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2018.01.03
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G・K・チェスタトン(中村保男訳)『ブラウン神父の童心』

~創元推理文庫、1982年~

(Gilbert Keith Chesterton, The Innocence of Father Brown, 1911)


 ブラウン神父シリーズの第一作品集です。12編の短編が収録されています。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――

「青い十字架」有名な怪盗を追う刑事のゆく先々で、二人組の神父が奇妙な出来事が起きていた。塩と砂糖を入れ替えたり、必要以上に勘定を払っては店のガラスを破ったり…。果たして二人の意図とは。


「秘密の庭」パリ警察の主任ヴァランタンの家で催されたパーティーの中で、事件が発生した。外からは入れないはずの庭の中で、見知らぬ男が殺されていたのだった。


「奇妙な足音」ブラウン神父がホテルの一室で書き物をしていると、走るために歩くような、はたまた歩くために走るような、奇妙な足音が聞こえてきた。足音の正体は。


「飛ぶ星」富豪の家で寸劇が行われている中、令嬢のプレゼントとして準備されていた宝石が何者かに盗まれる。


「見えない男」娘に好意を寄せていた二人の男のうち、一人がもう一人から脅迫状を受けるようになった。そして、男はついに殺されるが、衆人環視の中、犯人らしき男は決して現場に近寄らなかった。


「イズレイル・ガウの誉れ」グレンガイル城に住む最後の城主が死んだ。城には、蝋燭はあるのに燭台がない、絵の一部が切り取られているなど、奇妙な状況があった。そして城主の墓を暴くと、あたまがなかった。なぜ奇妙な状況が起きたのか。


「狂った形」ブラウン神父たちが訪れた男の家で、奇妙な形の剣で刺されて男が死んでいた。自殺をほのめかすメモがあったが、メモは奇妙な形に切り取られていた。


「サラディン公の罪」フランボウに会いたいという男を訪ねたブラウン神父とフランボウ。男の家には無数の鏡があり、奇妙な感覚におそられる。と、男に決闘を申し込む男が現れて…。


「神の鉄槌」奔放な兄と聖職につく弟がいた。兄が不倫相手の家を訪れたその朝、事件が起こる。兄が小さな金槌で、頭を粉砕されていたのだった。これほどの怪力は不倫相手の夫しかいないが、夫には完全なアリバイがあった。そもそも、他に大きな金槌がある中で、小さな金槌が選ばれたのも謎だった。


「アポロの眼」太陽を直接見てあがめるという奇妙な新興宗教団体が入ったビルで、その宗教にかぶれていた女がエレベーターから落下して死んだ。教祖はその時間、ビルの屋上で祈りを捧げており、完全なアリバイがあった。


「折れた剣」
常に慎重な戦いを選んでいたセント・クレア将軍は、なぜ最後のブラジルとの戦いで、無謀な戦いを挑んだのか。そして、捕虜は解放するのが常であったオリヴィエ大統領は、なぜセント・クレアを生かしておかなかったのか。過去の資料から、ブラウン神父はおそろしい真実を明らかにする。


「三つの兇器」無邪気で人気者の男が死んだ。男が最後にいた屋根裏部屋には、ピストルなど三種類の兇器があったにもかかわらず、なぜ犯人はそれらを凶行に使わなかったのか。

―――


 これは面白かったです。第一話の、ブラウン神父の登場では、どうにも冴えない感じの神父が犯人を追い詰めるシーンの語り口でぐっときました。


「見えない男」はあまりにも有名で、なんとなくの真相も知ってしまっていましたが、しかし語り口のうまさが抜群で、とても楽しめました。

「イズレイル・ガウの誉れ」は、城のミステリアスな状況へのわくわく感と、ガウがかつてとった行動への感動などで、お気に入りの作品のひとつです。


 ブラウン神父がまさに「神父」だからこそ、犯人への糾弾ではなく、改悛を求めたり、犯人の良心に委ねるシーンが多いのもまた魅力でした。フランボウ最後の悪事の際の、ブラウン神父の語りにはぐっときます。


 ぜひ続きのシリーズも読みたくなりました。素敵な読書体験でした。

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Last updated  2018.01.03 14:14:18
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 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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