カテゴリ:音楽
僕が幼い頃には、彼らはもうプロとして、ステージで歌っていた。ローリング・ストーンズ(Rolling Stones=写真左上)。1963年6月、「Come on」でレコード・デビュー。同じ英国出身のビートルズの陰に隠れて、60年代は、あまり脚光を浴びることはなかった。そして、70~80年代にブレークし、42年経った今も、現役バンドとして活躍し続ける稀有な存在。あの不良キッズたちが、平均年齢60.7歳のオヤジになっても歌い続けるなどと、誰が想像できただろうか。
ミック・ジャガー(61)、キース・リチャーズ(61)、チャーリー・ワッツ(63)という、結成から変わらぬ不動の3人に、今は76年から正式メンバーとなったロン・ウッド(58)が、キースのリードワークをしっかりと支える(ビル・ワイマンは、どうしてるんかなぁ?)。 当初は、演奏が下手だとか、音が薄いとか、ミックの個性的な歌い方が変だとかいう中傷も受けたりもした。大ヒット曲にも恵まれなかった。ストーンズが注目されるようになったきっかけは、60年代後半から力を入れた地道なライブ・ツアー活動。多くのロック・ファンが、ストーンズのライブを聴くうちに、ロックとR&B、ブルースを融合させたような荒削りな良さを再認識するようになる。 ただし60年代では、64年に「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」、65年に「サティスファクション」、67年には「夜をぶっとばせ(Let‘s Spend The Night Together)」などが英米国内でヒットして注目されたくらいで、世界的な人気というまでには及ばなかった。 その後70年代に入って、全米を含むワールド・ツアーに全力を注ぐ。ツアーでは毎回、大仕掛けのセットを組んで、大会場を埋め尽くすファンをあっと言わせた。 もちろん仕掛けだけでなく、「ストリート・ファイティング・マン」「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」「ホンキートンク・ウイメン」「ブラウン・シュガー」「アンジー」などの大ヒット曲を立て続けに放って、人気を不動のものにした(写真右上=ステージ狭しと歌い踊り、走りまくるミック。その体力には、ただ、ただ感心!)。 ビートルズは66年に初来日し、コンサートを行った。しかし、ストーンズはファンの皆さんならよくご存じのように、73年に来日公演計画があったにもかかわらず、ミックの麻薬逮捕歴を理由にした、頭の固い日本のお役人のために実現はならなかった。そして、我々ファンは、90年2月の東京ドームでの初来日公演まで待たされるわけである。 僕は初来日時の90年は観ることはかなわず、98年春の「ブリッジ・トゥ・バビロン・ツアー」での来日公演までさらに待った。このツアーは「ブリッジ・トゥ・バビロン」というアルバムと、「Stripped」というアンプラッグド・アルバムの2枚を出した直後。 会場の大阪ドームには、メイン・ステージのほかに、アリーナ中央に10m四方くらいのサブ・ステージをつくられていた。オープニングは、いきなりジャン、ジャン、ジャ、ジャ、ジャーンジャ…とあのギターのイントロ、「サティスファクション」だ。客はもう大喜びで、ノリノリ(写真左下=キースのこの得意のギターの弾き方が、最高にカッコいい!)。 サブ・ステージは、何の曲を演奏するときに使うのかなと思っていたら、コンサートなかばで、メイン・ステージの床から何と!可動式のアーチ橋が出てきて、少しずつサブ・ステージの方へ伸びていった。長さは、驚くなかれ20m前後もある(よーやるわ、こんなアホな仕掛け!)。 そして、ミックやキースらサポート・メンバーも含め全員が、聴衆のすぐそばの真上を、橋を渡ってサブ・ステージへ移動する。そして、「Stripped」収録の曲をアコースティックで演奏するという趣向だ。ツアー・タイトルにも引っかけた仕掛けに、ファンが大喜びだったのは言うまでもない。このアコースティックで演奏したなかでは、ディランのカバー、「Like A Rolling Stone」が最高だった(写真右下は、「Bridge To Babylon Tour」のツアー・パンフ)。 この夜のミックはご機嫌で、かなり上手い日本語で、「マダマダ、ヤルヨー」「ツギハ、スコシスローナナンバーヲ、ヤリマース」などとMC。アリーナ前列の可愛い女性には、「ソコノオジョウサン、アトデ、デンワバンゴウ、オシエテクダサーイ」なんて言って、会場を爆笑させたりも。 キースはキースで、アンコールでは阪神タイガースのはちまきを締めて登場、関西のファンには大受けだった。こういう子どもっぽい遊び心が素敵なんだなー(余談だが、ミックはうどんが大好き。大阪公演の合間をぬって、道頓堀の有名な「今井」へおしのびで行き、きつねうどんを食べたとか)。 ミックは一昨年、あるインタビューで、「僕らはライブが大好きなんだ。体が元気である限りはツアーをやめることはないと思うよ」とファンにとって嬉しい発言をしていたが、去年はチャーリーが癌の放射線治療を受けたなんてニュースも飛び込んできた。その後の病状はどうなんだろうか。ミックとキースがいる限り、ストーンズはストーンズであり続けられると思うけれど…。 願わくは70代になっても、ステージ狭しと暴れまわっているミックを観てみたい。他のメンバーもくれぐれも体を大事にしてほしい。とくにキースよ、体のこと考えて、いいかげんに禁煙しなさい! あなた達には「永遠の悪ガキ」のままいてほしいから…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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