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Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/12/11
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18.ブルー・ムーン(Blue Moon)

【現代の標準的なレシピ】ジン(40)、クレーム・ド・ヴィオレット(ヴァイオレット・リキュール)(15)、レモン・ジュース(15)、レモン・ツイスト 【スタイル】シェイク

 謎の多い、不思議なカクテルです。1920年代のパリですでに登場していたことはほぼ間違いないと言われていますが、「19世紀末の米国で誕生した」と紹介されることも少なくありません(出典:Wikipedia日本語版、vino.txt-nifty.com、liqueurdic.blog.fc2.comほか)。残念ながら、どちらの説にも現時点では、決定的な裏付け資料はまだありません。

 そもそも欧米の古い時代のカクテルブックに紹介される例が極端に少ないというカクテルです。「ブルー・ムーン」のレシピが確認できる一番初期のものは、米国で1917年に出版された「Recipes for Mixed Drinks」(ヒューゴ・エンスリン=Hugo Ensslin著)ですが、レシピは「ジン(40)、フレンチ・ベルモット(20)、オレンジ・ビターズ1dash、クレーム・イヴェット(Creme Yvette=ヴァイオレット・リキュール)1dash」で、ベルモットを使っているなど現代のレシピとは微妙に違います。

 「Vintage Spirits And Forgotten Cocktails」(2009年刊)の著書テッド・ヘイ氏(Ted Haigh)は、禁酒法施行(1920)以前に誕生したカクテルとして、自著で上記エンスリンのレシピを紹介しています。米国の著名なカクテルライター、デヴィッド・ワンドリッチ(David Wondrich)氏も「米国誕生説」を支持しています(出典:imbibemagazine.com)。

 信憑性の保証はありませんが、欧米の専門サイトに出ている「米国誕生説」の概略を、以下紹介しておきますと――。
・欧州でのヴァイオレット・リキュール人気に目をつけて、1890年代、米国フィラデルフィアのメーカーが新たに「クレーム・イヴェット」を発売した。そして、このリキュールを使った創作カクテルとして考案されたのが「ブルー・ムーン」
・「クレーム・イヴェット」は、イタリア・パルマ産のニオイスミレを使用したもので、その名は、有名なロートレックの絵のモデルにもなった女優イヴェット・ジルベール(Yvette Gilbert)の名に由来するという。

 カクテル名の「ブルー・ムーン(Blue Moon)」とは、月が青く見えるなどは「めったに起こらない」「きわめて稀」な例えで、転じて「まずあり得ない」という意味と伝わっています(出典:Wikipedia日本語版)が、これが直接カクテル名の由来かどうかは不明です(「できない相談」という意味だと紹介するサイトも多くあります→vino.txt-nifty.com)。ちなみに、「クレーム・イヴェット」は1960年代に製造中止となりましたが、2009年、約半世紀ぶりに復刻商品が発売されました(出展:Wikipedia英語版)。

 現代の標準レシピと同じものが欧米のカクテルブックに登場したのは、確認した限りでは、1947年に出たVictor Bergeron著「Trader Vic's Bartender's Guide」が最初です。「ブルー・ムーン」には、他にも以下のような様々なレシピが伝わっており、実に“ややこしい”カクテルです。
 ・ジン(45)、ブルー・キュラソー(20)、レモン・ツイスト(出典:Mr Boston Bartender's Guide=1935年初版刊)
 ・ジン(45)、マラスキーノ(15)、卵白(1個分)、シェイク(出典:Patrick G. Duffy著「The Official Mixer's Manual」1934年刊ほか)
 ・ウオッカ(20)、ブルー・キュラソー(15)、生クリーム(15)、ヴァニラ・シロップ(10)、オレンジ・ジュース(10)、コアントロー1tsp、クラッシュド・アイス→ブレンダー(出典:欧米の専門サイト「My Recipes.com」2010)。

 最終的にはヴァイオレット系リキュールを含むものが「ブルー・ムーン」として認知されていき、1950年代以降に入ると、現代の標準レシピにほぼ近いものが徐々に定着してきました。

 「ブルー・ムーン」は、日本には1920年代半ばに伝わったと考えられていて、この記事末尾にも紹介している1929年刊のカクテルブックに掲載されています。しかし、現代のレシピが国内で普及するのは1960年代以降です。

 【確認できる日本初出資料】著名な酒類評論家・福西英三氏の著書「読むカクテル百科」(2008年、河出書房新社刊)によれば、1929年(昭和4年)刊の「コクテール」(秋山徳蔵著)が最初です(秋山徳蔵氏は後に「宮内省大膳寮厨司長」、すなわち昭和天皇の料理番のトップを務めた方ですが、1924年、日本初のカクテルブック「カクテル(混合酒調合法)」を著したことでも有名です)。
 レシピは「ジン10分の7、ヴァイオレット・リキュール10分の2、ペパーミント・リキュール10分の1、飾り=パール・オニオン(シェイク)」となっています。秋山氏のレシピが欧米のどのカクテルブックを下敷きにしているのかは不明です。
 その後、秋山氏の著書から25年後の1954年に出版された「世界コクテール飲物辞典」(佐藤紅霞著)という本にも「ブルー・ムーン」は登場していますが、レシピは上記ヒューゴ・エンスリンのレシピと同じです。



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Last updated  2021/07/05 09:26:30 AM
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うらんかんろ

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kopn0822@ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
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