カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
横溝正史『青髪鬼』 ~角川文庫、1981年~ 横溝さんのジュヴナイル作品です。表題作の他に、3編の短編が収録された作品集です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー 「青髪鬼」 三人の死亡広告が新聞に載せられた。しかし名前が載せられた三人は、全員生きていた―。 腕利きの記者・三津木俊助を訪ねてきた客の対応をした、新日報社の探偵小僧こと御子柴進は、三津木に渡してほしいと封筒を置いて、慌てて帰って行ったその客を尾行した。男を追う御子柴は、もう一人の男がその男を尾行していることに気付く。そして男は、公園で殺された。現場にいた男は、恐ろしい形相をして、その髪の色は真っ青だった…。 さらに、事件は謎の怪盗、白蝋仮面も現れる。 はたして青髪鬼の正体は…? 「廃屋の少女」 夜中に忍び込んできた泥棒に、千晶は事情を聞き、妹のためと知ると、お金と人形を手渡した。泥棒は感謝して帰って行ったが、その後…。 叔父たちとともに出かけた先で千晶は軽気球に乗るが、その気球の綱が何者かに断ち切られてしまった。そして千晶は、落下した先で悪者たちに捕まり、廃屋に監禁されてしまう。ところが、千晶にある人物が救いの手を差し伸べて…。 「バラの呪い」 S学校3年の鏡子は、テニスの名選手である。彼女とダブルスで組んでいた妙子は、この春に亡くなってしまった。鏡子は今年の試合では、シングルで戦わなければならない…。 そんな中、学校の寄宿舎で、幽霊が出るという噂が立ち始める。 そしてある日鏡子に送られた花束の中には、脅迫めいた言葉の書かれたカードが入れられていた。 「真夜中の口笛」 病弱な益美は、叔父で昆虫博士の片桐と、温泉旅館に逗留していた。 ある夜、益美は口笛の音を聞く。彼女は、以前に姉を亡くしていたが、姉は死ぬ間際に、口笛の音が聞こえ、悪魔の手が現れたと話していた。そのため益美は、真夜中の口笛を極度に恐れていたのだった。 温泉旅館で知り合った青年の雄策はその話を聞いて、安心するように彼女を諭すが…。 ーーー 個人的には表題作よりも、短いながらもきれいにまとまっている短編3作の方を楽しく読みました。特に「バラの呪い」は、幽霊の噂や脅迫状など、スリリングな展開、そして鏡子さんが知っている「秘密」が気になり、楽しく読みました。 表題作も、単なる怪人との戦いには終わっていないのが良いです。 楽しく読める一冊でした。 ※表紙画像は横溝正史エンサイクロペディア様からいただきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.12.22 19:33:02
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