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フレッシュマンにおすすめ (2024/03/23)ビジネスツールから小型家電まで フレッシュマンにおすすめのガジェットを紹介
テーマ:最近、読んだ本を教えて!
カテゴリ:書籍
著者は、カリフォルニア大学バークレー校教授で、量子重力理論やマルチバース宇宙論を専門に研究している物理学者の野村泰紀さん。数式など一切使わずに、多元宇宙(マルチバース)理論を平易に解説してくれる。野村さんが最後に記しているように、「マルチバース宇宙論のような壮大な話は、逆説的ではありますが、そのちっぽけな生活をちょっとでも知的に豊かにする」ものだと思う。 我々が「宇宙」と呼んでいる領域は、どこでも同じ法則に従って動いているように見える領域のことだ。ところが、1987年にアメリカの物理学者スティーヴン・ワインバーグは、「宇宙があまりにも我々にとってよくできすぎている」という謎を解くために、「我々が知っている宇宙以外にもいろいろな種類の宇宙が存在する」と仮定することで解き明かせると主張した。ここからマルチバース(多元宇宙)理論がはじまる。 我々の宇宙では人間だけが特別な存在ではないというコペルニクス原理のもと、科学は発展してきた。ところが、科学が発展すればするほど、我々の宇宙の物理法則は人間にとって都合よくできていることが分かってきた。もし神様が宇宙を創ったのではないとするなら、宇宙というものが無数にあって、その中からたまたま「特定の値」を得た奇跡の宇宙に我々が住んでいると考えるしかない。 さらに超弦理論がマルチバース理論を後押しする。超弦理論は10次元の時空間を予想するが、われわれが知覚できる4次元を除いた残りの6次元はコンパクト化されていると考える。コンパクト化された6次元の空間がどのくらいあるかと言うと、十分に安定した形になるものに限定しても10の500乗通り以上あると見積もられている。ワインバーグの理論を使うのに必要だった10の120乗種類よりはるかに多くの種類の違う宇宙が存在する可能性がある。 こうした新しい理論は、ビッグバン理論では説明がつかなかった「地平線問題」「宇宙が平坦すぎる問題」「宇宙構造の小さな揺らぎ」について一定の回答を与えてくれる。 野村さんは、「マルチバース理論は少なくとも現時点では、観測されている宇宙の加速膨張を理解する事実上唯一の理論であることは間違いありません」という。マルチバース理論が証明されても、ビッグバン宇宙論やインフレーション理論が無くなるわけではない。 第6講でエンターテイメントの中でマルチバースが取り上げられている例として、映画『スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、そして、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が紹介されている。 野村さんが「あとがき」に記しているように、「自分が今まで知らなかったことを知るのは楽しいし、そうやって知的好奇心が満たされることは、僕ら人間にとって大きな喜び」であることには同感だ。私も、日々あくせくと稼がなければならない身の上であるが、その稼ぐ額には物理学的が限界がある。ならば、金銭に頼らない知的好奇心を満たすことで生活の豊かさを感じたいと願う者である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.26 12:23:41
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