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ぱんだ~ら楽園探しの旅ブログ

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2017/09/12
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カテゴリ:お薦めしたいw
先日、GYAOで無料配信されている
「紙の月」を観ました。
期待しないで観たのもあったから?
か面白かったので感想やワタクシ的解釈など。



ネタバレしますので出来れば
この映画を鑑賞した後に読んでいただいた方が
映画自体を楽しめると思います。
ではまず、ストーリー。
ちょーザックリ~♪に言うと

「宮沢りえ演じる主人公が不倫して
勤め先の銀行の金を横領するお話し」です。

うん、ザックリ。
だけど概要まとまってる。と思う。

で面白くなさそう・・・って思ったあなた。




いや、これが、むっちゃ面白いんだって!





まぁ、最初の方はさ、
暗めのジメッとした空気感の中、
お話があれよあれよと進んで行っちゃって
ちょっとちょっと!おいおい!
視聴者、置いてけぼりにしないでよ~
的な感じに
主人公が競歩選手みたいなスピードで
どんどかどんどか行っちゃうんだけどさ・・・・。

終盤に入るとそんなイケイケだった競歩選手が
前に進めなくなるのよ。

信号手前で。前にも後ろにも勧めない・・・・

もうね、目的とか何かの為が無くなった喪失感で
先に進む事が出来なくなっちゃうの。


で、こっからが面白いのよね。

小林聡美がさ、
ぐぐっとここで出てくるのよ。



渡るの?渡らないの?

ってね。



この小林聡美って凄いよね。
目だけで心情が伝わるような演技するんだよね。
それがわかりやすいしこの真面目一直線な先輩役に
お見事ピッタリはまってる。


宮沢りえも、この
「自分を持ってなくて、すぐ誰かの言葉に
感銘受けてそれを自分ってことにしちゃう
ふわふわした感じの主人公」
を上手に演じてるなと思う。

終始漂う虚無感ていうのかな。
一生懸命考えてるんだけど的を得てなくて
空回りの人生に不安でいっぱい。
だけど必死に食らいつくみたいな・・・。

その2人の掛け合いが面白すぎ!!
静かな中に張り詰める緊張感と暴露と
謎解きとひとつひとつの言葉の奥深さと・・・・


追い詰められた主人公が小林に
お金では自由になれない。
あなたがいけるのはここまで。
ってまるで判決のような言葉を言われて・・・・



やっと自らの頭で考えて答えを出し
「他人の言葉の世界」で生きていた自分を
その世界を覆うガラスをぶち割ってぶっ壊して
外の世界へ駆け出そうとしたその時・・・


小林が宮沢の腕を掴んで・・・

掴まれた腕をみた宮沢が
小林に視線を戻して言うセリフ・・・

【 一緒に・・・行きますか・・・ 】

バックに流れる大音量の讃美歌♪
「あめぇのーみぃつーかーいーの
うーたぁごーえぇーひーびくー♪」
って子供たちの大合唱♪

とか!!

もう、このシーン大好き!!

あの、小林の顔!宮沢の表情!最高!



小林は宮沢と同じく
他人の言葉で創られた世界の住人
であったわけだよね。

それを象徴するのが小林が言った、
全てのやってはいけないと思っている
制約を取り払ってみたらやってみたいことは

「徹夜」くらいしか思い浮かばなくて。
したことないの。一度も。翌日に響くから。
定年したらやってみようかと思ってた・・・

って言葉に集約されてるよね。
ワタクシの想像を絶する小林の生き方に
唖然としたけどさ。

いや、何に一番驚いたって、
一度も実行したことが無いのに
翌日に響くから~なんて
他人の吐いたセリフを鵜呑みにして
その世界の住人になってしまえる
生への執着の無さというか
人生を楽しむ事への意欲の無さというか
諦めっぷりというかなんというか。。。

凄くない?・・・のかな?
そういう人ってたくさんいるのかな?

誰かがそう言ったからって自分でやって
感じてみなくちゃわからないじゃない?
自分がどう感じるかが大事じゃない?
だって人生は一度きりなんだよ?
楽しまなくっちゃ、
この世を味わい尽くさなくっちゃ
勿体ないじゃない!

