000000 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

行きかふ人も又

PR

Profile


はる **

Category

Freepage List

Favorite Blog

Kabu + Plus エースNo1さん
ある日どこかで リラ11さん
でくの坊 雨にも … なんぜんたろうさん
My 映画 on TV 日記 タケ88フミさん

Comments

森須もりん@ Re:【夜行列車(POCIAG)】 1959年 ポーランド映画(03/10) 小学生のときに、テレビでみました。 あれ…
ETCマンツーマン英会話@ 希望を生むもの はじめまして。先日初めて『アラバマ物語…

Free Space

ゆるい分室はじめました
dekunotato.exblog.jp

Recent Posts

全10件 (10件中 1-10件目)

1

スウェーデン映画

2011.12.18
XML
カテゴリ:スウェーデン映画
 1982年以来、映画界から遠ざかっていた巨匠イングマール・ベルイマンが、ふたたび映画に立ち戻って撮影した遺作。
『ある結婚の風景』の続編として、わざわざ30年後を描いた真意はわからないけれど、前作を見ていれば感じるところがあったのかも。(わたしは未見) 胸を抉る壮絶さは衰えをしらず、この辛さだけはベルイマンだなぁとおもう。

Beyond-Touch.jpg


(あらすじ) 63歳になるマリアンは、かつて夫婦だった元夫ヨハンが住む森の中の別荘を30年ぶりに訪れる。2人は過去の軋轢を感じさせない親密さをみせる。そんなヨハンは、別荘のそばに暮らす前妻との間の息子ヘンリックと、50年に及び憎しみあっていた。ヘンリックは、最愛の妻を病で亡くしてから、娘のカーリンだけを生甲斐としているのだが、カーリンには異常な束縛が苦しくてたまらない・・・。

3156924771_0043896644.jpg


家族だからこそ、遠慮と配慮が足らず愛も憎しみも深まるのだろう。家族だからこそ、不仲であっても、おいそれと関係を絶つことはできない。そうやってヨハン親子は50年もいがみ合ってきた。
偏屈で独裁的なヨハンの冷酷さに嫌悪をいだき、並行して描かれるヘンリックとカーリンの、間にチェロを挟んだ危うい関係を、痛々しく見る。
4者4様の苦しみと憎しみと愛の形があって、それは粘っこく、人物をアップで捉えるカメラにはうんざりしてしまうのだけれど。
30年後の続編とはいっても、本編のマリアンはあくまでも狂言まわしの役割。

ヘンリックの行きすぎた愛情やら、息子への嫉妬を露わにするヨハンやら、カーリンの告白やら、、おそろしい場面のおおいこと。『叫びとささやき』を思い出す。
孤独と死への恐怖に震えるヨハン老人が、惨めであればあるほど、ベルイマンらしい冷酷な独壇場。おもしろいとはお世辞にもいえない、でも類稀な遺作。ラストにそっと希望が添えてられているのが救い。



  監督・脚本  イングマール・ベルイマン
  製作  ピア・エーンヴァル
  出演  リヴ・ウルマン  エルランド・ヨセフソン  ボリエ・アールステット

  (112min)







Last updated  2011.12.18 15:41:08
コメント(2) | コメントを書く
2011.12.14
カテゴリ:スウェーデン映画
  いつもかならず眠りへ導かれる名匠タルコフスキーの遺作。わたしにとっては、遠のいていく意識を止められない、試練のタルコフスキーさん。
『惑星ソラリス』で近未来を描くのに日本を使用してから、本作にいたるまで、日本への関心は続いていたらしく、松の庭、着物、尺八の音色など、日本人としては不思議な和が合間に織り込まれている。
ずいぶん枯れた味わいなのに、享年54歳という若さでの遺作なのが信じられない。どんなにリプレーしても、詩的な映像イメージと、作品の奥深さと、五大要素に満ちた壮大さを見届けたいとおもうから。

Tpuddles.jpg


スウェーデンの小さな島を舞台に、言葉を話せない息子らと共に静かに暮らし、誕生日を迎え生命の木を植えようとする大学教授アレクサンデルが、核戦争勃発のニュースを聞き、自らを犠牲に人々の救済を神に願う1日を描く――― (知っておきたい映画監督100より)


