平均
友人が膵臓癌で余命5年を宣告された。 実は、別に、余命1年の大腸癌を宣告されながら、20年近く年賀状が来ている友人もいる。 自分もまた、胃癌の手術をしたことがあるので、余命云々の深刻なものではなかったが癌宣告されたときのショックを未だに覚えている。この癌宣告と余命云々については、医者はもう少しキチンと患者に説明すべきではないかと思ってた。癌宣告の場合は、医者はわかっているのだろうが、患者のどの部位の癌がどの程度深刻なものか、という部位とグレードの問題を、あるいはそれらを患者が知る手だても含め、キチンと患者に説明しなければ、患者が無用なショックを受けたり、無駄なあがきをする。 同様に、「余命」云々にしても、それは同じ年代層の同程度の病気病状の「平均」的な生存期間であって、先に書いたようにそれらの「平均」を大幅に上回って生きている人だっている。1年という射程がどれほど「正確」なものかわからないが、余命1年のものが20年以上も生きているともなれば、治療の成果か、本人の生きる力が癌よりも上回っていたのか、わからないが、それは誤りとでもいうべきもので、これも余命1年の宣告に違いないのである。期間はあくまでも「平均」に過ぎず「例外」もある。 だいたい、平均なんていうものは、観測されるデータから、その散らばり具合を "平らに均して" 得られる、統計的な指標である。例えば同じ年代の同じ病状症状の A, B, Cの3人の余命がそれぞれ 1年, 5年, 9年 であったとしても、平均すれば余命5年ということになる。悪い場合もあるが誤りもあることを含めて、「例外」もまた多いということを、宣告される患者のショックも勘案しながら、ゆっくりと時間をかけて説明してほしいと願うのである。