って考えるワタクシの方がおかしいのかしら?!






小林は宮沢が疾走していく後姿をあこがれと
驚きと戸惑いと後悔と複雑な感情で見送り・・・



破られたガラス窓から
フワーッと新鮮な空気が吹き込み
小林の髪を、ほほを撫でていって・・・

その空気をそっと吸い込むように肩が揺れて・・・



いいよね。
うん、いい。




このシーンは何度観ても、
色んなものを感じさせてくれて
頭ん中がグルんグルんして、
バリーーーン!って割った
ガラス窓から入ってくる空気感に
スッキリ爽快!!を感じられて・・・




堪らんのです。






少し戻って
石橋蓮司の演じる大口客役が
色仕掛けされるシーンの見せ方も上手いよね。

この人は私の体目当てなんだと
宮沢は思い込んでいたのに真実は全く違っていて。
真摯に主人公の仕事ぶりに、人柄に
向き合ってくれていたおじいさんだったりとか。





終始そんな感じで人を見誤ってばかりの人生を
送ったであろうこの主人公の
人に対する真贋が薄っぺらなのだという事を
象徴してるシーンだと思った。



結局、自分が本当の自分になっていないから
他人の本当も見抜けない、わからない。
そのせいで
偽物だらけの世界を生きることになってしまう。

真実を、生きるために大事な事が何なのかを、
自分の心と対話して答えを出したことが無いから
自分の中に見つけられない。

他人の中にあるんじゃないかと感じていて
すぐに人から出た言葉、
自分のじゃないニセの思考に乗っかってしまう。

自分の中の大事なものさえわからないから
旦那の心とも向き合えない。

年下の彼の心を見ようともせず
自堕落な世界へ引きずり込んで
彼の心を腐らせ蝕み飲み込もうとしてしまう。

なぜ盗んだお金で施しをしてはいけないのかを
大人になっても理解できない。

受けるより与える方が幸い。
だから自分が幸せになりたいが為に人に施す。

偽物の月、架空の紙の金、上辺だけの人間関係、
偽りの世界、初めから全部・・・嘘。
犯罪という倫理観を問う前に
道徳的な価値観とか他者を慈しむ心(過去記事)
とか、そういったものが欠如していて。

それを主人公が心から理解できるよう
真摯に向き合ってくれる人と出会えなかった。
だから主人公はこんな転落人生を
送ることになったと思うのね。

で、悪い言い方をするならばそういう
あやうい人を美化した映画だとも言えるのよね。

美化することで見えてくることも
感じることも気付くこともたくさんあるから
それはそれでいいと思うし
そういう視点で見るとこう見えるのか。
そうか。って
「色々な角度から見えるこの世」を知れる
ってのは面白いしね。いいと思う。



この映画の中にはさテーマのひとつでもある
「ニセモノ」や「嘘」を象徴するものが
チョコチョコ出てくるよね?

次長の髪、あれカツラかな?
あれもニセモノを表現してるのかなとか。



最後のリンゴと思しきもの。
あれもタイの屋台ではおなじみの
「青りんごに見えるけど全く別物の南国フルーツ」
のグァバかプッサーとかいうやつみたいだし・・・。

リンゴだと思ったのに違うんかい!!
っていう騙しや錯誤や偽物とかけてるのかな?
・・・とか。




色々と手が込んでいて、
もっときっと
見えていない気付いてないところにも
製作者たちの思い入れや意味付けが
そこかしこに施されているんだろうな~と。

ドラクエの攻略本みたいの出してくれたら
読んでみたいwとか思わせてくれる映画でした。


もうね、
米アクション映画がジャンクフードだとしたら
この「紙の月」は
丁寧な仕事してる匠の職人的料理ってな感じ。
感服っ。あっぱれッス。




でさ、私的にはさ、
この映画の締めの部分だけがさ
ちょっとわかりにくくて未消化なんだけどもね
勝手にワタクシ的解釈。してみました。






~いってみます。~









顔の傷を観た瞬間、巡る主人公の思考。
救おうとしてお金も盗んだのに
途中で連絡も途絶えて
死んだんだと思ってた・・・・
なのに生きていたなんて!
人の好意を受けても
ありがとうさえ言いたくなかったって事?
私を裏切って金だけもらって生きてたんだ・・・

そんな奴が逃亡者となった自分に
リンゴをくれると?
施されてるのは自分?
与える者から与えられる側になってしまった?
みじめなのは自分?