自己犠牲というなんとも偉大なテーマ。アレクサンデルは、信じていなかった神と対峙し、自己犠牲の果てに狂気の淵に沈んでいく。
アレクサンデルを救うのは、召使いのマリア。効果的な音楽はバッハの『マタイ受難曲』、いく度が映し出される絵画は、ダ・ビンチの『東方の三賢人の礼拝』なのだそうだ。

幼い息子を慈しむ家族たちみんな、彼のことを名前ではなく"子供"と呼ぶ。それは未来の子供たちの象徴的な存在だからなのだろう。召使いの名"マリア"にも、きっと意味がある。

sacrifice_3.jpg


アレクサンデルの狂気は、終盤にいたって、これまでの眠気を嘘みたいに吹き飛ばし意識を冴え冴えさせていく。自宅に火を放ち、家一軒が焼け落ちるまで長回しで見つめ続けるカメラは圧巻。

人類の未来が愚かでないように、平和な未来がくるように、撮影当時すでに末期癌だったタルコフスキーのこころの祈りが聞こえてくるような作品。

ラストシーンで、言葉を取り戻した息子は、いまにも立ち枯れそうな父の植えた生命の木に水をあげる。そして、こうつぶやく。

「初めにことばありき、なぜなのパパ?」



    監督・脚本  アンドレイ・タルコフスキー
    製作  アンナ=レーナ・ヴィボム
    撮影  スヴェン・ニクヴィスト
    出演  エルランド・ヨセフソン  スーザン・フリートウッド  アラン・エドワール

   (149min/スウェーデン=フランス)







Last updated  2011.12.14 23:01:15
コメント(0) | コメントを書く
2011.09.01
カテゴリ:スウェーデン映画

336922_01_02_02.jpg

 スウェーデン発の一大ミステリー巨編『ミレニアム』シリーズの最終章。監督は前作『火と戯れ

る女』につづきダニエル・アルフレッドソン。

900ページに近い原作を、大胆に割愛しながら、男女間の色恋を主に省いて、2時間半にまと

めた第3弾は、ムダのない法廷物にまとまっていて完結編に相応しい後味だった。すべての黒

幕が明らかになる。

 前作で、宿敵ザラと対決して瀕死の重傷を負ったリスベットは、一命を取り留め病院で目覚

める。厳重監視の病室で、担当医に護られながら、日に日に回復していくリスベットだったが、外

部との接触は限られていた。

おなじころ、ミカエルは、妹の弁護士アニカに彼女の弁護を依頼、自らは雑誌『ミレニアム』を

通して脈々と続く国家の陰謀とリスベットの無実を暴露する準備をはじめるのだが・・・。国家的ス

キャンダルを闇に葬ろうと、秘密組織の面々は精神科医テレボリアンと共謀し、リスベットを精神

病院送りにするべく狡猾に立ち回っていく――。

336922_01_03_02.jpg

スケールのわりに地味さを保っているのが味わい深さ。スウェーデンらしい寒々とした北欧の

空気感がいいのだ。

幼いころからずっと、国家権力や地位ある者に踏みつけにされてきたリスベットは、合法的に

復讐を遂げた――あまりにも壮絶な過去の体験は、彼女の心をたしかに病ませて、孤独にして

しまったけれど、今回は特にひとりで闘っているわけじゃないことがわかる。ミカエルをはじめ、

彼女を気にかけて手を差し伸べた人々の存在にも、この物語は救われている。

ちなみに、彼女の理解者たちが巨悪に立ち向かうために結成したチームの名が、サブタイトル

<狂卓の騎士>なのだけれど、本作には一切登場していない。

 

作者スティーグ・ラーソンはジャーナリスト、原作は社会派ぽいが、改めて映像になったものを

観ると、まがいもなくエンタテイメント作品だ。

とにかくミカエルの女性遍歴がおかしくて、ひとりツッコミを入れながら読んでいたのだけれど、

『火と戯れる女』『狂卓の騎士』へと、回を追うごとに映画では割愛されていったのでひと安心(笑)

