食器(2) ~雑誌『NHK短歌』2008年2月号より
高野公彦選の入選と佳作から、私の注目した歌にコメント。丼をかぶるがごとく汁すする うどんの好きな九十六の母東京都小平市 栗原良子 丼から再び顔を出したときの嬉しそうな表情が想像される。96歳の幸せなのだろう。侘・寂を感ずる前に目で0(ゼロ)を数へてしまふ天目茶碗兵庫県養父市 佐野志郎 私も店で茶道具などを見ると、侘・寂というのは私から遠く離れた世界なんだと思う。(^^; 本当は茶を点てる人間の精神的態度の問題なんだけどねえ~、と負け惜しみを言いつつ、自分の懐の寂しさに侘しくなる。ヾ(^^;ブランドの食器は箱にねむらせて粗品でまにあう暮らしを選ぶ大阪府枚方市 森仲三枝子 (u_u;)ノ 上に同じ。百円の食器を買えばたちまちに百円以上の愛情湧きぬ北海道新十津川町 三浦美香 物それ自体の価値ではなくて、自分の物としてそれを所有していることからくる価値。些細なものにも愛情をたくさん持てる人は、内心ではとても豊かな生活をしているかもしれない。三組の子らの茶碗の出番減り忙しすぎる主(あるじ)待ちをり福岡市城南区 宮原ますみ 茶碗は、そのまま家族関係を象徴する。子供が大きくなって独立してしまうと、夫の遅い帰りが待ち遠しくなる。中年以降の女性の典型的な侘しさを素朴に表現している。回線を光ファイバーに換へたれど速き光陰とどめ難しも栃木県小山市 泉 洋一郎 いやあ、どんなに高速で情報をやりとりしても、限られた寿命のまえでは無力だ。余計な情報がたくさん入ってくる分、もっと時間が必要になったりする。(^^;人間の器を試す病とて凹(へこ)む限りを凹みておらん東京都八王子市 岩垂由里子 うつ病かな? 気分が落ち込むのを凹むと言っているのだろう。そして、それを“人間の器を試す病”と形容しているところがすごい人物なのかも? おそらく作者の周囲にそんな人がいるのだろう。学問の喜びに似てうら若き司書に押さるる台車の軋み沖縄県浦添市 西平守伸 キッ、キッという音が喜々とした感じに聞こえたのだろう。だから“うら若き”女性でないと歌にならない。(^^ゞ《『NHK短歌』のホームページ》人気blogランキング↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping<日本人なら“和”にこだわりたい> 《「天皇はどこから来たか?」連載中》 私の第2ブログ「時事評論@和の空間」と第3ブログ「浮世[天(あめ)]風呂 @和の空間」もよろしく。ついでにこれも→(笑)無料メルマガ『皇位継承Q&A』登録はこちらから 目次 ブログ散策:天皇制の危機 も合わせて御覧ください。