カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
横溝正史『まぼろしの怪人』 ~角川文庫、1979年~ 横溝正史さんのジュヴナイル長編作品です。 新日報社の社長である少女、由紀子さんとクリスマスプレゼントを探しに町を歩いていた御子柴進少年は、そこである事件に遭遇します。逃げていくサンタクロース、追いかける人々―映画の撮影かと思われたのですが、それは実は有名な怪盗、「まぼろしの怪人」による事件だったのでした。 由紀子さんの家で開かれるクリスマスパーティーにも、まぼろしの怪人は忍び込み、宝を奪っていくと予告していました。警察の警備のなか、はたして怪人は現れるのでしょうか―。 クリスマスパーティーの事件を最初に、本書では御子柴進少年・三津木俊助コンビと、まぼろしの怪人一味が対決することになります。 最近、横溝さんのジュヴナイル作品をいろいろと読んでいますが、本書の特色は、まぼろしの怪人がいままでに失敗したこともあれば、本書が描くなかでも、何度か失敗して、捕まっていることです。 ところがそこは怪人、捕まってもあらゆる手段であらたな事件を起こそうとするのですが…。 それはともあれ、基本的には物語の最後になって、怪人が捕まり、そして意外な犯人が明らかになる―という、いくつかのジュヴナイル作品とは、趣がずいぶん異なっています。サスペンス重視、とでもいいましょうか。 本書では三津木俊助さんと御子柴少年だけでなく、由紀子さんも大活躍をするところなどが面白かったです。 ※表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.15 16:52:53
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