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Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2012/09/20
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 ◆意外と知らないSNS上の「引用」ルール(2018年&2019年の法改正内容を反映させて、本文を修正致しました)
 以前の日記(2009年7月9日)で、「知っていますか?ブログでお店を紹介する際のルール」という一文を書きました。当時はまだ、Blog全盛時代で、その後、MIXI、Twitterが登場し、今ではfacebookやLINEがSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)の主流になりつつあります。個人的には、どのSNSにもそれぞれ長所・利点があると思っています(使い勝手はさまざまですが…)。

 さて、今や私たちの生活の中にどっぷり入り込んできたSNSですが、「他のサイトや他人の日記から引用・利用する場合のルール」について、意外と正確に知らないことが多いのに気づきました。私の友人の中には、「ネットの世界では、他のサイトやBlogなどからの引用・利用はまったく自由」「SNSの日記は著作権法の保護の対象外なんだろ」と勘違いしている人もいました。

 当然ながら、インターネットの世界でも、法的ルールや一般的なマナーが存在します。こうしたルールやマナーを守ることで、ネット上での思わぬトラブルを防ぐことができて、「著作権侵害だ!」と訴えられるリスクも回避できると思います。

 良い機会なので、僕自身もこれまでやや曖昧な理解でしかなかったSNS上での「引用・利用」問題について、自戒も込めて整理してみたいと思います。本稿は少々長くなりますが、絶対に知っておいて損はないと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください(僕は法律の専門家ではないので、もし記述に間違い等がありましたら、ご指摘していただければ幸いです)。


 ◆公正な引用ための要件
 まず、日本では著作権法32条で、「公正な慣行に合致し、報道・批評・研究など目的上、正当な範囲内で、定められた要件を満たしていれば、著作権者の了解なしに引用して利用できる」とされています。そして、そのための要件が具体的に定められています。そしてもう一つ。必ず知っておかねばならないのは、日本ではSNS上の日記も、他の文学作品、音楽、映画、絵画、写真などと同様に著作権法の保護対象として認められているということです。

 では、合法的な引用・利用の要件とはどのようなものかですが、インターネットの法律専門サイト等では、「公正な引用のための要件」として、以下のようによく紹介されます。これは文化庁が、1980年3月の最高裁の判例(有名な「パロディー写真事件判決」=マッド・アマノ氏vs白川義員氏)等にもとづいて、「著作物から引用する際の注意指針」として公表している「4要件」(下記の2~5)がベースになっています(文化庁のHP→ http://www.bunka.go.jp/chosakuken/ )。

 (1)引用先は公表された著作物であること
 (2)「公正な慣行」に合致すること(「公正な慣行」の定義は示されていませんが、判例等では以下の(3)(4)(5)の要件がこれに当たるとしているケースが多いそうです)
 (3)引用する必然性があること(その引用が文章の目的や構成上、必要・不可欠である)
 (4)引用部分に「」(かぎかっこ)をつけるなど、自分の著作物と引用部分が明確に区別されていること(引用であることが明確であれば、「」が必要でない場合もあります)
 (5)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(あくまで自分の文章が「主」で、引用された文章は「従」でなければなりません。「主」か「従」かは、引用の量ではなく、書き方やその作品の趣旨・目的がポイントです。ごくわずかでも違法となることもあります)
 (6)出典・出所が明示されていること(著作権法48条)(出所を明示せずに、自分の文章か他人の文章かを明確に区別せず、自分自身が書いたように見せかけるのはいわゆる「盗用」で、「引用」でも「転載」でもありません)。
 (7)勝手な変更を加えないこと(書き換えたり、つぎはぎしたりしない)
 (8)引用しすぎないこと(量的にも、引用部分の方が本文より短いことが必要です。1~4の条件を守っても、大量に引用・転載すれば、「無断転載」となり、違法となります。一般的には、「引用部分はその文章全体の約10%以下、多くとも20%までが望ましい」と言われています)
 (9)報道・批評・研究などのための「正当な範囲内」であること(末尾【注1】ご参照)

 合法的な引用とみなされるためには、以上の9要件をすべてクリアする必要があります(言い方を換えれば、この9要件をクリアしていれば、Web上でも印刷物でも、自由に引用できます)。この9要件は、文章(言語著作物)に限らず、音楽、映画、写真、絵画・彫刻・漫画などの美術作品、芸術的な建築物、地図、舞踊の振付などさまざまな著作物に適用されます(著作権法10条1項)。

