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2016.08.24
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伊坂幸太郎の新作長編を読んだ。

○ストーリー
家庭裁判所の調査官・武藤は,無免許運転で人をはねてしまった棚岡という少年を担当する。武藤は棚岡少年を調べている過程で,彼が交通事故で両親を失っていたこと,そして小学校時代に同じく交通事故で親友を失っていたことを知る。棚岡少年の事故の裏にはどんな事情が潜んでいるのか?そして武藤に協力を求めるハッカーの少年・小山田が予告する無差別傷害事件を防止するにはどうしたらよいのか?

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連作短編集「チルドレン」の続編だ。破天荒な陣内,真面目な部下・武藤,冷静な友人・永瀬,と,前作のキャラクターも再登場だ。

作品のテイストも前作に似ている。ただしあちらは短編ごとに視点が変わる連作で,作品内の時間の操作もあり,全体が仕掛け,という味わいがあった。今回の作品は長編なので,過剰な仕掛けではなく,ストーリーで勝負をしている様子だ。

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武藤と陣内の職業は家庭裁判所の調査官なので,基本的に犯罪を犯した少年たちと面談を行う。必然的に,この作品は少年犯罪について,その加害者,被害者,親族の視点から描写をすることになる。

主人公・武藤は調査官としては真面目だが,仕事としての限界は感じていて,少年たちとの関係がうまく進展しなくても仕方がないと考えている。上司の武藤は同じ調査官だが,言動が投げやりに見え,自分の思うままに行動してルールを守らない。

武藤のもう1人の同僚で,無口な女性・木更津というのがいる。彼女の活躍ポイントはどこなのか?楽しみに読んでもらいたい。

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武藤たちの前には少年犯罪に関連する少年たちが現れる。

無免許運転で通行人をはねて殺してしまった棚岡少年。

犯罪者予備軍たちに脅迫状を送り付け,やがて自首をした小山田少年。

10年前に棚岡少年の友人をはねて殺してしまった若林青年。

彼らそれぞれに事情があり,簡単に善悪は判断できない。また少年たちは必ずしも,武藤たちにすべてを語る訳ではない。さらに若林青年という,かつての少年犯罪の加害者を登場させたことで,より多元的な視点で物語は進む。

陣内というトリックスターの存在のおかげで軽妙な表層を装いつつ,かなり重いテーマを内包している。

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個人的にはこの作品にはピンと来るものが無かった。陣内というキャラクターは,初期の伊坂幸太郎作品を回顧させてくれて楽しいのだけれど,非現実的な彼を現実の問題への対処に使っていて噛み合っていない印象が強かった。

いろいろなエピソードが集約して何かにつながるのかと思っていたがそれも無かったので,単純に長いだけの物語と感じてしまった。

連作短編の前作の方がはるかに好みだ。

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終わってみれば,陣内大活躍で,真面目な武藤はやっぱりパッとしないという流れになっている。個人的には武藤にもっともっと奮起をしてもらいたかったところだ。

少年犯罪という現実の複雑な問題に対して,トリックスターを投入するしか解決が無い,というのは,現実的な手段ではお手上げである,という宣言にも解釈できてしまって,悲しさを感じてしまう。

高い確率で,世の中には多くの武藤はいるけれども,陣内はほとんどいないのだから。











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Last updated  2016.08.26 20:54:52
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