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書籍

2017.06.15
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カテゴリ:書籍
超巨大ブラックホールに迫る

超巨大ブラックホールに迫る

 これからは重力波天文学が花開くでしょう。(167ページ)
著者・編者平林久=著
出版情報新日本出版社
出版年月2017年2月発行

著者は、東京大学東京天文台(現・国立天文台)で野辺山電波天文台建設計画にかかわり、宇宙科学研究所に移って電波天文衛星「はるか」プロジェクトを成功に導いた平林久さん。電波天文学や計測機器に関する難しい話ではなく、電波天文学の発展に平林さんご自身の半生を重ねた、読みやすい科学書だ。
ついでに言うと、宇宙背景輻射が発見された年に産まれた私は、本書の時系列の中に自分の歴史を重ねて読むことができた。

私は中高生時代、毎夏、野辺山の近くで天体観測をしていた。
この頃、FM電波を使った流星の観測を行っており、電波天文学とまではいかないにしても、アマチュア天文家として電波による天体観測には関心があった。
平林さんが東大時代に心血を注いだ野辺山宇宙電波観測所の「45m ミリ波望遠鏡」と「10m 5素子ミリ波干渉計」が完成したのは、最後に観測に行った年だった。

私は大学へ進学し、電算機やパソコンを利用できるようになると、人工衛星の軌道計算や電波干渉計の解像度の計算が簡単にできるようになる。「NASA の JPL(ジェット推進研究所)の電波天文学者のジェリー・レヴィさんが、TDRS衛星 1 号機の優れた通信能力をうまく使いこなせば、スペース VLBI の実験ができることに気づいていました」(60 ページ)という時代だ。私は、地球の直径より大きな干渉計が誕生することにワクワクさせられた。

平林さんは、人工衛星を使った電波望遠鏡プロジェクトを、ブランデーにちなんで「VSOP計画」と名付けた。そして、時代は昭和から平成へ――平林さんは、こう振り返る。
その 1989 年の 1 月、「新宿を歩いていると、駅近くのビルの電光掲示板に、新しい元号が「平成」と決まったと流れました。「『ひらなり』と読むのかな、なんだかのんびりの名前だな」と思いましたが、「へいせい」と読むのだとわかりました。ラテン系の人は h を発音しないので、「へ」は「え」となります。「ああ、僕らの『衛星』元年だな」と思いました。(69 ページ)
このころ、私はシステム技術者として飯を食っていくことになる。忙しいプロジェクトの中でユーモアを忘れない姿勢は大切だ。

世界初の VLBI電波天文衛星 Muses-B こと「はるか」は、1997 年 2 月、打ち上げられる。45m ミリ波望遠鏡は縁結びの神様である。
2001 年 3 月、仕事でアラスカへ行き、オーロラ観測をする。電波天文学とは違うが、オーロラを再現するために可視光の波長分析をしたり、興味深い経験をした。この頃になるとパソコンの性能が向上し、波形解析のスピードも飛躍的にアップした。「はるか」の研究現場も同じだったに違いない。

こうして「はるか」プロジェクトは 2006 年 3 月に完了し、翌年、平林さんは宇宙科学研究所を定年退官される。
さて、オーロラ観測に行った時、よちよち歩きだった子どもは、友だち同士で野辺山まで旅行に行くようになっていた。構想から 20 年、「はるか」プロジェクトの皆さん、本当にお疲れさまでした。

「はるか」は遠方銀河の超巨大ブラックホールの観測もしたのだが、平林さんは最後に、「これからは重力波天文学が花開くでしょう」(167 ページ)と書いている。電磁波とは違う「波形」の観測・研究を後進に託しているような感じだ。