デヴィッド・フィンチャー監督によるハリウッドリメイク版『ドラゴン・タトゥーの女』は来年2月公開

予定。

†       †       †

監督/ ダニエル・アルフレッドソン
     
原作/ スティーグ・ラーソン 『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
   
  出演/ ミカエル・ニクヴィスト  ノオミ・ラパス  アニカ・ハリン

      (カラー/148min/スウェーデン=デンマーク=ドイツ合作)


 






Last updated  2011.09.03 10:51:54
コメント(0) | コメントを書く
2010.08.17
カテゴリ:スウェーデン映画

 原作は、まさに映画向けなサスペンス。
第3部まですでに映画化が決定していて、ハリウッドではデヴィッド・フィンチャーによるリメイクも控えているそうだ。
全世界にセンセーションを巻き起こした話題のミステリーは、映画になるとさらに暗くて陰鬱で、いがいと地味。そこがまたいいんだけれど。
作品に流れる暗さは、お国柄といえそう。寒冷地特有のグレーな背景は、いつものことながら、とても身近でこのましいものだった。


 雑誌『ミレニアム』の発行責任者で社会派ジャーナリストのミカエルと、辛い過去から社会を拒絶して生きる天才ハッカーのリスベットが手を組み、孤島に暮らす大企業の経営者一族を巡る、血塗られた謎に迫っていく――――。


 物語の根には、男によって虐げられてきた女の性、権力者のエゴ、作者自身もそうであるジャーナリストによるジャーナリズムの在り方、などがある。
複雑な社会問題を、リスベットの過去に絡めてミステリーに仕上げた、スティーグ・ラーソンの見事な小説が、2時間半にうまく纏まっていた。

キャシャな体と、無数のタトゥー、誰にも心を開かない、ハッカーのリスベット
彼女の過去は2部と3部で明らかにされていくのだけど、ミカエルにだけは弱みを見せ そうになる・・・ふたりに微妙な関係が築かれる第1部。
原作では、脅威的な女性遍歴をみせるミカエルだが、映画ではそこを割愛していてやや安堵した(笑)
ふたりの関係が、馴れあいにならないのは原作どおり。
しかし、ハリウッドのリメイクでは、どうなることやら、、、。きっと、あんなことやこんなことになるだろう。
どこかですでに見覚えありそうなサスペンスでも、惹かれるのはヨーロッパ独特の魅力があるから。
間合い、暗さ、民族的な背景から滲み出るニュアンス。どんなに地味でも、飽きがこない底力がある。


335133_01_02_02.jpg



情報提供者に嵌められ、名誉棄損の有罪判決を受けたばかりのミカエルは、大財閥の前会長ヘンリック・ヴァンゲルから、ある依頼を受ける。
40年前、ヘーデスタの沖合に浮かぶヘーデビー島で、16歳の姪ハリエットが忽然と姿を消した迷宮入り事件を、改めて調査してほしい―――というのだ。
心身ともに疲労していたミカエルは、ヘーデスタ行きを決意。懲役を受けるまでの期間、調査に協力することを約束する。

何年もかけて行われた捜索に、再度挑むことになったミカエルは、何者かの妨害や、行き詰まりを乗り越えながら、真実に迫っていく。
そこに、ヘンリックの依頼で秘かにミカエルの身辺調査を行っていたリサーチャーのリスベットが、好奇心としか言いようのない感情で近づき、協力していくことになるのだった。


mn-som-hatar-kvinnor-2009-moviezinese.jpg



地道な調査で徐々に新事実が現れ、経営者一族を揺るがす失踪事件の謎が明らかにされていく。
ハリエットの残したメモが導く、過去の残忍な少女連続殺人事件との繋がりとは――?
結末はわかっていても、犯人の狂気や異常心理にぞっとなる良作。
ヘーデスタが寒々として、閉鎖的であるからこそ重苦しい空気が、ずっと漂う。

さりげなく引かれたサランデルに関する伏線は、第2部へと続く。彼女の外見、内面ともに、どんなふうに変わっていくのかが楽しみ。
次作では、国家権力が絡み、公安警察も登場して、物語がグンとスケールアップするはずだ。
余談だが、原作のミカエルのすけこましぶりに、ツッコミをいれたくなるのは、わたしだけなのか否か。