(※なお、画像の引用要件については、文章とまったく同じとはいきません。画像の引用問題については稿を改めて考察してみたいと思います)。

 世界中のパソコンやスマホとつながっているSNSの世界では、自分のページに掲載した瞬間に、それは「私的利用」ではなく、不特定多数への発信行為=「公衆送信」とみなされるので、細心の注意が必要です。
 以上の要件を守らず、故意に違法な引用・利用をして違反に問われ、万一、刑事事件にでもなれば最悪、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金」(著作権法119条)という重い罰則が科せられますので、「これくらいはいいだろう」と軽く思わない方が賢明です(ただし、故意でなく過失であった場合は、刑事罰は適用されません)。


 ◆許可・了解なしで引用できる場合や対象
 著作権法の実際の運用では、「公正かつ正当な目的であれば、相手の許可・了解なく無料で引用・利用ができる」ものもあります。その具体例として、以下のようなものを挙げています(もちろん、まったくの無条件ではありませんし、出所の明示は原則必要です)。

 ・報道・ニュース記事(ただし事実の伝達にすぎない記事、例えば火事、交通事故、人事異動、死亡記事などに限られ、それ以外の記事は引用の度合いによっては違法になります)。
 ・保護期間の切れた著作物(日本では作者の死後70年経過、または著作物の発表後70年が経過)※従来の保護期間は「50年」でしたが、2018年の法改正で「70年」に延長されました。(末尾【注2】ご参照)
 ・家庭内、友人間の私的使用(ただし、SNS上で文章や写真を引用・転載することは「私的使用」とはみなされていません。不特定多数に発信し、アクセスされるからです。また、違法なものと知りながら画像や音楽をダウンロードすれば違法となり、刑事罰の対象となります)
 ・学校内における利用(教科書や試験問題、校内放送等)対面授業あるいは対面授業と同時に行うオンライン授業での著作物の利用では、従来から、著作権者の許諾は不要となっていましたが、2019年の法改正ではさらに、対面授業と同時のタイミングでないオンライン授業等で著作物を利活用する際にも、一定の補償金を管理団体に支払うことで、著作権者の許諾が不要となりました。
 ・ネットオークションに添付する商品写真(2009年の法改正で正式に認められるようになりました)
 ・美術館・博物館などによる利用= 従来から一定条件下での収蔵作品の複製は認められていましたが、2019年の法改正では、美術館・博物館・図書館などが収蔵作品をネットワーク上で閲覧させる行為や、美術品や写真などの販売のためのカタログ掲載も、著作権者の許諾なしに利用可能となりました。
 ・「検索エンジンサービス」(Google、Yahooなど)における利用、および「思想または感情の享受を目的としない利用」(例えば、IT技術開発の過程やAIによる情報解析など)= 2019年の法改正で、一定の条件下で著作権者の許諾なく利用可に
 【その他】 法令・条例・判決/国や地方公共団体の行政資料、報告書 / 屋外広告・建築物 / 画素数を落とすなどした絵画、写真画像

(※1928年の発表後70年以上が経過しているミッキー・マウスの著作権はどうなのかとよく話題になりますが、この問題は後日、このブログ上で改めて取り上げたいと思います)。

 ちなみに、引用という形ではなく、著作物をほぼそっくり真似た場合はどうか。著作権法には具体的な規定はありませんが、法律専門サイトによれば、「引用部分がゼロでも、真似(酷似)しすぎた結果、相手に不利益を与えた場合は、民法709条(不法行為による損害賠償)によって、賠償を請求されるおそれ」があります。やはり過度に真似るのはリスクが大きいということになります。


 ◆著作権法で保護されていないもの
 一方、著作権法では原則、保護されていないものもあります。例えば、車や家電などの大量生産の工業製品、衣服のデザイン、料理やカクテルなどのレシピ、店舗名(ただし商標登録で保護されている場合あり)や外観、車や家電の外観(特許をとっていれば別ですが)、ランキング、新聞の見出しなどです。

 レシピなどは「私がこんなに苦労して考案したのに…」と不満に思う方も多いかと思いますが、現行法上では残念ながらこうなっています(ただし、レシピを書いた本の写真を勝手に転載したり、文章を丸写しすれば、これは著作権法違反です)

 車や家電など工業製品や衣服、ジュエリー等のデザインは、著作権法の代わりに意匠法という法律で保護されています。著作権法と違うのは、著作権は創作時点で自然発生するのに対して、意匠権は申請し、認可されないと発生しない点です。登録が認められれば20年間保護されます。また、商品名や店舗名は商標法という法律で守られています。申請して登録し、更新すれば半永久的に認められます(ただし、意匠権も商標登録も独創性がないものは申請しても却下されますし、そもそも登録できない名前<国名や地名、すでに定着している普通名詞、ありふれた人名など>もあります)。