平林さんは剣道の有段者だ。忙しい仕事の合間を縫って、六段まで進んでいる。
2005 年 12 月、イギリスを訪問した平林さんは、「実際にホーキング博士にお会いして、思い知りました。研究生活をし、気分を転換し、肉体を動かし、稽古ごとなどに励める自分は幸せなのだと。このことを大事に生かさなければいけないと思いました。自分はがんばらなければならない。もっと知的でなければ、など、と」(170 ページ)と記している。
私は、来日したホーキング博士にお会いしたが、そのときは、IT 技術の可能性に舌を巻いた。
平林さんは引退されたが、私の現役生活はまだ続く。私もまた、電磁波とは異なる「波形」解析の仕事に着手している。IT 技術と組み合わせることで、これからも人類の可能性に挑戦していきたい。
そんな 2012 年夏、家族で野辺山を訪れ、野辺山宇宙電波観測所を見学した。







最終更新日  2017.06.15 19:20:01
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2017.05.21
カテゴリ:書籍
科学報道の真相

科学報道の真相

 ジャーナリズムにおける客観性とは検証の規律を意味している。(243ページ)
著者・編者瀬川 至朗=著
出版情報筑摩書房
出版年月2017年1月発行

著者は、毎日新聞で科学環境部長、編集局次長などを務めた瀬川至朗さん。
なぜ新聞・テレビの報道で失敗がおこるのか。そして市民の不信感を起きおこすのか――この課題に対し、STAP細胞、福島第一原発事故、地球温暖化という 3 つの題材を取り上げ、各々の報道された内容を具体的に分析し、ジャーナリズムの原則を導いていく。

第一の STAP細胞については、「メディアはなぜ見抜けなかったのか」という視点で考察する。
マスメディアは、理化学研究所という「権威」による記者発表を信用し、科学誌掲載という水準を超えて大々的に報道していた。その後も、研究不正のことは逐一報道したものの、マスメディア自身の「誤報」についての自己検証はおこなっていない。

第二の福島第一原発事故では、「大本営発表報道は克服できるのか」という視点で考察する。
事故発生当初の原子炉内の炉心浴融に関係して、マスメディアの初期報道は、政府・東京電力の記者会見の内容にほぼ沿った「発表報道」になっていた。記者会見をする原子力安全・保安院と東京電力は炉心「損傷」という言葉を使って事故の楼小化を図り、新聞報道も「本格的な炉心溶融はおきていない」というメッセージを読者に伝えた。新聞別では、朝日・毎日の二紙と読売・日経の二紙のあいだで、興なる言説を読み取ることができた。「全電源喪失」事故については、東電の「想定外」という認識を、マスメディアもそのまま踏襲した報道がつづいている。

第三の地球温暖化では、「公平・中立報道」が意味するところを考察する。
科学的な不確実性が指摘され、温暖化懐疑論も主張されるなかで、地球温暖化報道における公平さや中立性は絶対的なものではなく、「科学者集団からみた公平さ」「市民からみた中立性」というように、特定の立場や視点に依存した相対的なものであることをしめした。また、日本のマスメディアにおいて懐疑論の報道が少ないのは、IPCC という公的組織にたいする権威としての信頼、が背景にあることが推察された。

これらに共通してみえてくるのは、日本のマスメディア(とりわけ中央の新聞・テレビ・通信社)が政府や電力会社、科学コミュニティ、科学者グループといった権威に重きをおき、権威からの情報を発表報道している姿である。もちろん、個々には明確な問題意識をもつ記者が優れた報道に取り組んでいるケースはある。ここで指摘しているのは、マスメディア報道のメインストリームとして、権威に依拠する発表報道が多いという点である。
また、自身の経験から、記者や編集者が実際の仕事において強く意識するのは、読者としての一般市民ではなく、競争相手としての同業他社であり、他社の記者・編集者であるという。

瀬川さんは、コヴアッチらの著作『ジャーナリズムの原則』を取り上げ、ジャーナリズムの原則は、「3.ジャーナリズムの核心は検証の規律である。【検証】」「4.ジャーナリズムの実践者は取材対象者からの独立を維持しなければいけない。【独立性】」の 2 つであると指摘する。

製造業に携わっている身として、製品の品質水準として、常に validation と verification が求められる。前者は、規格・基準に沿っているか顧客要求に合っているかを検証すること。後者は正しく動作するかの検証である。
ジャーナリズムもコンテンツという製品を世に送り出しているのだから、当然、validation と verification が求められるべきだろう。verification は校正といったところか。瀬川さんが指摘するのは、validation の方である。







