[あとがき] 『陰陽師』 都の守り人
『陰陽師』 都の守り人私が初めて書いた小説。映画「陰陽師2」が公開中だった頃、少し私の頭の中で続編の。。というか、スピンオフの構図が出来てたりしました。その時は、「鵺が晴明に化けて、夜な夜な姫を誑かす」というストーリーだった。晴明がみんなから疑われるという構図が、その時には出来上がってたので、それをベースに書いてみたんですけれども。。。今回、悪役として、やっぱり「鵺」は外せないな~と思って登場させました。「鵺」という怪鳥は、どうも「女」的なイメージが私にはありましてね。晴明さんに化けるというより、高貴な姫君に化ける方がいいんじゃないかと。。そして、その姫に博雅君がお熱を上げるってのも面白いんじゃないか?だったら、鵺が化けるというより、姫に乗り移らせよう~~。っていう風に考えて行きました♪鵺の別名は「トラツグミ」ですので、最初、晴明邸の庭に偵察隊として、「つぐみ」を送り込み、「鵺」と繋げられるようにしてみたんです。でもね~。つぐみって渡り鳥なんだよね。我が家の近くにも飛んで来ます。そして、いつも「ギーギー」と大きな声で鳴き、ドデカイ糞を撒き散らすので、正直なところ困っちょります。季節は初夏の設定なので、冬鳥のつぐみが庭にいるのは、不自然だな~と思いましたが、それも晴明さんの説明によって、うまく解決できたかなと思います。そして、役小角という人物。本来は、悪い人ではありません。どちらかというと、全国のあちこちに功績を残している立派な修験者です。晴明さん風に言うと「よい漢(おとこ)」となりましょう。でも!今回は、大物悪役として登場してもらいました~~。ただ、時代が平安より古い人物だし肉体がないので、邪悪な怨みが都を支配しようとしているという風にしてみました。それから、小角が乗り移る器として登場させたのが土蜘蛛。これも、有名な妖怪ですね~。いろいろ調べたら、小角も土蜘蛛も奈良の葛城山と深くリンクしている事がわかって、「こりゃイケる!」と思って飛びつきました♪そして!そして!どうしても外せなかったのが、「道尊、復活!」いや~~。彼にはどうしても復活して、晴明さんとタッグを組んで欲しかったのよ~。道尊をどうやって絡ませるか。。最初は随分、悩みました。いきなり、晴明さんの味方!ってのも、違和感があるので、小角に操られている。それも過去から絡んでいた、っていう風に作り上げて行きました。そして、偽者晴明さんに扮していただいて、最初は「敵か!?」と皆に思わせて、実は実はそうではない。。そんなカラクリも入れてみたりして。道尊の部分は会話も心情も、書いていて凄く楽しかったです。もう、頭の中は真田さんの道尊が常に喋っておりました(爆)オリジナルだから、映画では語られなかった道尊の過去を、小角に絡ませながら勝手に作ってみたりして。道尊の行く先々で香る「白百合」道尊の母上の名前と悲しい過去を取り入れる事で意味が深くなったかな、と思うのですが、「白百合」には別の意味も含まれてたりします。「白百合」をネットで検索してみると。。。『同性愛』というキーワードが出てきます。どちらかというと、女性同士の。。という意味なんですけどね。晴明さんと博雅くん。晴明さんと道尊ちゃん。あるいは。。博雅くんと道尊ちゃん。何だか三つ巴の漢の愛が交差してる深層心理が彼らにはありそうで、これも勝手に設定しました(爆)男性同士は「薔薇」で表現されるようですが、平安時代に「薔薇」は合わないし~。それは、ベルサイユに代表されるように西洋的ですものね。ですから、「白百合」にしたんですが、実はこれも偶然の結果なんです。「季節は初夏」と、最初に書き出したので、初夏の花を探していて、「山百合」とか綺麗だな~と思ったのが最初。「山百合」とするより「白百合」と書いた方が綺麗に感じる。だから「白百合」としたんだけども、それが意外にも「同性愛」という言葉に行き着いた。結構、面白い偶然が重なっています。偶然といえば、「神楽岡」。小説には地名もたくさん出てきましたが、「神楽岡」は言葉の響きが綺麗だったから使っただけだったんですけれども。。。これも、意外な事に「土蜘蛛」と深く関わりがあったりしましてね。。。土蜘蛛草紙によりますと、源頼光と渡辺綱が空飛ぶ髑髏に遭遇し、その行方を追ってたどり着いたのが「神楽岡」。そして、そこ居た280歳の老女を斬り付け、その血を辿ると巨大な山蜘蛛(土蜘蛛)がいて、それも成敗したという事でした。いや~。これも後で調べたらわかった事でして、偶然にしては出来すぎだな~って自分でも思いました。「神楽岡」は、天照大神が岩戸に隠れた時、神々が楽を奏した伝承から名づけられ、この傍を通ると、若く美しい姫君が人を誑かすという伝説も残ってたりします。なんとなく、「陰陽師2」と被ってる部分もあるし、「道尊が晴明に化けて姫を誑かす」そんなシチュエーションも似てるよね。今回、武器としては弓矢ONLYでしたね(笑)武器を持てるのは博雅君だけなので、今回は博雅君に随分、活躍してもらいました。鵺退治に弓矢を使ったという伝説が残っているので、魔除けでもある鳴弦を使ってみたりもしました。相手が空を飛ぶ「鵺」や「小角」ですので、剣より弓の方が威力発揮出来ますからね。映画のような派手な晴明さんのアクションはないですけど、本来、陰陽師というのは方術で相手を倒してゆくものですし、その意味では、つきうさオリジナルの呪文をふんだんに取り入れたつもりです。サブタイトルの「都の守り人」も、最初は漠然としたものしか無かったのですが、書き進めて行く内に、道尊とうまく繋げられたと思っています。そして、ラストは博雅君の笛と晴明さんの舞で終わる。「余韻を残したラストになった」と、自己満足しています。続編の「陰陽師3」の話題がまったく出てこなくて、それなら「勝手に陰陽師3」書いちゃえ~!って、勢いで書いた小説。お仲間のみなさんからリクエストしていただいたシーンを盛り込みながら、出来上がった作品です。私だけの物じゃなく、最後まで読んで下さった皆さんの作品だと、私は思っています。本当にいろいろとありがとう♪凄く満足できるものになって、本当に嬉しいです。次回作を期待して下さってる方もいらして、涙が出るくらい嬉しいんだけど。。頭の中はカラッポで、何もアイデアが沸いて来ないです。こんなイメージで。。という、ご要望がありましたら、お知らせ下さい。それをヒントにまた新しいお話が書けるかも知れません。では、これにて「あとがき」を終えたいと思います♪最後までご拝読下さって、ありがとうございました。この小説はまとめていつでも読めるように、TOPのコンテンツに加えたいと思います。