純粋に助けたかった子供心さえ
踏みにじって裏切たヤツ。
そいつが私を見下している。

いや違う・・・初めから
与えていたつもりが与えられていた?
盗んだ金も他者から私への施し?
私の施しは偽物だった?

そうか最初から全てニセモノだったのか・・・。
だから私に幸いが訪れてこなかったのか?

リンゴ?赤じゃないの?
青い毒リンゴ?食ってやろうじゃない!
って食ってみたらリンゴでもないじゃない・・・

何なのよ!
どこまで行っても偽物だらけ・・・

どこまで逃げても
偽物の世界から抜け出せない。
カオスでパラドックスな世界に
捕らえられ逃れられない・・・

(警官が目に入る)

だけど・・・
私は・・・生き抜いてやる!
どこまでも・・・
絶対に・・・・!!




~的な感じの解釈でいいのかしら?



ちょっと・・・
いや、だいぶ盛っちゃってる感あるけども
そんな心情であったのかな~と推測してみました。



まぁ、
そういった不幸は不幸のままでという
刹那的な締め括りでも
ありっちゃありなんだけどもさ。



ワタクシ的には主人公が
なぜ自分が転落人生を送っちゃう人間になったのか
どこで間違ったのか。

その間違いを、ある一つの出来事で
そうか!!
私はここがわかっていなかったから
人生あやふやに生きてしまった結果、
他人は進むことのない
転落人生を自ら選んでしまったんだ!

と初めて気づくようなシーンがあって、
それを知ったことでやっと人生を悔いて・・・

そして本当の意味で大事なものが
自分の中にしっかりと根付き
ニセモノだらけの世界からの脱却が出来て
本当の自分の人生を生きられるようになれる。

そんな未来を歩む彼女を応援したくなるような
そんなラストに観客さえも涙し
自分の子供たちに伝えたい大切な事だわ!
っと思えるような答えを提示してくれる
落とし方だったなら・・・・
もうそれは最高傑作入りだなと。


いや、しかし、
説教臭くなっちゃうのかしらね?それだと・・・
「ありがち」な感じになっちゃうのかしらね。


まぁ、一つの提案って事で。





あぁ~もうさ、言いたいことは
これの数倍あるけども
言いだしたら止まらないからさ、
10000文字いっちゃったしさ
もうここら辺で皆さんも解放してあげないと
長文過ぎて可哀そうだしさ。

終わりにしておくよw。


皆さん長時間のお付き合い
誠にありがとうございました。
あなた様の忍耐強い気の長さに
ワタクシ感謝感激雨あられでございます。

どうぞページを閉じて
今宵はゆっくりお休みください。

そして明日もまた
遊びに来てくださいな♪






それにしても面白かった。

まだ観てない人がいたら。
こんなに色々聞いちゃった後だけど
また違った楽しみ方出来ると思うから
よかったら観てみてね~









~またお金にならない時間を過ごしてしまった~




       やっべっ!
      仕事しなくっちゃ!
         な
      ぱんだ~らでした。


【追記】

この記事を書いてから数年経ってだいぶ視点が変わりました。作品中、月が嘘であったのと現実社会で起きた犯罪で気づいたらという供述は同じ現象によって起きた出来事をただ単に説明出来ない状態なのかもしれないなと。要は観念によって起きた現象の可能性があり仏陀の兎話も同様で…となると塀の中の大半はこれにあたるのか、とか。まぁまだ頭の中が整理出来ていないのでそのうち文章にしてまとめてみたいなとは思ってますが。今はこの作品を当時よりも更に興味深いなと感じています。



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Last updated  2023/02/23 06:17:37 PM
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