カテゴリ:本の感想(た行の作家)
~新潮文庫、2000年~
筒井康隆さんの長編です。
主人公は、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授の渡辺儀助さん。75歳になる彼の日常が丹念に描かれます。その食事、買い物の様子、友人や親族との関係などなど、ひたすらに日常や思い出が語られていきます。 彼はパソコン通信をしているのですが、タイトルの「敵」は、パソコン通信の参加者のメッセージに登場します。北の方で「敵」が現れ、皆が逃げているというのですね。 はたしてそれはデマなのか、集団妄想なのか、現実なのか。 一方、渡辺さんの日常も、そのあたりから奇妙になってきます。夢なのか、幻想なのか、それらが現実を浸食しているのか……。 とてもゆっくりした流れが、終盤に一気に加速し、結末に向かっていきます。 正直、「分かった」とは言えない作品ですが、終盤ではぞくぞくきました。 購入してから、なかなか読めずにいたのですが、今回読めて良かったです。
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Last updated
2018.02.14 22:45:27
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