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2005.11.22
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。。。って、わたしも焦った。
というのもメールでまず彼の我が家への入居が決まり、我が家に来てからいろいろとわかったのだが、コックさんの来伊目的は、語学留学ではなく、コックさんの腕を買った各種イタリアンレストラン行脚だったのである。

その中のひとつは世界に名だたるミラノの5つ星老舗ホテルに新しくオープンするレストランで、コックさんとしてもこれは絶対へまが出来ない、と準備を慎重に進めていたのだが。。。。


コックさん、イタリア語出来ない。⇒ 履歴書をイタリア語で書けない。⇒ イタリアで知り合い誰も居ない ⇒ いくきーとさん、ヘルプミ~!!!
となったわけである。

わたしはメールの段階では、そんな詳細はちっとも知らなかったので、「語学留学になんで履歴書が?たぶん、どっかの中国人が経営する日本食レストランでのバイトかな?」と思い、クールでニヒルなわたしは、イタリア語の履歴書の書き方が載っているサイトだけ教えて、あとはコックさんに自分で書くように命じたのだった。

でも可哀そうなコックさん、それでもわからず結局「イタリア語でも英語でもいいってことだったんで、英語で用意します。」と相成った。(←だったら最初からそうしろよ、と思ったわたし。)
なので「ああ、イタリア語は出来なくても英語は出来るんだな。」と安心していたのだが。。。


我が家に来て、はじめて英語も出来ない、ということが判明した。大汗(履歴書:義妹ちよさん作)


どっちの言葉も出来なくて、イタリアで仕事する、って、ど~~~~するんだよ!!!???


コックさん「調理場なんて、そんなに喋る必要はないから大丈夫。」


。。。。。喋る必要がないって、あんた。汗


結局、わたしはそんな言葉じゃちっとも納得が出来ないまま、コックさんにひしひしと(うるうるではない)頼まれて、日曜日の夜、カチコチになりながら、某老舗ホテルのフードマネージャーに面接のアポを取る電話をした。
何人ものオペレーターの手をへてやっと繋がる。
フードマネージャーは冷たい声を持つひとだった。緊張で震える声で用件を伝えると、淡々と「わかりました。明日18時半にホテルのロビーに来てください。」と言ってがちゃん、と切れた。

わたし「5つ星ホテルってことは、ちゃんとした服装をしていかなきゃいけないってことだよね?」

コックさん「そ~ゆ~ことですね。よろしくお願いします。」。。ってあんた。汗

実はコックさんの「成功の暁には絶対レストランでごちそうしますから!」という甘い言葉に乗せられて、まだどこに行くかも知らないときに、軽く通訳としての同行をOKしてしまったのだ。
それがとても悔やまれる。(←てっきり日本食だと思い込んで、寿司食い放題を期待してたし。)

そしてアポのあった昨日の夜。
自分の面接でもないのにカチコチになりながら、5つ星ホテルの回転ドアをくぐる。
目の前に垂れ下がった立派なシャンデリア、箱根の寄木細工のようなエレガントな寄木細工の壁、ぴかぴか大理石の床、真っ赤なアンティークの立派な椅子。。。
相当気後れしながらコックさんの姿を求めておずおずと中に進んでいくと、一番奥の4つ席でちんまりと座り込んでいる貧乏学生旅行者のような(←すまん)コックさんの姿があった。

さっそくフロントでマネージャーを呼んでもらうと、イタリアでは奇跡的なぐらい、彼がすぐに姿を現したのだ。(さすが5つ星!)

電話の冷たい声の印象とは大いに違って、はつらつとしていて、イタリア人と思えないぐらいてきぱきしたひとだった。

マネージャー「いや~、遠いところをはるばるいらっしゃい!!」と大きな笑顔でわたしにブンブンと握手をしてくる。

わたし「あ、どうもどうも。汗 いやっ、わたしはただの通訳で、彼が日本から来たコックさんです。」

マネージャー「あ。ああ、いらっしゃい。」

そうして3人で着席した。マネージャーはコックさんに上等な紙に金で刻印された名刺を差し出す。
コックさんも落ち着いていて、がさごそとかばんを探って、例の英語の履歴書を差し出した。

マネージャーはさっと英語の履歴書に目を通し、わたしに「彼、イタリア語が出来ないんだね?じゃあ。」と英語でコックさんに語りかけ出したのである。
わたしは慌てて「彼、英語も出来ないんです。わたしを通してイタリア語でお願いします。」という。

マネージャーはそれを聞いてちょっといぶかしげな顔をして、すぐにポーカーフェイスに戻った。
そして履歴書に目を戻し、「彼のスキルは認めるよ。。。でも、イタリア語も英語も出来なくてどうやって、仕事上のコミュニケーションをするんだい?いったいどういうつもりで面接に来たの?」とわたしの目を見据える。

ぐぐぐ。。。わたしが思っていたことと一緒。コックさん大ピンチ!!

