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2024.03.21
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ネットワーク・エフェクト

ネットワーク・エフェクト

 弊機「あなたの統制モジュールを無効化できます」
著者・編者マーサ・ウェルズ=著
出版情報東京創元社
出版年月2021年10月発行

かつて大量殺人を犯したとされた人型警備ユニット=殺人 (マーダー) ボットの“弊機”は、アラダ博士やティアゴ博士がいる海洋研究施設を警備していたが、突然、襲撃を受け被弾する。
“弊機”は、かつて、グレイクリス社に囚われていたプリザベーション連合評議会議長メンサー博士を救出し、その縁で、彼女の警護を続けていた。メンサーは“弊機”に、調査隊に同行している娘のアメナの警護をするよう依頼したのだった。だが、調査隊のメンバーは、全員が“弊機”を信頼しているわけでは無かった。
“弊機”たちは何とか敵を撃退し、軌道上の母船にドッキングすると、ワームホールを抜けてブリザベーションへ向かった。ブリザベーション宙域に入ると、正体不明の宇宙船の襲撃を受け、アメナと“弊機”は囚われてしまう。正体不明の宇宙船には、エレトラという女性とラスという男性が囚われていた。アメナと“弊機”は2人と協力し、正体不明の宇宙船からの脱出を試みる。
“弊機”は正体不明の宇宙船に見覚えがあった。それは、かつて、“弊機”の逃亡を手助けしてくれた不愉快千万な調査船 (アスホール・リサーチ・トランスポート) 「ART」(ペリヘリオン号)だった。だが、正体不明の強化人間はARTを消去したと主張する。はたしてARTは消えてしまったのか‥‥。そして、埋め込まれたインプラントによってラスは死んでしまい、エレトラも重傷を負った。
“弊機”とアメナはエンジンルームに入った。そこで見たものは‥‥。
想定よりはるかに早い時間でワームホールから出てみると、脱出ポッドで母船へ逃げたはずのティアゴ、オバース、ラッティと合流する。
“弊機”の活躍で復活したARTは、放棄されたコロニーの調査に向かったはずだった。そこでARTの記憶は途切れており、目覚めてみると乗組員がいなくなっていたという。

ARTが到達した星系には、40年近く前にアダマンタイン社が開発に失敗して放棄されたコロニー惑星があった。
バリッシュ‐エストランザ社がコロニー惑星をサルベージしようとして宇宙船を送り込んだが、何かの事故かトラブルに巻き込まれたらしい。エレトラはその生き残りだった。ARTは、漂流しているバリッシュ‐エストランザ社の補給線を発見し、“弊機”とアメナが乗り込み、レオニード管理者にエレトラを引き渡し、代わりに情報を得ようと交渉する。
補給船を離れたARTから、“弊機”、オバース、ラッティの3人が、謎の解明とARTの乗組員を探すため、コロニー惑星の宇宙港へ降下する。その前に、“弊機”はARTの重武装を活用するために、自らのコピーをARTにインストールすることを提案するが、ARTに拒絶される。

コロニー惑星で、“弊機”はアイリスという女性を含む5人のART乗組員を救助する。
だが、“弊機”は敵の攻撃を受けて機能を停止し、捕らわれてしまう。ARTは“弊機”を救出するため、そのコピーである「マーダー・ボット2.0」を敵のネットワークに侵入させる。
アダマンタイン社が開発に失敗した敵の存在が明らかになる。だが、“弊機”は、いまもにも敵制御システムに乗っ取られそうな状況である。そんなとき、“弊機”の参照空間に入り込んだ“2.0”が「シャットダウンして、ユニットを破壊してください。さあ、早く」と言った。だが、そんなことをすれば“2.0”は消滅してしまう。“2.0”は言う。「わかっています。なんのためのキルウェアだと思っているんですか。ばかですね。やってください」。“弊機”はミキのことを思い出していた――。

すべてが終わり、ブリザベーションからメンサーが乗った武装船が救援に駆けつけた。ARTは“弊機”に一緒に仕事をしないかと持ちかける。
“弊機”は、とりあえずARTのインデックスをキーワード検索して、『時間防衛隊オリオン』よりさらにリアリティのない作品をみつけると、ARTは第1話を流しはじめたのだった――。

対人恐怖症で皮肉屋で、仕事の合間にダウンロードしたドラマを見て過ごす警備ユニット(アンドロイド)“弊機”の一人称で話が進むマーダーボット・シリーズ初の長編である――誰かに束縛されることを嫌い、善良なハッカーではあるけれど、相手から寄られるのは苦手で、けっして本名を明かさない。そのくせ、最初に救助したメンサー博士に対して「大切なのは弊機ではなく、あなたです」と言い放つ。まるで自宅警備員のような“弊機”が可笑しい――『灰羽連盟』の原作者・安倍吉俊がカバーイラストを担当しているのも秀逸だ。

前作で登場した調査船ARTに加え、今回は警備ユニット3号が暴走仲間に加わる。各々に個性があって面白い。また、“弊機”のスピード感のあるアクションシーンが増し増しで、実写化したら面白い映画になると思う。
そして、表紙に描かれている可愛い少女アメナ(メンサーの娘)を中心に、総出で“弊機”の救出に向かい、大団円を迎える。

“弊機”は、統制モジュールの束縛から解放された警備ユニット3号にこう言う。「変化は怖いものです。選択も怖い。しかし、行動を誤ると自分を殺すものが頭のなかにはいっているのは、もっと怖いです」――さて、貴方は行動を誤ると自分を殺すような束縛を受けていないだろうか。そういった束縛から解放されたとき、何をしていいのか分からなくなっていやしないか。そんなときは、“弊機”のように籠もって好きなコンテンツを視聴しよう?
堺三保 (さかい みつやす) さんの「解説」にあるとおり、マーダーボット・シリーズは、「遠未来のアンドロイドの話を描いているようで、この物語は現代人とそれを取り巻く環境のメタファー」なのである。






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最終更新日  2024.03.21 12:33:33
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