最終更新日  2017.05.21 12:14:38
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2017.05.05
カテゴリ:書籍
善人ほど悪い奴はいない

善人ほど悪い奴はいない

 善人は弱いことを自覚しているからこそ、最も卑劣で姑息なやり方で権力を求める。つまり、彼らは「数」に訴えるのである。(123ページ)
著者・編者中島義道=著
出版情報角川書店
出版年月2010年8月発行

テレビのコメンテーターや、ツイッターで入ってくるメッセージに違和感を覚える。こういうとき、しっかりした哲学を持っていないと、状況に流されかねない。まずは、ニーチェの復習だ――というわけで、怒れる哲学者、中島義道さんの作品を読むことにした。

中島さんは、弱者をこう定義する――「弱者とは、自分が弱いことを骨の髄まで自覚しているが、それに自責の念を覚えるのでもなく、むしろ自分が弱いことを全身で『正当化』する人」(10 ページ)。
そして、「何もしないで、たえず文句ばかり、しかも紋切り型のきれいごとばかり語っているのが善人」(36 ページ)としたうえで、ニーチェの善人批判論をテーマに、「ただ口先で『世の中おかしい』と言っているだけの人は、じつのところ悪徳商法の大家より、振り込め詐欺のプロより、道徳的に悪い。なぜなら、あらゆるスリや泥棒やサギ師は少なくとも自分が『悪い』と自覚しているが、彼らはそういう最低の善悪の自覚さえないのだ」(34 ページ)と断罪する。
さらに、「善良な弱者は、もしうまくチャンスがめぐってきたら、自分も似たような悪事に走ったかもしれない、という自己批判的観点が完全に欠如しているほど自己観察眼が足りないアホ」(68 ページ)と追い打ちをかける。そういえば、作家で俳優の筒井康隆さんが『笑犬樓よりの眺望』で同じことを述べていた。

中島さんは、「いつの時代においても、けっして自己批判をしない。『みんな』と同じ行動をとることに一抹の疑問も感じない」(140 ページ)といい、「こういう「幻想的平等主義」を教え込んだ張本人がいる。それは、自分は穴に隠れてこそこそ大衆を操作している卑劣きわまりない毒蜘妹たち」(133 ページ)と指摘する。ニーチェが言うタラントゥラである。「テレビの恐ろしさは、これほどの、まさに全体主義国家顔負けの『規制』がかかりながら、視聴者のほとんど(すなわち善人)にそれを気がつかなくさせてしまうことである」(13 ページ)
そうだ。テレビのコメンテーターや、ツイッターで入ってくるメッセージは、善良な弱者なのだ。だから気持ちが悪い。

本書は哲学書である。ハウツー本のように答えが書いてあるわけではない。読了して、感じたこと、考えたことは十人十色だろう。だが、それで良いのだ。その時点で、「『みんな』と同じ行動をとることに一抹の疑問も感じない」善良な弱者からは卒業である。







最終更新日  2017.05.05 13:02:56
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2017.05.04
カテゴリ:書籍
笑犬楼よりの眺望

笑犬楼よりの眺望

 あたしゃ、キれました。プッツンします。(429ページ)
著者・編者筒井康隆=著
出版情報新潮社
出版年月1996年8月発行

SF 作家であり俳優の筒井康隆さんが、『噂の真相』に約 10 年連載したエッセイ集。社会を揺るがす騒ぎになった「断筆宣言」をもって、この連載は終結する。
およそ 30 年前の世相をネタに書かれているのだが、筒井康隆さんの筆は、マスコミの報道姿勢を批判し、出版不況を憂う。まるで 21 世紀の今の社会を風刺しているかのようだ。さすがは SF 作家だ。

