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映像四郎の百人斬り

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November 16, 2008
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俵屋宗達、風神雷神図屏風を見た。

その画題で、宗達、光琳、抱一、基一の4世代が一同に会していた。

(宗達が開祖なのに、何故、琳派なのだろう、

 彼が組織化=お家化したということなのだろうか)

正直、小・中・高の美術や、

歴史の教科書でしか、見たことのなかった絵画。

なんの価値があるのか、さっぱり、わからない自分ではあったが、

雨曇りである、とういうのに、

上野の美術館は長蛇の列。

日本人って、意外に真面目なのね。

前、来たときも、この美術館に賑わってたし。

同伴者、ヒキダシ氏は、顔に似合わず日本美術が好きで、

時折、わたしは、上野に随行するのだが、

俵屋、どうやら、一流らしい。

画面から、風神雷神が、はみだしている宗達。

風神雷神に、エフェクトの掛かった、洗練した光琳。

焼酎の入った現在は、違いの思い出せない抱一。

水墨画的、幽玄を取り入れ、上三代より、スペクタクルな襖使いで、

ハイビジョンを思わせる基一。

ううん、これが、琳派、というものなのか。

知らなかった。

教科書で、見てるだけでは、

ただの辛気臭い、土俗宗教的、神話図絵の、

雷様イラストとしか、思えていなかったが、

太平の江戸時代、同じ画題で、四代に渡って、

同じ画題で、頂点を極めた、師弟関係が存続していた。

それが、現物として、21世紀東京・上野に、光臨している。

それは、単純な驚きだった。

だが、本当に、驚いたのは、

起承転結の承で、突然、やってきたクライマックス、

風神雷神図屏風にではなく、

宗達の、「白象図杉戸」の「象」や、光琳の竹梅図屏風や、

乾山の様々なプロダクトデザイン作品群だ。

宗達の「象」は、「目が狂っている」。

白い象なんて、わたしは、見たことがないのに、

図画として描かれている。

図画ではあるが、

近くから見ると、木目に刻まれた、彫刻に、

見えたりもしたが、この「象が、醸し出す仮定世界」へ

移行してしまうと、かわいらしさと残虐さが同居した、

「狂った目」と「狂暴な牙」によって、

襖に閉じ込められた人間がいた場合、

これ以上ない残虐な暴力によって、殺戮されたしまうことが、

約束されたがごとき、恐怖と恍惚が、存在する。

まんが「ねこじる」の世界が体現されている。

光琳の描いた、「竹梅図屏風」には、

簡素な竹、それ以外は、捨象したGOLDENな余白、

何がいいんだか、わからないけど、見てるうちに、

その何もない余白から、彼岸もしくは、仏教土もしくは、

非現実もしくは、俳諧的世界もしくは、

いとをかしもしくは、

凝縮した異次元を、体感させてくれる。

抱一の、花の屏風絵、花がマル、茎が垂線となり、

五線譜のさざ波のごとき、意匠的屏風絵画、

乾山の、箱物プロダクトデザイン、

順々と見ていくうちに、

こいつらは、埃に黴れた日本という名のローカル巨匠ではなく、

江戸幕府という、侍的王権文化の生み出した、

超VIPデザイナーであることに、結論が達した。

ルイヴィトンが、数十万円で、手に入る庶民のブランドなら、

琳派は、江戸時代、庶民が見ることを許されなかった王族=将軍家のブランドだ。

徳川ブランド。

ヒキダシ氏は、琳派展示を見ながら、盛んに、

ROCKだ、ROCKだ、

と興奮している。

戦国時代に端を発した狩野派の、

殺意逡巡たる3DCGな躍動的虎絵画に比べると、

琳派は、解説文のキーワード「意匠化」すなわち、

デザインと化した、記号化、抽象化、具象にマンガ性を混入するダリ化、

まとまっててクールならいいじゃん的力技による多次元混入型の、

ポップアート。

しかも、余白が、

俳句や、彼岸を感じさせる日本型「いとをかし」系。

絵画的伝統芸能、絵画の歌舞伎、いや、それ以上に、

複雑に見せかけたシンプルな力、

意匠という名のブランド力を、

琳派の展示から、受けたのだった。

そして、隣で、やたらと、

ROCKだ、シュールレアリズムだと呟くヒキダシ氏に、

「ロックの定義ってなんすか」と訊いてみると、

「FREE YOUR MIND」だった。

自由につくるには、それなりの、フォーマットの身体化や、

その乗り越えが、必要だとは思うが、

音楽だと思っていたロックが、

「FREEDOM」というコンセプトによって、

音楽だけでなく、別ジャンルをも、包摂しうることに、

面白さを感じるとともに、御徒町の安酒で、

境界を危うくする水墨的世界へと、渡航するも、

幾何学的に、普通に、おうちへ帰った。





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Last updated  November 22, 2008 12:56:36 PM


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