†   †   †  


監督/ ニールス・アルデン・オプレヴ
原作/ スティーグ・ラーソン 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
脚本/ ニコライ・アーセル  ラスマス・ヘイスターバング
音楽/ ヤコブ・グロート
出演/ ミカエル・ニクヴィスト  ノオミ・ラパス  スヴェン=ベルティル・タウベ  

(カラー/153分/MAN SOM HATAR KVINNOR/スウェーデン=デンマーク=ドイツ合作)









Last updated  2011.06.11 11:13:47
コメント(0) | コメントを書く
2009.05.06
カテゴリ:スウェーデン映画

 『散歩する惑星』『愛おしき隣人』のロイ・アンダーソン監督デビュー作。お世話になっているracquoさんおすすめです。

青春ラブストーリーとはいえ、さすがアンダーソン監督、デビュー作から一筋縄ではいきません。
スウェーデン版『小さな恋のメロディ』と言われているだけあって、たしかに似ている。
それでも恋人同士はさておき、周りの大人たちの描き方が大きく違っているのが印象的です。
終盤からはまったく別の顔を見せ始める。くすぐったいだけの青春物語では終わらない。


sub1_2.jpg



15歳の少年と14歳の少女。
出会って、惹かれて、告白して。瑞々しいタッチで初恋が描かれます。
キスしたり抱き合ったり、つっぱったり、粋がってタバコを吸ったり。それを早熟に感じるのは日本の中学生と比べてしまうからでしょう、身近なものでは、たしかにない。
けれど、すれ違った後で、彼がバイクで引き返してきて不器用に抱きしめあう(写真のシーン)なんかは、たまらなく胸キュンになったりして、初々しい恋人たちが見事に作品に封じ込められています。

ここまではともかく、ラストの騒動はどう見るべきなのでしょうね。
初めてふたりの家族が顔を合わせたパーティーの夜、噛み合わない会話のあとの、父親の行方不明―――。
ここで完全に、甘い初恋物語はかき消されてしまって、『小さな恋のメロディ』とはまったく趣の異なる作品として終わっていくのでした。



●  ●  ●  ●



監督・脚本  ロイ・アンダーソン
撮影  ヨルゲン・ペルソン
音楽  ビョルン・イシュファルト
出演  ロルフ・ソールマン  アン=ソフィ・シーリン  ビョルン・アンドレセン

(カラー/98分)






Last updated  2009.05.07 21:49:38
コメント(2) | コメントを書く
2009.02.26
カテゴリ:スウェーデン映画

 CF界の巨匠ロイ・アンダーソンが描く不条理ムービー。
とある惑星のとある場所。サラリーマンは突然リストラされ泣きわめく。道に迷った男は訳もなく殴られる。マジシャンは人体切断のマジックに失敗して男を本当に切り刻んでしまう。そんな中、主人公は保険金目当てに自分の経営する家具屋に火を付けるが―――。



 構想に20年、撮影に4年を費やしたというから、脚本はよく練られ、深い意味も込められているんでしょう。
それに気づけないで傍観していると、けっきょく煮ても焼いても食えない作品だったなぁと、味気ない感想しか浮かばなくなってしまった。
超ど級の不条理がいいたいことは、いったいなんだったか。

デモをする人々であふれた街は、不穏な空気でいっぱい。
どこまでも灰色に覆いつくされた街は、これから終焉を迎えるみたいに、逃げ惑い、あらゆる希望を失った人々で溢れかえっている。
演じている人々はほとんどが素人で、脱力系の演技は自然でとてもよかった。


そんな街で主人公は、絶望から保険金目当ての放火をする。
ところが証書まで燃やしてしまって、保険金は支払われずに無一文、ただただ何もかも失ってしまう。
タクシードライバーだった優しい長男は心を病んで入院。次男がその跡を継ぐも、彼もまた、延々と客がこぼす愚痴を聞く毎日に疲れ果てていく―――。

 thumbnail.jpg


CFを手がけてきた監督らしく、デモ行進の徘徊するシーンや、少女を生け贄に捧げるシーンなど視覚的インパクトが多彩だった。
血はよく流れるけれど、ブラックなユーモアが、痛みも苦しみも引き取ってくれて、あちら側の不幸に害されることはない。
でもそれでいいのかといえば、もっと映画と一体になって楽しみたかった気もする。
すっかり最後まで傍観するばかりだった。

