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ぱふぅ家のサイバー小物

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書籍

2022.05.08
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カテゴリ:書籍
ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング 第11巻

ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング 第11巻

 そうよ、こっちにはこの子がいたわ。生きる計算不可要素!!! 規格外のド天然娘が‥‥!!
著者・編者大和田秀樹=著
出版情報竹書房
出版年月2021年12月発行

著者は『機動戦士ガンダムさん』『大魔法峠』でお馴染みの大和田秀樹さん。
シリーズ累計270万部を突破した政治+麻雀アクション漫画の新章は、麻雀高校女子ワールドカップだ。

決勝戦は、御門葩子 (みかど はこ) が率いる日本代表とドイツ代表の対決――初手、アドルフィーネ・ブラウンの針の穴をも通るような正確な読み〈精密麻雀〉が葩子を削ってゆく。だが、比良坂菊理という計算富農の悪魔がアドルフィーネを翻弄する。
そこへ、UFOのようなドイツ最新鋭機に乗ったナースが登場。帝国が復活する。







最終更新日  2022.05.08 12:26:52
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2022.05.07
カテゴリ:書籍
永遠の終り

永遠の終り

 ノイエス「もしも〈永遠〉なるものが最初から設立されなかったとしたらどうでしょう?」(327ページ)
著者・編者アイザック・アシモフ=著
出版情報早川書房
出版年月1977年11月発行

通常の時間の流れと隔てられた「時場」の中から人類の歴史を監視し、時に〈現実矯正〉を行う時間管理機関〈永遠〉(エターニティ)の一員、〈永遠〉(エターニティ)となったアンドリュウ・ハーランは〈観察士〉(オブザーバー)となった。彼らが〈現実矯正〉を行うたび、〈時間〉(タイム)の歴史は変わってゆく。
ハーランの報告は完璧であり、それは、〈永遠〉史上だれよりも多くの〈現実矯正〉を指導してきた上級算定士レイバン・トウィッセルの目に止まった。トウィッセルは「わしは〈永遠〉の存続のためにきみが必要なのだよ」と言い、ハーランを〈技術士〉(テクニシャン)に昇進させた。

ある日、トウィッセルはハーランに、研修生ブリンズリイ・シェリダン・クーパーの教育を任せ、〈原始時代〉について教えるように命じた。クーパーは、〈永遠人〉になるには歳をとりすぎていた。なぜ、トウィッセルはハーランにクーパーの教育を任せたのか。
ハーランは、観察士として働いたことがある482世紀を再訪する。ここで、魅力的な〈時間人〉(タイムマー)の女性、ノイエス・ランベントに出会う。ここで〈現実矯正〉が行われれば、ノイエスの存在が消えてしまうという。
7万世紀から15万世紀は〈神秘の世紀〉と呼ばれ、〈永遠人〉は〈時間〉へはいることができない。〈永遠〉と〈時間〉とのあいだには、通り技けられない扉が存在する。ハーランはノイエスを111394世紀に避難させた。

〈原始時代〉の24世紀のヴィッカー・マランゾーンが〈永遠〉を発明したことになっているが、そんなことはあり得ないと、ハーランはトウィッセルに詰め寄る。ついに、トウィッセルは〈永遠〉の正体を語る。〈永遠〉をめぐる因果の円環が閉じられるはずだったが、すべての謎が解き明かされたわけではなかった――ノイエスを救出したハーランは、彼女から真実を告げられる。〈永遠〉は終わり、〈無限〉(インフィニティ)がはじまった――。

タイムトラベル、タイムパラドックスはSFの中でメジャーなテーマのひとつだが、アイザック・アシモフのSFには、本作品と短編『停滞空間』の2つしかない。そして、本作品は単なるタイムトラベルものではなく、アシモフが得意とするミステリー仕立てになっており、最後の最後で、〈永遠〉が『銀河帝国の興亡』(ファウンデーション)シリーズの伏線になっているという大どんでん返しがある。銀河帝国がなぜ人類だけで構成されているのかという謎得になっている。

そして、もうひとつ――〈永遠人〉のタカピーな振る舞い。これは『鋼鉄都市』など、銀河帝国前史に登場する宇宙人たちに似ている。アシモフは、上級算定士レイバン・トウィッセルは「われわれは異常なものと見れば排除する」と語らせる。
アシモフのSF作品群には、排除の論理が強くなると人類は滅び、多様性を受け入れなければ人類の発展はないという強いメッセージが込められている――アシモフの死後30年になるが、世界は、まだ、彼の理想を実現できていない――。







最終更新日  2022.05.07 13:10:42
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2022.05.01
カテゴリ:書籍
活版印刷三日月堂 小さな折り紙

活版印刷三日月堂 小さな折り紙

 印刷された文字は、人が残した「あと」。生きた証。その人がいなくなったあとも残り、人が影に、文字が実体になる。きっとそういう意味なんだろう、と思った。(312ページ)
著者・編者ほしお さなえ=著
出版情報ポプラ社
出版年月2020年1月発行

