サッカークリニッキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SOCCER CLINIKKI

「今日は、久しぶりの丘池公園だな」
「えー。河川敷行こーよ。坂道ランやるんでしょ？」
「やるよ。けど、坂道ランって言っても下り坂だって坂道やで。」
「坂道って言ったら、上り坂じゃん。下り坂だけやるわけないじゃん。」
「そりゃ、坂を下るためには、上らなあかんけど、上るのは、ゆっくりでいいぞ。」
「ほんと？」
「ほんとだ。オレがウソ言ったことがあるか？」
「いっぱいある。」
「・・・。」

「あの上まで、行ったら、ヨーイ・ドンでスタート。
上るときは、ゆっくりでいいけど、体を地面にかぶせるように意識して上れ。
腰を曲げるんじゃなくて、伸ばしたままな。
下りスタートしたら、怖がらずにしっかり前傾して、足を速く動かせ。」
「ふぁーい。」
「平地に来たら、そこから２０ｍのあのコーンまで全力。
坂のスピードを殺さないようにな。」
「ふぁーい。」

「足を動かせ。スピードに負けるな。落ちるスピードについていかないとコケるぞ。」
「ひー。」
「そんなに手足をジタバタせんでもいいやろ。おおげさやな。」
「手足がバラバラになるんだよ。」
「そうそう、そのスピードの中で、手足を普通に動かす練習や。
手足の速い動かし方、使い方を覚えこませるんや。」
「ふーん。どうやったら、足を速く動かせるのよ？」
「・・・。おし。次は、平地で30mやろ。」
「まだやんの？」
「何言ってるんだ。下り坂ダッシュは、らくちんだから、ぜんぜん大丈夫なくせに。」
「まー、そんなに疲れないけどね。けど今夜もよく眠れるね。」
「何をおっさんみたいなこと言ってるんや。いつでもぐっくり、寝てんじゃねえか。」
「へへ。」
「水飲んだら、やるぞ。」
「ふぁーい。」


「最初は歩く。前を見て、2直線。つま先、ヒザの向きを揃えて、真っすぐ。」
「ふん。」
「次は、目をつぶって歩く。薄目、開けるな。しっかりつぶって、真っすぐ。」
「ふん。」
「目をつぶっているときは、自分の体が、どうなっているか、感じながら、歩け。」
「ふん。」
「OK。目を開けて、出す足にしっかり体重を乗せるのを意識しよう。」
「ふん。」
「体重を乗せるってことは、腰もしっかり乗っかって行く感じ。」
「ふん。」
「それじゃあ、今度は、前足を忘れて、後ろ足を早く前に出す感じ。」
「？？？」
「後ろの足がいつまでも地面に着いていないように、後ろの足をすぐに前に出すようにする。
ホレホレ、もっと後ろ足を早く地面から離せ。
高く上げなくていい。地面スレスレを滑るように前に出して着地。
大股で歩くなんってこと考えなくてもいいぞ。」
「おとーさん、走ってもいい？」
「おう、スピードが、出てくるだろ？合わせて走ってもいいぞ。その方が楽やろ。」
「ふん。」
「そのまま、走りながら、後ろの足をもっともっと早く出して行く。」
「ふぁーい。」
「それに、前傾つけたらもうほとんど全力ダッシュと同じだ。」
「ふん。」

「クリ、前足体重、意識するのと、後ろ足を早く出すのとどっちが速く走れた？」
「後ろ足出すほう。」
「そーか、んじゃあ、速く足を動かすためには、後ろ足を早く前に出す意識が必要ってことだな。
後ろの地面に着いたままにせずに、できるだけ早く離して前に出す。それだ。
次は、10mスタートダッシュ。」
「スタートだけ？」
「そーやで。クリ、スタートを速くするためにはどうする？」
「左足前、前傾、足を早く動かす。」
「そー。低く、前傾姿勢を忘れるな。
それに、今やった、後ろ足を早く前に出してやれば、足は速く動く。」
「ふん。」
「実は、後ろの足は、すぐ出て行く足になる。出した前足は、すぐに支え足になるから、
出した足に体重を乗せようと意識するっていうことは、後ろ足で蹴るとか、
後ろ足に体重残すことになりかねん。後ろを前に、前に。地面につけてる時間を短く。」
「ふーん。」
「下向くな。顔上げろ。前、前。」

「おとーさん、10ｍダッシュって言ってるけど、
10mダッシュしたら、そのまま、20m以上走っちゃうよ。」
「そーや、それぐらい加速してるってことだし、無理なく速く走れるから疲れないってことだぞ。」
「ふーん。そーだね。」

「おーし。横ダッシュもやるぞ。イチローみたいにクロスオーバーで、前傾して行け。
左右どっちの肩も下がらない。地面と並行に進行方向に出て行きながら、回る。下向くな。
オレが口で言うほうにスタートな。」
「フェイントなしだよ。」
「OK。右。」
「早いよ。」
「反応しろ。鈍いぞ。左。」
「だからー、準備できてからにしてよ。」
「悪りー、わりー、右。」
「ふん。自分でやる。」