愛煙家である筒井さんは、禁煙運動に疑問を呈する。「煙草というのは人間を情緒的にする偉大な発見であった。だが、それをよいことにして喫煙者いじめがどんどん進行すれば世の中はどうなるか」(196 ページ)。「喫埋者に対してあれだけきびしく非難していながら、飲酒者に対して甘いのはなぜか」(198 ページ)。

筒井さんは、いわゆるオタクに対して好意的である。
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件に際しては、「現実にいちばん影響をあたえ、現実がいちばん真似しやすい虚構とは何かといえば、それは言うまでもなくテレビ・ドラマ、特にホーム・ドラマである」「これらの虚構から悪影響を受けている人間の数の多さは、いうまでもなくアニメ・ファンの数の比ではないのである」(268 ページ)。「自分の心や平凡人の中にひそむ悪を怖いと思わないからこそ、のっペらぼうで画一的な社会になり、ミヤザキが逮捕されたとなるとミヤザキのことが連日報道される」(264 ページ)。

だが、政治家に対しては容赦ない。
リクルート事件に関わる国会証人喚問では、「リベート金額の非常識さを逆に証人から指摘されてととはを失い、笑い声や野次のため完全にうろがきてしまった。他の野党にも言えることだが、独自の調査をせず、新聞記事にばかり頼るからとういうことになる」(249 ページ)「野党はもっと頭のいい悪人を質問者に立てなさい」(251 ページ)

マスコミの姿勢に対しては、俄然、筆が鋭くなる――「田中角栄に端を発する、マスコミの、偉いひといじめ、強いひといびりである」(67 ページ)、「差別をなくすための用語規制というのはその社会の文化的背景まで破壊するととになり、未開度が逆に進行するだけなのだ」(101 ページ)、「マスコミだけでなく日本人全体に、いじめた側を制裁することによって何かが自分の身にはね返ってくるのを恐れる感情があるように思えてならない」(114 ページ)、「泣いている遺族に向かって「今のご感想は」と訊ねる精神たるや、どのように荒廃した精神なのであろう」(224 ページ)、「おれが言いたいのは「反権力」というジャーナリスティックな姿勢もまた「権力」であるというととだ」(259 ページ)、

そして、1993 年(平成 5 年)9 月、「重ねて申しますが、是非ど理解戴きたいのは、てんかんを持つ人に運転をしてほしくないという小生の気持は、てんかん差別につながるものでは決してないということです。てんかんであった文豪ドストエフスキーは尊敬するが、彼の運転する草K は乗りたくないし、運転してほしくないという、ただそれだけのことです」(425 ページ)と書いた翌月、「あたしゃ、キれました。プッツンします」(429 ページ)と「断筆宣言」する。
筒井さんは、最後に、「これは現在の『ことば狩り』『描写狩り』『表現狩り』が『小説狩り』に移行しつつある傾向を感じ取った一作家のささやかな抗議である。おわりに、強く言う。文化国家の、文化としての小説が、タブーなき言語の聖域となることを望んでやまぬことを」(432 ページ)と締めくくった。

本文から一部引用しただけだが、どうだろうか。2017 年(平成 29 年)の現代にも通用する省察ではないだろうか。
筒井さんは、時々、Twitter に投稿をしている。「俺が断筆宣言した頃と何も変わっちゃいねーな」と苦笑いしているにちがいない。

巻末に、『噂の真相』編集者の岡留安則さんによる、少し長めの解説が収録されている。
この中で、中野サンプラザにおける「筒井康隆断筆祭」のエピソードが書かれている。『噂の真相』の永久スポンサーで、このイベントに 2 千万円のカンパをしたビレッジセンター社長・中村満さんの話を耳にし、私はこの頃から同社のソフトウェア「VZ エディタ」のユーザーとなった。この原稿も、後継ソフト「WZ エディタ」で書いている。
肉筆だろうがワープロだろうが、書いた人の心が宿る文章は本物である――。







最終更新日  2017.05.04 11:51:41
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2017.02.28
カテゴリ:書籍
経営チーム革命