わたしがそのことをコックさんに伝え、コックさんが返事を考えているとマネージャーのところに「Yah,Yah!!」とナニジンだかわからないガイジンが2人来て親しそうに挨拶をはじめた。
これはチャンスである!
2人で慌てて作戦会議をした。

コックさん「ぼく、料理用語はほとんどわかりますって言ってください。」

わたし「よしっ、それを伝えて語学学校の強化コースで文法は特訓するから!って言えばいいね!!」

マネージャーがやっと席に戻ったのでそのことを言うと、ちょっと安心したようだった。
そしてそこに追い討ちをかけるように、コックさんが持ってきた、彼が載っている料理雑誌のページを拡げ、数々のコックさん作の料理を見せて視覚攻撃に入るわたしたち。

マネージャーも先日のおっと同様、すっかり雑誌に見入り「OOOOOOOOHHHHH!すばらしい!!」の連発である。
その間、マネージャーの核心をついた質問にも大胆かつ、自信満々に答えるコックさん。

わたしもこんな(どんな?)コックさんの偉大さを感じた瞬間であった。

マネージャーは全ての雑誌に丁寧に目を通したあと、急にガラッと態度が変わり、「今から君たちにキッチンを見せて廻ろうじゃないか!」とわたしたちをそれはそれは素晴らしい、レストランと3つもある厨房に案内してくれたのだった。

マネージャー「今はね、工事中だからこんなに小さいけどもうすぐここは素晴らしいガラス張りのオープンカフェレストランになるのさ!このあいだ取り寄せたプロバンス地方のアンティークの噴水が置いてある庭がよく見えるようになる。レストランの一角にオープンキッチンを置いて、そこで料理するところを見せてお客さんに楽しんでいただくつもりだよ!!」

わたしはマネージャーの素晴らしい話術と、まだ見ぬオープンカフェレストランを目の前に描いて、マネージャーと2人でうっとりとなる。一通り彼が話し終わった頃には「なんて素晴らしい企画なんでしょう!スペクタクルです!!」と拍手をして激しく同意していた。

ところがコックさんはこんなに素晴らしい話なのに、浮かぬ顔である。

コックさん「いくきーとさん、このレストラン、ミシュラン星を狙ってるのか、聞いてもらえますか?」


マネージャー「もちろん!我々の最終目標はそこにあるっ!!」


その言葉にわたしはまたもや激しく同意し、拍手をした。


もう間違いない。きっとこのホテルはコックさんを雇うつもりだろう。
あとはまだもらえていない滞在許可証の問題のみだが、それさえクリアすれば絶対大丈夫だ。
わたしは興奮と大役を果たした感で満ち足りて、足取りもウキウキとコックさんと一緒に田舎家に帰る電車に乗り込んだ。

コックさん「。。。あのマネージャー、何したいんだかわかんねえ。」

わたし「はあ?」

コックさん「おれさ、コックをするためにイタリアに来たんだよね。このホテルもミシュラン星狙ってる、っていうから誘いに乗ったんだ。お客の前で料理するショーをやるためじゃないんだよ。」

わたし「。。。あ。」

コックさん「そんなエンターテーメントやりながら、ミシュラン星なんて摂れるわけないじゃん。そんなんだったら、よっぽど地方の味にこだわった小さなレストランでコックするほうがマシだよ。」

わたし「そうか。。。でもさ、まだ企画の段階なんだから、それについてはいくらでも口が挟める立場に居ると思うんだよ、コックさんは。」

コックさん「。。。。そうなんだよね、喋れたらなあ、イタリア語。」




そうなのだ、結局基本に戻ると外国ではその国の言葉が喋れないとお話にならないのだ。
で、昨日の夜からコックさんのイタリア語の特訓が始まった。



*****
PS.みなさま、コメントありがとうございます!昨日から会社のインターネットのラインが時々不通になるので、お返事欠いていてスミマセン!!(今も繋がっているうちに慌ててUP中。ああ、イタリア。)





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Last updated  2005.11.22 20:46:31
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 お目目@ Re:イースターいろいろ。(03/31) いくきーとさん、ご無沙汰しております目…
 Hinatabocco@ 大丈夫ですか? いくきーとさん、このブログはもうノータ…
 Ikukito@ ごめんなさい。 >shion0851さん そ。。そうです。26歳だ…
 かつしちー@ おめでと! 色んな偶然があるんですね。 相変わらず…
 shion0851@ そーなんだ 26歳なんですか、そうですか・・・(-_…

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