カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
~創元推理文庫、2017年~
学校の部室に住み着く駄目人間・裏染天馬さんが活躍するシリーズ第3弾。今回は日常の謎をテーマにした短編集で、5つの短編に加えておまけも収録されています。 時期的には、第一弾『体育館の殺人』直後から、最新刊にあたる長編第3作(作品としては第4弾)の『図書館の殺人』発生中までの物語になります。 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。
――― 「もう一色選べる丼」食器を返却しなければ持ち出し禁止―食堂から厳しいお達しがでたにもかかわらず、食堂近くの雑草だらけの地面に、半分近く食べ残しのあるどんぶりが置かれていた。怒り狂う食堂のスタッフだが、犯人を見つけたら食券がもらえると聞き、裏染は推理を始める。果たしてわずかな手がかりから犯人を探せるのか。 「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」袴田柚乃が兄とともに神社でのお祭りに参加したところ、裏染兄妹たちと遭遇。屋台で買い物した彼らは、なぜか五十円玉でおつりを渡された。参加している屋台の多くが、主催者の一人の言葉によって、五十円玉でおつりを出しているという。はたして、その目的とは。
―――
これは面白かったです。冒頭の「もう一色選べる丼」は、わずか30分の間に、残されたどんぶりとトレイというわずかな手がかりから、犯人像と動機まで解明され、わくわくしながら読みました。 第二話の表題作も見事。五十円玉については創元推理文庫から競作も出ていて(これは若月七海さん提出のリドルストーリーに推理作家たちが解決を提示するというもので、青崎さんは書いていませんが)、そちらも気になっていましたが、本作は「なぜおつりが五十円玉なのか」という謎。謎の提示も解決も面白いです。競作の方もいずれ挑戦してみたくなります。
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Last updated
2020.02.05 23:18:30
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