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カテゴリ:亡国のイージス
この本から本当にいろいろなテーマ、問題提起があると思う。
大きなテーマと小さなテーマが交錯して、読んでいてスピード感があるのに、深く考えさせられることも多かった。 大きなテーマとしては「日本の国防(安保)のあり方」「自衛隊の是非」「有事法制の不備」「もたれ合いの社会構造」「アメリカ依存の是非」などか? 小さいところでは、「家族のあり方」「人と人との心のふれあい」「日本人の無責任気質」などか? そのそれぞれがとても的を射ているように感じる。 ただ、どこかリアリティもなく感じたのも事実。 それは、私が本当の戦争を知らないからなのか?はたまた作者も本当の戦争を知らないからなのか? 本当に優秀な工作員の集団が、二人のしかも一人は特にそういった訓練も受けていない人間にやられてしまうものなのか? テロの親玉がそんな危険な最前線で指揮をとることがありえるのだろうか? ましてや、感情に動かされて無謀な行動を取るものなのだろうか? もっと前の段階では、自衛隊員の組織的な裏切りがそんなにばれずにいるものなのだろうか? など、ちょっと無理があるのかな?と感じることも少なくはなかった。 でも、たぶん、そんなことは問題ではないのだろう。 ここで作者が訴えたかったことは、先にあげたテーマ、問題提起で、私たち読者に考える事を要求しているのではと思う。 ただのフィクションと捕らえてはいけないと思う。 この本の中には、私たち日本人が現実に直面している問題を多く含んでいるから。 一番印象に残っているシーンは終盤でヨンファにサブマシンガンを渡された竹中副長。それを離れたところに置き去りにしているのを見た宮津艦長が「気にいらんようだな」と声をかけると、「あんなものを持っていたから砲雷長は死ぬ羽目になったんだと考えられませんか?」と切り返すところ。(文庫本下巻339ページ) 私もできるものならば非武装中立を理想に国を作って欲しいと願うもの。 同じような思いがここにはあるような気がした。 これから、もう一回読み直していこうと思う。 そして、一つ一つの問題提起をもっと深く掘り下げて考えてみたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年02月19日 17時38分00秒
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