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「名曲100選」 シューベルト作曲 ピアノ五重奏曲 「ます」 ベートーベン(1770-1827)は残された肖像画によれば闘志が全面ににじみ出た顔・容姿をしていますが、フランツ・シューベルト(1797-1828)はものすごくおとなしそうな、気弱な性格であったろうと想像される顔つきです。 ベートーベンはあんないかつい顔をしていましたが、女性とのロマンスには事欠かない人でしたが、シューベルトはそういうロマンスめいたことも残されていないし、結婚もせずに若き生涯を終えています。 またシューベルトはお金にも縁がなかったようです。 メンデルスゾーン(1809-1847)のように銀行家の御曹司で裕福な作曲家もいましたが、モーツアルトやシューベルトは「貧しい」作曲家だったようです。 シューベルトが亡くなって遺産の整理をすると、身の回り品が残っているだけで葬儀代にも困ったようでした。 そんなシューベルトですが、友人には恵まれていたようです。「シュベルティアーデ」と呼ばれた親しい人たちとの「サロン・コンサート」は、シューベルトの心を和ませる貴重な、楽しいひと時を過ごせる時間だったのでしょう。 この「シュベルティアーデ」で彼が作曲した歌曲や室内楽・器楽曲などが演奏されたと言われています。 そんな友人の中にフォーゲルというバリトン歌手がいました。 ウイーンで第一級のオペラ歌手だったそうです。 そのフォーゲルとシューベルトの交際が、シューベルト20歳の頃からある友人の紹介で始まったと言われています。 オペラ歌手としては第一線を退いてからは、シューベルトの作曲する歌曲を歌い、ウイーンに広めていったそうです。 シューベルト22歳の1819年に、フォーゲルの故郷に避暑を兼ねて演奏旅行にやってきました。 この町には音楽好きが多かったそうです。 シューベルトが書いた歌曲をフォーゲルが歌い、曲の美しさ・楽しさをフォーゲルが満喫させてくれるという好評の演奏会だったそうです。 その時に町の音楽愛好家から「アマチュア音楽家が弾いて楽しめる曲を書いて欲しい」と依頼をされました。 それがこの「ピアノ五重奏曲 イ長調 ます」です。 第4楽章に以前書いた歌曲「ます」の旋律を使っていることから俗に「ます」と呼ばれています。 この歌曲「ます」は小川を矢の様に泳ぐ「マス」の美しさを歌うのですが、心ない釣り師によって無情にも釣り上げられてしまうと曲です。 この五重奏は全編にわたって溌剌とした楽しさと幸せな気分に包まれており、シューベルトgこの町で屈託のない時間を過ごしたのだろう、ということが容易に想像できます。 とにかく幸せで、陽気で、楽しく、爽やかな雰囲気の室内楽の名品です。 愛聴盤 (1) エマニュエル・アックス(ピアノ) ヨー・ヨー・マ(チェロ) パメラ・フランク(ヴァイオリン) レベッカ・ヤング(ヴィオラ) エドガー・メイヤー(コントラバス) (ソニー・クラシカル SK61964 1995年録音 海外盤) 息の合った演奏家が寄り集まって楽しげに弾いているという雰囲気に溢れた、実に幸せそうな演奏。 それがジャケット写真からでもわかるほどの楽しさにあふれたシューベルト。 (2) アルフレッド・ブレンデル(ピアノ) クリーヴランド弦楽四重奏団 (Philips原盤 420 907 1977年録音 海外盤) こちらは一転、ブレンデルのピアノが全編に活躍しており、クリーヴランドの緊密なアンサンブルがそれに応える、教科書通りとでも言えそうな演奏。 しかし、実に巧い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月15日 00時06分33秒
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