カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
~講談社文庫、2010年~
医師で作家の石黒耀さんによる、災害をテーマにした長編第2作目です。 順番は前後しますが、本ブログでは、第26回メフィスト賞を受賞したデビュー作『死都日本』と、第3作目の長編『富士覚醒』を紹介したことがあります。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 名古屋で地質調査会社を営む明石真人が住む町に、暴力団風の会社が設立され、チンピラが町内会の人々を怖がらせ始めた。 真人の父―善蔵は町内会長をつとめ、町内の信頼も厚かった。善蔵は、過去の経験や人柄から暴力団もおそれず、直接抗議に行く。しばらくチンピラの嫌がらせはやんでいたが、ある日、とつぜん真人たちにふりかかってくる…。 真人と善蔵は、一味への復讐を決意する。そこで目を付けたのが、起こる予兆があった東海・東南海地震であった。津波を伴う大地震を利用した彼らの計画とは。 ―――
過去に読んだ2作同様、本書も面白かったです。 復讐にいたる経緯の辛さや、復讐が強調される分、少し本書はしんどい部分もありましたが、クライマックスでは一気読みでした。 いわゆる南海トラフ大地震をテーマにしていますが、大地震、津波、原発問題と、初出の単行本が2004年に刊行された本書に描かれた事象や問題提起は、完全に一致はしませんが、2011年の東日本大震災にも通じる部分があるように思います。
震災を題材にした三作すべてに挑戦できて良かったです。どの作品も面白かったです。 (2020.05.03読了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.08.05 22:43:23
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