カテゴリ:演劇
シアターコクーンで「わが魂は輝く水なり」を。 舞台や演奏会に行き、「もひとつ安い席でもよかったかな」と思うこともあれば、「う~ケチらずS席にすれば良かった」と思うこともある。 今回は、まさしく後者 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/08_wagatamashii/index.html 菊之助さん、萬歳さんと1階客席の通路を歩く歩く!あんなんお顔が間近に来た日にゃ、しばらく夢から醒めることができなさそうだわ。 蜷川さんの演劇を観るのは初めて。想像通り、役者さんたちは蜷川道場といってもいいような、魂を削るような熱演。 でも、やっぱり萬歳さんと菊之助さんのかもし出す雰囲気って、次元が違う。やっぱり小さいときから「叩き込まれた」ものとしかいいようがないかも。発声にしろ所作にしろ、他の役者さんが気の毒なほど。ただ叫んでるだけ?って見えてしまうもの。 狂言では、実年齢にそぐわない役はないそうだけど、萬歳さんの実盛の違和感ない老け役はたいしたもの。識別不能の老けメークもすごいことはすごいけど、体と声が完璧にコントロールできるからこそちゃんと60歳に見えるんだろうな。 それだけじゃなくて、戦場の立ち回りの場面での、まあ、軽業師のような身のこなし。あのびっくりする切れのよさも、他の人には若くても真似できないだろう。 息子五郎の菊之助さんも、凛として、まさに死んで浮世のもろもろが流し尽くされたような、透明感。理屈っぽいことを言いながらも、するりと漂うような。父を見守るまなざしが、なんとも慈しみ深く、切なくなる。 蜷川さんの世界は、グロテスクでもあるけど、清らかで美しい。醜さも美しさも、どちらも人間の姿なのだ。 巴御前をはじめとする木曽義仲軍の狂気とは対照的な、実盛・五郎親子のやけにおだやかなやりとり、平維盛の超おとぼけぶりなどが混じって、最後まで飽きずに一気に観てしまった。間に15分の休憩があったが、終ったのは9時40分すぎ。それをあっという間に感じた。 終って、渋谷へ向かう途中で、なんだかじわ~っと涙が滲んできた。なんかね、いい話ですよ。う~、もう一度観たいかも。 六郎役の亀三郎さん。体張って頑張ってました。現代劇でも、ちゃんと見栄えがする。やっぱり歌舞伎の人はひとまわり違うスケール、さすが~。
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