長回しや、固定されたアングルが印象的なカメラは、眠気を誘う。
でもずっと灰色で不安だから、心地よい眠りに落ちれるわけもなく・・・悪夢のような夢うつつ。
キリストの磔刑像が、この一大事になんの役にも立たないものとして放り出されるラストシーンが印象的だった。
主人公を付け回す、アウシュビッツで命を落とした少年の亡霊や、たくさんの亡者たちにどんな意味があったのかわからなかったけれど、それを感じれる方には、なるほどだったのかもしれない。




監督・脚本  ロイ・アンダーソン
製作  フィリップ・ボベール
音楽  ベニー・アンダーソン
出演  ラース・ノルド  シュテファン・ラーソン  ルチオ・ヴチーナ

(カラー/98分/スウェーデン=フランス合作)









Last updated  2009.02.28 20:25:52
コメント(4) | コメントを書く
2008.10.21
カテゴリ:スウェーデン映画

 (あらすじ)ベルイマン、コメディのベスト作。初老の弁護士は16歳の妻アンと暮らしていたが、昔の愛人デジレとよりを戻す。一方、アンは前妻の息子と駆け落ちし、デジレのパトロンは妻の元に戻り、弁護士宅の女中は御者と結ばれる―――。今世紀初頭のスウェーデンの地方を舞台とした牧歌的喜劇。

 
 かなり得手ではない作品だった。ラブコメというジャンルをあまり観ない私には、もどかしくて甘い。
恋も愛も命がけというくらい深いものが観たいのは・・・若干おかしい、これまた偏執的側面であるのかもしれないけど、気楽なラブコメには心が惹かれないのだからしようがない。

どこでほのぼのし、どこで楽しんだらいいのか全然わからないお話だった。
まだ10代の新妻と弁護士の関係からして眉唾物で、作り物の主人公たちが作り物の恋をする舞台でも観ているよう。
幾重にもすれ違う恋が、納まるべきところに納まる最後は、気持ち良さがあったけれど。

  SommarnattensLeende1.jpg

神学を専攻する弁護士の息子を執拗に誘惑する女中とか、新妻のハイテンションとか、とにかくついていけなくて困ってしまった。
ベルイマンといえば描き方は異なれどを持ち出すイメージだけれど、この作品の神に限っては悪趣味な無神論的なものに感じられる。欲望を前にした弁護士の息子の情けなさといったら・・・。
それでもハッピーエンドへと面白いように展開していくのだから、一歩下がって観ている私には、盲進してるようにしか思えず。唯一の感情移入は女優のデジレだけ。
『野いちご』『叫びとささやき』は大好きだったのに!ベルイマン氏の作風の違いに驚かされるばかり。

 死ぬまでに観たい映画1001本



監督・脚本  イングマール・ベルイマン
音楽  エリック・ノードグレーン
出演  グンナール・ビョルンストランド  ウーラ・ヤコブソン  エヴァ・ダールベック
ヤール・キューレ  ビビ・アンデショーン  ハリエット・アンデルセン

(モノクロ/109分)






Last updated  2008.10.22 01:35:03
コメント(4) | コメントを書く
2008.02.24
カテゴリ:スウェーデン映画

 (あらすじ)中世のバラードを題材に、中世的情念の世界を描く。
ある日、豪農の娘カリンが教会に行く途中、森の中で3人の浮浪者に出会い、辱められ撲殺されてしまう。
屋敷に泊めた3人が彼らと知った父親テーレは復讐を遂げる――――。



