うつくしさをいただく
わたくしは,うつくしい,という言葉と,真摯,という言葉にからきし弱い,そのビームを浴びると,もうめろめろになってしまう,ただの平凡なおんなである。 本日,日赤武蔵野短大の公開講座「産後のココロとカラダ~美しい母を目指しましょう~」,マドレボニータの吉岡マコさんによる講座のアシスタントとして参加。 あたたかな陽がさしこむ講堂にて,20組近い,降り始めたばかりの新雪のような母と子が集まる。 そして,この講座は同短大で助産師学を教えていらっしゃる鈴木幹子先生が,マドレボニータの思いに共感してくださり(ついでに紫磨子さん著作の「産褥記」を、学生たちの必須図書ともおっしゃってくださってね,もう目頭あつくなるわたくしたちであった),実現したものだ。 はじめに,鈴木先生から,産後女性の心身の変化について,それから,思春期から出産,やがて更年期を迎えるわたくしたちの心身の準備の必要性について伝えられる。 わたくしたちの子もやがて思春期を迎え,自分と,異性の生と性についてその差異を愛おしんだり悩むときがくる。 先をゆくおとなとして,親として,性の慈しみを伝えられるように。 更年期への心身の配慮も,成長するばかりのわが子への,これはもうほとんど願いに近いような,いのちを大切に扱うという行為を示すのも,産後の心身のケアから始まる。 という流れで,鈴木先生からマコさんへ講座のバトンが渡された。 見事。 いままでに,産後女性の心身のケアの必要性を当たり前のようにこういった講座で橋渡ししてくださった方がいただろうか、と。 助産師経験の長い鈴木先生からの言葉はなにより,説得力があるものね。 (そしてその鈴木先生も,行政主催の講座では,肩こりのセルフケアを自らお伝えしてくださっている←たいへん盛り上がるそうだ,目の色が変わるほど,←女の子は変化に弱いからね) 会場にはあちこちに赤いバランスボールが置かれ,鈴木先生からの,抱っこしながら弾めますよ,のアナウンスで,躊躇することなく半数くらいの方が抱っこや授乳しながらマコさんの話に耳を傾ける,おおきく頷き,かなり前のめりになりながら。 脳の活性化,セルフケアのワークを,先生がた、これから助産師になろうという学生のかたも一緒になって,爆笑したり,胸鎖乳突筋はがしにお声を!?あげられたり,ざわつきなどもなく終始和やかに,だけど相変わらず胸に深く届くマコさんのメッセージは,これから母としても生きる女性たちにとって,真摯にひとと心を交わし合い,自分を更新し続ける世界へのきっかけになったんじゃと,そう願ってやまないわたくしだった。 この講座のために,マコさん,山田マネージャーと鈴木先生は数度打ち合わせを重ねている。 ありがちな,おまかせします,参加者がリフレッシュできればといった意識でなく,同じ,周産期に深く関わる者の,互いのこの仕事に対する思いをくみとり,参加者の心とからだに深く響くような講座にしたい,場作り,6ヶ月以上のお子さんはお預けになってきてくださいという事前アナウンスだったり,さりげなくおかれたバランスボールだったり,生徒以上に耳を傾け積極的に参加してくださった助産師の先生がた,学生のみなさん,ひとりひとりの,伝えたい,受け取りたいとの思いが融合した末の,うつくしい講座なのだ。 鈴木先生がマドレボニータに共感し、声をかけてくださり,共感をかたちにするためにこころをくだいてくださった。 恊働してメッセージを発信する上で,たいへん学びの多い講座でもあり,なにより,鈴木先生ご本人のうつくしさに感嘆したのだ。 講座修了後の夕方には,わたくしたちアシスタントひとりひとりにも,お礼のメッセージを届けてくださったのだ。 これを,配慮,という。 新雪を共によろこび,かろやかに冬の寒さを駆ける女鹿は,齢を妥協で重ねたりしない,しなやかさとまっさらな心を持ち,生きている,鈴木先生そのひとであった。