38.ハーベイ・ウォールバンガー(Harvey Wallbanger)
【現代の標準的なレシピ】 ウオッカ(45)、オレンジ・ジュース(90)、ガリアーノ(15)、氷 【スタイル】 ビルドまたはシェイク ※ガリアーノは最初からミックスする以外に、最後にフロートさせる作り方もあります。
1950~60年代に米国内で誕生したと伝わる、初心者の方でも飲みやすいカクテルです。あまりメジャーなドリンクではありませんが、プロのバーテンダーなら必ず知っておくべき”マストな”カクテルの一つでしょう。
風変わりなカクテル名は、直訳すれば「壁叩きのハーベイ」。サーファーの大会で敗れたハーベイという若者(※サーファーではなく、「ガリアーノ」のセールスマンとの説も)が、やけになってこのカクテルを飲んだ後、ふらふらになって壁にぶつかったことに由来するという説が知られています(出典:Wikipedia英語版ほか)。具体的には以下の2説が有名です。
1.1952年にハリウッド・サンセットブールバードで「ブラックウオッチ・バー(Blackwatch Bar)」のオーナー・バーテンダー、ドネイト・アントーネ(Donato Antone)氏(1917~1992)が考案した。カクテル名はアントーネ氏のパトロンだった、ハーベイ(Harvey)という名前のサーファーに由来するという。
※しかし、ロバート・シモンソン(Robert Simonson)という研究者は「ブラックウオッチ・バーという店があったという事実は確認されておらず、アントーネは1952年当時、東海岸のコネチカット州に住んでいた」として否定的見解を示しています(出典:Wikipedia英語版)。「ハーベイ」というサーファーが実在したことを裏付ける資料も伝わっていません。
2.ハーベイ(Harvey)という名の「ガリアーノ」リキュールのセールスマンが、バーでこのカクテルを作りふるまう時、自分でもこのカクテルを飲んで酔っ払い、頭をぶつけながらセールスして回ったことから、このカクテルがハーベイ・ウォールバンガーと呼ばれるようになった。考案の時期については不明。
なお、このカクテルは後に、「ガリアーノ」のセールスマンでもあった、ジョージ・べドナー(George Bednar)によって国際的に広く知られるようになったとのことです(出典:Wikipedia英語版)。
※考案者が誰であれ、「ハーベイウォール・バンガー」の普及には、米国でガリアーノの輸入商社であった「MacKesson Imports」が大きな役割を果たしました。同社のマーケティング・チームが1960年代、このカクテルのマスコットとして「サンダルをはいたサーファー」を創案し、PRに利用していたとのこと(出典:同)。この結果、後年、「ハーベイ=サーファーの名前」として定着してしまったのではないかと思われます。
他にも、1968年~1970年の間に、米カリフォルニア州マンハッタン・ビーチの「パンチョズ・バー」で生まれたという説(出典:PBOのHP)が伝わっていますが、裏付ける資料・データは明示されていません。いずれにしても、ハーベイという名の人物が(サーファーだったかセールスマンだったかは別にして)カクテル名の由来となったことは間違いないでしょう。
「ハーベイ・ウォールバンガー」が文献上初めて確認されるのは1971年。「Commercial Prints and Labels」という本と「Sports illustrated」という雑誌(5月号)の中でとのことです(出典:Wikipedia英語版)。
欧米のカクテルブックで初めて登場するのはもう少し後で、現時点で確認できた限りでは、1977年に出版された「Booth's Handbook of Cocktails and Mixed Drinks」(John Doxat著)が最初です。レシピは、「ウオッカ2オンス、オレンジ・ジュース1オンス、パウダー・シュガー2分の1tsp、ガリアーノ1オンス(シェイク)」となっていて、かなりアルコールが強めになっています。
「ハーベイ・ウォールバンガー」はそのレシピからも分かるように、材料からガリアーノを抜けば、有名な「スクリュー・ドライバー」になります。また、ウオッカの代わりにテキーラでつくると、「カクタス・バンガー(Cactus Banger)」という名のカクテルになるそうです(出典:サントリー・カクテルブック)。
ちなみにWikipedia英語版は、上記「1」の説に登場するアントーネ氏について、「カクテルのラスティ・ネイル、ゴッドファーザー、ホワイト・ルシアン等を考案した人」と記しています。「ラスティ・ネイル」については他の専門サイトも同氏を考案者と認めていますが、「ゴッドファーザー」と「ホワイト・ルシアン」については、裏付け資料が明示されておらず、現時点では確証はありません。
【確認できる日本初出資料】 「サントリー・カクテルブック」(1984年刊)。そのレシピは、「ウオッカ30~45ml、オレンジ・ジュース適量、ガリアーノ1~2tsp(ビルド・スタイル。※ガリアーノは最後にフロートする)」となっています。
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Last updated
2021/07/04 12:16:37 PM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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