飯田橋にある印刷博物館を訪れた際、コラボ企画として展示されていた小説――川越にある昔ながらの活版印刷所「三日月堂」に出入りするお客さんの心模様を描く番外編最終巻。本編最終巻「雲の日記帳」の先の話として、短編6編を収録。本編で脇役だった登場人物たちが主人公となり、本編主人公の月野弓子は、前半では顔を出さない。
私が暮らしている〈今日現在〉と被る部分が多く、最後まで話に没入できた。私の〈生きた証〉は、アレに違いない――。
初版限定で、本文の一部を活字印刷した扉1ページが付いている。

マドンナの憂鬱‥‥川越観光案内所に勤めるマドンナこと柚原胡桃 (ゆずはら くるみ) は、ガラス工芸展の葛城、川越運送店の市倉ハル、観光案内所でアルバイトだった大西とともに富山観光へ向かう。シリーズ最初の中編「世界は森」に登場し、三日月堂の店主・月野弓子を励まし、レターセットを発注した市倉ハルと大西が再登場。胡桃は、葛城、ハル、大西の新しい側面を知り、自分の心を扉を開いてゆく。

南十字星の下で‥‥「星たちの栞」に登場する村崎小枝が主人公。文芸部の3人が高校を卒業する。最後の文集を製本しながら、小枝は、両親が離婚し母親とともにオーストラリアへ移住する山口侑加 (ゆうか) と語り合いながら、彼女の新しい側面を発見する。

二巡目のワンダーランド‥‥「あわゆきのあと」に登場する広太 (こうた) の父が主人公。父は、社会の裏側を知ろうと社会人になり、子育てを人生の〈二巡目〉という。私も子育て中に自分の子ども時代の記憶が被った経験がある。〈二巡目〉と考えれば、「想定外」「予期しないこと」が起きる確率は減る。だから、家族の行動をコントロールしようという気は失せるし、家族の自由にやらせた方が面白い。そして、子育てが終わると〈三巡目〉がやって来る。親の介護だ。親がどんなに耄碌しようが、子どもは子どもなので〈三巡目〉――。

庭の昼食‥‥「庭のアルバム」に登場する天野 (かえで) の母が主人公。楓は、大学進学せず三日月堂への就職を希望する。そんなとき、弓子の亡き母、カナコの詩集の出版が決まる。

水のなかの雲‥‥デザイン事務所に勤める傍ら、三日月堂で活版を学んでいる金子が主人公。「ちょうちょうの朗読会」に登場する小穂 (さほ) と三日月堂と訪れた金子は、弓子に誘われ、「最後のカレンダー」に登場するユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙 (ほそかわし) を作っている工場を見学する。標題は、紙漉きを「残すためには、まわりのことを丸ごと引き受けなければいけない」という弓子の言葉に心を動かされ、金子は小穂に告白する‥‥。

小さな折り紙‥‥「空色の冊子」に登場する、あけぼの保育園の浜田征子 (まさこ) 園長が主人公。元気いっぱいで、友だちの面倒見がいい (たすく) が卒園式を迎える。母親も園に通っており、ある日、折り紙を折っていたとき、突然席を立ち、教室の隅にうずくまってしまったことがあった。その理由は‥‥活版印刷三日月堂シリーズは大団円を迎える。







最終更新日  2022.05.01 19:13:18
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2022.04.30
カテゴリ:書籍
活版印刷三日月堂 空色の冊子

活版印刷三日月堂 空色の冊子

 片野「なにかやらせてくださいよ。コピーの文字っていうのは、紙のうえに粉がのってるだけ。水に濡れたら流れてしよう。印刷の文字とはちがいよす。わたしもずっとこの園の記念冊子を作ってきました。子どもたちにほんとの文字を手渡したい」(240ページ)
著者・編者ほしお さなえ=著
出版情報ポプラ社
出版年月2019年12月発行

飯田橋にある印刷博物館を訪れた際、コラボ企画として展示されていた小説――川越にある昔ながらの活版印刷所「三日月堂」に出入りするお客さんの心模様を描く番外編。短編7編を収録。本編で活版印刷所「三日月堂」の店主となる月野弓子が生まれて間もない1986年から、東日本大震災があった2011年頃が舞台になっている。主人公は、私と同じ世代である弓子の父母たち――自分の青春時代の記憶を重ねて読んでいった。
初版限定で、本文の一部を活字印刷した扉1ページが付いている。

ヒーローたちの記念写真‥‥1986年、売れない映画ライター、片山が同人誌「ウェスタン」に連載を続けていた「我らの西部劇」を出版しようと、大学時代の友人、杉野が行動を起こした。だが、企画は通らない。片山は干されていたのだ。片山と杉野は喫茶店「桐一葉」で語らった後、守谷が経営する古書店「浮草」を回り、「ウェスタン」のファンである月野が経営する印刷所「三日月堂」を訪れた。片山は、月野の孫娘、弓子を見て、自分の過去を思い起こす。そして、カウボーイハットをかぶって3人で記念写真を撮った。

