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カテゴリ:教授の雑感
市場調査を兼ねて、あちこちロンドンの書店を巡っております。
Daunt Books に行った話はしましたが、その後、英国王室御用達の書店である「Hatchards」や、これまた由緒ある古書店「Henry Sotheran」などにも行ってしまいまして。とくにヘンリー・サザランは格式を感じさせる店構えで、品揃えも相当なもの。 で、ハッチャーズでは、自己啓発系の新刊本をあれこれ物色していたのですが、それで一つ気が付いたのは、ここイギリスで自己啓発系の主流をなすキーワードが「Mindfulness」であること。これは、アメリカの自己啓発系ではあまり聞かない言葉なので、多分、イギリスが本家なんだと思います。 じゃあ、「マインドフルネス」というのが何を指すのかと言うと、よく分からないのですが、どうも東洋的な禅に近いのではないかと。 つまり、自分の心の動きとか、感情の揺れとか、そういうものに対して、批判的な自省を加えるというのではなく、ああ、今、自分の心はそういう風に動いているなあ、みたいな感じで、素直に見つめ、受け入れる。そして、そういう批判なき自省を続けることによって自分を理解し、落ち着き、心を鎮めて行く、みたいなことをする。そういう感じの行為を促すもの、と考えればいいのではないかと。 こういう風にしたら即、お金が儲かるとか、出世するとか、何事も自分の思うままになる、というような即効性のある自己啓発を求めるアメリカ的な自己啓発とは異なる、別な種類の自己啓発として、マインドフルネスというのがイギリスにはあるようで。 ま、そんなことを書店を回りながら、手応えとして感じておるわけでございます。これも、現地に来たから肌身で感じることのできる成果でね。 さて、もちろん私とて、年柄年中書店を巡っているわけではありませんで、今日はここノッティング・ヒル名物である「Portobello骨董市」というのを見てきました。アパートから徒歩で5分ほど行ったところにあるポートベロ通りで毎週土曜日に開催されているこの骨董市は、百年の歴史を持つというなかなか由緒あるものなのだそうで。 で、実際行ってみると、これがまた大規模なもので、もう一体店が何軒あるのか分からないほど。 店といっても、一つ一つの店はそれこそ畳一畳分ほどのもの。それが奥行きのある建物の中に、櫛の歯状にひしめくように並んでいるわけ。でまた売っているものも、宝飾品はもちろんのこと、時計、食器、陶器、置物、服、絵、その他、ありとあらゆるものを扱っていて、とにかく見ているうちに目が回って来るほど。売っている人たちの国籍もまちまちなら、大勢の客の方も世界各地から集まっているので、とにかく頭の上をさまざまな言語が飛び交うことになり、まさに人種と言語のサラダボウル。骨董というもの自体、品物の種類も時代もまちまちであるという意味でカオス的なわけですが、そこに売り手・買い手の人種的・言語的カオスが絡まり合って、祝祭的なまでの大混乱が生じている。これは、一つの壮観です。 ということで、名古屋で過ごす一日も、ロンドンで過ごす一日も、同じ一日には違いないのですけれども、ロンドンの一日が内包している爆発的な内容物に圧倒され、目の眩むような感じを受けつつ、それをマインドフルに反芻している、今日の私なのであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 14, 2014 12:11:43 AM
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