうには、なかなか読みが不十分だったようにも思います。

 しばらく時間が経ったとき、あらためて読み返したい一冊だと思いました。





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Last updated  2007.09.10 06:59:17
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