星と暗闇‥‥片野修平は三日月堂を継がず、天文学者になることを夢見ていた。修士は終えたものの、研究者になる道は険しく、高校の教員になった。同じ教員だったカナコと『銀河鉄道の夜』の話で盛り上がり、やがて結婚し、娘の弓子が生まれた。弓子が3歳になった頃、カナコは病気に倒れ、亡くなってしまう。弓子を実家に預けて教員を続けていたが、ある日、カナコの故郷、盛岡を訪ねる。川を見ながら、「ほんとうのさいわい」について想いをめぐらせた。

届かない手紙‥‥「我らの西部劇」を三日月堂で印刷することが決まった矢先に片山が急死してしまう。最後の原稿が行方不明となり、月野が組んだ組版は三日月堂の倉庫に保管されたままだった。明日は、弓子が横浜にいる修平の家へ引っ越す日だった。弓子は祖母、静子から料理を教えてもらい、自分のレターセットを印刷した。弓子は、そのレターセットで母カナコに手紙を書きたいと言う。片野は「届かない手紙。書いてもいいのかもしれないな」とつぶやく。

ひこうき雲‥‥学生時代、月野カナコ、大島聡子とバンドを組み、歌手を目指していた裕美は、父の会社の取引先の重役の息子、斉木茂と結婚する。2人の娘、未希と真子をもうけたが、茂は不倫し、裕美は2人の娘を引き取って離婚する。娘たちを連れてカナコの墓参に訪れた裕美は、自然と「ひこうき雲」を口ずさんだ。未希は母の歌がうまいと言って、自分は歌手になりたいと言った。裕美はカナコの言葉を思い出していた――生きてれば、きっといいこともあるよ。

最後のカレンダー‥‥静子が入院したことで、月野は三日月堂を店じまいすることを決めた。三日月堂に毎年カレンダーを発注していた和紙販売の笠原は残念だったが、最後にユネスコ無形文化遺産に登録された細川紙 (ほそかわし) を使ってカレンダーを印刷することにした。月野は笠原に、「まあ、そこそこね、いい人生だったと思うよ」と語る。

空色の冊子‥‥静子が亡くなり、月野は三日月堂を閉めた。そして、東日本大震災が発生した。三日月堂でも活字棚が倒れるなどしたが、弓子が通っていた あけぼの保育園が卒園記念冊子を印刷できなくなっていた。園長はコピー機で作るしかないと諦めていたが、店じまいするまで記念冊子の印刷を請け負っていた月野は、「コピーの文字っていうのは、紙のうえに粉がのってるだけ。水に濡れたら流れてしよう。印刷の文字とはちがいよす。わたしもずっとこの園の記念冊子を作ってきよした。子どもたちにほんとの文字を手渡したい」と熱く語る。父母たちの協力を得て、三日月堂で記念冊子の印刷がはじまる。

引っ越しの日‥‥札幌から横浜に来ていた唯は、偶然、大学の友人、弓子に出会う。弓子は父を亡くし、横浜・野毛山のマンションを出て、川越で祖父母が住んでいた印刷所に引っ越すという。

『星と暗闇』は、印刷博物館とのコラボ企画の際に活版の冊子として書き下ろした作品を加筆したもの――。
修平が「宇宙は広い。自分とは桁違いに大きなものが存在していることが怖いのかもしれない。ふいにそう思った」(64ページ)と語るが、天文少年だった私も思い当たる節がある。1天文単位(地球と太陽の平均距離)は約1億5千万km、1光年にいたっては約9兆5千億km――ともかく数字が桁違いに大きい。天文計算するには8桁の電卓では足りない。より大きな値を計算できる電子計算機が必要だ。やる気と畏れが混ざり合った気持ちで、電算業界に足を踏み入れた。
『庭のアルバム』で『カナコの歌』として紹介される「ひこうき雲」が荒井由実(ユーミン)の同名曲(1973年11月)であることが明かされる。
『引っ越しの日』で、日ノ出町、黄金町、野毛山という地名が並ぶ――このあたりで遊んだ学生時代の記憶が蘇る。







最終更新日  2022.04.30 13:17:05
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2022.04.24
カテゴリ:書籍
遠き神々の炎(下)

遠き神々の炎(下)

 ファム・ヌウェン「ライダーはおそらく知っていたはずた。前回に学んたはずたから。疫病体を快く思わない何かが存在する。“ご老体”でさえなんとか想像することしかできない、巨大な何かが……」(406ページ)
著者・編者ヴァーナー・ヴィンジ=著
出版情報東京創元社
出版年月1995年11月発行