 ◆ルールやマナーを守ることが大切
 なお、著作権法違反は親告罪なので、原則として、告訴がない限り捜査当局は動きません。実際、SNSの世界では、相手を法的に訴える労力や時間、費用を考えたらバカバカしいので、刑事告訴にまで至るのはきわめて稀なケースでしょう。また、警察もそこまでヒマではないから、もし次々告訴があったとしても、個人間の著作権侵害をいちいち立件はしないでしょう。

 警察が立件しないからと言って、違法な「引用・転載・利用」は、道義的にも許されるものではありません。悪気なく、何気なく引用・利用したとしても、違法であれば民事裁判で損害賠償を求められる可能性はあります。合法の範囲内であっても「かなりの量を引用・利用する」場合は、可能な限り、引用元に事前の了解をもらっておくのが、Webと言えども「大人のマナー」だと僕は思います。

 なお、現行著作権法では、引用明示義務違反、死後の人格的利益の侵害など一部は非親告罪となっているので、告訴がなくても悪質なものは摘発される可能性はありますので、とくに気をつけたいものです。2018年の法改正ではさらに、海賊版を販売・ネット送信する行為も非親告罪化されました。

 結論として、安易にコピペ(コピー&ペースト)せずに、ルールやマナーをきちんと守った引用・利用に徹することが何よりも大切です。僕自身もこれからも自戒しながら気を付けたいと思いますが、無用なトラブルを招かないように、みんながこうしたルールやマナーを守って、SNSを気持ちよい空間にしていきたいものです。

【注1】「報道・批評・研究などのための『正当な範囲内』」という要件については、改正著作権法(2019年施行)でも明確な定義は示されていません。
 唯一、判例で「社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり、具体的には、他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない」と示されている程度です(大阪地裁・2013年7月16日判決)。
 すなわち、「引用に必然性・必要性があって、引用の分量や引用個所が適切であり、引用部分が明確に区別されている」などの条件を満たす必要があるのは当然だと思われます。

【注2】著作者が亡くなったのが1967年末以前であれば、2018年12月30日の改正著作権法施行以前に50年の保護期間(1968年1月から起算)が終了しているため、70年には延長されません(1967年に亡くなった芸術家で言えば、例えば、山本周五郎<作家>、壷井栄<作家>ら)。
 なお、著作者が亡くなった後、著作権継承者がいなければ、原則として著作者死亡時点で著作権は消滅します。


 【御礼】この一文を書くにあたって、主に下記のWeb ページ上の解説やデータ、Q&Aから貴重な情報や示唆をいただきました。この場を借りて著者・編者の皆様には心から御礼申し上げるとともに、そのページ(出典元)を紹介しておきます。

・「著作権法ガイド(無料引用のルール)」→ https://homepage1.nifty.com/samito/copyright2.htm
・「はじめての著作権法講座」→ https://www.cric.or.jp/hajime/hajime7.html
・「ニコニコ大百科:著作権法とは」→ http://dic.nicovideo.jp
・「サイトポリシー:著作権について(朝日新聞デジタル)」
  → https://www.asahi.com/policy/copyright.html
・「知的財産法実務解説」→ https://www.saegusa-pat.co.jp/copyright/cr_02_1.html
・「コンピュータ用語学び塾」→ https://blog.goo.ne.jp/yougo-school/e/
・「SNSにおいて著作権侵害・肖像権侵害問題は生じるのか?」
  → https://www.ys-law.jp/article/13284717.html
・「ニュースな待合室」 → https://informatics.cocolog-nifty.com/news/2008/03/mixi_3d40.html
 ・「著作権が自由に使える場合」(公益社団法人・著作権情報センター)→ https://www.cric.or.jp/qa/
 ・「著作権法の引用要件を満たしているのに、かさねて許諾を得る必要があるのか」(STORIA法律事務所Blog)→ https://storialaw.jp/blog/6114
 ・「著作物・著作権をめぐるルール改正(解説)」(GVA法律事務所HP)→ https://gvalaw.jp/6253
 ・「著作権を侵害せずに文章や画像を引用・転載する方法」(ベリーベスト法律事務所HP)→ https://best-legal.jp/copyright-quotation-4942
 ・「著作権保護期間、50年から70年に延長。一部非親告罪化も」(Watch Impress)→ https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1152341.html


 【おことわり】この日記は「引用」のルールについて、現時点での著作権法上の一般的なルールや法的見解、マナー等をまとめたものですが、個別具体的問題についての対応・見解まで保証するものではありません。具体的な疑問やトラブルについては文化庁や法律専門家にお尋ねください。

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Last updated  2021/05/30 09:56:57 AM
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