カテゴリ:本の感想(た行の作家)
辻村深月『ツナグ』 ~新潮社、2010年~ 大好きな作家の一人、辻村深月さんの新刊です。 簡単に内容紹介を書いた上で、感想を。 生きている間にただ一人だけ、死んだ人に会わせてくれる人がいる―。そんな話を聞いて、4人が生者と死者の仲介する使者(ツナグ)に会いに来ます。 彼らが出会うツナグは、彼らの想像に反して、まだ高校生くらいの男性でした。 急逝した女性タレント、実母、親友、失踪した婚約者…彼らが会おうとする人も、その理由ももちろん様々です。そして、出会った結果、生きている者たち、そして死者たちが感じる思いも。 基本的には短編集ですが、最後の一話で、ツナグの視点から物語が描かれることで、後日譚が見えたり、ツナグ自身の思いも見えてきます。 本屋でこの表紙を見て、思わず手にとりました。経済的な事情や保管スペースの問題から、なるたけ小説のハードカバーは今は買わずにおこう…と思っているのですが、本書の装丁はあまりに素敵でした。 そして内容も、期待を裏切りませんでした。 帯に書かれた概要から、ぜったい私は泣くと思っていましたが、最初の3話はなんとか大丈夫でした。が、第4話(「待ち人の心得」)は、もう涙があふれてきてしまいました。本書の中で、特に良かったと思います。 最近は仕事も忙しく、また生活の方も大きく変わることがあって、なかなか小説を読んでいませんでしたが、ゆっくりと物語を読む時間を、とても幸せに感じました。本書のように素敵な物語なら、なおさらですね。 良い読書体験でした。 (2010/12/05読了)
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