リレーを出発して5ヵ月、〈アウト・オブ・バンド2世号〉(OOBII)は修理のため、RIPに立ち寄ることになった。ところが、グリーンストークの裏切りに遭い、一行は命からがらRIPを脱出した。グリーンストークを含むスクロールライダーは〈奇形体〉の洗脳を受けていたのか。そして、ラヴナ・バークスヌトは、シャンドラ・カイが崩壊したというニュースを目にする。

イェフリと鋼鉄卿は、ラヴナ・バークスヌトに教えてもらった無線機を製作し、集合体同士の距離を離しても思考が継続できることを確認した。
一方、火薬と大砲の製造法を取得した木彫師の軍勢は、ヨハンナをともない鋼鉄者へ向かっていた。だが、行軍中にヨハンナが襲われた。木彫師の軍勢の中に裏切り者がいたのだ。

OOBIIを追跡していたシャンドラ・カイの通商警備艦〈ウルビラ〉は、OOBIIとともに津波に巻き込まれ低速圏に入ってしまう。OOBIIは超光速通信ができなくなり、イェフリとの交信が途絶する。イェフリは不安になった。
低速圏から脱出した〈ウルビラ〉艦長クイェト・スベンスヌト大佐は、社主ギスク・リメンドからの指令がおかしなことに気づいた。寄生体に感染したのだと考えられる。そこで、OOBIIの追跡を断念し、生存する道を探ることにした。
だが、疫病体艦隊はなおもOOBIIを追跡する。

OOBIIは、ついに鉄爪族の惑星に到着した。まさに木彫師の軍勢が鋼鉄者に襲いかかろうとしていた。
混戦の中、イェフリとヨハンナは邂逅するが、鋼鉄者の城は油攻めにされ火が放たれた。ブルーシェルは火の中に飛び込み2人の子どもを救出するが、燃えつきてしまう。
ファム・ヌウェンは、イェフリとヨハンナが乗ってきた貨物船の中で、〈神の破片〉の力を使って、ライダーの神話が事実であることを確かめた。疫病体を快く思わない巨大な力がある。そして、巨大な津波が疫病体艦隊を襲い、鉄爪族の惑星は低速圏に沈んだ――。

銀河を大洋のように表現しているのは松本零士の漫画のようであり、さまざまな形態をした異星人が登場するのはスター・ウォーズのようでもある。鉄爪族の惑星は中世ファンタジー世界、ヴリニミ機構がある際涯圏はサイバーパンク。ネットを飛び交うニュースはSNSのよう――本書はスペースオペラのようでもありハードSFのようでもあり、銀河系という舞台の設定、そして、鉄爪族やスクロールライダーという登場人物の設定が複雑な伏線を生み、それを全て回収するという空前絶後のSFである。







最終更新日  2022.04.24 12:50:22
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2022.04.23
カテゴリ:書籍
遠き神々の炎(上)

遠き神々の炎(上)

 思い返せば、ラヴナ・バークスヌトにとってライブラリ司書になったのは当然のなりゆきだったかもしれない。シャンドラ・カイに生まれた彼女は、子どもの頃、王女時代のお話が大好きたった。数人の勇敢な淑女たちが人類を偉大な業績へと導いた時代の冒険譚だ。(93ページ)
著者・編者ヴァーナー・ヴィンジ=著
出版情報東京創元社
出版年月1995年11月発行

ネットワーク宇宙の片隅で、人類の考古学者たちが50億年前のアーカイヴを発見した。そこから現れたのは、人智を超えた邪悪意識〈奇形体〉だった。人類の植民世界〈ストリョーム領〉は蹂躙されたが、1隻のコンテナ船に乗ったイェフリたち家族が辛うじて脱出に成功した。彼らは居住可能な惑星に着陸したが、派閥抗争を繰り広げていた犬のような形をした集合知性体「鉄爪族」に襲われる。イェフリは鋼鉄卿に、ヨハンナは放浪者ウィクラクスカーたちに捕らえられ、別れ別れになってしまう。

リレーで通信事業と営むヴリニミ機構で、ライブラリ司書の研修を受けているラヴナ・バークスヌトは、〈ストリョーム領〉の惨劇を耳にする。グロンドル・カリルによると、神仙〈ご老体〉は人類に関心をもち、無思考深部で発見された原人類、ファム・ヌウェンを差し出そうとしていた。
ラヴナとファム・ヌウェンは、外国人居住区でスクロードライダー種族のブルーシェルとグリーンストークから、ストリョーム領から少なくとも1隻の船が、〈奇形体〉への処方箋をもって脱出したことを知らされる。
イェフリとヨハンナは、それぞれの鉄爪族と会話を交わせるようになっていた。斬伐者の片腕となっている鋼鉄卿はイェフリがコンテナ船の通信機を使うことを許可し、その通信はラヴナのもとに届いた。
ラグナはグロンドル・カリルに、イェフリが〈奇形体〉への処方箋をもっている可能性があり、その救出を救出を提案する。だが、際涯圏から低速圏へ降りることは大きな危険が伴う。
ラグナは神仙〈ご老体〉と接触し、リレーが〈奇形体〉の攻撃を受けることを知る。彼女は瀕死のファム・ヌウェンとともにブルーシェルとグリーンストークが操縦する宇宙船〈アウト・オブ・バンド2世号〉に乗り、イェフリ救出へ向かう。

