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カテゴリ:きらきらポストモダン推理
森博嗣の〈Xシリーズ〉の新作を読んだ。
○ストーリー 女流作家を出した歴史のある旧家の当主夫婦が強盗に殺された。遺産の鑑定とリスト化を頼まれ,その家の蔵で作業を続ける椙田の事務所の面々のすぐそばで恐怖の連続殺人事件が再開される。これは家に伝わる河童の伝説と関連があるのか? ------------ 森博嗣はすっかりと寡作になってしまった。この〈Xシリーズ〉も,4作目なのだけれど,前の3作目から6年も空いてしまっている。さすがにメインの登場人物と大枠の設定は覚えているものの,それ以外は忘れてしまっている。 美術品を中心とした調査事務所を運営している椙田泰男,彼を手伝う小川令子,アルバイトの真鍋瞬市と永田絵里子。実は椙田は裏の顔があり,それが仕事に役立つこともあれば,仲間に危機を呼び寄せてしまうこともある。 ------------ 今回彼らは,強盗に殺された資産家夫婦の遺産である美術品コレクションの整理とリスト化という仕事を請け負っている。さらに資産家の家で,死体が発見され,その後も・・・と事件は連続殺人事件の様を呈する。 だが,ここで探偵の捜査,事件の謎解き,真犯人の指摘,というミステリーのセオリーどおりの流れにならないのが,最近の森博嗣だ。 密室の謎は解けず,犯人の動機も分からず,事件の全貌は見えないまま,物語は終わる。確かに〈Gシリーズ〉でも顕著になっている作風だ。 ------------ もちろん元祖〈理系ミステリー〉の森博嗣の作品なので,真鍋の考え方などに,とんちんかんな面白さや,合理的なのに世間とは相容れないという淡い悲哀を感じさせてくれる。 ただ〈ヴォイド・シェイパ・シリーズ〉など,思索に特化したシリーズがある今では,ちょっとだけ理系程度ではあまり醍醐味が感じられない。思索的に深くも無く,ミステリーとしての達成感も無い。 このまま〈真・四季シリーズ〉へつながることだけが,〈Gシリーズ〉と〈Xシリーズ〉の役割なんだろうか? あんまり面白くないなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.08.12 23:02:32
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