「カメぱっぱ」ブッチャーとの死闘(354)
ポンポンチッチも小さな声を上げました。 「二本足では、クリサーラさんやビッグのように策をめぐらすものを策士というが、相手を気持ちよくさせた上に結果が上手くいけば、いうことないよポンポン」 ビッグも小さい声で相槌を打ちます。「策士策に溺れるというが、クリサーラさんの考えは冷静に計算しているから、まず失敗はないだろうゲロゲロ、ワシなんかよりも数段上のお方じゃゲロゲログァグァ」 それから1時間後、クリサーラが予想した通り、2回の大きな余震がありましたが、宮殿の地下室が崩れるのは免れました。さっそくドールとリンゾウが出発の準備に入ります。準備といってもドールが生田緑地仲間の一匹ずつと鼻をこすりつけ別れの挨拶をするだけです。たとえばカメぱっぱとは、「アンタとは<可愛い動物コンテスト>があれば、当然アタイが優勝で2位はアンタでいいかんね、もしアタイが戻らなくても・・悲しむのよ、エーン、エーン」「だいじょうぶパッパ、ドールちゃんはどんなことがあっても戻れるからね、それに」「それに、なになによ~ん」「みんなのアイドルだから、死んではダメぱっぱ」「も~う、カメぱっぱたらたら・・・」 さすがにあきれたポンポンチッチが大声を発します。「もう、いいチッチ、早く出発しないとブッチャーがこっちに戻る恐れがあるよ。ドールちゃん、急いで」 ようやく青年ネズミのイワチュウに誘導されたドールは、出口に向かいますが、足を止めると立ち上がり仲間たちに顔を向けました。「みんな、アタイが戻らなくても泣かないでね、アタイと会って幸せになったことだけを思い出にして生きていくのよ、それではサラバラバラーーバーラが咲いた」 地下室の片隅に集まっていた緑地仲間たち、一瞬、出口の方に顔を向けましたが、なにもなかったように隣のものと、雑談を続けています。 つづく