〈奇形体〉はリレーを含む際涯圏の住民を奴隷とし、かつてクロスカントリー走のチャンピオンだったオヴン・ニルスヌトを代弁者として、すべての種族を救済すると宣言した。圏界が不安定になっており、低速圏に近づくにつれ航行速度が遅くなっている〈アウト・オブ・バンド2世号〉の行程にも影響を与えた。

銀河の中で、神々に匹敵する力を持つ古代の邪悪意識が復活。それを倒す秘密の鍵は、中世の文化レベルの辺境惑星に隠されているという。その鍵を求め、冒険がはじまる――プロットはスペースオペラの王道路線だが、秘密の鍵を探索するのは王子でも騎士でもなく、通信会社に研究に来ている女性司書。中世の文化レベルの惑星には、犬のような形をした集合知性体。そして、多くの非ヒューマノイド型宇宙人が登場する。
ともかく設定がてんこ盛りで、まずは、本文冒頭にある銀河系マップと、巻末の訳者による「基礎知識」を読んでから本文に入った方が迷子にならずに済むと思う。







最終更新日  2022.04.23 12:14:07
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2022.04.09
カテゴリ:書籍
女性と天文学

女性と天文学

 40歳近くになって、キャロラインは天文学の研究で報酬をもらう世界初の女性になった。(50ページ)
著者・編者ヤエル・ナゼ=著
出版情報恒星社厚生閣
出版年月2021年11月発行

著者はフランスの理学博士(天体物理学)ヤエル・ナゼさん。天王星を発見したウィリアム・ハーシェルの妹キャロラインにはじまり、木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星を共同発見した妻キャロライン、ピッカリングのハーレムの女性研究員たち。パルサーを発見したジョスリン・ベル・バーネル‥‥多くの無名の女性天文学者が残した「観測記録」は、ガリレオやローウェルが残したスケッチと違い、科学的価値が高い。彼女たちは名声を欲したわけでもなく、ただ科学者として高みを目指そうとしたのであろう。ジェンダーとは関係なく、科学者とはそうあるべきだと思う。

キャロライン・ルクレティア・ハーシェルは、天王星を発見したウィリアム・ハーシェルの11歳下の妹だ。1750年3月16日、ドイツのハノーファーで生まれ、1772年8月、兄が暮らすイギリスへ渡った。彼女は、ソプラノ歌手として兄の音楽隊をサポートする一方、兄の天体観測の助手として記録をとっていた。自らも彗星を発見し、国王ジョージ3世は彼女に年間50ポンドの報酬を払うようになった。彼女は、天文学の研究で報酬をもらう世界初の女性となった。
1797年に、フラムスティードの星図に載っていない561の恒星を加え、これを改訂した。1828年、兄が発見した2500の星雲のカタログを完成させた。1828年に王立天文学会ゴールドメダルを受賞し、1835年にメアリー・サマヴィルとともに王立天文学会初の女性会員に選ばれた。

キャロライン・ジーン・スペルマン・シューメーカーは、1993年に夫のユージン・シューメーカー、ディヴィッド・レヴィととも、木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星を発見した。
結婚するまで天文学の知識はなかったが、子どもたちが独立すると、夫の仕事を手伝い、地球近傍小惑星や彗星の観測を始めた。彼女は、2002年までに32の彗星と800を超える小惑星を発見しており、これは個人での彗星の最多発見記録となっている。

1877年にハーバード大学天文台の台長となったエドワード・チャールズ・ピッカリングは、分光装置のついた望遠鏡を使って天体を撮影することにより、恒星の分類ができることに気づいた。観測写真を精査するために、彼は時給25~35セントを出して多くの女性研究員を雇った。ピッカリングのハーレムでは、ウィリアミナ・パトン・フレミング、アニー・ジャンプ・キャノン、アントニア・カエタナ・モーリ、セシリア・ヘレナ・ペイン=ガポシュキンらが活躍し、MK分類法など、今日も用いられている恒星や星雲・星団の分類が確立された。

ヘンリエッタ・スワン・リービットはピッカリングのハーレムでは目立たない女性だったが、ケフェイド変光星の変光周期と光度との間に相関があることを発見し、天体までの距離測定に大きく貢献することになる。彼女の業績はノーベル賞候補に挙がるほどだったが、胃がんを患いひっそりと死去していた。

