サッカークリニッキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SOCCER CLINIKKI

「クリ、キック力を上げるには、どうしたらいいと思う？」
「んー。ウエイトトレーニングと練習。」
「何で、パワーで蹴ろうとするわけ？」
「だって、背が大きくて、力ある人の方が、遠くに蹴れるじゃん。」
「まあ、そりゃそーだけど、力がなくても遠くに飛ばすテクニックはある。
プロレスラーやお相撲さんが蹴るより、中村憲剛の方が遠くに飛ばせるぜ。」
「太りすぎだから。」
「ちがう。蹴り方が悪いからや。蹴るための準備段階で、スピードや技術がなければ、蹴れない。」
「おとーさん、太りすぎでも蹴れるもんね。」
「もーいいっちゅうねん。」

「基本は、走ることも蹴るのも同じ。体をバネやゴムやムチのように使えるかどうか。
この前から言ってる“基本姿勢”は、全ての動作に繋がる。
胸を上に張り、腰を反らせて堂々と立つのが基本じゃ。
そこから全てが始まる。猫背になるクセは直ったか？」
「このまえ、おかーさんに “あんた、また猫背になってるよー。”って言われてしまったけど、
結構、気をつけて直してると思うよ。」
「しばらくしっかり気にして、絶対に直さないと、ランもキックもうまくはならんぞ。」
「ふぁーい。」

というわけで、キック練習。プレースキックから。
「踏み込む瞬間、胸を張れ。横じゃなくてタテ。」「腰を反らせ。」「カカト着地。」
「身体を倒して横に振れ。その方が、身体全体を振る遠心力を使える。」
「身体を倒すと、軸足裏全体ではなく、アウトエッジ側だけで着地することになる。」
「腕を使え。（蹴り足と反対側の腕を上げてバランスを取り、タイミングを合わせると、
身体全体の振り（回転）も使いやすい。」
「踏み込む足のつま先を開きすぎない。（蹴り足は内向きにスイングするイメージ）」
「身体を倒す角度やつま先の向きは、自分に合うものを練習で見つける。」
「低く速いボールを蹴るとき、蹴った後は、結果、前に跳ねるように飛び出す。」
「高く変化させるボールを蹴るときは、擦り上げるように足が上に振り上げられる。」
「助走の前に、胸に手を当てて、深呼吸しながら、基本姿勢を確認した方がいいな。
冷静になれて、集中力も高まる。」
「うっしゃー。」


■キック力向上スキル
※ 踏み込んだ瞬間、胸が張られ、腰が反っていること。
太もも前側、股関節（大腰筋）、上半身も含めて、体の前面が弓のように張る。
※ 立ち足の踏み込みは、カカト、アウトサイド。走ってきたスピードを急激に止め、
慣性によって、蹴り足が、振り出される。
※ 踏み込む足のつま先を開かない。横に振る、インに振るので、開いた踏み込みでは、
狙いが左（右足キックの場合）にズレやすい。
斜めに助走するので、感覚的には、ボール側につま先を向けて着地。
※ 体幹～股関節がスイングされ、足がムチのようにしなりながら、前に出てくるイメージ。

【胸を張り骨盤前傾させるメリット】
踏み込んだときに、骨盤が前傾していれば、
骨盤の下の方に付いている股関節の位置が体の後ろになる。
同じバックスイングでも蹴り足の振り幅が大きくなる。後傾していると足が後ろに上がりにくい。
骨盤前傾によって、助走で重心が前になる。⇒地面から受ける反力を前方への力に転換させやすい。

【バネを活かす】
踏み込んだときに、弓なりになって、ゴムのように引き伸ばされた身体前面の筋肉が、
一気に縮もうとする。その力をキックに活かせばよい。
踏み込んだ立ち足のバネを押し込むようにして、その反動でスイングし、前に跳ね跳ぶ。
蹴り足着地。その足が、次のプレーへの一歩目。

【キック練習バリエーション】
１）1歩で踏み込むプレースキック
２）助走をつけてのプレースキック
３）２タッチキック
４）徐々に距離を伸ばして狙う。

「胸張りできてないから、最初に戻る。」
「ふぇー。」
「意識しすぎて、踏み込むとき、ゆっくりガチガチに固まってちゃダメ。リラックス。
身体の前を張るのは、踏み込みと同時の一瞬だけでいい。前傾してるほうが、張りやすい。
踏み込むとき、反射的に反ること。タイミングは一瞬だ。」


「基本は同じ。弓が解き放たれるようにシュート。」
「ふぇーい。」
「低く速いボールを蹴るには、助走のスピードを殺さないように、
踏み込む足の着地している時間を短くして、蹴る。
蹴った後は、前にハネ跳んでしまう。横に振ってもいいが、余り身体を倒し過ぎないように。」
「OK。」

「こらこら、一番大切なことを忘れてない？」
「なにー？」
「ゴール（ターゲット）に入れることが、目的なんやで。
思いっきり蹴ってストレス発散するのもいいが、入らなきゃ何のために練習しているか分からん。
遠くに飛ばすのは、いつでもできる。低くて強い弾道をイメージしな。」
「へーい。」
「インステップ、インフロント、スワーブ、インサイド、アウトサイド、色々試してみろよ。
何であろうが、工夫しながら、何回も何回も練習する中で、自分のスタイルが見つかる。
蹴り方、フォーム、球筋なんかは、その人それぞれ。
最初は、目標にする選手のマネでもいいけど、目的を見失わずに蹴っていれば、
自分の長所や個性を生かせる蹴り方が分かるもんだ。」
「ふぁーい。」