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カテゴリ:教授の雑感
昨日の話なんですけど、イギリス人の同僚R教授が疲れたような顔をしていたので、どうしたのか尋ねたら、前の日の夜、乗ろうと思った電車が飛び込み自殺のために止まってしまい、ホームで延々待たされた挙句、結局、家まで歩いて帰るはめになったのだとか。 ちなみにR先生は日英両国の鉄道事情に通じたマニア中のマニアなんですが、イギリスでは鉄道への飛び込み自殺ってのはあまりないんですってね。ま、ゼロということはないでしょうが、日本と比べたら圧倒的に少ないのだそうで。 ふーむ。それは知りませなんだ。 なんか、日本人のメンタリティと関係があるのかしら? 巨大な力の前に屈し、自らを放棄することで楽になろうとする傾向があるとか。あるいは、走ってくる電車を不可抗力の災難とみなし、自分は災難に巻き込まれたのだ、という形で納得しようとする傾向があるとか。アメリカに多い銃自殺だと、銃口を自らに押し当てて自ら引き金を引くわけですが、それと比べると鉄道に飛び込む方が他律的な感じがちょっとしますし・・・。 ま、いずれにせよ、自殺なんて良くないですよ。悩みの渦中にあると思いつめてしまって、見境がつかなくなってしまうのでしょうが、ワタクシはそんな人の所に行って、元気出しなよ、生きてりゃ楽しいこともあるさ、って言ってやりたいね。 死ぬ人がいれば、生まれる人もいる。これも昨日、ニュースで知ったのですが、日本では少子化傾向に歯止めがかかりつつあり、ここのところ3年連続して出生率が上がっているのてすってね。ま、上がっているといっても一組の夫婦の間に生まれる赤ちゃんは現在1.37人だそうですから、全体的に見れば確実に人口は減っているのですが。 で、そのニュースに某有名大学の専門家の先生が出てきて、「まだまだ社会が先行き不安で、こうした世の中に新しい命を送り出そうという決意がもてないのではないか」というような趣旨の発言をされておりました。 しかし、こういう発言には、ワタクシ、全然納得しないんだよなあ。 どうなんですか。今までこの国で子供を生んできた人たちは、「世の中ハッピーだし、安定しているから、心おきなく子供を作ろう」なんて思って、子宝を授かってきたのかしら? 私はそんなの全然関係ないと思うんですよね。 だいたいアレでしょ。現在、世界で爆発的に人口が増えている地域って、いわゆる第三世界であって、そういうところの社会不安って日本の比じゃないと思うんですよね。収入だって先進国の基準からしたらよっぽど少ないだろうし。だけど、そういうところではジャンジャン赤ん坊が生まれている。むしろ社会不安があるところの連中の方が、生命力が強いくらいだ。『スラムドッグ$ミリオネア』を見て思いましたが、インド社会は問題山積みだけど、そこに生きている連中はすさまじい生命力でしたもん。 だからね、社会不安が原因で日本人の出生率が下がっているとは、とても思えないんですよね。 結局、なんつーか、日本人が全体的に冷めちゃったってところがあるんじゃないですかね。そんなに一生懸命生きなくてもいいか・・・ってなぬるい感じが、ね。その辺が、出生率の低さや、自殺の多さという形で、数字になっているのでは、と。 だけど、長い時間をかけて徐々に冷めてきちゃっているものを、無理やり温めなおそうったってね、そりゃ無理というもんでしょうよ。ま、仕方ないところもあるんじゃないすかね。それに、「周りはともかく、俺は熱く生きよう」っていう日本人だって多少はいるわけだし。 だから、とりあえずは今の日本は全般的にはそういう調子だ、という風に観念するしかないんだろうと思うのですけど、そういう腹の括り方もせずに、「社会不安が・・・」などとアホなこと言っている専門家を見ていると、ますます何だかなあ・・・という気がしてきます。あんたら、もっと腹にこたえるような発言してくれよ、って思うなあ・・・というところなんですけど、さてさて、読者諸賢のお考えや如何に? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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