エレアノール・マーガレット・ピーチー・バービッジは、イギリスの大学を卒業した後、アメリカの大型望遠鏡で分光観測をする研究を望んだが、当時の女性差別的伝統のために実現できず、1943年にロンドン大学で学位を取得した。1948年に天体物理学者のジェフリー・バービッジと結婚。1951年に初めて渡米、ヤーキス天文台で主に星の元素組成を研究した。夫ジェフリーやフレッド・ホイルと共同研究を行ない、1957年に、ほとんどの化学元素は星の中の原子核反応で生成されるという仮説を述べた有名なB2FH論文を発表した。夫妻はホイルとともに、ガモフのビッグバン仮説に疑問を唱え続けた。
また、銀河の質量を測定した最初の一人であり、クエーサー研究のパイオニアでもある。マーガレットが指導した若い女史学生ベラ・ルービンは、のちに暗黒物質を発見する。
天文学の世界における女性差別と戦い、1971年、アメリカ天文学会から授与されたアニー・ジャンプ・キャノン賞を辞退した。この賞は女性のみに与えられるもので差別的というのがその理由だった。1972年には女性として初のグリニッジ天文台長に任じられたが、女性という理由から、台長職でセットで付いてくる王室天文官の称号を受けられなかった。1976年から1978年にかけてアメリカ天文学会の会長、1983年から米国科学振興協会の会長を務めた。

ベラ・クーパー・ルービンは、バービッジ夫妻と共同研究を行い、1965年には女性として初めて、パロマー天文台の観測時間を獲得した。そして、渦巻銀河が暗黒物質のハローに包まれていることを観測的に実証した。

スーザン・ジョスリン・ベル・バーネルは、1967年、ケンブリッジ大学大学院生時代、アントニー・ヒューイッシュらとともに電波望遠鏡の観測データのなかに非常に早く規則的に変化する電波信号を見つけた。当初、宇宙人からの通信ではないかと考えられたが、高速で回転する中性子星が電波源であることがわかった。1968年2月、5人の共著でパルサー発見の論文がネイチャーに発表された。
1974年、パルサー発見の功績でヒューイッシュがノーベル物理学賞を受賞した。このことに驚いたフレッド・ホイルは、陰謀がなされたのではないかと騒いだ。当のジョスリンは騒動に加わらず、最終的に多くの賞を授けられ、2002年から王立天文学会会長を、2014年からエジンバラ王立天文学会会長を務めた。

小山ひさ子は1945年から50年間にわたり太陽黒点の観測と記録を続け、太陽の活動周期や長期の変動に関する研究に貢献している。私も学生時代、黒点観測を行っていたが、小山ひさ子の観測結果と比較したものである。直接面識はないが、その記録こそが良き師であった。
林左絵子は、アポロ11号の月面着陸に触発され多くのSFを読み、星間雲内部で誕生する恒星・惑星の様子を研究するため、すばる望遠鏡プロジェクトに加わり、2017年には次世代超大型望遠鏡TMTプロジェクトに移った。







最終更新日  2022.04.09 12:32:22
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2022.03.25
カテゴリ:書籍
活版印刷三日月堂 雲の日記帳

活版印刷三日月堂 雲の日記帳

 楓「大きな仕事ってなんですか?」(303ページ)
著者・編者ほしお さなえ=著
出版情報ポプラ社
出版年月2018年8月発行

飯田橋にある印刷博物館を訪れた際、コラボ企画として展示されていた小説――川越にある昔ながらの活版印刷所「三日月堂」に出入りするお客さんの心模様を描く第四弾も中編4 本――楓が弓子に問う「大きな仕事ってなんですか?」 私は 25 年前のことを思い出し、家族ができ、同じ業界で仕事を続けていられる幸せを再確認した――。

星をつなぐ線‥‥本町印刷の長田は、プラネタリウム「星空館」に勤める村岡に思いを寄せていた。村岡は、1971 年の開館時に販売していた星座早見盤を復刻したいという。星座盤は木口木版だ。同僚の島本悠生 (ゆうき) が活版印刷三日月堂に出入りしていることを知り、川越へ向かう。三日月堂の店主・月野弓子は、天文学者だった父に連れられ、よく星空館に行ったという。多くの人の協力により、星座早見盤は復刻した。星座は、星と星の間を見えない線が結ぶ――そして、人と人の間にも結ぶ線がある。
印刷博物館の企画展示「天文学と印刷」で、ドイツの天文学者で印刷職人のレギオモンタヌスの仕事に目を奪われた。1474 年に出版した『天体位置表』は、1504 年にアメリカ大陸に上陸したコロンブスも携行していたという。コロンブスは『天体位置表』を利用し、食料の提供を渋るジャマイカの原住民を相手に、翌日に月食が起き、神の罰が下ることを予言してみせたのだった。