経営チーム革命

 グループリーダーでも部長でもひとりで課題を抱えて苦しんでいる状態がけっこうありますが、他人と相談すればすぐ解決できるというものが多いものです。特に技術者に関しては、そのあたりに無器用な人が多い‥‥(170ページより)
著者・編者長野恭彦=著
出版情報日本経済新聞出版社
出版年月2011年10月発行

著者は、スコラ・コンサルトのプロセス・デザイナーで、経営者、役員、部長からなるチームをつくり、事業コンセプトの創出と実行による変革のプロセスコンサルテーションを実施している長野恭彦さん。本書は、「既存市場における成長の限界が見えている企業、競争力を失った事業の革新を課題に持つ企業、『効率追求』から『価値創造』の経営パラダイムへと転換が求められている企業、あるいは事業部門」(88 ページ)を対象に、トップと部長層から成る「戦略的経営チーム」による問題解決方法を提案する。

長野さんは、右肩上がりの安定した経営環境の時代は終わりを告げ、経営と現場の橋渡しとなるべき部長が機能不全に陥っていると指摘する。私も部長職にあるので、経営と現場にの間に矛盾があることは承知している。
長野さんはこれらの矛盾を、「理屈と現実」「全体と部分」「管理と自由」という分かりやすいキーワードで整理し、「部長どうしがお互いに連携することができずに、それぞれが『ひとりで頑張る』ことが当たり前になっている状況が問題の本質」(73 ページ)と指摘する。

また、多くの部長と接してきた経験から、マネジメントができていないという部長が多いということを挙げる。そして、「実務とマネジメントでは求められる能力が異なります」(119 ページ)と指摘した上で、マネジメントに関する習慣を身につける環境を提案する。

第4章は、設計プロセスを改善して半期で 8.5 億円の削減を達成したメーカー事例を紹介する。部署横断の CFT(Cross Functional Team)を立ち上げ、徹底的な情報共有を行うことで、迅速に問題解決できる体制を構築した。
長野さんは「グループリーダーでも部長でもひとりで課題を抱えて苦しんでいる状態がけっこうありますが、他人と相談すればすぐ解決できるというものが多いものです。特に技術者に関しては、そのあたりに無器用な人が多いので、せっかくいいコンテンツを持っていても、宝の持ち腐れになりがち」(170 ページ)と指摘する。
第5章は、市場が成熟して本業が先細る自動車整備会社の事例である。社長を交えたワークショップを行い、自分たちの未来を語り合うことで、あらたしい「事業の軸」が形になっていく。新しい事業の軸を現場に展開したときの現場の抵抗と、そのフォローも紹介している。
第6章は、チームで「事業の軸」を定めるワークショップを行った天竜精機の事例だ。ワークショップが煮詰まったとき、顧客視点に立ち返った。長野さんは、「メーカー側からの固定的な視点で見ているだけでは、性能と価格の追求に入りこむばかりです。それが、お客様側からの視点に立ってみると、まったく別の見え方ができたのです。新しい製品コンセプトが生まれた瞬間」(225 ページ)と記す。
巻末には、「人間関係の身体能力を高める『部長』のタテヨコ連携 49 のコツ」が示されている。

肝心なのは、本書に記されていることを、1 つでも多く実行してみることだろう。
さて、明日からの仕事で、どれから実行してみようか――。







最終更新日  2017.02.28 19:47:46
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2017.02.26
カテゴリ:書籍
医師の心を開く「対話力」

医師の心を開く「対話力」

 自分の売ろうとしている商品が、最終的には患者さんのためになると心得て、活動を行っていただきたいと思います。(130ページ)
著者・編者佐藤望=著
出版情報幻冬舎メディアコンサルティング
出版年月2013年7月発行

著者は、持田製薬やフィリップスで医療機器の営業を経験し、「医療業界に新しい風を」をモットーに株式会社メデイカ・ラインの代表取締役として、医療機器の販売、病医院の開業・開設および医業経営コンサルティング業務などを中心に事業を展開している佐藤望さん。