 豪農の夫(シドー)と敬虔な妻は、修道士の男や多くの使用人たちと豊かに暮らしています。
夫婦には年頃の美しい一人娘(ペテルソン)がいて、甘やかしながら慈しみ大切に育ててきました。
ある日曜日、遠い地にある教会へ蝋燭を届けにゆくことになったカリンは、お供に、養女インゲリ(リンドブロム)を伴って、笑顔で出かけて行きます。
インゲリは身重で、出産間近なお腹を抱え、一日中汚れまみれになって働いている、カリンとは正反対の娘。
子の父親はどこの誰とも言わず、望まぬ妊娠を憎み、同じくらい美しい世間知らずなカリンを憎んでいるのでした。
ついに憎悪に耐え切れなくなったインゲリは、同行を拒絶し、カリンひとりで薄暗い森を進ませるのです。

森で3人の浮浪者に出会ったカリンは、疑いもなく誘われるままに男たちに付いて行き、まんまと手篭めにされてしまうのでした。失意の果てに殺されてしまう。
それを物陰から偶然に見ていたインゲリは、止めに入らねばならないと思うのに、日ごろの憎しみがそれを許さず、黙って息を殺ずばかり・・・・


virgin_spring.jpg  pramen_panny3.jpg



登場人物みんなが、生まれてから身についてきた言動を繰り広げていくだけなのに、それがすべて、なるべくして悲劇へと向かっていきます。
誰にも止められません。
カリンを助けることができなかったインゲリにさえ、複雑で強い理由がある。
すべてが、神の御業といわんばかりの自然な演出が印象に残ります。


日曜日、子羊、最後の晩餐を思わせる食事シーン、天使のようなカリン・・・・。
たくさんの暗喩を感じさせる物々は、確実に意識して配置されています。
絵画のように額取られて見えるシーンもあり、底にあるのはキリスト教の世界そのもの。
様々なものを飲み込んで拡がったキリスト教が、いまこうして敬虔に眼前に現れても、見方を変えることはできませんが、純粋な信仰心は普遍です。
そんな思いが湧き水とともに心に満ちる、小品ながら良い作品でした。



      †   †   †


監督  イングマール・ベルイマン
原作・脚本  ウルラ・イザクソン
撮影  スヴェン・ニクヴィスト
音楽  エリック・ノードグレーン
出演  マックス・フォン・シドー  ビルギッタ・ペテルスン  グンネル・リンドブロム  ビルギッタ・ヴァルベルイ

(モノクロ/90分/スウェーデン製作/JUNGFRUKALLAN)










Last updated  2010.08.18 16:15:43
コメント(2) | コメントを書く
2008.01.22
カテゴリ:スウェーデン映画

 大邸宅に残って家を維持していた次女が臨終した。集まった姉妹と女中の4人の女性の心底に潜む、愛、孤独、性、死の断片をえぐり出しながら、“生”の意義を鋭く問う衝撃のドラマ。


 恐ろしい作品でした。人間の内面をえぐるもの。おぞまじさにたじろぎました。
末期ガンの次女アグネス(アンデルセン)が抱えるのは、死への恐怖。死の床に伏してもなお疼く性への欲望。
彼女を看取る姉カーリン(チューリン)と妹マリア(ウルマン)には、結婚して家族があり、どちらも関係は崩壊しています。

忍耐の限界を迎える姉、欲望を抑えられない妹、一言では語りつくせない内面の炎が、チラチラと燃え、メラメラと燃え。
時折、絵画のように美しい粛然としたシーンに心休ませても、すぐ後にあるのは再びおぞまじき人の心。
邸宅の壁の赤と、真っ赤にフェードアウトする映像は、いやでもラストまで落ち着きを得られませんでした。

sakebi11.jpg sakebi12.jpg


姉妹を頼り信じていたのは、孤独なアグネスだけ。
残された姉妹に、いとも簡単に引き裂かれる信頼・・・その悲痛さ。
タイトルどおり、魂の限りに叫ぶシーンは、あまりの迫力に圧倒されるばかりでした。

そしてもう一人。次女を優しく包む家政婦アンナ(カリ・シルヴァン)の存在があります。
豊満な肉体で、姉妹たちが受け入れず注がない愛を与え、優しく包み込むアンナの迫力は美しいといえるほど。絵画のようなカットに惹かれます。

