19歳くんに辞めてもらった
色んなことがいっぱいあって混乱している。大げさかも知れないが、「この日のことは覚えておこう」といった日が二日続いた。19歳くんをクビにした。「明日から来なくていいから」の一言で。そして次の日の朝、来なかった。中学の卒業式を2,3日後に控えて初めて会った。今でも鮮明に覚えている。自転車で40分、暑い日も寒い日もよく3年間通ったと思う。楽しいことなんか、ほんのわずかも無かったはずだ。15歳がもうすぐ20歳。早いものだ。その場で怒鳴って、怒って済ますのもありだったかもしれない。彼は怒られるのを待っていたと思う。自分はそうしなかった。「どうするの?」「何で言って来ないんだよ」何度も心で叫ぶ。奥歯が痛くなるほどかみ締める。冷静に事が流れるのを見守って、帰ってから理由を説明して辞めてもらった。理解したかどうかは分からない・・・ものすごく傷ついたと思う。自分の中の絶対的なルールにそのまま従ったまで。電話して一ヶ月くらい休ませるのもいいし、このまま終わりでもいい。混乱していて、どうしていいか良く分からない。今日最後の手直しをして、請求書をポストに入れて帰った。ご主人から「これで完成したの?」と電話をもらう。屈辱的だ。オブラートに包まれているが、「製品として受け入れられない」と言うことだ。何度も一から作り直して、試行錯誤して、大赤字になって、必死にやってコレ。自信の無さが表れたと思う。圧倒的に実力不足。電話しながら足が震えて来た。「こう言うものですよ」とかゴマカシのきく世界ではないところに、足を踏み入れてしまったのか?そんなかっこいいものではない。実力不足が全てである。それ以外何も無い。モノを作ることの責任を今日はじめて知った気がした。もう一回チャンスをもらって、食らいつこうと思う。