街の木の地図‥‥ゼミの春休みの課題は、3 人グループで取材し、雑誌を作り、販売することだった。豊島つぐみは、押しが強い草壁彰一 (くさかべ しょういち) 、引っ込み思案の安西明里 (あんざい あかり) と組まされたことが不安だった。バイト先のプラネタリウム「星空館」で三日月堂の話を耳にし、3 人で月野弓子を訪ねた。3 人で川越を見て歩いているうちに、川越にある樹木をイラストマップにして、街の人から聞いた話を文字にして、活版印刷しようということになった。豊島は振り返る。自分がたったひとつのバラじゃないと知ったときは少しショックだったが、それぞれの思いを抱き、理解し合ったり、争ったりしながら、ともに生きてる。それが街、人の生きる社会なんだ、と思った。
自我が芽生え、思春期になり、自分が唯一無二の存在と思い込む時期がある――いわゆる「中二病」だ。自分の周囲に「AT フィールド」を張り巡らせ、必死にポジションを守ろうとする。だが、ゼミで共同作業をしたり、研究室で共同研究をするうちに、否が応でもその壁は取り払われる。それは、社会人になるためのイニシエーションだから。

雲の日記帳‥‥豊島らが作ったイラストマップは、古書店「浮草」で 2番目の販売数を上げた。だが、店主の水上は癌を患っており、医師から余命半年と宣告されていた。学生時代の同人誌仲間の岩倉が、水上に本を出さないかと誘う。水上は、学生時代に書いた小説のモデルとなった女性が自殺未遂したことを悔いておりいた。ぶらりと三日月堂を訪れた水上は、弓子に身の上話をする。まだ 3 月だというのに、川沿いの桜が満開に近い。水上は、生きているものとして最後の仕事をしようと思った。自分のなかで育った言葉を、この世界に返すために。

三日月堂の夢‥‥水上は本を出版することを決めた。三日月堂で印刷したいという。だが、水上が生きているうちに出版できるだろうか。弓子は、コースターを納品するために珈琲店「桐一葉」を訪れた。弓子は、悠生と楓にも相談した。本を出版することは「三日月堂の夢」だ。豊島や安西も手伝いに来てくれる。多い日には 10 人近い人が三日月堂で仕事をしていた。8 月末、刷り上がった紙を製本業者へ送り出した。kura を貸し切り、本作りに関わったメンバで食事会を開いた。その帰り道、悠生は弓子に自分の想いを告げた。本の完成を見届け、水上は他界した。弓子は、悠生と楓といっしよに三日月堂を続けていくことを決心し、挨拶状を作ることにした――わたしが組んだ挨拶状を、悠生さんが刷っている。
私たち夫婦は、結婚式も披露宴も挙げなかったが、歴史のある建物に親類を招き、ささやかな食事会を催した。2 人で買った Macintosh を使って、手作りの挨拶状を用意した――あれから四半世紀が過ぎた。







最終更新日  2022.03.25 12:24:28
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2022.03.24
カテゴリ:書籍
巨人たちの星

巨人たちの星

 カレン・ヘラー「わたしたち法律家は、実験を繰り返す贅沢は許されません。犯罪者が条件を一定に保った実験室で同じ罪を犯すということはまずありませんから。それだけに、わたしたちは最初の判断が肝腎なのです」
著者・編者ジェームズ・P.ホーガン=著
出版情報東京創元社
出版年月1983年5月発行

ガニメアンたちを乗せたシャピアロン号が地球を去ってから 3 ヵ月がたった。ガニメアンの子孫であり、故郷の惑星ミネルヴァを離れ、24 光年離れた巨人の星「ジャイスター」へ移住したテューリアンとの交信が続いており、地球がだいぶ前から監視されていることが明らかになった。

そんななか、テューリアン代表団が地球を訪れることになった。物理学者のヴィクター・ハントは、生物学者クリスチャン・ダンチェッカーや国連宇宙軍本部長グレッグ・コールドウェル、政治家たちと、北極圏にあるマグラスキー空軍基地へ向かった。そこに現れたのは、ボーイングの超音速VTOL 中距離輸送機だった。機内から流暢な英語でハントたちを案内したのは、テューリアンのコンピュータ・システム〈ヴィザー〉だった。

ヴィザーはテューリアン世界とリアルタイムにネットワークしており、ハントたちはあっという間にテューリアンへ運ばれた。テューリアン政府代表のプライアム・カラザーが地球人たちを出迎えた。地球人たちは、シャピアロン号を攻撃・破壊し、全面戦争に突入するという事実に反する映像を見せられた。
テューリアンたちは、自分たちは地球について 2 つのまったく異なる報告を受けていること、そして国連の動きが不自然であることから、直接、ハントたちに話を聞くことにしたのだ。テューリアンに偽の情報を流していたのは、ジェヴレン人たちだった。

