テーマ:特撮について喋ろう♪(4530)
カテゴリ:怪獣漫画王
「ゴジラVSビオランテ」(89)のコミカライズは前作から恒例のてんとう虫コミックス版のほかに別な作品が存在します。
OVA「戦えイクサー1」「冥王計画ゼオライマー」「ダンガイオー」シリーズを監督、最近では「エンジェルハート」を手掛けている平野俊弘の手による漫画がそれで角川のニュータイプ100%コミックスからなぜか映画公開の89年年末でなく翌90年の5月に発売されました。 ストーリーそのものは非常に映画に忠実ですがデティール部分の違いが面白いので以下にその点を挙げてみましょう。 美少女・三枝未希 本編の主人公の「美少女」とは映画のVSシリーズに最後まで出演した三枝未希のこと。 80年代後半のアニメっぽい独特な髪型と大きな眼の少女は映画の小高恵美とはまるで印象が違いますね。 プロローグは1984年に小学生の未希がゴジラを予感し東京に出現したゴジラ(「ゴジラ(84)」にあたる)によって両親を失う姿が描かれます。 「パパ!ママ!いやあ・・どうして・・どうして・・そんな・・ゴジラ・・どうしてこんなことするの!!」 ゴジラは少女のといかけに答えず去ってゆきます。 「お願い・・答えて・・お願い・・」 白神博士と英理加 1954年、1984年ののエピローグのあと1990年、になるのですが基本的には大森一樹の脚本の台詞を活かした比較的忠実な展開です。しかし異なる点がやはり幾つか存在します。 違いのひとつは白神博士とサラジア共和国の扱いです。 サラジアやバイオメジャーなどの登場はばっさり切られ博士は自らが生み出したビオランテの胎動により芦ノ湖の花獣出現以前に命を落してしまいます。言うなれば自分の娘に殺されてしまう・・ある意味映画より救われない展開ですね。 映画の白神博士は娘を怪獣としてでも生き延びさせようとする狂気を内に湛えたマッドサイエンティストですが表面上は非常にダンディーです。 しかし平野版では白髭に禿頭で耳の高さぐるりに髪が残っているといういかにも古典的博士のデザインになっています。 スーパーX2 今ひとつの大きな違いがスーパーX2のデザインでしょう。 機体の8割を占める巨大なファイヤーミラーが十字状に開くデザインは本編よりかっこいいかもしれません。今の技術ならこのデザインも動かせそうですが・・。 ゴジラVSビオランテ 大阪ビジネスパークの決戦、権藤一佐の死からスーパーX2の撃墜。その後映画では若狭でのサンダービーム作戦になるのですがそこは省略されています。 大阪のビル街に未希の願いに応えたビオランテが光とともに降臨します・・。 降臨したビオランテは花獣の姿。 しかし花の中央にはゴジラのような顔が・・。(本作では先行する芦ノ湖のシーンで薔薇の中央に顔が浮き出てきている描写がある) 熱線を受けてさらに進化するビオランテ。絵的には非常にわかりにくいですが薔薇の中に顔があるというコンセプトは最後まで貫かれそれが膨れ上がったようなイメージで描かれています。 抗核バクテリアがビオランテとの戦いの中で効きはじめゴジラはそのまま、敗北します。 ビオランテは勝利の後、光となって宙へ帰っていきます。 残念ながら沢口靖子の顔はうかんだりしませんが・・・最後は薔薇の花園に立つ英理加と 「いつから私達は間違ってしまったのでしょう・・多分神への道を歩みはじめたと思ったときから・・もう一度あの時に戻って思い出してください・・・・」の台詞で締め括りとなります。 本編とは違うデザインワークス、ことにスーパーX2は秀逸なデザインと思いますがやはりこの作品には怪獣映画の面白さが再現されたかと問われると残念ながらそうはいえないと思います。 三枝未希は「ガメラ3」の比良坂綾奈と同じ立ち位置なのですがビオランテを呼び出す仲介役にとどまっています。(大阪湾での戦いも映画には忠実とはいえもう少しゴジラの精神に入り込めたら・・、とはいえオリジナルがそうなのでしょうがないといえばしょうがないのですが・・・という点で惜しいです。) その意味でゴジラVS美少女という部分が完遂されていないのが何とも残念な作品です・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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