死んだアグネスが蘇るシーンは、驚きと同時に当然とも思えてきます。真相がこれでは死に切れない。化けて出ておかしくないほどの仕打ち。
おぞまじい利己、憎しみ、偽り。どれも並みの感情ではなくて、痛く重苦しい作品でしたが、面白かった。


†  †


監督・脚本  イングマール・ベルイマン
撮影  スヴェン・ニクヴィスト
出演  イングリッド・チューリン  ハリエット・アンデルセン
リヴ・ウルマン  カリ・シルヴァン

(カラー/91分/スウェーデン製作/VISKNINGAR OCH ROP)









Last updated  2010.08.18 16:12:40
コメント(8) | コメントを書く
2008.01.19
カテゴリ:スウェーデン映画

 医師イーサクは50年に及ぶ業績を讃えられ、名誉博士号授与のため、息子の住むルンドへと赴く。
息子の嫁マリアンヌの運転で式場へ向かう途中、青年時代を過ごした旧宅に立ち寄り、過去を回想するイーサク。
その後、ヒッチハイクの若い三人組に出会って、人生の価値を見つめ直していくのだった―――



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 主人公・イーサク老人の心の変化を、夢と白昼夢と現実を織り交ぜて描いた、切ないような物語。
医師としての50年、人付き合いを嫌い、神経質で孤独に生きてきたイーサク。
嫁のマリアンヌが指摘するように、傍から見れば立派な紳士であっても、家族にとっては受け入れがたい冷酷に感じる気質の人物です。
それは母も同じ、息子も同じ。親子三世代に及ぶもの。
夫の厭世が理由で夫婦の仲がこじれ、マリアンヌは義父イーサクを頼って身を寄せている設定ですが、結局父もまた厭世の鏡のようで頼りにはなっていません。

そんなイーサクとマリアンヌが、博士号授与のためルンドへと向かう車の旅を、出会う人々も絡めて描いた、ロードムービーです。


冒頭の悪夢が、素晴らしい。
何かの象徴か、針のない時計。暗く人気のない街に、顔が消えかけた男がひとり現れて消える。馬車が壊れながら走り、振り落とされた棺桶には自分が横たわっている。

ぞくっとする、悪夢です。
死期の近いことを予感させるような、死への準備をしているような、記憶の断片に降りていくイーサクの夢々には、心が奪われました。
うつつと同じくらいに夢のシーンが、この作品を形作っています。


今までの生き方が変わるとき。
イーサクには、それがたった一日で起こりました。
息子の嫁との車の旅、若い三人のヒッチハイカーとの出会い、過去を受け入れて乗り越えていくのに、歳なんて関係ありません。
イーサクはおじいんちゃんであっても、沢山のものを、まだ乗り越えていなかったのでしょう。
弟に奪われた恋人との思い出、妻の不倫・・・。そんな痛々しい過去さえ乗り越えたら、あとは瑞々しい野いちごの記憶。
恋人が笑っていた、両親が釣りをしていた湖のほとりへ、彼の原風景が広がるラストに幸せな切なさと感慨が湧いてきました。


血は争えない息子も、きっと希望ある未来を手にする。そんな仄かな期待が残りました。
マリアンヌの苦しみが理解できるようになったことが、救いです。
旅行者の三人組が、暗くなりがちな物語の、いいアクセントになっていました。
女ひとりに男ふたり。
快活な女学生は、イーサクが若き日に恋焦がれた女性と同じサラという名。
ビビ・アンデショーンが二役で演じています。
サラに昔の恋人の面影を見、白昼夢を見、夢に癒され治されていく、ちょっと不思議なお話でした。



smultronstallet.jpg



こちらも死ぬまでに観たい映画1001本に選ばれています。




監督・脚本  イングマール・ベルイマン
撮影  グンナール・フィッシェル
音楽  エリック・ノードグレーン
出演  ヴィクトル・シェストレム 、イングリッド・チューリン 、グンナール・ビョルンストランド
ビビ・アンデショーン 、グンネル・リンドブロム 、マックス・フォン・シドー

(モノクロ/90分/スウェーデン/SMULTRON-STALLET)









Last updated  2008.01.20 22:16:24
コメント(6) | コメントを書く

全10件 (10件中 1-10件目)

1


Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.