帰って来なよ・・・
9月に入って、私自身、昼間と夜の区別がつかなくなっていた。授業は早朝は内部の明かりが漏れないように、8時まで遮光カーテンで窓をおおう。夜も6時になったらカーテンを閉めるようになっていた。学校のすぐ側まで行けば、わずかにカーテンの隙間からあかりが漏れているのが見える。しかし、遠くからはほとんど見えない。Fさんは決まった曜日に必ず手紙を送ってくれた。Fさん:どんな具合?私 :自分が機械の歯車になったような気分。 起きているのか、寝ているのか、どこまでが現実でどこまでが夢の中なのか わからないよ。Fさん:帰って来たら?退学して・・・私 :4年間終了しなきゃ帰れないよ。みんなが4年かかる所を2倍かかっても良いから。Fさん:何、馬鹿な事言っているの!!そんな状態じゃ、いつ事故にあうか わからない じゃないの!!よく考えなさい!!私 :考えられないよ!!Fさん:いい、9月の連休に外泊とって帰ってきなさい!!私 :わかった。その前に買い込んだ本、母にみつかるとまずいから、預かって。でも許可には親の電話が必要だよ。Fさん:電話の事は心配ないよ。Hさんのお母さんが引き受けてくれたから。 (Hさんは高校時代、妊娠し私は彼女に内緒で母親に知らせた。その事があるので、お母様からは感謝されていた。今回はそれがあるから、無期限で居候させてくれるということらしい)私 :わかった。外泊とるよ。住所と電話番号は従兄の家という事で、Hさんの家を書いておくから伝えといて。私は母親に見られたくない買い込んだ本(内容はいたって真面目、古典漢詩の本がメインだった。そして東洋医学系の本も)をFさんの家へ送った。帰る直前にかかりつけの医者へ行き、無期休暇を取る事を伝えて4週間分の薬を出してもらった。黒板に現金書留が届いていると書かれていた。(書留は印鑑が要るので、その旨が書かれる)事務局へ行ったら、Fさんからだった。中には5千円が入っていた。(これは新幹線を使わないとき、家まで帰れる金額だ)そして、一言、カンパだから返却しなくて良い。と書かれていた。とりあえずの荷物は既に宅急便で出してあったので、かなり身軽に帰ることができた。