かつて、医薬品メーカーのプロパーは価格決定権を持ち、潤沢な営業経費を使って設定営業を行っていた。現在は様々な規制や研修医制度の変化で、こうした営業はできなくなっているが、それでも佐藤さんは医療営業の原点は当時の営業スタイルにあると言う。「医療業界の営業マンがすべきことは、医師たちが入手することが難しい、これらの大切な情報をカバーし、手の届きにくい分野のお手伝いをすること」(37 ページ)と述べる。
最後に、4 人の医師が求める医療業界の営業マンの姿が紹介されている。

本書を通じて感じたのは、医療業界の営業マンは数字を上げるのが目的ではなく、医療者の一員として患者をサポートしていくということである。そのために医師の話に耳を傾けることが、結果的に対話力となって身につくのである。







最終更新日  2017.02.26 13:07:22
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2017.02.25
カテゴリ:書籍
ゴーン道場

ゴーン道場

 私の考えではリーダーを際立たせる資質は3つあると思います。モチベーションを喚起すること、信頼を得ること、成果を示すことの3点です。(117ページ)
著者・編者カルロス・ゴーン=著
出版情報朝日新聞出版
出版年月2008年11月発行

著者は、日産を V 字回復に導いたカルロス・ゴーンさん。インタビュアーにゴーンさんが答える形で、職場における部下・上司・新人・女性社員の育て方から、営業や研究者のマネジメント、リーダーの育て方や、子育て、家族にまで話が及ぶ。

冒頭、リーダーに求められる最も重要な能力は「共感能力」(18 ページ)だと指摘。「直接対面が苦手なためにメールを多用しているなら、マネジメントには向かないでしょう。マネジメントは人との対話ですから」(73 ページ)ともいう。自分のこととして注意したい。
さらに、「一般に女性の方が共感能力は高いので、マネジメントに向いていると気づいてほしいですね」(104 ページ)とも、ゴーンさんは女性に優しい。
中間管理職については、「単に上からのメッセージを下に伝えることではありません」「間に立つことでそのメッセージを豊かにする。それが、彼らが生み出す付加価値です」(76 ページ)と指摘する。なるほど。

研究開発に対しては、「革新的で創造的なものづくりができる環境をつくるには、第一に目的を共有することが大事です。全員が理解できて、意欲を持てる目的がなければなりません」(78 ページ)という。
また、家では仕事の話をしないというゴーンさんは、「家族が議論するなかで、子どもは理性を働かせ、自分の立場やスタンスもわかってくる。テーマは何でもいいんです。議論するというプロセスが大事で、これが将来、子どものためになるんです」(169 ページ)という。
たいへん論理的な見解だが、パリ国立高等鉱業学校という工学系職業専門学校を卒業しているという経歴ならでは。現場に立脚した明快な哲学には、はっとさせられた。







最終更新日  2017.02.25 20:07:56
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2017.02.22
カテゴリ:書籍
数学的思考法

数学的思考法

 目先の「効果」ばかりを重視する「条件反射丸暗記」の計算で数学力が上がるなどという幻想を、まずは捨てていただかなければならない。(8ページより)
著者・編者芳沢光雄=著
出版情報講談社
出版年月2005年4月発行

著者は数学者の芳沢光雄さん。1999 年(平成 11 年)、『分数ができない大学生』に執筆参加した。
全体にわたり、難しい数式などは一切無く、数学の答案採点などの事実に基づいて論理的に首尾一貫した主張が展開される。日々、勉強や仕事、家事に追われる皆さん、少し立ち止まって「数学的に考える」ことをしてみようではないか。

冒頭、数学で学ぶ考え方のなかには、経済やビジネスだけでなく、社会問題であれ政治的問題であれ、身のまわりのさまざまな問題を考えるときにヒントになるものがたくさんあると説き、「目先の『効果』ばかりを重視する『条件反射丸暗記』の計算で数学力が上がるなどという幻想を、まずは捨てていただかなければならない」(8 ページ)と指摘する。
たとえば数学力が高いとされるインドの教育を取り上げ、「本当に注目すべきことは、日本と比べて内容面でのレベルが高いことではない。『証明力』を鍛えるという姿勢が、初等学校から大学入試まで一貫しているということである」(28 ページ)と指摘する。

