カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
~創元推理文庫、2009年~
<小市民>を目指す小鳩常悟郎さんと小佐内ゆきさんが活躍するシリーズ第3弾。今回は上下巻にわたる、シリーズ最長の作品です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 小佐内さんとの互恵関係を解消した僕は、何者かに手紙で呼び出された。相手は、クラスメートだが、名前は把握していなかった。そんな彼女は、僕と小佐内さんの関係解消を知っていて、僕と付き合って欲しいという。そこでつきあいが始まり、小市民的な充実を目指すことになるが、どうしても謎解きをしてしまう。たとえば、彼女のお兄さんが留守のときに、何者かが部屋に侵入したが、盗まれたものは何もなかった、という話を聞かされ、うっかり真相にたどりついてしまう。 * 新聞部の一年生、瓜野は、学内新聞に学外のネタも載せ、もっと多くの生徒に読んで欲しいと思っていた。夏休みにあった生徒拉致事件をネタにしようとするが、小佐内さんが部長と関わり、そのネタはだめだという。しかし、最近起こり始めた連続放火事件の発端が、学校に関わる場所だったことを知り、連続放火事件を追いかけることを決意する。友人の助言も受けながら、事件の法則性を見いだした瓜野は、新聞で次の事件の予告を試みる。予告が的中すると、学内新聞の人気がどんどん高くなっていった。そして瓜野はついに、犯人をつかまえることを目標とし始める。 またその頃、瓜野は、ふとした小佐内さんの表情から彼女のことを気にし始め、ある出来事をきっかけに付き合うことになる。 ―――
というんで、二つの恋(?)と連続放火事件などの謎解きを軸に、物語は進みます。 前作で、小佐内さんが怖かったという印象は覚えていましたが、やっぱり本作でも小佐内さんは怖いです。 小鳩さんも、小市民として振る舞おうとしますが、どうもうまくいきません。 とまれ、小鳩さんと小佐内さん、それぞれの思惑が交錯しながら、犯人を明らかにするあたりは圧巻です。 辻真先さんの解説にもありますが、(放火事件はあるとはいえ)どちらかといえば「日常の謎」をテーマにした作品でありながら、上下巻の長編というのはたしかに珍しく、それでいてとても楽しめる作品でした。 (2020.06.04読了)
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Last updated
2020.09.12 23:21:52
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