カテゴリ:本の感想(海外の作家)
コナン・ドイル(深町眞理子訳)『シャーロック・ホームズの冒険』 ~創元推理文庫、2010年~ シャーロック・ホームズシリーズの第一短編集です。 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。 ――― 「ボヘミアの醜聞」アイリーン・アドラーとの写真を取り返してほしいというボヘミア王からの依頼。果たしてその首尾は…。 「赤毛組合」赤毛組合の欠員補充に申し込み、選ばれた男は、毎日単調な仕事を命じられた。しかし、ある日突然事務所に、赤毛組合解散の張り紙が…。 「花婿の正体」結婚式当日、婚約者が忽然と姿を消した事件の真相は。 「ボスコム谷の惨劇」池のそばで男が殺されていた。事件の直前、男とその息子の言い争いが目撃されていたが、息子は殺人を否認していた。 「五つのオレンジの種」依頼人の伯父に、インドから封書が届いた。気性の荒い伯父だが、封書から五つのオレンジの種が転がり出ると、恐怖におののく。そして数日後、伯父は死亡し、原因は自殺とみなされた。事件の真相は。 「くちびるのねじれた男」依頼人が外出先で、建物の窓にいた夫を目撃すると、夫は慌てて姿を消した。その建物を訪ねるも、夫はどこにもいなかった。しかし目撃された部屋からは、夫の衣類が見つかって……。 「青い柘榴石」依頼人があるケンカの現場から拾ったガチョウから、高価な宝石が出てきた。それは、ホテルで起こった盗難事件で、盗まれたとされていた宝石だった。 「まだらの紐」姉の死を受けて相談にきた依頼人。現在、家の改修の関係で、依頼人はもとの姉の部屋を使っているが、夜中に奇妙な音がするという。そして姉が残した「まだらの紐」という言葉の意味は。 「技師の親指」水力技師の依頼人が、奇妙な客のもとを訪れると、依頼人は親指を失う仕打ちを受けた。客の家までは長い時間馬車で走ったはずだが、意識を取り戻した依頼人は、もとの近くの駅にいて…。 「独身の貴族」結婚式の日、披露宴の屋敷から花嫁が失踪した。屋敷の入り口では、花婿に近づこうとしていた婦人が騒ぎを起こしていたが、花嫁はなんらかの事件に巻き込まれたのか。 「緑柱石の宝冠」担保として高価な宝冠を預かった銀行員の男。その夜、大きな音がし、気づくと、不肖の息子が壊れた宝冠を手にしており、宝冠に付いていた貴重な宝石はなくなっていた…。 「橅の木屋敷の怪」ある家で家庭教師を頼まれた女性だが、その家の人々から奇妙なお願いを繰り返される。はたして一家の意図は? ――― 子供の頃に読んだことがありますが、長じてから読み返すのは初めてかもしれません。 あらためて思うのは、やはり面白い作品だということです。 子供の頃にわくわくして読んだ「まだらの紐」は、今読んでも抜群に面白いですし、「赤毛組合」の奇妙な作業からは島田荘司さんの短編「紫電改研究保存会」(『御手洗潔の挨拶』所収)を連想したりと(もちろん書かれたのは後者が後ですが)、いろんなミステリを読んできたから味わい深く感じる部分もありました。 「くちびるのねじれた男」も子供の頃に好きなタイトルで(興味をそそりますよね)、内容は忘れていましたが、今回とても楽しめた作品のひとつです。 戸川安宣さんの「解題」で指摘されているとおり、実は殺人事件などの大きな事件を扱った物語はあまりなく、日常的な(しかし当事者にとっては大変な)事件が多いのに気づいたのも良い発見でした。 ・海外の作家一覧へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.10.25 22:20:43
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(海外の作家)] カテゴリの最新記事
|
|