芳沢さんは、「日本は『結論だけ症候群』に陥っているように見える。話す側もそうだが、聞く側も『結論だけ』しか求めていない人が大半なのではないだろうか」(47 ページ)と批判する。何が事が起きてから説明する「結果論的思考」ではなく、苦労が多くても、計画を立てたり、戦略を練ったりする「戦略的思考」をすべきだと説く。
勉強や仕事の計画を立てるのは苦痛でも、旅行や好きなことを計画することを週刊にしてはどうだろうか。

第3章では、数学的思考のヒントとして、要因の個数、置換、同型、類別、場合分け、相関図などを、実生活で使う場面を紹介しながら解説している。
芳沢さんは、数字にはアナログ型とデジタル型の 2種類があり、扱い方が違うと指摘する。前者は計測値のように、時間などによって連続的に変化する数字。後者は ID番号などの離散的な数字を意味する。これには、目からうろこが落ちた気がした。プログラミングでは無意識に区別していたが、あらためて型宣言が大切なことを認識した。

第4章では、論理的な説明について解説する。
テレビに出演する批評家たちの説明が、なぜ説得力を持たなくなったかは、本章を読めば一目瞭然となる。
芳沢さんは、「日本で時間の軸をあまり重視しない原因のひとつに、歴史教育があるかもしれない」(189 ページ)としたうえで、「日本の教科書は主として『何年に何が起こったのか』という事実の羅列であって、『だからその出来事が起こって、ぞれが新たな展開の萌芽となる』という流れるような記述があまり見られない」と説く。これまでも歴史年号暗記の問題は指摘されてきたが、ここまで論理的かつ明快に指摘した文章は見たことがない。
また、「いろいろな説明文を書いていくうえで最も重要な能力は、「誤りや足りない点を見つけて修正する力」である。その能力が十分に備わっていれば、デタラメな文を最初に書いたとしても、最後にはきちんとしたものになるのだ」(186 ページ)とも書いている。

これほど分かりやすい文章にまとめるには、芳沢さんにおいては、相当な時間を費やされたこととお察しする。世の中、目先の結果を求める流れが優位となっているが、せめて自分が自由になる時間を使って、「数学的に考える」時間をもっていきたいものである。また、世の中の先生や職場の上司にお願いしたい。生徒や部下に、「数学的に考える」時間を与えてあげてほしい。







最終更新日  2017.02.22 19:26:07
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2017.02.18
カテゴリ:書籍
スカラムーシュ・ムーン

スカラムーシュ・ムーン

 野坂教授「背負うことができない人のところには重荷はこないものなのです」(132ページ)
著者・編者海堂尊=著
出版情報新潮社
出版年月2015年7月発行

チーム・バチスタの栄光』から 10 年。医師で重粒子医科学センター・ Ai 情報研究推進室室長の海堂尊氏が描く「桜宮サーガ」が終わる。
これまでのシリーズを読んできた人はニヤリとするだろうし、本書が初見の人は、微に入り細を穿った舞台設定に舌を巻くことだろう。設定や登場人物が、現実世界のカリカチュアであることは言うまでもない。
冒頭、裁判人が老医師に対し、「この者を獄へ繋げ。病気で苦しむ民草を見過ごすとは何事だ。旅人が死んだのはお前のせいだ」と裁きを下す。これに対し老医師は、「それは確かに私の罪です。でも無料で薬を分けたりしたら、病院は潰れてしまいます」と答える――「桜宮サーガ」の根幹を流れているのは、医療と司法の対立構造である。医療界のスカラムーシュ(大ぼら吹き)彦根新吾医師が本書の主人公だが、これは海堂尊先生ご本人なのではないだろうか――。