アメリカは、当初、国連月裏面代表団のソヴィエト代表ミコライ・ソプロスキンが陰謀をめぐらしているのではないかと考えていたが、ソ連もテューリアンとの交信には積極的だった。怪しいのはスウェーデン代表で委員会議長二ールス・スヴェレンセンだった。
ジェヴレン人とは何者か。スヴェレンセンの正体とは――陰謀・策謀とは無縁のガニメアンやテューリアンは呆然とした。地球人により 5 万年間に及ぶ謎が解明され、因果の円環は閉じたのだった。

コロナ禍の最中、ネットではトンデモ医学と陰謀論が乱れ飛んでいるが、本書を読むと、その親和性の高さも頷ける。科学は現象の再現性を求めるが、ホーガンはカレン・ヘラーに「わたしたち法律家は、実験を繰り返す贅沢は許されません」と語らせる。なぜなら、「犯罪者が条件を一定に保った実験室で同じ罪を犯すということはまずありませんから。それだけに、わたしたちは最初の判断が肝腎なのです」――逆に考えると、「最初の判断」を間違えると、すべてが陰謀論となり、トンデモに結びついていくのだ。
死してなお、世界情勢を予言し続けるジェイムズ・パトリック・ホーガンは、おそるべき SF 作家である。







最終更新日  2022.03.24 19:57:44
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2022.03.19
カテゴリ:書籍
未踏の蒼穹

未踏の蒼穹

 ロリライはそっと言った。「あそこはわたしたちの故郷なの。昔からずっと」(431ページ)
著者・編者ジェイムズ・P・ホーガン=著
出版情報東京創元社
出版年月2022年1月発行

コンピュータ・セールスマンだったが、1977年に一気に書き上げた長編『星を継ぐもの』でデビューしたジェイムズ・P・ホーガンが、2007年に発表した長編SFだ。

テラ人(地球人類)は金星に生命が誕生する前に中央アジア戦争を起こし、滅んだ。テラ人とよく似ているものの、重力が電磁気力の派生力であることを知った金星人たちは、地球探査隊を組織し、地球と月の有人探査を行っていた。
月の裏側に、テラ人が持っていたはずのない超技術の遺跡が発見され、電気宇宙推進のカイアル・リーン博士らは、その遺跡の調査に向かった。彼は、途中に立ち寄った地球で、微生物学者のロリライ・ヒリヴァーと出会い、意気投合する。ロリライは、獲得した生存に関連する情報を、逆転写酵素がDNAに書き込み、経験を後世に伝えることができるという仮説を立てていた。

観察により生命や宇宙の複雑さを知った金星人は、自分たちも含めたこの現実があるのはなんらかの強大な創造的知性のおかげであり、それが意識や精神性や生命という機能そのものを通じてみずからの存在を伝えているのだと考えていた。その超知性のことを、「存在の設計図」や「ヴィゼック」と呼んでいた。
一方、ヴィゼックの存在を知らず、絶対的真理としての科学を追究したテラ人の考え方に魅せられた〈進歩派〉が、金星人たちの中に増えていた。
言語学者で〈進歩派〉の有力者、ジェニン・ソーガンは、「真実だと人びとを納得させることができれば、自分のイデオロギーの正しさをしめす証拠になる」と語る。そして、ジェニンは、かつて〈進歩派〉だったロリライに再び接近する。

月面探査を続けているカイアルらは、テラ人が「プロヴィデンス」と呼ぶ計画を進めていたことを知る。その計画のアイコンは、金星で幸運と帰郷を意味するカテクの記号とよく似ていた。
プロヴィデンスとはどんな計画だったのか。テラ人は本当に絶滅してしまったのか――。

帯に「『星を継ぐもの』の興奮再び!」とあるが、トンデモ本の古典「ヴェリコフスキーの彗星(イマヌエル・ヴェリコフスキー『衝突する宇宙』)のネタを巧みに利用したSFというのが読後感。ただ、『地球は特別な惑星か?』で、国立天文台研究員の成田憲保さんが取り上げた古在機構のように、太陽系内惑星の軌道は不安定とする仮説がある。だとすると、私たちが学んだ天文学の、科学の基本が揺らぐ――。
著者のホーガンは、この不安を利用し、金星人〈進歩派〉のジェニン・ソーガンをして、「真実だと人びとを納得させることができれば、自分のイデオロギーの正しさをしめす証拠になる」と語らせる。そう。これこそが、世の中に蔓延るトンデモ、オカルト、陰謀論の手口である。

結末は――ホーガンのファンなら予想が付くだろう。安心して最後まで読むことができる。
私は、ロリライの最後の台詞を読んで、アニメ『ふしぎの海のナディア』最終回「星を継ぐ者…」のジャンの台詞を思い出してしまった‥‥本書は、やはり『星を継ぐもの』の再来なのかもしれない。そして思う――いまはトンデモでも、近い将来、科学として実証されることがあるかもしれない――ありえないことなんて、ありえないのだから。







最終更新日  2022.03.19 13:32:07
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