加賀にある養鶏会社ナナミエッグを、彦根新吾が訪問する。インフルエンザ・ワクチンの培地として、ナナミエッグに大量の有精卵を製造してほしいというのだ。応対したのは、ナナミエッグの社長の娘であり、加賀大学大学院に通う名波まどか――。
会社を精算することを考えていた社長は、娘に新事業の立ち上げを託した。かくして、大学院の研究課題として、幼なじみのの真砂拓也、獣医学部の鳩村誠一の 3 人が、この事業立ち上げに着手する。
インフルエンザワクチンの培地として自社の卵を供給することをこばむ父を見て一時は諦めたまどかに対し、ワクチンセンターの宇賀神総長は「ヒトを助けるためにはニワトリを犠牲にしなくてはならないとともあるのや」と真実を告げ、ついに事業がスタートする。

ナニワ・モンスター』のキャメル騒動はまだ終わっていなかった。
ワクチンセンターの宇賀神義治所長とまどかの父との因縁とは。暗躍する浪速市の村雨知事と、カマイタチこと浪速地検特捜部副部長・鎌形雅史――彦根は、これら一癖も二癖もある連中と対峙しながら、極北市民病院の院長を務める世良雅志を訪れ、モンテカルロのエトワール・天城雪彦の遺産への鍵を受け取る。モンテカルロからジュネーヴ、ベネチアへ飛ぶ。

帰国した彦根を待っていたのは、警察庁情報統括室室長の原田雨竜だった。すべてのシナリオが無に帰そうとしたその時、彦根たちを救ったのは、『イノセント・ゲリラの祝祭』でデモに巻き込まれたひとりの元医師だった。

空港で雨竜の渡米を見送った彦根は、桧山シオンと 2 人たたずむ――「気がつくと、二人のシルエットは消えていた。そう、すべては夢まぼろしのように」(409 ページ)。海堂尊先生の旅は、まだ続きそうだ。







最終更新日  2017.02.18 12:16:28
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2017.01.31
カテゴリ:書籍
ムーンショット!

ムーンショット!

 ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で、「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のことをいう。(6ページ)
著者・編者ジョン・スカリー=著
出版情報パブラボ
出版年月2016年2月発行

著者は、ペプシコーラの事業担当社長からアップルの社長に転身した実業家のジョン・スカリーさん。1995 年(平成 7 年)、弟らとともに投資コンサルタントのスカリー・ブラザーズを興し、現在も起業家、メンターとして精力的に活動している。
タイトルとなっている「ムーンショット」とは、シリコンバレーの用語で、「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」(6 ページ)のことを言うそうだ。

スカリーさんは本書で、10 億ドル規模のビジネスのコンセプトを作るためにムーンショットが必要だと説く。そして、「ムーンショットは『高い志』、すなわち世界をより良い場所にしたいという思いから始まる。それは売上高や利益で測れる目標ではない。もっと高い次元にある」(73 ページ)という。
さらに「10 億ドル規模のビジネスのコンセプトづくりでもっとも重視しなければならないのは、抜きんでた顧客の経験価値をつくりだすということだ」(174 ページ)と畳みかける。なぜ顧客視点を重視するかというと、スカリーさんがターゲットに据えているのは、2020 年(平成 32 年)には 20 億人以上になると言われている新興国のミドルクラスだからだ。

また、自らがアップルを追われたことを振り返り、「起業家を目指すのであれば、どこかの時点で、必ず大きな失敗をすると肝に銘じておこう。どれだけ才能があっても関係ない。絶対に大きな失敗を経験する」(272 ページ)と言う。

また、現在自身がメンターを務めていることに触れ、経営者がリスクを複眼的に見るためにメンターが重要な役割を果たすことを述べる。ただし、「メンターは、決断するプロセスに入りこんではいけない」(278 ページ)と釘を刺す。いささか自家薬籠的な論理ではあるが。

最後に、「適応型イノベーターが知っておきたい 6項目」「革新的なビジネスをつくりあげる 10 原則」を列挙して締めくくる。

いささか自家薬籠的な論理が鼻につくが、納得できる部分もあり、兎にも角にもアメリカ人の前向きな姿勢には頭が下がる。私も残りのサラリーマン人生を、こういう気持ちで過ごしたいと感じた次第。







最終更新日  2017.01.31 19:48:06
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